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大学の授業料、後払い制度が新設へ。異次元の少子化対策で奨学金制度も利用条件が拡充される見通し

執筆者:川辺 拓也

【記事執筆】FP川辺 拓也

3,000人を超える顧客からの相談実績をもとに、社会保障制度や家計に必要な金融知識を分かりやすく提供。2級ファイナンシャルプランニング技能士。金融全般から、お金に関する政策まで幅広く専門領域があり、複数の金融メディアに多数寄稿。

政府が3月31日に発表した「異次元の少子化対策」のたたき台では、子育て世帯へのさまざまな支援策が発表されました。

今後3年間で集中的に取り組む「こども・子育て支援加速化プラン」では、教育費の負担を軽減する支援策についても検討される見通しです。

この記事では、大学の授業料などの高等教育費にかかる負担を軽減する支援策について解説します。

高等教育費の負担をどのように軽減するか

高等教育費の軽減策については、「奨学金制度の拡充」と「授業料後払い制度(仮称)の創設」が検討されています。

教育費の負担が、子どもの出産に踏み切れない理由の1つになっていることから、高等教育にかかる金銭的な負担を減らすために盛り込まれました。

それぞれの内容を確認してみましょう。

奨学金制度の拡充

奨学金制度の拡充で検討されている案は、次の2つです。

  • 奨学金の減額返還制度の利用条件を拡大
  • 給付型奨学金の対象条件を拡大

奨学金の減額返還制度とは、経済的理由により奨学金の返済が困難な場合に、一定期間月々の返還額を少なくする制度です。

新たな案では、減額返還制度を利用できる年収要件を「325万円」から「400万円」に引き上げる見通しです。

給付型奨学金を利用できる条件については、多子世帯や、世帯年収600万円以下で理工農系の学部に通う学生など、対象が拡大されます。

なお、現行の奨学金制度については、以下の記事も参考にしてください。

減額返還制度についての記事
結婚・出産で奨学金返済が免除されるかもしれない。現行制度では「死亡時」「身体障害時」のみ

給付型奨学金についての記事
JASSO(日本学生支援機構)の奨学金とは?成績の基準や打ち切りの条件などを解説

授業料後払い制度(仮称)の創設

授業料の後払い制度(仮称)も新設される予定です。

所得に連動して返済するモデルを予定しており、年収が300万円程度に達したら奨学金の返済が始まるといった運用が検討されています。

また、子育て中になるべく経済的負担が発生しないように、子どもが2人以上いる場合は年収400万円程度までは返済が始まらないといった運用も検討されています。

まずは大学院の学生を対象に、2024年度からの導入を目指す予定です。

気になる財源は

「異次元の少子化対策」のたたき台で発表された支援策を実施するには、財源の確保が必要です。

政府は、年金や医療をはじめとする社会保険料を引き上げる方向で検討を始めました。

社会保険料をどこまで引き上げられるかがポイントになるといえるでしょう。

とはいえ、社会保険料が上がると手取りが減少して、家計の負担につながるリスクもあります。

子育て支援策の実施によって、社会保険料の負担がどこまで増えるのかも注目です。

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