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【まとめ】異次元の少子化対策で何が変わるのかざっくり解説。最大8兆円の財源確保先が未定という現実も

執筆者:川辺 拓也

【記事執筆】FP川辺 拓也

3,000人を超える顧客からの相談実績をもとに、社会保障制度や家計に必要な金融知識を分かりやすく提供。2級ファイナンシャルプランニング技能士。金融全般から、お金に関する政策まで幅広く専門領域があり、複数の金融メディアに多数寄稿。

3月31日、政府は「異次元の少子化対策」のたたき台を発表しました。

少子化を食い止めるべく、子育て世帯にさまざまな支援策が実施される見通しです。

しかし、財源は最大8兆円ともいわれており、財源の確保先や実現の可否にも注目が集まっています。

この記事では「異次元の少子化対策」のたたき台で提案された、少子化対策の概要について解説します。

「異次元の少子化対策」一覧表

「異次元の少子化対策」のたたき台で発表された内容をまとめると、下表の通りです。
 
それぞれの支援策の概要について確認していきましょう。

子育て世帯の給付を手厚くする支援

子育て世帯の給付を手厚くする支援は、次の3つです。

  • 児童手当の拡充
  • 出産一時金の増額
  • 出産費用の保険適用

児童手当の拡充

児童手当の拡充は、異次元の少子化対策でも目玉の1つといえるでしょう。

現行制度では児童手当は、中学校卒業まで給付されていますが、新しい案では高校卒業まで給付が延長されます。

児童手当の給付が高校生まで延長された場合、子ども1人につき36万円程度の増額が見込まれます。

ほかにも、「所得制限の撤廃」や「多子世帯への給付額アップ」が支援策として盛り込まれています。

児童手当の拡充について、詳細は以下の記事から確認してください。
https://moneyfix.jp/prepare/consultation/article-10325/

出産一時金の増額

出産一時金の増額については実施済みです。

これまで出産一時金は42万円でしたが、都市部での平均出産費用が高騰している状況を受け、2023年4月1日以降の出産については、50万円に増額しています。

出産費用の保険適用

出産費用については、健康保険を適用できないか議論が行われています。

出産費用を「保険適用」にしたうえで、「自己負担分への支援」を行い、出産費用を無償化することが検討されています。

出産一時金や保険適用について、詳細は以下の記事から確認してください。
https://moneyfix.jp/media/article-20230411-1/

子育て世帯の負担を減らすための支援

子育て世帯の負担を減らす支援策は、次の3つです。

  • 教育費の負担軽減
  • フラット35の金利引き下げ
  • 給食費の無償化

教育費の負担軽減

教育費の負担が、子どもの出産に踏み切れない理由の1つになっていることを受け、大学の授業料などにかかる負担を軽減する支援策が検討されています。

経済的理由により奨学金の返済が困難な場合に、一定期間月々の返還額を少なくする「減額返還制度」や、「給付型奨学金」の利用条件を拡大する方針です。

また、所得に連動して返済がはじまる「授業料の後払い制度(仮称)」なども検討されています。

教育費の負担軽減について、詳細は以下の記事から確認してください。
https://moneyfix.jp/media/article-20230410-1/

給食費の無償化

小学校と中学校の給食費を、全国一律で無償化することも検討されています。

給食費が無償化されると、小学校入学から中学卒業まで、約45万円の経済的負担が軽減される見通しです。

給食費の無償化について、詳細は以下の記事から確認してください。
https://moneyfix.jp/media/article-20230410-2/

フラット35の金利引き下げ

子育て世帯の住宅購入にかかわる負担を軽減するために、フラット35の金利の引き下げについても検討されています。

「18歳未満の子どもがいる世帯」「夫婦どちらかが39歳以下の世帯」に当てはまる場合、フラット35の金利引き下げの対象となります。

また、多子世帯は、さらに金利を引き下げる方針です。

フラット35の金利引き下げについて、詳細は以下の記事から確認してください。
https://moneyfix.jp/media/article-20231027-1/

子育て世帯の働き方に関する支援

子育て世帯の働き方をサポートする支援策は、以下の3つです。

  • 扶養から外れた人の社会保険料の負担を助成
  • 「出生時育児休業給付金」「育児休業給付金」の引き上げ
  • フリーランスの育児環境支援

扶養から外れた人の社会保険料の負担を助成

パートなどで働く主婦(主夫)の年収が一定額を超えると社会保険料の負担などが生じ、手取り額が減少する、「年収の壁」の問題を解消するための支援策が検討されています。

政府が企業に助成金を支払い、扶養から外れることで発生する社会保険料の負担を補てんする見通しです。

「年収の壁」について、詳細は以下の記事から確認してください。
https://moneyfix.jp/media/article-20230412-2/

「出生時育児休業給付金」「育児休業給付金」の引き上げ

「産後パパ育休」を取得することで受け取れる「出生時育児休業給付金」の金額を、休業前の手取りと同水準にする見通しです。

さらに、男性が一定期間を超えて「産後パパ育休」を取得した場合、女性の「育児休業給付金」も給付率を引き上げる方針です。

育児休業給付金について、詳細は以下の記事から確認してください。
https://moneyfix.jp/prepare/consultation/article-10268/

フリーランスの育児環境支援

フリーランスで子育てをしている人への支援も強化する見通しです。

国民年金保険料の免除期間の延長や、産前産後の国民健康保険料を免除する制度について検討が進められています。

また、非正規労働者や自営業、フリーランスを対象とした「新しい育児給付制度」が創設される見通しです。

フリーランスの育児環境援について、詳細は以下の記事から確認してください。

2023年6月に方針がまとまる見通し

提案された「異次元の少子化対策」のたたき台は、2023年6月に方針がまとまる見通しですが、最大8兆円ともいわれる、財源の確保先については未定のままです。

今後は、財源も含めて、発表された支援策が実現できるかが焦点となります。

今回たたき台として発表された支援策が、今後の議論を経てどのような子育て支援策となるのか、注目していきましょう。

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