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出産育児一時金をわかりやすく解説!いつからいつまでに申請すればいい?

執筆者:マネーFix 編集部

【監修】株式会社RKコンサルティング河合 克浩

一般企業、外資系金融機関を経て、現在はファイナンシャルプランナー(FP)として年間150件超のお金の相談に対応。難しく感じる経済やお金の話をわかりやすく説明することに定評がある。夢を実現するため相談者に寄り添い、人生が豊かになるサポートを心がけている。

出産には、入院費用や診察代など、さまざまな費用がかかります。そこで役に立つのが「出産育児一時金」です。

「子どもが産まれたら一時金をもらえると聞いたのだけど、いつ、どこに申請すればいいの?」「ほかにも出産に関して受け取れる補助制度はある?」といった疑問はありませんか?

出産育児一時金は、加入している健康保険や、希望する受け取り方によって申請の方法が異なります。

この記事では、出産育児一時金についてわかりやすく解説します。

この記事でわかること
  • 出産育児一金とは何か
  • 出産育児一金の申請方法
  • ほかに出産時に利用できる制度

出産育児一時金とは

出産育児一金とは、国民健康保険や健康保険組合の被保険者が子どもを産んだときに支給されるものです。

原則として妊娠および出産については保険の適用外となり、費用は全額自己負担です。そのため、妊娠経過の定期検査や出産費用まで含めると数十万円の負担になり、家計を圧迫する可能性があります。

そこで、経済的な負担を気にせずに安心して出産できるよう、出産育児一金の制度が設けられています。

出産育児一時金はいくらもらえる?

出産育児一時金の支給額は原則として50万円です。以前は42万円でしたが、出産費用が増加している背景を受け2023年4月より50万円に引き上げられました。

実際に出産にかかる費用の内訳は、以下の通りです。

正常分娩時に必要な費用内訳
項目 内訳
入院料 11万5776円
分娩料 27万6927円
新生児管理保育料 5万58円
検査・薬剤料 1万4419円
処置・手当料 1万6135円
その他費用(お祝い膳など) 3万2491円
合計(その他費用を除く) 47万3315円
出典:厚生労働省「出産育児一時金について(令和3年度)

2021年度の出産にかかる費用は合計で約47万円ですが、このほかに個室を選ぶなど保険適用外のサービスを選ぶと、さらに費用が大きくなります。

実際にかかった費用が50万円未満だった場合でも、50万円の支給が受けられます。一方、50万円を超えた場合は、50万円が支給上限となります。

以下の場合は支給額が異なるので、注意しておきましょう。

  • 産科医療補償制度に加入していない医療機関での出産の場合:48万8000円
  • 妊娠週数が22週に達しておらず、産科医療補償制度の対象とならない出産の場合:48万8000円
出典:厚生労働省「出産育児一時金の支給額・支払方法について

出産育児一時金の対象者

出産育児一時金の対象者は、国民健康保険および健康保険組合の被保険者と、その配偶者である非扶養者です。

また、出産育児一金を受け取るには、以下の要件を満たさなければなりません。

  • 妊娠85日(妊娠4ヵ月)以上の出産であること

そのほか、帝王切開や吸引分娩など異常分娩の人も対象です。外国籍の人や海外出産の場合も、日本の健康保険に加入しており、妊娠85日以上の出産であれば対象になります。

ただし、生活保護者は健康保険に加入しているといった要件を満たさないため、出産育児一時金の対象外です。

出産育児一時金の支給時期

出産育児一時金の支給時期は申請方法によって異なります。

直接支払制度および受取代理制度を利用した場合は、加入している健康保険から病院に直接費用が支払われます。直接申請する場合は、いったん自分で費用を立て替え、後日申請して受け取る形になります。

直接支払制度や受取代理制度を利用すれば、費用を立て替える必要がないため、経済的な負担も軽減されます。ただし、病院によっては直接支払制度や受取代理制度を取り入れていないところもあります。

出産するにあたり、病院を選ぶ際には、その病院が出産育児一時金の申請方法としてどの方法を取り入れているかを事前に確認しておきましょう。

出産育児一時金と出産手当金の違い

出産育児一時金以外に出産時にもらえるお金としては、出産手当金があります。出産育児一時金と出産手当金は混同されやすいですが、異なる制度です。

出産手当金は健康保険組合の制度です。出産のために会社を休んだ際の収入を一部保障するのが目的のため、会社に勤めている人でなければ受け取れません。

違いを下表にまとめるので、どのような相違点があるのか理解しておきましょう。

  出産育児一時金 出産手当金
目的 出産にかかる経済的な負担を軽減する 出産のために会社を休んだ際の収入減少を負担する
対象者 健康保険に加入している被保険者および被扶養者 健康保険組合に加入している被保険者
金額 50万円 (1日あたり)標準報酬月額÷30日×2/3
申請先 健康保険の窓口もしくは病院 健康保険組合

こんな場合は出産育児一時金がもらえない?

出産育児一時金は、原則として健康保険組合もしくは国民健康保険の被保険者および被扶養者であれば受け取れます。ただし、以下のケースでは受け取れない可能性もあるので注意が必要です。

  • 外国籍の場合
  • 海外で出産した場合
  • 生活保護を受けている場合

外国籍の場合

外国籍の人であっても、原則として出産育児一時金は受け取れます。ただし、以下の条件を満たしていることが要件です。

  • 勤務先の健康保険組合に加入しており、妊娠4ヵ月(85日)以上の出産である
  • 国民健康保険に加入している場合、加入者の在留資格が1年以上ある

加入している健康保険が、勤務先の健康保険組合か国民健康保険かで違いがあります。特に在留資格については特例としている自治体もあるので、事前に確認しておきましょう。

海外で出産した場合

海外で出産した場合でも、出産育児一時金を受け取れます。ただし、申請の際には以下の書類の提出が必要になりますので、抜け漏れのないよう準備しておきましょう。

  • 出産した海外の医療機関の医師による証明書
  • 出産した日に海外に在留していたことが確認できる書類(パスポートや飛行機のチケットの写し)
  • 海外で出産したことについて、健康保険組合や国民健康保険団体連合会が現地の医療機関に問い合わせを行うことの同意書

そのほか、死産だった際や、証明書を提出することが困難な場合は、その理由書も必要です。

生活保護を受けている場合

生活保護を受けている場合は、勤務先の健康保険組合への加入は可能ですが、国民健康保険および後期高齢者医療制度には加入できません。そのため、生活保護受給世帯で会社に勤めていない場合は「健康保険に加入していない」とみなされ、出産育児一時金の支給対象にはなりません。

ただし、生活保護を受けている場合は出産扶助が利用可能です。手続きの方法など、詳しくは市区町村の窓口や福祉事務所に問い合わせてみましょう。

出産育児一時金の申請方法

出産育児一時金の申請方法は、以下の3種類です。

  • 直接支払制度
  • 受取代理制度
  • 直接申請
  • 事後申請

どの申請方法を選ぶかで手続きの内容が異なります。申請方法によっては、いったん費用を立て替える必要があります。それぞれの申請方法の特徴を理解したうえで、自分に合った申請方法を選ぶようにしましょう。

直接支払制度

直接支払制度とは、出産する本人が病院と契約を結んだうえで、病院が健康保険に対して出産育児一時金の申請を行う仕組みです。

そのため、出産に関する費用を立て替える必要がなく、申請や支給のやり取りは病院と健康保険側で行うことになります。ただし支給額は50万円なので、出産費用が50万円を超えた場合には、病院に対して差額を支払います。

申請においては、まず病院と話し合い、契約を結びます。そして、出産費用については、健康保険側が医療機関に支払います。50万円を超えた部分については、差額を病院に支払います。一方、費用が50万円に満たなかった場合は、健康保険の窓口に申請し、差額を受け取ります。

主な手続きが病院とのやり取りになるため、手続きをできるだけ簡単にしたい人に向いています。

直接支払い制度を利用するには、以下の手順で申請する必要があります。

  1. 出産のためにかかっている医療機関に対し、直接支払制度を利用する旨を申し出る
  2. 医療機関が健康保険組合もしくは国民健康保険団体連合会に対し、出産費用を請求する
費用が50万円を超えた場合

医療機関から被保険者(もしくは被扶養者)に請求される

費用が50万円を超えなかった場合

被保険者(もしくは被扶養者)が、差額を健康保険組合もしくは健康保険(市区町村役場)に請求する

受取代理制度

受取代理制度とは、小規模な病院の事務的負担を軽減する目的で、病院側が被保険者に代わって出産育児一時金を受け取る制度です。そのため直接支払制度と同様、費用を立て替える必要がありません。

ただし、出産前に健康保険の窓口に対して、出産予定日の2ヵ月前以降に「受取代理申請書」を提出しなければなりません。申請書には医師の証明が必要です。その後、健康保険の窓口は病院に対し、受取代理申請受付通知書を送付し、出産後に病院側が健康保険の窓口に対して出産にかかった費用を請求します。

最終的にかかった費用と出産育児一時金の差額の精算方法については、直接支払制度と同じです。

病院ではなく健康保険の窓口で申請を行いたい人に向いています。ただし、受取代理制度を導入している病院は少ないため、利用を考えているなら早めに病院に確認しておきましょう。

受取代理制度を利用する手順は以下の通りです。

  1. 医療機関と被保険者(もしくは被扶養者)とで「受取代理申請書」を作成する
  2. 受取代理申請書を健康保険組合もしくは国民健康保険団体連合会に提出する
  3. 受取代理申請を受理した旨の通知が医療機関に届く
  4. 出産後、医療機関が健康保険組合もしくは国民健康保険団体連合会に費用を直接請求する
費用が50万円を超えた場合

医療機関から被保険者(もしくは被扶養者)に請求される

費用が50万円を超えなかった場合

差額が被保険者(もしくは被扶養者)に支払われる(手続きは不要)

直接申請

直接支払制度や受取代理制度を導入していない病院で出産する場合や、制度が用意されていても利用しない場合は、直接申請します。

直接申請では、出産にかかった費用をいったん自分で全額支払い、その領収書や明細書を添付して健康保険の窓口に健康保険出産育児一時金支給申請書を提出します。そうすることで、かかった費用が後日被保険者に支払われます。

自分で費用を立て替えられる余裕がある人や、精算処理が面倒だと感じる人に向いています。また、費用が高額になるため、クレジットカードで支払うことでポイントを貯めたい人にも向いているといえるでしょう。

事後申請する場合

出産にかかった費用を医療機関に支払い、その金額をあとから受け取る方法です。

事後申請の流れは、以下の通りです。

  1. 出産する医療機関にて、「直接支払い制度を利用しない」旨について署名する
  2. 出産後、出産にかかった費用を窓口で支払う
  3. 「出産育児一時金支給申請書」を加入している健康保険組合もしくは国民健康保険の窓口に提出する
  4. 審査に通ると、出産育児一時金が支払われる

出産育児一時金について抑えておきたいポイント

出産育児一時金の申請および受け取りにあたっては、以下のポイントを押さえておきましょう。

  • 出産育児一時金の申請は出産後2年まで
  • 出産育児一時金は課税対象ではない

出産育児一時金の申請は出産後2年まで

出産育児一時金の申請には期限があります。具体的には、「出産した日の翌日を起算日とした2年後」です。例えば、2月1日に出産した場合、起算日は2月2日です。そして、その2年後の2月1日が申請期限です。

出産後は育児に追われることが多く、申請を忘れるケースも見られます。直接支払制度や受取代理制度を利用していれば健康保険の窓口から連絡がくる可能性がありますが、直接申請の場合は期限までに自分で申請しなければ出産育児一時金を受け取れないので、早めに申請を行うようにしましょう。

出産育児一時金は課税対象ではない

出産育児一時金は、課税対象にはなりません。所得ではないため確定申告は不要で、控除対象配偶者を判定するための所得合計額に含める必要もありません。

ただし、直接申請を行った場合で、その年に確定申告で医療費控除を行う際には、出産にかかった費用から受け取った出産育児一時金を差し引くことを忘れないようにしてください。

出産に際して利用できる制度

出産に関して利用できる制度は、出産育児一時金だけではありません。

出産に際して受け取れるその他のお金一覧
  会社員 専業主婦 自営業 受け取り条件
出産手当金 × × 健康保険組合の被保険者で、出産日以前42日から出産の翌日以降52日目までに休暇を取得していること
育児休業給付金 × × 1歳未満の子どもを養育するために育児休暇を取得した被保険者であること
児童手当 一定年齢までの子どもを養育する世帯
医療費控除 生計を1つにする家族や親族の1年間の医療費が10万円を超えており、確定申告にて申告すること
高額療養費 ひと月(その月の1日から末日まで)にかかった医療費が、所得金額に応じた上限を超えていること

児童手当や医療費控除、高額療養費制度は会社に勤めていなくても利用できます。ただし、出産手当金や育児休業給付金は健康保険組合および雇用保険からの支給になるため、健康保険組合および雇用保険の被保険者でなければ利用できません。

まとめ

出産育児一時金は、出産に関する費用負担を抑える目的で用意されている制度です。国民健康保険および健康保険組合の被保険者およびその被扶養者で、要件を満たせば利用できます。申請方法が3種類あるので、それぞれの特徴を理解して自分に合った申請を行うことが大切です。

出産育児一時金以外にも、出産に関して受け取れるお金や経済的な負担を抑える制度が用意されています。記事を参考に、要件を満たすなら積極的に利用しましょう。

出産のときにもらえるお金については、以下の記事も参考にしてください。

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