奨学金の返済は何年かかる?返済期間を短縮する方法

執筆者:マネーFix 編集部

【監修】株式会社RKコンサルティング河合 克浩

一般企業、外資系金融機関を経て、現在はファイナンシャルプランナー(FP)として年間150件超のお金の相談に対応。難しく感じる経済やお金の話をわかりやすく説明することに定評がある。夢を実現するため相談者に寄り添い、人生が豊かになるサポートを心がけている。

奨学金は、ほかのローンと比べて比較的低金利で借りられますが、借金であることに変わりありません。「きちんと返済できるだろうか」「返済に何年かかるのだろう」といった不安を感じる人もいるでしょう。

奨学金は学生本人が借りるもので、返還年数は最大20年となっています。

この記事では、奨学金の返済について解説します。

この記事でわかること
  • 奨学金の返済に何年かかるか
  • 返済期間を短くする方法
  • 返済負担を軽減する救済制度

奨学金には種類がある

奨学金はさまざまな機関が提供していますが、一般的に知られているのは日本学生支援機構のものでしょう。この記事では同機構の奨学金制度について解説します。

奨学金には、以下の3種類があります。

  • 給付型奨学金
  • (貸与型)第一種奨学金
  • (貸与型)第二種奨学金

給付型奨学金

給付型奨学金は、返還不要の奨学金です。支給される金額は、世帯の所得金額および進学先の種類によって異なりますが、4年制の私立大学に自宅外通学で通った場合には最大約364万円が支給されます。

審査では、所得水準や学力、人間性などが総合的に評価されます。

給付型奨学金の所得水準は、「原則として世帯収入が住民税所得割非課税世帯であること、もしくはそれに準ずる」とされ、3つの支援区分に分けられています。

学力基準は全履修科目の評定平均値が5段階で3.5以上です。また、進学しようとする大学などにおける学修意欲を持っていることも条件です。

(貸与型)第一種奨学金

第一種奨学金は貸与型なので、卒業後は返還しなければなりません。第二種との違いは、無利息での貸与となることです。

貸与金額は定められた金額の中から自分で選ぶことができ、4年制の私立大学に自宅外通学する場合だと最大で約307万円借りることができます。

第一種奨学金を利用するにあたっては、世帯の所得水準(生計維持者の貸与額算定基準額が18万9400円以下)および本人の学力基準(給付型奨学金の規定に準ずる)を満たさなければなりません。

(貸与型)第二種奨学金

第二種奨学金は、有利息で借りられる奨学金です。第一種奨学金よりも利用できる基準は緩いです。世帯の所得水準については、「生計維持者の貸与額算定基準額が38万1500円以下であること」が要件となっています。

本人と両親の3人世帯で共働きの場合、世帯の給与収入が1113万円以下であれば利用できるため、かなり広い範囲の人が該当します。

学力基準も「平均水準以上」となっており、給付型奨学金や第一種奨学金と比べると緩いことがわかります。

大学に4年間通う場合、最大576万円の借入が可能で、私立大学の医学部や歯学部の場合は、これに加えて月4万円借りられます。

奨学金の返済が始まるのはいつ?

奨学金の返済が始まるのは、貸与が終了した月の翌月から数えて7ヵ月目(3月に貸与が終了した場合は10月)からです。

仮に在学中に貸与が終了した場合、在学中に返済が始まることになります。その際には、「在学猶予」の手続きを行えば、最長10年の猶予が適用されます。留年や休学によって卒業が延期になった場合にも猶予が可能です。

逆に早期卒業や退学などで在学期間が短くなる場合は、「在学猶予期間短縮願」を日本学生支援機構に提出します。それにより、在学期間終了の翌月から数えて7ヵ月目から返還が開始されます。

奨学金の返済には何年かかる?

奨学金の返済期間は、借入総額と毎月の返済額によって異なります。また、奨学金の返還年数は最大20年となっており、これ以上返還年数を延ばすことはできません。

毎月の返済額と完済までの期間の平均

中央労福協「奨学金や教育費負担に関するアンケート報告書(2022年実施)」によると、毎月の返済額平均は1万~1万5000円未満が一番多く、全体の34.2%を占めています。平均値は1万5226円、中央値は1万3833円です。

次いで1万5000~2万円未満が18.8%、5,000~1万円未満が18.2%となっており、7割近くの人が5,000~2万円の間で毎月返済していることがわかります。なお、毎月3万5000円以上返済している人は全体の2%に留まりました。

また、完済までの期間の平均は14.5年です。割合としては10~15年が最も多く、全体の28.8%を占めています。次いで多いのが、15~20年で全体の23.8%です。以前の調査では、15~20年と回答している割合が40%前後だったことから、返済期間が短くなりつつある傾向が読み取れます。

返済期間と月々の返済額のシミュレーション

第二種奨学金を4年間利用した際の、返済期間ごとの月々の返済額をシミュレーションしました。年利0.905%として計算しています。

貸与月額 返済期間 返済回数 月々の返済額 返済総額
3万円(総額144万円) 10年 120回 1万2555円 150万6600円
13年 156回 9,787円 152万6772円
15年 180回 8,558円 154万440円
5万円(総額240万円) 10年 120回 2万906円 251万1120円
13年 156回 1万6313円 254万4828円
15年 180回 1万4263円 256万7340円
8万円(総額384万円) 13年 156回 2万6101円 407万1756円
15年 180回 2万2822円 410万7960円
20年 240回 1万7497円 419万9280円
10万円(総額480万円) 13年 156回 3万2626円 508万9656円
15年 180回 2万8527円 513万4860円
20年 240回 2万1872円 524万9280円
12万円(総額576万円) 15年 180回 3万4233円 616万1940円
18年 216回 2万8907円 624万3912円
20年 240回 2万6246円 629万9040円
出典:中央労福協「奨学金や教育費負担に関するアンケート報告書(2022年実施)

返済を短縮するなら繰り上げ返済

奨学金の返済期間を短縮したいなら、「繰り上げ返済」が有効です。

繰り上げ返済とは、毎月の返済とは別にまとまった金額を返済することです。返済額がすべて元本の返済に充てられるため、その後の利息負担を減らす効果があります。利息の返済がなくなった分、返済期間を短くすることが可能です。

例えば、前述した表のデータを見ると、毎月5万円の貸与を4年間受け、15年間で返済する場合の毎月の返済額は1万4263円です。仮に返済を開始して2年後に50万円を繰り上げ返済した場合、返済期間は3年2ヵ月(38回)短縮でき、結果として5万4387円の利息が削減されます。

月々の返済が苦しい場合は救済制度を検討

毎月の返済が苦しく、月々の返済額を減らしたいなら、救済制度を利用できます。

日本学生支援機構では、救済制度として以下の2つを用意しています。

  • 減額返還制度
  • 返還期限猶予制度

減額返還制度

「減額返還制度」とは、返済期間を延ばして、毎月の返済額を現在の2分の1もしくは3分の1まで減額できる制度です。

返済総額が減るわけではない点に注意してください。また、減額返還制度は誰でも利用できるわけではなく、収入などの基準を満たさなければなりません。

返還期限猶予制度

「返還期限猶予制度」は災害や病気もしくはケガ、失業などによって経済的に困難な状態に陥り返済が難しくなった人に対し、一定期間返還を猶予できる制度です。返還期限猶予制度の願い出は1年ごとに行うことができ、最長10年延長できます。

ただし、こちらも返済総額は変わりません。また、収入などの基準を満たす必要があります。

返済に関する悩みはFP相談がおすすめ

奨学金の返済が家計を圧迫している、もしくは返済を続けるのが苦しくなったという悩みを抱えているなら、早めにファイナンシャルプランナー(FP)に相談するのがおすすめです。FPはお金の専門家であり、家計の見直しやローンの返済が困難になった際の対処法などを相談できます。

FPに相談することで、繰り上げ返済を利用した際にどのくらいのメリットがあるのか把握できます。また、奨学金の2種類の救済制度について、どちらを利用すべきかアドバイスも受けられます。

FP相談には有料のものと無料のものがあります。無料でのFP相談なら、こちらから申し込むことが可能です。

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まとめ

貸与型奨学金を利用する場合、卒業後にお金を返していかなければなりません。返済期間は借りた額や毎月の返済額によって異なりますが、最長20年で返還する決まりになっています。

大学を卒業したあとは、結婚や子育て、家の購入などのライフイベントが想定されます。その際に奨学金の返済に困ることのないよう、早めに返済額を考慮した資金計画を立てておくことが大切です。

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