※本サイトは一部アフィリエイトプログラムを利用しています

育児休業給付金はいくらもらえる?いつまでに申請すればいい?

執筆者:マネーFix 編集部

【監修】株式会社RKコンサルティング河合 克浩

一般企業、外資系金融機関を経て、現在はファイナンシャルプランナー(FP)として年間150件超のお金の相談に対応。難しく感じる経済やお金の話をわかりやすく説明することに定評がある。夢を実現するため相談者に寄り添い、人生が豊かになるサポートを心がけている。

育児休業(育休)を取得した場合、一定の条件を満たせば「育児休業給付金」を受け取ることができます。「自分はもらえるの?」「いくらもらえるの?」など疑問に思っている人もいるでしょう。

育児休業給付金はすべての人が受け取れるわけではなく、人によって金額も異なります

この記事では育児休業給付金について詳しく解説します。

この記事でわかること
  • 育児休業給付金の概要
  • 給付金はいくらもらえるのか

育児休業給付金とは

育児休業給付金は、育休(育児休業)中の人への経済的支援を目的とした国の制度です。雇用保険に加入している人なら、女性でも男性でも受け取れる可能性があります。

また、初めて育休を取った人だけでなく、第2子以降でも条件を満たしていれば対象になります。

2022年10月から「産後パパ育休(出生時育児休業)」という制度が新設され、それを取得した人のための「出生時育児休業給付金」の支給もスタートしました。

出産手当金・出産育児一時金との違い

お金がもらえる子育て支援制度は育児休業給付金だけではありません。代表的なのが「出産手当金」と「出産育児一時金」です。3つの制度には、以下のような違いがあります。

目的 対象時期(原則)
出産手当金 産休中の経済的支援 産前6週~産後8週
出産育児一時金 出産費用の負担軽減 出産時
育児休業給付金 育休中の経済的支援 子どもが1歳(最長2歳)になるまで

育児休業給付金は雇用保険から支給されますが、出産手当金や出産育児一時金は健康保険から支給される点も異なります。

条件を満たしていれば、3つの制度すべて受け取ることができます

育児休業給付金の支給額

育児休業給付金の支給額は、以下の式で計算します。

休業開始時の賃金日額×支給日数×67%(育児休業開始から6ヵ月経過後は50%)

例えば、育休開始前6ヵ月間の平均賃金が月20万円の場合、支給額は月13万4000円程度(6ヵ月経過後は10万円程度)になる計算です。

ただし、育休中は所得税や社会保険料がかからない分、実質的には最初の6ヵ月間は「いままでの手取りの8割程度」とイメージしておくとよいでしょう。

なお、育休中に就業したり給与を受け取ったりすると、育児休業給付金が減額されることがあるので注意してください。

支給額の上限と下限

育児休業給付金の支給額には、上限と下限があります。2023年8月時点では、休業開始時賃金日額の上限額が1万5190円、下限額が2,657円です。上限を超える場合は上限額が、下限より下回る場合は下限額が支給されます。

これをもとに、30日間の支給額を計算すると、以下の通りです。

  上限 下限
育休開始~6ヵ月(給付率67%) 30万5319円 5万3405円
6ヵ月経過後(給付率50%) 22万7850円 3万9855円

育児休業給付金がもらえる条件

育児休業給付金がもらえる人の主な条件は、以下の通りです。

  • 雇用保険に加入している
  • 過去2年で11日以上働いた月が12ヵ月以上
  • 子どもが1歳6ヵ月になるまでに契約が終わらないこと

雇用保険に加入している

育児休業給付金は雇用保険制度の中で実施されています。そのため、雇用保険に加入していない人(雇用保険料を支払っていない人)は対象外です。

通常、31日以上雇用される見込みで、週20時間以上働いている人は雇用保険に加入しているはずです。正社員はもちろん、派遣社員やパートであっても条件を満たしていれば対象になります。

一方、自営業者やフリーランスなど雇用されずに働いている人は、通常、雇用保険に加入していないため、育児休業給付金は受け取れません。

過去2年で11日以上働いた月が12ヵ月以上

休業開始前の2年間で、月11日以上もしくは月80時間以上働いた月が12ヵ月以上必要です。

入社してすぐに妊娠・出産となった場合、上記の条件を満たせず、育休も育児休業給付金も取得できない可能性があります。ただし、第1子の育休中や本人の病気など事情があり、連続して30日以上給与なしの時期があった場合は、この条件を満たしていなくても認められることもあります。

また、育休開始日から数えて1ヵ月ごとに、労働時間が「月10日以下もしくは月80時間以下」であることも条件です。育休期間中に働くと育児休業給付金の支給対象から外れることもあるので注意しましょう。

子どもが1歳6ヵ月になるまでに契約が終わらないこと

派遣社員など期間を定めて雇用されている人(有期雇用労働者)の場合、さらに「子が1歳6ヵ月(育休延長する場合は2歳)に達する日までのあいだに契約が終わることが明らかでない」ことも条件として加わります。

契約期間の範囲内であるか、いったん満了したあとも更新してもらえるか、確認が必要です。ちなみに、妊娠・出産や育休を理由とした解雇は法律で禁止されています。

育児休業給付金の申請方法

育児休業給付金の申請は、通常は勤務先に申し出れば手続きしてもらえます。自分で行うことも可能です。

申請手順は、以下の通りです。

  1. (従業員)育休と育児休業給付金を取得することを勤務先に連絡する
  2. (勤務先)必要書類をそろえてハローワークに提出する
必要書類(初回申請時)
  • 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書(未提出の場合)
  • 育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書 
  • 賃金台帳、労働者名簿、出勤簿又はタイムカードなど育児休業を開始・終了した日、賃金の額と支払状況を証明できるもの
  • 母子手帳など育児の事実、出産予定日及び出産日を確認することができるもの(写し可)

初回の育児休業給付金が手元に届くのは、出産後4~5ヵ月経った頃になることが多いです。その後は原則2ヵ月に1回のペースで指定した口座に振り込まれます。

育児休業給付金の給付対象期間

育児休業給付金の対象になるのは、原則として育休開始日~子どもが1歳になるまでです。女性が産休から続けて育休を取得した場合は、出産日から起算して58日目が「育休開始日」になります。

また、「子どもが1歳になるまで」とは、具体的には子どもが1歳になる誕生日の前々日(1歳になるまでに復職した場合は復帰日の前日)を指します。

ただし、以下のように例外も認められています。

  • 「パパ・ママ育休プラス制度」を利用した場合:1歳2ヵ月~1歳6ヵ月になるまで
  • 保育所に入れないなどの理由で育児休業を延長する場合:1歳6ヵ月または2歳まで

男性と女性ではいつから育児休業を取れるかが異なります。育児休業給付金の支給対象期間も変わってきます。

女性の場合:産後58日から育児休業開始

女性の場合、産休から続けて育休を取る人が多いです。産後57日目までは「産後休業(産休)」の期間にあたるので、育児休業は出産日から起算して58日目からとなるのが一般的です。

「自分の場合はいつからいつまで?」「具体的な日を知りたい」というときは、勤務先に確認してください。あるいは、出産予定日を入力するだけで自動的に産休や育休の日にちが算出できるWebサイトを利用するのも手です。

男性の場合:出産予定日から育児休業開始

育休は男性にも認められています。女性と違って産休はなく、育休開始は出産予定日から可能です。

出産が予定日より早いか遅いかに関わらず、出産日から育児休業給付金の対象になります。

なお、育休とは別に「産後パパ育休」を取得して「出生時育児休業給付金」を受け取ることも可能です。また、両親ともに育休を取得する場合は「パパ・ママ育休プラス」という制度の対象になり、子どもが1歳2ヵ月まで育休を取得できます。

育児休業給付金がもらえないケースもある?

育児休業給付金をもらえない人もいます。該当するのは下記のケースです。

  • 自営業者など雇用されていない人
  • 育休開始時にすでに退職が決まっている人
  • 育休中に給料が8割以上支払われている人
  • 入社したての人
  • 育休を取らない人

育児休業中に考えておきたいお金の管理

育休中には育児休業給付金が支給されますが、仕事復帰をすると支給されなくなります。育児のために時短勤務をする場合、収入が減少することもあるため、お金のことについては育休中にしっかりと考えておきたいものです。

子どもが産まれたら、出費が増えるのが一般的です。総務省の統計によれば、2人世帯と3人世帯では、以下の通り平均生活費に差が出ます。

生活費項目 2人世帯 3人世帯
食費 6万7573円 8万554円
光熱・水道費 2万2037円 2万5657円
家具・家事用品 1万840円 1万2837円
服飾費 6,820円 9,343円
保健医療費 1万4895円 1万5099円
交通・通信費 3万4348円 4万4465円
教育費 413円 1万750円
教養・娯楽費 2万3118円 2万6428円
その他の支出 5万5981円 5万9167円
生活費合計(住居費除く) 23万6024円 28万4299円
出典:総務省「家計調査(家計収支編)」

3人世帯は、2人世帯に比べて平均で月5万円ほど生活費が高くなっています。特に両者の差がつくのが「教育費」です。私立学校や大学に進学する場合は多額の費用がかかるので注意してください。

のちのち困らないように資金計画を立てておきたいところです。そのためには、次のような方法があります。

  • 子どもの進路について話し合う
  • 家計の管理方法を見直す
  • 資産形成を検討する
  • FPに相談する

子どもの進路について話し合う

子どもの進学先を国公立にするか、私立にするのかによって必要な教育資金は変わってきます。育休中に教育方針について夫婦で話し合い、進路をどうするのかについて認識を共有しておくとよいでしょう。

幼稚園から大学までの学費の平均を、私立、国公立に分けて整理しました。

私立 国公立
幼稚園 約92万7000円 約49万8000円
小学校 約1000万2000円 約211万8000円
中学校 約431万1000円 約161万7000円
高等学校 約316万5000円 約153万9000円
大学 文系:約363万8000円
理系:約497万6000円
約242万6000円
出典:文部科学省「令和3年度子供の学習費調査」「私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」「国立大学の授業料その他の費用に関する省令

家計の管理方法を見直す

いままで家計管理を「どんぶり勘定」で行っていた人には、子どもの誕生を機に、正確に現状を把握して管理していくようにするのがおすすめです。

定番の方法は、家計簿をつけることです。夫婦2人で現在預貯金がいくらあって、毎月何にいくら使っていて、このペースだとどれくらい貯蓄できそうなのか、冷静に数字で確認してみましょう。

また、記録を付けたら定期的に振り返って、改善できるポイントがないか考えることも重要です。例えば、住居費、スマホ代、保険料など「固定費」の見直しは、節約効果が高いです。

さらに詳しい家計の見直し方法や節約アイデアについては、家計の見直し方法や節約アイデアを参考にしてください。

資産形成を検討する

大学進学などお金のかかるタイミングに向けて、コツコツと貯蓄を進めておきましょう。例えば、以下のような方法があります。

  • 定期預金を積み立てる
  • 株式や投資信託への投資(NISAなど)
  • 学資保険

子どもの将来のためのものなので、長期的な視点でじっくり少しずつ取り組んでいくのがおすすめです。

例えば、500万円必要なら、5年で用意するより10年、20年と時間をかける方が用意しやすいです。できるだけ早いうちから貯め始めるようにしましょう。

学資保険も1つの選択肢ですが、あまりおすすめはできません。お金が増えにくく、インフレに弱いうえ、途中で解約すると損になるからです。詳しくは、こちらの記事学資保険をおすすめしない理由で解説しています。

FPに相談する

自分で貯蓄計画を立てるのが難しい、具体的にどうすればよいのかわからない人は、お金の専門家であるファイナンシャルプランナー(FP)に相談するのも1つの方法です。

FPにはそれぞれ得意分野があり、たとえば以下のような質問に答えてくれます。

  • 家計を改善するためにまず何をするべきか
  • どんな工夫をすれば支出を抑えられるのか
  • 子どもの将来の教育費をどうやって用意するべきか
  • 我が家にはどんな資産形成が向いているのか
  • どんな保険にどれくらい入っていれば安心なのか

FP相談には有料のものと無料のものがあります。無料でのFP相談なら、こちらから申し込むことが可能です。

ファイナンシャルプランナーは、お金の専門家です。お客様のライフプランに沿った総合的なアドバイスを提供します。
マネードクターの無料相談では、お客様の現在の家計状況を分析し、キャッシュフロー表を作成、将来のライフプランを提案します。
家計の見直し、保険の見直し、教育資金、住宅ローンなど、あらゆるお金の不安を解消します。
お金の専門家に相談して、あなただけの「お金の羅針盤」を見つけ、幸せな未来を築きましょう!

まとめ

育児休業給付金は、育休中の人を経済的に支援するための制度です。原則として子どもが1歳になるまで、おおむね休業前の手取りの8割程度を受け取れます。

育休を取得した人なら性別に関係なく受け取れますが、雇用保険に加入しているかどうか、過去2年間の就業状況など、細かい要件もあります。妊娠がわかったら、早めに勤務先に相談するのがおすすめです。

キーワードで記事を検索