出産手当金とは?支給条件・支給額や申請方法|産休・育休中に考えたいお金の話

執筆者:マネーFix 編集部

【監修】株式会社RKコンサルティング

河合 克浩

一般企業、外資系金融機関を経て、現在はファイナンシャルプランナー(FP)として年間150件超のマネー相談に対応。難しく感じる経済やお金の話をわかりやすく説明することに定評がある。夢を実現するため相談者に寄り添い、人生が豊かになるサポートを心がけている。

会社員が出産のために産前産後休暇を取得した場合、出産手当金が支給されます。出産を控えている人にとって「金額はどれぐらいなのか」「受け取れる条件はどのようなものか」など気になっている人もいるのではないでしょうか。

出産時にもらえる手当としては、ほかに出産育児金もありますが、出産手当金とは違うものです。

この記事では、出産手当金について解説します。

この記事でわかること
  • 出産手当金の概要
  • 産休・育休中に考えておきたいお金のこと

出産手当金とは

出産手当金とは、勤務先で加入している健康保険組合によって運営されています。出産のために会社を休む人にとって経済的な不安を解消する目的で支給される手当金です。

ここでは出産手当金について、以下の内容を解説します。

  • 出産育児一時金との違い
  • 出産手当金の支給額と支給期間
  • 出産手当金を受給するための条件
  • 出産手当金の申請手順

出産育児一時金との違い

出産時にもらえる手当の1つに「出産育児一時金」がありますが、これは出産手当金とは異なります。

出産育児一時金の制度は、厚生労働省によって運用されています。企業の健康保険組合や国民健康保険の被保険者もしくはその扶養者が出産した際の経済的な負担を軽減するために一定の金額が支払われる制度です。

妊娠4ヵ月(85日)以上の女性が出産した場合、出産した医療機関によって1児につき50万円もしくは48万8000円が支給されます。

出産手当金と出産育児一時金は併用可能です。

出産手当金の支給額と支給期間

出産手当金がもらえる期間は、「出産日(もし出産が予定日よりも後になった場合は出産予定日)以前42日(多胎妊娠の場合は98日)から、出産日の翌日以降56日までの範囲内で、出産のために会社を休んでおり、かつ、その間に会社から給与の支払いがなかった期間」です。

出産手当金の1日あたりの支払い金額の計算方法は、以下の通りです。

(支給開始日以前12ヵ月間の各標準報酬月額の平均額)÷30日×2/3

例えば、支払開始日以前1年間の標準報酬月額の平均額が28万円だった場合の1日当たりの支払い金額は、以下の通りです。

28万円÷30日間×2/3=6,222円(1円未満切り捨て)

出産日が予定よりも前後した場合の支払期間の取り扱いは、以下の通りです。

出産日が予定よりも前になった場合

出産予定日前42日間+出産後56日=合計98日間

出産日が予定よりも後になった場合

出産予定日前42日間+出産予定日から遅れた出産日までの日数+出産後56日=合計98日+出産予定日から遅れた出産日までの日数

出産手当金を受給するための条件

出産手当金は、産前産後休暇を取得した人なら必ず受け取れるわけではありません。出産手当金を受給するためには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 勤めている会社の健康保険組合に加入している被保険者である
  • 妊娠4ヶ月(85日)以降の出産である
  • 休業中、給与が支払われなかった(給与が支払われていたとしても、出産手当金よりも少ない場合は差額が支給される)

出産手当金の申請手順

出産手当金を受給するための申請手順は、以下の通りです。

  1. 健康保険出産手当金支給申請書を取得する
  2. 出産予定の産院&勤務先で申請書に記入してもらう
  3. 加入している健康保険団体へ郵送する

「健康保険出産手当金支給申請書」は、加入している健康保険組合のホームページからダウンロードできます。

申請書には、出産予定の病院や勤務先に記載してもらう欄もあるので、漏れのないように記入してもらいましょう。勤務先から直接健康保険組合に提出しますが、中には自分で加入する健康保険組合に送らなければならないケースもあります。

申請が承認されると出産手当金が入金されます。申請してから入金までの期間は、加入している健康保険組合によって異なりますが、1~2ヵ月程度と考えてください。

産休・育休中に考えておきたいお金のこと

出産によって家族が増えるのは喜ばしいことです。しかし、子どもを産み、育てるには想像以上にお金がかかります。

特に、子どもの教育資金をどのように用意するかは大きな課題です。子どもの進路によって必要となる金額は異なるため、計画的に準備する必要があります。

お金に関して、産休・育休中に行っておきたいことは以下の通りです。

  • 子どもの進路を夫婦で話し合う
  • 家計について見なおす
  • 資産運用を検討する
  • FPに相談する

子どもの進路を夫婦で話し合う

子どもの教育資金を準備するためには、子どもの教育方針や進路について夫婦で話し合うことが大切です。

夫婦間に考えの相違があると、目標とする費用が定まりません。例えば、夫は「高校まで公立」と考えていたのに、妻が「中学から私立に通わせたい」と考えていた場合、かかる費用が変わってきます。

幼稚園から大学までの学費の平均は、以下の通りです。

私立 国公立
幼稚園 約92万7000円 約49万8000円
小学校 約1000万2000円 約211万8000円
中学校 約431万1000円 約161万7000円
高等学校 約316万5000円 約153万9000円
大学 文系:約363万8000円
理系:約497万6000円
約242万6000円
出典:文部科学省「令和3年度子供の学習費調査」「私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」「国立大学の授業料その他の費用に関する省令

それぞれの進学課程において、私立と国公立でどのくらい費用が異なるのか相場を把握しておく必要があるでしょう。

家計について見直す

教育費を捻出するためには、まずは家計を見直すとよいでしょう。節約ができれば、貯蓄額を増やすことにつなげられます。

家計を見直す際には、現在の収支がどのようになっているか把握したうえで節約できる部分を見つけましょう。そのためには、毎月の預貯金額など、目標を立てることも大切です。

また、家計を見直す際には、固定費に注目してください。固定費とは、住居費や通信費、水道・光熱費など毎月かかる費用のことです。固定費は一度見直すとその効果が長く続きます。

家計の見直しを具体的に行うための方法や節約アイデアについては、家計の見直し方法や節約アイデアを参考にしてください。

資産運用を検討する

家計の見直しによって、貯蓄できるだけの見通しが立ったら、次に資産運用も検討しましょう。投資信託や株式などを購入することにより、資産を増やせる可能性が広がります。

資産運用は、早くから行うことで、その効果がより大きくなります。教育費用についてはできるだけ早く、可能であれば子どもが産まれる前からどのような方法で準備していくか考えることが大切です。

FPに相談する

出産のタイミングは、ファイナンシャルプランナー(FP)に相談するのに理想的なタイミングです。

FPには、家計の見直しや教育資金のほか、資産運用」、住宅購入、保険、節税など、さまざまな分野の相談ができます。FPに相談することで自分たちに合った資産形成方法をアドバイスしてもらえるでしょう。

FPへの相談には有料のものと無料のものがあります。無料でのFP相談なら、こちらから申し込むことが可能です。

まとめ

出産手当金は、出産のために会社を休み、その間給与の支払いがない場合に収入の減少を保障してくれる制度です。出産育児一時金と併用することもできます。

子育てにはお金がかかります。必要な教育資金について把握したうえで、どのように資金を用意していくか計画を立てるようにしましょう。まずは家計の見直しから行い、資産運用についても検討しましょう。自分たちでは資金計画を立てるのが難しいと感じたら、FPに相談してみるのもおすすめです。

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