大学入学金はいくら必要か|分野ごとの学費・入学金や効率的な貯金方法をご紹介

執筆者:マネーFIX 編集部

大学の費用は、入学してから卒業するまでの期間、入学金や授業料を合わせると相当な金額が必要です。

本記事では、特に大学ごとの入学金について説明します。

入学金の相場を紹介するとともに、入学金を支払えないときの対処法について紹介します。

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大学入学金の相場

大学入学金は、どのくらいかかるのでしょうか。

国立大学・公立大学・私立大学ごとの平均は、以下の通りです。

国立大学(昼間部) 公立大学 私立大学
(地域内) (地域外)
28万2,000円 22万1,144円 38万4,699円 26万2,026円
出典:旺文社教育情報センター 2021年度大学の学費平均額(2021年8月31日)を元に作成

【分野別】大学入学金の平均額一覧

入学金の平均額について、国立大学・公立大学・私立大学の種別ごとにまとめました。

また、学部別の入学金についても、併せて紹介します。

国立大学の入学金平均額一覧

国立大学の入学金や授業料は、文部科学省令による標準額が中心となっています。

そのため、ほとんどの国立大学が入学金も授業料も標準額で設定しています。

【国公立大学の入学金(標準額)の平均額】
入学金(昼間部) 28万2,000円
入学金(夜間部) 14万1,000円
出典:旺文社教育情報センター 2021年度大学の学費平均額(2021年8月31日)を元に作成

千葉大学、東京医科歯科大学、東京工業大学、一橋大学では、授業料のみ標準額よりも高く設定されています。

また、東京藝術大学は、入学金・授業料とも2割程度値上げされているといった状況です(※)。

(※)出典:旺文社教育情報センター 2021年度大学の学費平均額(2021年8月31日)

公立大学の入学金平均額一覧

公立大学の入学金の学部別の平均額は、以下の通りです。

公立大学の入学金については、入学者本人や保護者の居住地が大学指定の地域(県内や市内)に入るかどうかによって、入学金が異なる傾向にあります。

【公立大学の入学金[学部系統別]平均額】
学部系統 入学金[地域内] 入学金[地域外]
法学部 19万2,293円 35万369円
外国語学部 19万6,250円 34万4,335円
体育・健康科学部 20万6,167円 35万5,933円
薬学部 20万7,286円 39万2,457円
家政・生活科学部 20万8,333円 38万3,026円
文学部 21万1,415円 34万3,078円
社会・社会福祉学部 21万3,544円 36万4,778円
経済・経営・商学部 21万3,962円 37万1,463円
人文・教養・人間科学部 21万5,323円 35万9,886円
工学部 22万1,246円 35万8,079円
国際関係学部 22万1,536円 37万2,511円
理学部 22万4,326円 36万1,912円
教育・教員養成系学部 22万4,867円 36万5,750円
看護・医療・栄養学部 22万5,725円 38万6,985円
芸術学部 23万2,542円 39万9円
農・獣医畜産・水産学部 24万1,836円 38万2,218円
医学部 25万625円 55万5,571円
歯学部 28万2,000円 52万円
※公立大学で地域内・地域外の区分がない大学は地域内に含む 出典:旺文社教育情報センター 2021年度大学の学費平均額(2021年8月31日)を元に作成

公立大学では、指定地域の内外により入学金に差があるといった点が特徴で、地域内出身者の入学金に対し、地域外出身者は1.25倍~3倍の差があります。

初年度納入金が高いのは、地域の内外を問わず医学部・歯学部系統であり、低いのは法律・外国語・体育・家政などの系統です。

地域の内外で入学金が異なるのは、全93公立大のうち87大学であり、9割を超える学校で地域差を導入していることが分かります。

私立大学の入学金平均額一覧

私立大学の入学金の学部別の平均額は、以下の通りです。

私立大学の学費は、大学ごとに大きな違いがあり、学部によっても文系は低め、理系は高めの傾向にあります。

【私立大学の入学金[学部系統別]平均額】
学部系統 入学金
法学部 22万224円
国際関係学部 22万4,766円
経済・経営・商学部 22万5,405円
文学部 22万8,570円
外国語学部 22万9,118円
人文・教養・人間科学部 23万337円
工学部 23万5,111円
教育・教員養成系学部 23万5,411円
社会・社会福祉学部 23万558円
芸術学部 23万6,152円
理学部 23万606円
家政・生活科学部 23万8,393円
体育・健康科学部 24万1,599円
農・獣医畜産・水産学部 24万8,219円
看護・医療・栄養学部 26万2,905円
薬学部 31万8,192円
歯学部 59万4,118円
医学部 133万645円
出典:旺文社教育情報センター 2021年度大学の学費平均額(2021年8月31日)を元に作成

私立大学の学部による入学金の傾向は、公立大学・地域内出身者と同様で、最も金額が低いのは法学部、国際関係学部…歯学部、医学部の順に高くなっています。

公立大学・地域内出身者と私立大学とを比べると、すべての学部において私立大学の方が高額です。

一方、公立大学・地域外出身者の入学金と、私立大学を比較すると、歯学部・医学部を除く学部において公立大学・地域外出身者の入学金の方が高くなっています。

私立大学の入学金で最も高額なのは医学部で、公立大学との差額も最大です。

大学入学金を支払えない場合の対処法

大学入学金は、額によって差はありますが20万円~50万円、医学部などは100万円以上かかるケースもあり、決して安いとはいえません。

また、第一志望の大学の合格発表前に、第二希望・第三希望の大学の入学金の納付締め切りがある場合、入学しない可能性がある大学に入学金を収めることになる人もいます。

また、実際に入学する大学においても、入学金以外にさまざまな支出が必要です。

入学金の支払いが難しい場合は、下記のようなサービスや制度を検討してみましょう。

  • 教育ローンを利用
  • 母子父子寡婦福祉資金貸付金を利用
  • 生活福祉資金貸付制度を利用
  • 就学支援新制度を利用

教育ローンを利用

教育ローンには、銀行などの金融機関が提供するものと、日本政策金融公庫などが運営する公的のローンがあります。

融資金の受け取りは、入学前に受け取ることができるため、入学関連の支払いにも用いることができます。

国の教育ローン 民間金融機関の教育ローン(※3)
融資限度額 上限350万円/子ども1人につき 一定の条件に該当する場合は450万円(※1) 10万円~500万円(金融機関により異なる)
借入金利 年利1.8%程度 (固定金利) 年利3%~4%台 (固定・変動金利あり)
返済期間 最長18年 10〜14年など (金融機関により異なる)
融資までの期間 申込後10日前後(※2) 申込後、数日〜2週間程度
保証人 (公財)教育資金融資保証基金または連帯保証人 不要
(2022年8月現在) (※1)自宅外通学、修業年限5年以上の大学(中間部)、大学院、海外留学(修行年限3ヵ月以上の外国教育施設に留学する場合)のいずれかの資金を必要とする場合 (※2)必要時期の2~3ヵ月前が申し込みの目安 (※3)4行を対象に調査

国の教育ローンの特徴

国の教育ローンは、固定金利で返済期間は最長18年となっており、民間の金融機関に比べて長めと言えます。

また、幅広い年収の世帯を支援しており、民間の教育ローンに比べて金利も低めです。

母子・父子家庭、交通遺児家庭は金利が優遇されるなどの処置もあります。

融資金の振込完了までは10日前後を要し、入学シーズンなど申し込みが立て込む時期は、もう少し時間を要する場合があります。

また、保証人を必要とし、(公財)教育資金融資保証基金または連帯保証人から選ぶことができます。

金融機関の教育ローンの特徴

民間の金融機関は、変動金利のみ、固定金利の両方を用意している場合があります。

変動金利型の場合、借入時の利率で決まります。

国の教育ローンと比べて金利は高めですが、使い道の自由度が高く、融資を受けるまでの期間が短い点、さらに保証人を不要としない点がメリットです。

借入金額の上限で多いのは300万円ですが、医科系に進学する場合は1,000万円まで融資を受けられる銀行もあります。

また、住宅ローンやカードローンなどすでにほかのローンを利用している銀行で教育ローンの借り入れもする場合は、金利が優遇されるなどの特典を受けられるケースもあります。

母子父子寡婦福祉資金貸付金を利用

母子家庭・父子家庭の場合、必要資金を無担保で貸し付ける「母子父子寡婦福祉資金貸付金制度」を利用できる可能性があります。

対象となるのは、「20歳未満の児童を扶養している配偶者のいない女子または男子、寡婦等」(引用:内閣府 男女共同参画局)で、「就学支度資金」については就学や修業に必要な資金が対象です。

国公立大学の場合は42万円、私立大学は59万円までの申し込みが可能で、受験前でも申し込みが可能な点が特徴です。

受け取りまでには、1カ月程度かかり、親が借受人となる場合は、児童または子どもが連帯借受人となります。

無利子で借りられることが大きなメリットでしょう。

生活福祉資金貸付制度を利用

都道府県社会福祉協議会が実施している「生活福祉資金貸付制度」は、低所得の世帯などを前提とした貸付制度です。

生活福祉資金貸付制度のうち、就学支援のための貸付に「教育支援資金」があり、うち「教育支援費」と「就学支度費」の2種類があります。

いずれも、未払いの費用のみ貸付の対象となります。

入学金などの費用の貸付は「就学支度費」にあたり、50万円を上限として貸付しています。

また、就学のための費用の貸付は「教育支援費」で、大学進学の場合は月額6万5000円を上限として支給されます。

学費が不足する場合や就学際しての熱意や計画性がるなど、「特に必要と認める場合」は、1.5倍の9万7500円が上限です。

この貸付制度には、世帯収入が居住地域の社会福祉協議会の定める収入基準を超えないなど、一定の条件があります。

まずは、地域の社会福祉協議会に相談してみましょう。

修学支援新制度を利用

文部科学省による「修学支援新制度」は、令和2年4月から始まった新制度です。

しっかりとした進学意欲があれば、給付型奨学金の普及、授業料・入学金の免除・減額が受けられ、返還する必要はありません。

大学、短期大学、高等専門学校(4年・5年)、専門学校が対象です。

以下は、本人が18歳、夫が給与所得者、妻が無収入、中学生の兄弟がいるケースの例です。

国公立大学の場合(※1)
区分(※2) 給付型奨学金(年額) 入学金 授業料
自宅から通学 自宅外から通学
第Ⅰ区分 約35万円 約80万円 約28万円 約54万円
第Ⅱ区分 約23万円 約53万円 約19万円 約36万円
第Ⅲ区分 約12万円 約27万円 約9万円 約18万円
私立大学の場合(※1)
区分(※2) 給付型奨学金(年額) 入学金 授業料
自宅から通学 自宅外から通学
第Ⅰ区分 約46万円 約91万円 約26万円 約70万円
第Ⅱ区分 約31万円 約61万円 約17万円 約47万円
第Ⅲ区分 約15万円 約30万円 約9万円 約23万円
出典:文部科学省 高等教育の就学支援新制度を元に作成 (※1)第Ⅱ区分、第Ⅲ区分は、それぞれ第Ⅰ区分の2/3、1/3。

少数第一位を四捨五入して掲載 (※2)第Ⅰ区分は住民税非課税世帯、第Ⅱ区分・第Ⅲ区分は住民税非課税世帯に準ずる世帯

この制度開始から1年間で、約27万人の学生が利用しています。

また、この給付型奨学金を受けている学生は、日本学生支援機構の貸与奨学金も併せて利用可能であるため、ぜひ検討してみましょう。

大学進学のための資金準備

子どもの大学入学に向けて、どのような貯蓄方法があるのか、一般的な事例を挙げてみましょう。

【大学入学に向けた貯蓄方法】
  1. 毎月給与から天引きする
  2. 児童手当を使わずに貯金
  3. お年玉やお祝い金を貯金
  4. 教育ローンや奨学金制度の利用
  5. 学資保険の活用
  6. 投資信託の活用

毎月給与から天引きする

財形貯蓄は、事業主(会社)を通じて、定期的に給与から一定額を天引きし、提携する金融機関に積み立てる貯蓄です。

教育資金として考える場合は、利用目的を問わない一般財形貯蓄になるでしょう。

一度手続きをすれば、毎月の給与またはボーナス時期などに自動的に差し引かれるため便利です。

会社によっては奨励金を付与することもあり、積立額の1~5%などが多いようです。

近年の預金金利に比べると、かなり高い金利と言えるでしょう。

保険商品や投資信託による財形貯蓄の場合は、元本割れのリスクがあります。

福利厚生の一環として財形貯蓄を導入している場合は、利用を検討してみましょう。

その他、自動的に一定額を積み立てる方法としては、定期預金や積立定期が一般的です。

「定期預金」は、一括でまとまった資金を預けること、「積立定期」は毎月少額ずつ積み立てる方法を指します。

普通預金に比べて金利は高いものの、2022年8月現在は0.002%程度と低金利の状況が続いています。

児童手当を使わずに貯金

児童手当とは、中学卒業までの子を養育している世帯において、一定の収入以下の場合に支給される助成金のことです。

児童手当の支給は、年に3回(2月・6月・10月)あります。

振り込まれた分を使わずに分けておくことで、手軽に貯められます。

また、手当の振込先を通常の家計用の口座と別の口座に設定すると、振り込まれた分を使ってしまうリスクを減らすことができます。

【児童手当の額】
子の年齢 手当の額
3歳未満 月額1万5000円
3歳以上小学校修了前 月額1万円 (第3子以降は1万5000円)
中学生 月額1万円
出典:内閣府「児童手当制度のご案内」

子どもが生まれた月によって総支給額が異なりますが、0歳から中学3年生までの総支給額を単純計算してみると、合計198万円です。

・0~2歳…月額1万5,000円×3年間=54万円
・3歳~小学生まで…月額1万円×9年間=108万円
・中学校3年間…月額1万円×3年間=36万円

児童手当の受給は、世帯収入に制限があります。

所得制限限度額・所得上限限度額について



引用:内閣府 児童手当制度のご案内

児童を養育している人の年収が、「所得制限限度額(1)」以上「所得上限限度額(2)」未満の場合は、児童手当は支給されず、特定給付として児童一人あたり月額5,000円が支給されます。

また、2以上の場合は、令和4年10月より児童手当等は支給されないことになっています。

就学途中で途中で2を下回った場合は、認定請求書の提出等によって支給を受けることができます。

お年玉やお祝い金を貯金

子ども達がもらうお年玉やお祝い金を貯金しておくのも一つの手です。

子どもごとに口座を用意し、こうしたお祝い金や先述の児童手当などを振り分けて入金しておくと、管理やしやすいでしょう。

家計用の口座と同じ金融機関に子どもの口座を作ると、親の口座からインターネットバンキングで子どもたちの口座へ手数料をかけずに簡単に振り分けることができます。

奨学金制度の利用

奨学金には、返済が必要な「貸与型」の奨学金と、先述のような返済不要の「給付型」の奨学金があります。

さらに、貸与型奨学金には、無利子の「第一種」と、有利子の「第二種」があります。

奨学金には、申し込み資格、学力基準、家計基準があり、高等学校で予約採用手続きを行うことになります。

学校からの案内や、日本学生支援機構の公式サイトを確認しましょう。

ただし、毎月貯金ができない家計の状態でお金を借りるのは、危険です。

家計を引き締めつつ、目的に沿って融資金を使うといった本旨を忘れないようにしましょう。

親子で家計の管理の仕方を練習することで、子どもたちもお金の使い方を学ぶことができます。

学資保険の活用

学資保険は、就学のために、子どもが一定年齢になった際に満期金を受け取ることができる保険商品です。

満期の時期は商品によって異なりますが、17歳~22歳が一般的です。

学資保険の加入年齢は、子ども(被保険者)の年齢と親(契約者)の年齢に制限があります。

子どもの方は、出産予定日の140日前から加入できるのが一般的です。

6歳を過ぎると加入できる保険が少なくなります。

契約者の年齢は、55歳~65歳くらいまでが上限となっているものが一般的で、年齢が高くなるほど保険料も高くなる傾向です。

学資保険は、教育費が重くなるタイミングに備えて貯蓄していく保険です。

払込期間が短いほど、保険料の総額に対して受け取れる保険金額の割合である「返戻率」は高くなります。

また、年払いにすると割引が適用され、月払いよりもお得です。

ただし、短期間で払い込みをする場合、1回あたりの支払額は高くなり、負担が大きくなりがちです。

無理なく保険料を支払うためには、子どもが生まれた直後から早めに検討するのがおすすめです。

ジュニアNISA、つみたてNISAなどの活用

投資によって将来のための資産形成を目指す場合は、長期・積立・分散を基本的な考えとして持っておくとよいでしょう。

「ジュニアNISA」は、未成年者のための非課税の投資制度で、子どもの将来に向けた長期投資です。

利用対象者は、0歳~17歳(※)の未成年者で、口座名義は子ども本人、運用は親や祖父母が代理で行うことができます。

18歳までは払い出しができないため、子どもの教育資金を積み立てる目的で利用するのに適しています。

5年の間に受け取った配当金などは年間80万円まで非課税となります。

また、20歳以降になれば、そのままNISA口座が開設され、投資を継続することができます。

また、「つみたてNISA」の対象商品も、長期運用向けの投資信託となっており、一度契約すれば自動的に投資してくれるので、初心者でもはじめやすい仕組みといわれています。

つみたてNISAは、一定の投資信託に限定して、分配金や売買益が非課税になるしくみです。

非課税投資額の上限は年40万円、非課税期間は最長20年、投資可能期間は2018年から2042年までとなっています。

まとめ

大学入学金の納金は、遅延できないため、まとまった資金を期日までに準備しておく必要があります。

特に、兄弟の年齢が近い世帯の場合、連続して資金が必要となるでしょう。

預貯金だけでなく、学資保険や投資などを活用して、子どもが幼いうちからコツコツ貯蓄しておけば安心です。

学資保険などは、短期間で払い込みをすると返戻率が高くなりますが、無理なく支払い続けて着実に貯蓄することが大切です。

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