住宅購入の際に住宅ローンを利用する人は多いですが、誰でも希望額が借りられるわけではありません。4000万円の住宅ローンを組みたいと考える人は、いくらぐらいの年収が必要になるのでしょうか。
本記事では、希望の住宅ローンを組むのに必要な年収の目安や、理想の年収に届かないときにどのような対策が取れるのか解説します。
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【監修】株式会社RKコンサルティング河合 克浩
一般企業、外資系金融機関を経て、現在はファイナンシャルプランナー(FP)として年間150件超のお金の相談に対応。難しく感じる経済やお金の話をわかりやすく説明することに定評がある。夢を実現するため相談者に寄り添い、人生が豊かになるサポートを心がけている。
住宅購入の際に住宅ローンを利用する人は多いですが、誰でも希望額が借りられるわけではありません。4000万円の住宅ローンを組みたいと考える人は、いくらぐらいの年収が必要になるのでしょうか。
本記事では、希望の住宅ローンを組むのに必要な年収の目安や、理想の年収に届かないときにどのような対策が取れるのか解説します。
4000万円の住宅ローンを組むには、600万円以上の年収が必要になる可能性が高いです。審査基準は金融機関によって異なりますが、シミュレーションをしてみると多くの金融機関では600万円付近がボーダーラインとなるでしょう。
つまり、年収600万円程度の人なら、4000万円程度が金融機関の定める「借入限度額」になる可能性が高いといえます。
ただし、借入限度額めいっぱいお金を借りると、生活が苦しくなる可能性もあります。無理のない返済ができる水準としては、4000万円の借入をしても大丈夫な人の年収目安は650万円程度です。
年収に占めるローンの返済割合を返済比率(返済負担率)といい、次の計算式で求められます。
返済比率(%)=年間返済額÷額面年収×100
住宅金融支援機構では、フラット35について、返済比率の基準を以下のように公表しています。
これに沿って計算すると、年収ごとの月々の返済額上限は以下の通りです。
年収 | 月々の返済額上限 |
---|---|
400万円 | 11万6666円 |
500万円 | 14万5833円 |
600万円 | 17万5000円 |
700万円 | 20万4166円 |
800万円 | 23万3333円 |
年収500万円の場合、月々の返済額上限が約14万5800円まで借入できる計算になります。ただし、年収にはボーナスも含んでいます。ボーナスを除くと、年収500万円の人の月々の手取り平均は29万5000円前後で、ここから毎月14万5800円を返済すると、手取りの約50%を占めることになります。
返済比率が20~25%に収まると、安定した生活が送れるといわれています。年収500万円の25%で計算すると、月々10万4166円、年間で125万円が返済額になります。
年収ごとの月の手取り、返済比率25%と20%の返済額の目安は、下表の通りです。
年収 | 月の手取り | 返済比率25% | 返済比率20% |
---|---|---|---|
400万円 | 24万円 | 8万3333円 | 6万6666円 |
500万円 | 29万円 | 10万4166円 | 8万3333円 |
600万円 | 33万円 | 12万5000円 | 10万円 |
700万円 | 37万円 | 14万5833円 | 11万6666円 |
800万円 | 42万円 | 16万6666円 | 13万3333円 |
もう1つの計算方法が「年収倍率」を用いたものです。年収倍率は、次の計算式で求められます。
年収倍率(倍)=借入額÷年収
融資の上限は年収の8倍といわれています。例えば、年収が500万円なら4000万円まで、600万円なら4800万円まで借りられることになります。
ただし、実際には8倍に満たないことが多く、年収の6倍程度が融資の上限というケースが多いです。
目安となる年収倍率は、融資を受ける人の属性や物件の担保価値によっても変わります。例えば、新築のマンションや戸建てだと、試算してみると年収倍率は6.5?7.3倍程度が多く、中古だと6倍前後が多い傾向です。
4000万円の住宅ローンが組んだときの返済額と、生活費にどのくらい使えるかをシミュレーションしてみましょう。前提条件は、以下の通りです。
おおよその手取り月収 | 29万5000円 |
月々の返済額 | 12万2473円 |
生活に使えるお金 | 17万2527円 |
年間の返済額 | 146万9676円 |
返済比率(%) | 29.4% |
年収倍率8倍の金額で審査に通ったとすると、このシミュレーション通りになり、返済比率は30%弱です。生活に使えるお金は約17万2000円なので、十分な水準か確認しましょう。
総務省が公表している2022年の家計調査報告によると、2人以上の世帯の平均支出は以下の通りです。
食費、水道光熱費、住居維持費、交通・通信費、教育費の合計で16万9441円となり、年収500万円の人が月々の生活に使えるお金をほぼ使い切ります。
おおよその手取り月収 | 33万円 |
月々の返済額 | 12万2473円 |
生活に使えるお金 | 20万7527円 |
年間の返済額 | 146万9676円 |
返済比率(%) | 24.4% |
年収600万円になると、生活に使えるお金は増えて20万7500円程度です。まだまだ十分ではありませんが、生活に余裕が出てくるでしょう。
おおよその手取り月収 | 37万7000円 |
月々の返済額 | 12万2473円 |
生活に使えるお金 | 25万4527円 |
年間の返済額 | 146万9676円 |
返済比率(%) | 21% |
年収700万円になると返済比率が21%まで下がります。
生活に使えるお金も25万円を超えました。
おおよその月収 | 41万5000円 |
月々の返済額 | 12万2473円 |
生活に使えるお金 | 29万2527円 |
年間の返済額 | 146万9676円 |
返済比率(%) | 18.3% |
年収800万円になると、返済比率は18.3%まで下がります。
生活に使えるお金として、前述した支出合計29万865円をすべてカバーします。
年収800万円で4000万円の住宅ローンを組むと、年収倍率は5倍になります。
自分の年収だけでは希望額の住宅ローンを組めない場合の対策を紹介します。
ペアローンとは、1つの物件の住宅ローンを夫婦2人で組むことです。夫婦ともに安定収入があることが条件で、夫婦の収入差に合わせて融資額を分担し、それぞれがローンを組みます。
ペアローンのメリット・デメリットは、以下の通りです。
ペアローンのメリットは何といっても借入限度額を引き上げられることです。自分の年収だけでは希望額のローンに届かなくても、ペアローンであれば審査に通る可能性があります。
また、借入額や支払っている税額によっては、住宅ローン控除が2人で使えることもメリットです。
家族から資金の援助をしてもらえれば、借入額を下げることができるでしょう。その場合のメリット・デメリットは、以下の通りです。
贈与の場合、一般住宅で500万円、省エネ・耐震等の優良住宅では1000万円まで非課税で贈与をすることができます。
ただし、所得制限や、受贈者は直系の子か孫限定といった要件があります。例えば、配偶者の両親から世帯主が贈与を受けると非課税枠は適用されません。
住宅取得等資金を贈与されたら、納税額は0円でも贈与税の確定申告が必要です。
住宅購入を急がないのであれば、計画を立てて頭金をしっかり貯めていくとよいでしょう。頭金をためるメリット・デメリットは次の通りです。
購入時期を設定して逆算することで、目標の頭金を希望の時期までに貯めやすくなるでしょう。
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4000万円の住宅ローンを組むには年収はいくらぐらい必要なのか、月々の返済はいくらぐらいになるのか紹介しました。シミュレーションしてみると、現実的な資金計画が見えてくるでしょう。
理想の年収に届かない場合でも、ペアローンを利用するなど対策することで希望の住宅ローンを組めるかもしれません。4000万円の住宅ローンを検討する際には、記事を参考にしてください。
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