物価は上がってもなかなか収入は増えない、貯蓄もできないという状況に頭を抱えている人もいるのではないでしょうか。将来に備えて貯蓄をするためには、家計を見直すのが効果的です。
この記事では、家計の見直しポイントと節約のコツについて紹介します。
【監修】株式会社RKコンサルティング
河合 克浩
一般企業、外資系金融機関を経て、現在はファイナンシャルプランナー(FP)として年間150件超のマネー相談に対応。難しく感じる経済やお金の話をわかりやすく説明することに定評がある。夢を実現するため相談者に寄り添い、人生が豊かになるサポートを心がけている。
物価は上がってもなかなか収入は増えない、貯蓄もできないという状況に頭を抱えている人もいるのではないでしょうか。将来に備えて貯蓄をするためには、家計を見直すのが効果的です。
この記事では、家計の見直しポイントと節約のコツについて紹介します。
総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2022年平均結果の概要」によると、2人以上の世帯の消費支出は前年比で実質1.2%増加でしたが、収入は実質1.0%の減少となっています。国際情勢や円安による物価上昇などの影響で支出は増えているのに、収入は上がらないのが現状です。
収入が上がらない場合は、家計の見直しを行うことで出費を抑えて、お金が貯まりやすい家計に改善できます。見直しは定期的に行うことで、効果がさらに上がるでしょう。
家計の見直しを行う際には、収支を把握することから始めてください。家計簿をつけることで、毎月の収支を把握できるようになります。家計簿は手書きのほか、エクセルやスマホアプリを使う方法もあります。
家計を見直す際には、収入を増やしたり、支出を減らしたりする工夫が大切ですが、支出を減らす方がすぐに始められ、成果も出やすいです。
支出は、大きく固定費と変動費に分けられます。
固定費とは、毎月の金額がある程度決まっている支出のことです。例えば、以下の費用が挙げられます。
支出を減らすためには、固定費の節約から始めるのがおすすめです。固定費は一度見直すと節約効果が継続するメリットがあります。
例えば、固定費を月3,000円減らすと、年間で3万6000円、5年間で18万円節約できます。
変動費とは、毎月の金額にばらつきがある支出のことです。具体的な変動費として、以下の費用が挙げられます。
変動費を減らすためには、日々の継続が大切です。
例えば、食費を減らすために値段の安いお店を利用したり、特売のタイミングで買いに行ったりするなど、日々意識しないとなかなか節約の効果は表れません。
外食や飲み会が増える月などもあり、月によってばらつきが出て上手く継続できないケースもあります。
家計を見直す手順として、まずは固定費を見直したあと、変動費を見直すことで節約効果が大きくなります。ここでは、固定費を節約するアイデアを紹介します。
住居費は固定費の中でも占めている割合が大きいです。見直すにはハードルが高いものの、効果が出やすい項目といえるでしょう。
賃貸物件に住んでいる場合は、安い物件へ引越しすれば家賃を抑えることができます。すぐに引越しができないなら、家賃交渉をすることで家賃が下がる可能性があります。
持ち家で住宅ローンを支払っている場合、金利の低いローンへ借り換えを行うことで、以下の効果が期待できます。
ただし、住宅ローンの借り換えを行う場合、手数料などの諸費用がかかります。また、住宅ローン控除を受けていた場合、借り換えによって控除のメリットが薄れる場合もあります。
水道・光熱費は季節によって金額にばらつきがありますが、使い方を工夫することで支出を抑えられます。水道・光熱費を節約するアイデアは、以下の通りです。
日々の行動を意識することで、長い目で見れば大きな節約につながります。省エネ家電への買い替えや電気契約の見直しも効果が高いです。
通信費の見直しは、一度行えば年単位で節約の効果が継続するので、おすすめの節約方法です。
通信費における節約アイデアは、以下の通りです。
通信量や通話時間によって最適なプランが異なるので、毎月自分がどれくらいの通信量・通話時間なのか把握することが大切です。生活スタイルによって利用状況も変わるので、定期的にプランを見直しましょう。
生命保険や損害保険の見直しを行うことで、保険料の負担を軽減できる可能性があります。ライフスタイルが変わると必要な保険が変わるので、そのときどきに合わせた保険を選ぶことをおすすめします。
例えば、子どもが小さく、働ける人が限られているうちは、万が一に備えて死亡保険や就業不能保険が必要になります。子どもが独立して夫婦2人になったときには、高額な死亡保険や就業不能保険は不要になるでしょう。
生命保険と損害保険では見直すポイントが異なるので、それぞれについて解説します。
生命保険を見直す際のポイントは、以下の通りです。
複数の保険で保障内容が重複していないか、不要な特約を付けていないか見直すことで無駄を省けます。
また、加入してから年数が経っていると、現在必要な保障をカバーしていない場合もあります。新しい保険の中には安価で保障範囲が広いものもあるので、保険を変更することで保険料を減らしつつ、自分に必要な保障を準備できる可能性があるでしょう。
損害保険を見直す際のポイントは、以下の通りです。
ライフスタイルが変わると補償すべき範囲が変わることがあるので、家族構成や状況の変化に合わせて保険を変更することをおすすめします。
また、免責金額(自己負担額)を高く設定すると保険料を減らせることもあるので、補償内容と共に見直すとよいでしょう。
車を所有していると、維持するためにさまざまな費用が発生します。
車の種類によって金額は異なりますが、自家用普通車(4人乗り・2000cc)の維持にかかる年間費用は、以下の通りです。
自動車関連費における節約アイデアを項目ごとに紹介します。
自動車税は排気量に応じて変動するため、排気量の少ない車を選ぶことで節約が可能です。軽自動車は普通自動車に比べて税金も安くなっています。
また、環境に優しいエコカーを購入すると燃費性能の度合いによって減税されることもあります。
自動車の任意保険は使用目的によって保険料が決定されます。日常やレジャーでの利用の方が通勤・通学用より保険料が安くなるので、ライフスタイルが変わっている場合は、変更することで保険料を下げることが可能です。
契約者以外に車を運転する人が多いほど保険料は高くなるので、運転する人数が減った場合は契約変更するのもポイントです。また、年間走行距離が少ないほど保険料は安くなるので、車の利用頻度が減っている場合は確認しましょう。
自宅の敷地内に駐車場がない場合は、月極の駐車場を借りなければなりません。場所によって駐車場代も変わるので、使用頻度が低ければ、家から多少離れても安い駐車場を選ぶとメリットがあります。
また、ほとんど車に乗らないのであれば、必要なときのみカーシェアリングを利用することで駐車場代を抑えられます。
以下のことを心掛けることで燃費が良くなり、ガソリン代を節約できます。
サブスクリプションは、毎月定額の料金を支払って利用するサービスです。
まずは、加入しているサブスクはどれなのか、銀行口座の明細やクレジットカードの明細書で確認し、使用していないものや安いプランへ変更した方がよいものがないかをチェックしてください。不要なサブスクがあれば、すぐに解約の手続きをすることで無駄を省けます。
習い事についても、何となく続けてしまっているものはないか確認しましょう。幼い子どもがいる家庭なら、将来の教育費を確保するために必要最低限の習い事に絞るのもポイントです。
変動費は月によって金額も変わるので、毎月一定額を節約するのは難しいかもしれません。しかし、1週間の食費の予算をあらかじめ決めておいたり、まとめ買いをしたりするなど日々意識することで、着実に節約できます。
変動費の節約アイデアは、以下の通りです。
変動費 | アイデア |
---|---|
食費 | ・できるだけ自炊する ・コンビニの利用を控える ・お弁当や飲み物を持参する ・まとめ買いをする |
交際費 | ・飲み会の頻度を減らす ・親しい友人とは家で会う |
医療費 | ・ジェネリックを利用する ・医療費控除の申請をする ・健康を維持するために運動したり食生活に気をつけたりする |
服飾・美容費 | ・フリマなどを利用する ・ネイルなどをセルフで済ませる |
レジャー・旅費 | ・オフシーズンを狙う ・早割が適用される時期に予約する ・セット割などの割引プランを利用する |
自分の中で予算を決めて、使い過ぎないよう意識してください。無理のない範囲で節約することをおすすめします。
家計の見直しは一度やったらおしまいではなく、継続的にコツコツと取り組むことで成果が出てきます。
例えば、固定費の見直しは早ければ早いほど効果が大きくなり、変動費も早くから意識することで、将来的に大きな違いが生まれます。
また、ライフスタイルが変わることで最適なプランや支出額が変わってくるので、適宜見直してください。継続して取り組むのは難しいかもしれませんが、以下のコツを押さえて上手く取り組みましょう。
節約によってできたお金で資産運用を検討してみることで、家計がより改善される可能性があります。
具体的な資産運用方法は、以下の通りです。
これらの資産運用により、将来お金が必要になったときの準備ができます。株や投資信託で資産運用する場合は、NISAやiDeCoといった非課税制度を利用するとよいでしょう。
家族構成やライフスタイルによって、家計の見直しにおいて重視すべき点は異なります。下表に一例をまとめます。
ライフスタイル | 重視したいポイント |
---|---|
単身 | ・保険が適切かどうか見極める ・先取り貯蓄の習慣をつける |
共働き夫婦 | ・収支の共有 ・住宅購入に関する計画の共有 ・無駄な保険がないか確認する ・老後資金の貯蓄 |
子どもがいる家庭 | ・子どもに関する計画の共有 ・教育費や進学費用の貯蓄 ・住宅購入に関する計画の共有 ・老後資金の貯蓄 |
優先順位を決めて、節約にメリハリをつけましょう。
家計の見直しをしようと思っても、自分だけではどこから手を付けたらよいのかわからないという人もいるのではないでしょうか。効果的な見直しを行うには、保険や資産運用など、専門的なお金の知識も必要になります。
家計の見直しについて悩みがあるのなら、お金のプロであるファイナンシャルプランナー(FP)に相談するのがおすすめです。FPには、例えば以下の点について相談できます。
お金のプロに相談する具体的な体験談を知りたい方は、『マネードクターにお金の悩みを相談してみた!実際どうなの?評判通り?』を参考にしてみてください。
FPに相談することで失敗のリスクを減らしながら家計を改善できる可能性があるので、ぜひ気軽に相談してみてください。
無料でのFP相談なら、こちらからも申し込むことが可能です。
家計を見直す際は、まず収支の把握から始めます。固定費と変動費に分けて、支出を減らす工夫をしましょう。家計の見直しは一度やれば終わりではなく、継続して定期的に見直すことが大切です。
すべてを一度にやるのは大変ですが、日々意識することで着実に家計を改善することが可能です。今回紹介した家計の見直しポイントと節約アイデアを参考に、できそうなものから実践してみてください。
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