出産した際にもらえるのが、「出産育児一時金」です。「出産育児一時金は出産した人が誰でももらえる?」「一時金をもらえないケースはある?」といった疑問を持つ人もいるでしょう。
出産育児一時金は、誰でも子ども一人につき50万円が支給されます。
この記事では、出産育児金について解説します。
- 出産育児一時金の概要ともらえないケース
- 育児や教育にかかる費用を貯めるためのポイント
【監修】株式会社RKコンサルティング
河合 克浩
一般企業、外資系金融機関を経て、現在はファイナンシャルプランナー(FP)として年間150件超のマネー相談に対応。難しく感じる経済やお金の話をわかりやすく説明することに定評がある。夢を実現するため相談者に寄り添い、人生が豊かになるサポートを心がけている。
出産した際にもらえるのが、「出産育児一時金」です。「出産育児一時金は出産した人が誰でももらえる?」「一時金をもらえないケースはある?」といった疑問を持つ人もいるでしょう。
出産育児一時金は、誰でも子ども一人につき50万円が支給されます。
この記事では、出産育児金について解説します。
出産育児一時金は、厚生労働省が主体となって行っている制度で、出産のために必要となる費用の負担を軽減する目的で一定の金額が支給される制度です。
出産にかかる費用は病院によっても異なりますが、相場は以下の通りです。
なお、似た制度として「出産手当手金」もありますが、出産手当金は勤務先の健康保険組合から支給されるものです。出産育児一時金は国民健康保険の被保険者でも支給される点が異なります。
出産育児一時金の支給額は、以下の通りです。
1児につき50万円が支給されます。ただし、これは産科医療補償制度に加入している医療機関にて、妊娠22週以降に出産した場合の金額です。
産科医療補償制度に加入していない病院で出産した場合や、産科医療補償制度に加入している病院でも妊娠22週未満で出産した場合は、1児につき48万8000円が支給されます。
出産育児一時金が支給されるまでの期間は、原則として申請後2週間程度です。ただし、申請書に不備があったり、調査が入ったりする場合は、申請から受給までの期間が長引く可能性もあります。
また、「直接支払制度」を利用するかしないかによって、手続きの方法が異なる点にも注意してください。詳しくは、次章で解説します。
出産育児一時金を受給できる対象者は、以下の条件に該当する人です。
基本的には誰でももらえます。妊娠4ヵ月(85週)以降の出産であれば、早産や死産などで出産に至らなかったケースでも支給対象です。また、分娩方法によって受給できる金額が異なることはありません。
出産育児一時金は、原則として健康保険組合もしくは国民健康保険の被保険者および被扶養者であれば受け取れます。ただし、以下のケースでは受け取れない可能性もあるので注意が必要です。
外国籍の人であっても、原則として出産育児一時金は受け取れます。ただし、以下の条件を満たしていることが要件です。
加入している健康保険が、勤務先の健康保険組合か国民健康保険かで違いがあります。特に在留資格については特例としている自治体もあるので、事前に確認しておきましょう。
海外で出産した場合でも、出産育児一時金を受け取れます。ただし、申請の際には以下の書類の提出が必要になりますので、抜け漏れのないよう準備しておきましょう。
そのほか、死産だった際や、証明書を提出することが困難な場合は、その理由書も必要です。
生活保護を受けている場合は、勤務先の健康保険組合への加入は可能ですが、国民健康保険および後期高齢者医療制度には加入できません。そのため、生活保護受給世帯で会社に勤めていない場合は「健康保険に加入していない」とみなされ、出産育児一時金の支給対象にはなりません。
ただし、生活保護を受けている場合は出産扶助が利用可能です。手続きの方法など、詳しくは市区町村の窓口や福祉事務所に問い合わせてみましょう。
出産育児一時金の申請方法は、以下の通りです。
直接支払い制度とは、出産の際にかかった医療機関に対し、加入している健康保険組合から直接、出産育児一時金が支払われる制度です。この制度を利用することで、出産費用が50万円以下だった場合、被保険者が医療機関の窓口にて支払う費用がゼロになります。
直接支払い制度を利用するには、以下の手順で申請する必要があります。
医療機関から被保険者(もしくは被扶養者)に請求される
被保険者(もしくは被扶養者)が、差額を健康保険組合もしくは健康保険(市区町村役場)に請求する
受取代理制度は、小規模な分娩機関等を対象にした制度です。直接支払い制度と同様、医療機関が被保険者(もしくは被扶養者)に変わって出産育児一時金を受け取りますが、請求手続きは被保険者(もしくは被扶養者)が行うという違いがあります。
対象となる医療機関は、年間分娩件数が100件以下、もしくは収入に占める正常分娩にかかる収入の割合が50%以上で、厚生労働省に届け出た診療所や助産所などです。
受取代理制度を利用する手順は以下の通りです。
医療機関から被保険者(もしくは被扶養者)に請求される
差額が被保険者(もしくは被扶養者)に支払われる(手続きは不要)
出産にかかった費用を医療機関に支払い、その金額をあとから受け取る方法です。
事後申請の流れは、以下の通りです。
出産育児一時金は誰でももらえますが、費用が多くかかった場合や、後の育児のことを考えて、計画的に貯蓄しておくことが重要です。
内閣府の統計によると、子ども1人を育てるために必要な費用は900万円弱となっています。それに加えて教育費用も考えておかなければなりません。
育児費用や教育費用を貯めるためのポイントは、以下の通りです。
教育資金を準備するにあたっては、目標とする額を定める必要があります。そのためには、子どもの教育方針について話し 合い、進路をどうするかについて夫婦間ですり合わせを行うことが大切です。
私立と国公立では必要な費用が異なります。進学過程において、それぞれどのぐらい費用が異なるのか相場を確認して おきましょう。幼稚園から大学までの学費の平均金額について、下表にまとめます。
私立 | 国公立 | |
---|---|---|
幼稚園 | 約92万7000円 | 約49万8000円 |
小学校 | 約1000万2000円 | 約211万8000円 |
中学校 | 約431万1000円 | 約161万7000円 |
高等学校 | 約316万5000円 | 約153万9000円 |
大学 | 文系:約363万8000円 理系:約497万6000円 |
約242万6000円 |
子どもが1人増えることにより、家計の支出も増えます。毎月貯蓄できるだけの収入があればよいですが、難しい場合は家計の見直しを行い、場合によっては節約する必要があるでしょう。
上手に家計を見直すコツは、以下の通りです。
家計の見直しを行う際の具体的な方法や節約アイデアについては、『家計の見直し方法や節約アイデア』を参考にしてみてください。
余剰資金ができてきたら、それを利用した資産運用を検討しましょう。
資産運用とは、いまある資金を、金融商品を活用して増やしていくことです。具体的な方法として、株式投資や投資信託、不動産投資などが挙げられます。
子どもの教育資金を調達する方法として、学資保険も選択肢に挙げられますが、返戻率が悪いこと、インフレに弱いなどの理由からあまりおすすめできません。詳しくはこちらの記事『学資保険をおすすめしない理由』も参考にしてください。
家計の見直しや資産形成について悩んだ際には、ファイナンシャルプランナー(FP)に相談することも1つの解決法です。
お金の専門家であるFPに相談すれば、家計の見直しや教育資金の調達方法のほか、資産形成に関するアドバイスが受けられます。特に子育て中に利用できる公的な支援制度について最新の情報を提供してくれるので、出産を控えたタイミングで相談するのもよいでしょう。
FP相談には有料のものと無料のものがあります。無料でのFP相談なら、こちらから申し込むことが可能です。
出産育児一時金は、健康保険に加入している被保険者および被扶養者であれば誰でも受給できます。支給額は子ども1人につき50万円です。どのような支払い制度を利用するかによって申請方法が異なるので、事前に確認しておきましょう。
子どもが産まれた際には、早い段階から子育てや教育費用の準備について、夫婦でしっかりと話し合っておくことが大切です。お金の悩みがあれば、FPに相談してみるのもよいでしょう。
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お金に関する悩みを抱えている方、FP相談を考えている方、ぜひご覧ください。
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