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奨学金の返済を減額したい!減額できる条件と申請方法

執筆者:マネーFix 編集部

マネーFix 編集部

マネーFix 編集部は、FP有資格者や「ビジネス書」や「学習参考書」などさまざまなジャンルの編集経験者で構成されています。わかりやすく確かな情報を発信し「人生におけるお金の決断」の判断基準となる、信頼できるメディアを目指します。

奨学金の返済を滞納し続けると、クレジットカードの新規発行や、新たなローンの利用ができなくなる可能性があります。「奨学金の減額はあっさりできる?」「奨学金を払えない場合どうすればいい?」「奨学金の返済額は減らせるの?」など疑問に思う人もいるでしょう。

奨学金の返済が苦しいときは、減額したり、返済を先延ばしにしたりする方法があります。

この記事では、奨学金を返済できないときの対処法について解説します。

この記事でわかること
  • 奨学金の返済ができないときの対処法
  • 減額返還制度について
  • 返還期限猶予について

奨学金の返済が難しいときはどうすればいい?

奨学金の返済に苦しんでいる人は一定数います。日本学生支援機構「令和元年度 奨学金の返還者に関する属性調査結果」によると、奨学金を返済している人は約443.8万人、うち1日以上延滞している人は32.7万人、さらに3ヵ月以上の延滞者は15.2万人です。

奨学金の返済が滞ると、ペナルティとして延滞金が発生したり信用情報に傷がついたりします。デメリットが大きいため、延滞する前に対策を講じる必要があります。

奨学金の返済が難しいときは、次のような制度が利用できます。

  • 減額返還制度
  • 返還期限猶予
  • 債務整理

一時的に返済を先延ばしにできる「返還期限猶予」

返還期限猶予とは災害、傷病、経済困難、失業などの理由で返済が難しい場合に、返済を一定期間、先送りできる制度のことです。あくまでも返還期限が猶予される制度であり、元金や利息が免除されるわけではありません。

返済が猶予できる期間は、通算で10年(120ヵ月)までです。しかし返還期限猶予の理由が災害、傷病、生活保護受給中、産前・産後休業、育児休業などの場合、10年の制限がありません。

返還期限猶予は1年ごとに申し込みが必要です。また延滞しているときは、延滞開始月より12ヵ月ごとに奨学金返還期限猶予願と証明書が必要です。

返還期限猶予を利用できる人の条件

返還期限猶予を利用できるのは、以下の条件を満たしている人です。

  • 災害、傷病、経済困難、失業など返還困難な事情がある
  • 給与所得者は年収300万円以下、それ以外は200万円以下

年収が上記条件を超えていても、定められた特別な支出を控除して控除後の額が基準内になれば申し込み可能です。定められた特別な支出の代表例は、以下の通りです。

  • 被扶養者控除:被扶養者1人あたり38万円
  • 親への生活費援助:奨学生本人の被扶養者でない親に生活費を援助している場合、1世帯あたり年間38万円まで実費を控除
  • 医療費控除:奨学生本人にかかる医療費を年間96万円まで控除

返還期限猶予を申し込む方法

返還期限猶予をスカラネット・パーソナル経由で申し込む手順を紹介します。

  1. スカラネット・パーソナルにログイン
  2. 「各種手続」タブを選択し、ワンタイムパスワードを取得
  3. 「返還期限猶予願」の「次へ」を押す
  4. 「奨学金返還期限猶予 誓約」で奨学生番号と氏名を確認後、送信
  5. 「奨学金返還期限猶予 同意確認」で内容を確認し、すべてチェックをしたら送信する
  6. 「インターネット提出可否判定」で、インターネット提出を選択し、願出事由を選択して「次へ」を押す
  7. 「奨学金返還期限猶予 内容入力」で内容を確認して「送信」を押す

奨学金の返済額を減額できる「減額返還制度」

減額返還制度とは、返済期間を延長し、奨学金の返還月額を本来の2分の1、あるいは3分の1に減額して返済できる制度のことです。

1回の申し込みで延長できるのは12ヵ月までですが、適用期間終了前に改めて申請することで、最長15年(180ヵ月)まで延長できます。

減額返還制度を利用できる人の条件

減額返還制度を利用するには、条件があります。

やむを得ない理由があること

減額返還制度を利用できるのは、災害や傷病、その他経済的な理由で奨学金の返済が困難な場合に限られます。

経済的な理由で返済が困難と判断される目安は、給与所得者は年間収入325万円以下、給与所得者以外は年間所得金額225万円以下です。

また収入・所得を計算する際、被扶養者1人あたり38万円を控除できます。

現時点で滞納していないこと

申請や審査の時点で奨学金の返済が延滞していると、減額返還制度は利用できません。

ただし、滞納歴があっても審査に影響を与えることはありません。延滞を解消すれば利用可能になります。

月賦返還であること

月賦返還であることも要件の1つです。年賦、半年賦、月賦・半年賦併用で返済している人は、自動的に返還方法が月賦に変更され、返済が終わっても月賦が継続します。

また奨学金制度の仕組み上、一時的に月賦に変更できない期間があります。その場合、希望する月から減額返還が始められないため注意が必要です。

減額返還制度を申し込む方法

減額返還制度は、郵送か「スカラネット・パーソナル」を通じたインターネットによる申し込みが可能です。

ただし、スカラネット・パーソナルで申し込む場合は、減額返還制度を利用する理由が「新卒や無職で収入が低い」「経済的困難」といった要件を満たしている必要があります。

減額返還制度の申し込み方
  1. スカラネット・パーソナルにログイン
  2. 「各種手続」タブを選択し、ワンタイムパスワードを取得
  3. 「減額返還願」の「次へ」を押す
  4. 「奨学金減額返還願 誓約」で奨学生番号と氏名を確認後、送信
  5. 「奨学金減額返還願 同意確認」で内容を確認し、すべてチェックをしたら送信する
  6. 「インターネット提出可否判定」で、インターネット提出を選択し、願出事由を選択して「次へ」を押す
  7. 「奨学金減額返還願 内容入力」で内容を確認して「送信」を押す

減額返還制度を申し込むときの必要書類

減額返還制度を申し込むときの必要書類は、以下の通りです。

  • 奨学金減額返還願
  • チェックシート
  • マイナンバー提出書(2019年以降に奨学生となった人は不要)
  • 返還困難な事情を証明する書類

減額返還制度利用時の注意点

減額返還制度を利用する際は、注意点もあります。

所得連動返還方式の場合は利用できない

奨学金の返還方式には、返還完了まで返還額が一定の「定額返還方式」と、前年の所得に応じてその年の返還額が決まる「所得連動返還方式」があります。

所得連動返還方式は毎年の所得に応じて返還月額が設定されるため、減額返還制度は利用できません。

なお自分が定額返還方式なのか、所得連動返還方式なのかわからないときは、スカラネット・パーソナルの詳細情報から確認できます。

減額したい月の前々月末までに申請が必要

減額返還制度を利用する際は所定の審査があり、提出時期や審査の状況によっては3週間以上かかることがあります。そのため、減額返還制度を申し込むときは、減額返還開始を希望する月の前々月末までに済ませましょう。

前々月末までに提出しないと、審査中に減額返還を希望する月が来てしまい、通常の返還額で返済することになる場合があります。

減額返還制度は希望する月の3ヵ月前から申し込めます。奨学金の返済が大変で滞納しそうだと感じたら、早めに手を打つように心がけましょう。

どうしても返済できない場合は債務整理も検討する

減額返還制度や返還期限猶予が利用できなかった、あるいはどうしても返済の目途が立たないときは、債務整理も検討しましょう。

債務整理とは、借金の減額や金利引き直しなどの交渉を行い、債務者の生活を立て直す手続きのことです。債務整理を利用すれば、借金の減額や返還義務が免除される可能性があります。

ただし債務整理の利用により、クレジットカードの使用や新規作成、ローンの利用などが5~10年程度できなくなります。また債務整理方法によっては、家や土地などの財産を失う恐れがあるため注意が必要です。

奨学金の減額申請が難しい場合は、ファイナンシャルプランナーに相談してみるのも一つの方法です

奨学金の返済がどうしても難しい場合、債務整理という選択肢も考えられますが、デメリットも多く、慎重に検討する必要があります。

ファイナンシャルプランナーは、お金に関する専門家です。あなたの状況を詳しく聞き取り、最適な解決策を提案してくれるでしょう。

FPに相談すると、以下のようなメリットがあります。

  • 自分に合った解決策を見つけられる
  • 返済計画を立てて、無理なく返済できる
  • 債務整理のメリット・デメリットを理解できる

FPへの相談は無料で行っているところも多いので、まずは気軽に相談してみることをおすすめします。

詳しくは、以下の記事をご覧ください。
ファイナンシャルプランナーに相談するときの注意点、相談内容やメリットを解説

まとめ

奨学金を返済できなくなったときの対処法を紹介しました。返済額を減額できる「減額返還制度」や、返済を先延ばしにできる「返還期限猶予」のほか、債務整理という方法もあります。

ただし債務整理を利用すると、クレジットカードの使用や新規作成、新たなローンの利用などが5~10年はできなくなります。最悪の場合、家や財産まで失う恐れがあるため、奨学金の返済ができない可能性があるときは、早めに減額返還制度や返還期限猶予を活用しましょう。

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