大学の入学金はいくら?入学金が払えない!奨学金が間に合わないときの解決方法

執筆者:マネーFix 編集部

【監修】株式会社RKコンサルティング河合 克浩

一般企業、外資系金融機関を経て、現在はファイナンシャルプランナー(FP)として年間150件超のお金の相談に対応。難しく感じる経済やお金の話をわかりやすく説明することに定評がある。夢を実現するため相談者に寄り添い、人生が豊かになるサポートを心がけている。

大学の入学金は、国公立か私立かで金額に差があります。「大学の入学金はいくら用意しておけばいいの?」「入学金が払えない場合はどうしたらいい?」という疑問を持つ人はいませんか?

併願で受験していて、複数の大学に入学金を納入しなければならないケースもあるでしょう。

この記事では、大学の入学金について解説します。

この記事でわかること
  • 大学の入学金の平均金額
  • 大学の入学金を納めるタイミング
  • 大学の入学金を準備する方法

大学の入学金の平均金額はいくら?

文部科学省の調査によると、大学の入学金の平均額は、国立大学で約28万円、公立大学で約39万円です。

国立大学の入学金は標準額が設けられているため、どの大学でも同じ金額です。一方で、公立大学の入学金は地域によって異なります。

私立文系大学の入学金の平均額は約23万円、私立理系大学は約25万円、歯科・医師系大学は約108万円です。私立大学の場合、学部によっても入学金に差があります。歯科・医師系大学では金額が大きく上がるため、経済的負担が増えるでしょう。

国立大学 約28万円
公立大学 約39万円
私立文系大学 約23万円
私立理系大学 約25万円
歯科・医師系大学 約108万円
出典:文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移

入学金以外にも授業料、施設設備費、実習費が必要になります。国立大学の初年度に必要な納入金は約82万円、私立大学では文系・理系ともに100万円以上の納入金が必要です。

以上のことから、少なくとも入学前までに80万円以上の資金を準備する必要があります

学部別の大学入学金一覧

入学金の平均額について、国立大学・公立大学・私立大学の種別ごとにまとめました。また、学部別の入学金についても、併せて紹介します。

国立大学の入学金平均額一覧

国立大学の入学金や授業料は、文部科学省令による標準額が中心となっています。そのため、ほとんどの国立大学が入学金も授業料も標準額で設定しています。

国公立大学の入学金(標準額)の平均額
入学金(昼間部) 28万2000円
入学金(夜間部) 14万1000円
出典:旺文社教育情報センター 2023年度大学の学費平均額(2023年9月29日)を元に作成

千葉大学、東京医科歯科大学、東京工業大学、一橋大学では、授業料のみ標準額よりも高く設定されています。

また、東京藝術大学は、入学金・授業料とも標準額より高く設定されています。

公立大学の入学金平均額一覧

公立大学の入学金の学部別の平均額は、以下の通りです。

公立大学の入学金については、入学者本人や保護者の居住地が大学指定の地域(県内や市内)に入るかどうかによって、入学金が異なる傾向にあります。

公立大学の入学金[学部系統別]平均額
学部系統 入学金[地域内] 入学金[地域外]
法学部 19万4838円 35万369円
外国語学部 19万9583円 34万6747円
体育・健康科学部 18万9875円 33万7450円
薬学部 20万7286円 39万2457円
家政・生活科学部 21万7440円 39万736円
文学部 21万919円 33万9863円
社会・社会福祉学部 21万3780円 36万995円
経済・経営・商学部 21万3642円 36万5762円
人文・教養・人間科学部 21万9955円 36万2770円
工学部 22万3503円 35万8784円
国際関係学部 21万8179円 36万7289円
理学部 22万213円 35万4493円
教育・教員養成系学部 22万7891円 35万9000円
看護・医療・栄養学部 22万6211円 38万3559円
芸術学部 22万5500円 38万1008円
農・獣医畜産・水産学部 24万1836円 38万2218円
医学部 25万8125円 55万5571円
歯学部 28万2000円 52万円
※公立大学で地域内・地域外の区分がない大学は地域内に含む
出典:旺文社教育情報センター 2023年度大学の学費平均額(2023年9月29日)を元に作成

公立大学では、指定地域の内外により入学金に差があるといった点が特徴で、地域内出身者の入学金に対し、地域外出身者は1.25倍~3倍の差があります。

初年度納入金が高いのは、地域の内外を問わず医学部・歯学部系統であり、低いのは法律・外国語・体育・家政などの系統です。

地域の内外で入学金が異なるのは、全93公立大のうち87大学であり、9割を超える学校で地域差を導入していることが分かります。

私立大学の入学金平均額一覧

私立大学の入学金の学部別の平均額は、以下の通りです。

私立大学の学費は、大学ごとに大きな違いがあり、学部によっても文系は低め、理系は高めの傾向にあります。

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私立大学の入学金[学部系統別]平均額
学部系統 入学金
法学部 21万8115円
国際関係学部 22万3220円
経済・経営・商学部 22万4470円
文学部 22万7147円
外国語学部 22万5759円
人文・教養・人間科学部 22万6652円
工学部 23万1934円
教育・教員養成系学部 23万2727円
社会・社会福祉学部 22万8808円
芸術学部 23万4018円
理学部 22万6367円
家政・生活科学部 23万6143円
体育・健康科学部 23万8930円
農・獣医畜産・水産学部 24万7200円
看護・医療・栄養学部 26万312円
薬学部 31万3892円
歯学部 59万4118円
医学部 134万6774円
出典:旺文社教育情報センター 2023年度大学の学費平均額(2023年9月29日)を元に作成

私立大学の学部による入学金の傾向は、公立大学・地域内出身者と同様で、最も金額が低いのは法学部、国際関係学部…歯学部、医学部の順に高くなっています。

公立大学・地域内出身者と私立大学とを比べると、すべての学部において私立大学の方が高額です。一方、公立大学・地域外出身者の入学金と、私立大学を比較すると、歯学部・医学部を除く学部において公立大学・地域外出身者の入学金の方が高くなっています。

私立大学の入学金で最も高額なのは医学部で、公立大学との差額も最大です。

大学の入学金の納入タイミングはいつ?

入学金を納めるタイミングは大学によって異なりますが、合格発表から約1~2週間が一般的です。

また、受験方法によって合格発表のタイミングが異なり、それに応じて入学金の納入期日も異なります。

合格発表時期
  • 学校推薦型選抜:12月頃
  • 総合型選抜:11月頃
  • 一般入試(国公立):3月頃
  • 一般入試(私立):2月頃

例えば、学校推薦型選抜を選択して受験した場合、12月以降に行われる合格発表から1~2週間を目安に入学金を納入します。総合型選抜では11月以降、私立の一般入試では2月以降、国公立の一般入試では3月以降が目安です。

どの時期までに入学資金を準備しておくべきか、合格発表日や納入期日を正しく把握しておきましょう。

大学の入学金に関する注意点

大学の入学金に関する注意点は、以下の通りです。

  • 併願した場合は納入期日に注意する
  • 奨学金は入学金に使えない
  • 入学時に必要な費用は入学金だけではない

併願した場合は納入期日に注意する

前述の通り、受験方法によって入学金の納入時期が異なります。そのため、併願で複数の大学を受験する場合、志望順位の高い学校の合格発表前に、併願校の入学金の納入期日が訪れるケースがあります。入学金を納めなければ、入学権利を取り消されてしまいます。

例えば、併願で3つの大学を受験し、各大学の合格発表日と入学金納入期日が下表のようになるとします。

合格発表日 入学金納付期日
大学A(第1志望) 3月5日 3月15日
大学B(第2志望) 2月20日 3月1日
大学C(第3志望) 2月10日 2月20日

大学Aの合格発表日よりも、大学Bと大学Cの入学金納付期日の方が早いです。大学Aに合格しなかった場合を想定して、大学Bか大学Cのどちらかには入学金を納入しておく必要があります。

また、大学Cの納付期日と大学Bの合格発表日が同日となっていることも注意が必要です。志望順位の高い大学Bの合格発表を待ってから、合否によってどちらに入学金を納入するか決めることになるでしょう。もし大学Bに不合格だった場合、その日中に大学Cの入学金を納入しなければ、入学権利を失うことになります。

入学金納付期日や時間は見落とさないよう、細心の注意を払ってください。

奨学金は入学金に使えない

奨学金で入学金を賄えると考える人もいるかもしれませんが、奨学金の支給開始は入学後からとなります。

高校在学中に奨学金の支給が決定している学生でも、実際に振込が開始されるのは大学に入学した年の4~6月頃です。したがって、入学金の支払いに奨学金をあてることはできません。

入学時に必要な費用は入学金だけではない

大学入学時に必要な費用は、入学金だけではありません。入学金と一緒に授業料も支払うことになります。一般的に、授業料は前期分を先に納入する形となるでしょう。

また、授業で使う教科書やPCなどの購入費用もかかります。学部によっては教材費が高額なこともあるので、事前にどれくらいの費用が必要になるか調べておきましょう。

大学入学時に入学金以外で必要になる費用
  • 授業料
  • 教科書購入費用
  • 引っ越し費用
  • PC購入費

さらには、自宅から通学できない範囲に大学がある場合は、寮やアパートで一人暮らしをすることになるでしょう。引っ越し費用や不動産会社への仲介手数料、家具や家電の購入費についても考慮しておかなければなりません。

大学の入学金が払えない場合どうする?

家庭状況によっては、入学金の準備が難しいこともあるでしょう。がんばって貯めてきたが、それだけでは足りないという人もいるかもしれません。

大学の入学金が払えない場合の対策としては、以下が挙げられます。

  • 貸付金制度を活用する
  • 教育ローンを借りる
  • 就学支援金制度を利用する
  • 母子父子寡婦福祉資金貸付金制度を利用する
  • 生活福祉資金貸付制度を利用する
  • 教育費贈与を受ける

貸付金制度を活用する

住民税非課税世帯の人であれば、貸付金制度(生活福祉資金貸付)の活用を検討してみてもよいでしょう。

「生活福祉資金貸付」は、低所得者や高齢者、障害者の生活を経済的な部分から支援するための貸付制度です。都道府県社会福祉協議会を実施主体とし、市区町村社会福祉協議会が窓口となって実施しています。

本制度を入学金として使用する場合は、就学支度費として申請することで50万円まで無利子で借入できます。利用する場合は、住んでいる地域の社会福祉協議会に相談してみましょう。

教育ローンを借りる

教育ローンとは、日本政策金融公庫や銀行、信用金庫などで扱われているローンです。奨学金とは違って入学前でもお金が借りられるので、大学の入学金に充てることも可能です。

一般的に教育ローンは、カードローンや消費者金融のキャッシングなどに比べて金利が低く設定されています。例えば、日本政策金融公庫が取り扱っている教育ローンであれば、学生1人あたり上限350万円まで借入でき、金利は固定で2.25%です。返済期間も最長18年と、長期間の返済が可能です。

ただし、教育ローンは一定以上の収入がない場合は審査に落ちる可能性があります。また、カードローンやキャッシングより金利は低いものの、金利1.0%前後の貸与型第二種奨学金と比較すると高いと感じるかもしれません。

銀行の教育ローンを検討するときは、金利や借り入れ可能額、返済方法など、さまざまなポイントを比較することが大切です。おすすめの教育ローンランキング|金利の低さや審査方法を徹底比較でおすすめの教育ローンを紹介しています。

就学支援制度を利用する

就学支援制度の正式名称は、「高等教育の修学支援新制度」です。低所得者世帯の学生も格差なく教育が受けられることを目的としており、収入や資産が一定以下で、学習意欲のある学生が対象となります。

就学支援制度を利用することで入学金の免除や減額が適用され、さらに給付型の奨学金も給付されるため、採用された場合は進学にかかる費用を軽減できるでしょう。

授業料等減免の上限額は、国公立大学で入学金約28万円、私立大学は約26万円が上限です。入学金が上限を下回る場合は、入学金が全額免除となります。

ただし、一定以上の収入がある世帯は利用できません。また、評定平均値や成績等が一定レベルでない場合は利用できない点も注意が必要です。

以下は、本人が18歳、夫が給与所得者、妻が無収入、中学生の兄弟がいるケースの例です。

国公立大学の場合(※1)
区分(※2) 給付型奨学金(年額) 入学金 授業料
自宅から通学 自宅外から通学
第Ⅰ区分 約35万円 約80万円 約28万円 約54万円
第Ⅱ区分 約23万円 約53万円 約19万円 約36万円
第Ⅲ区分 約12万円 約27万円 約9万円 約18万円
私立大学の場合(※1)
区分(※2) 給付型奨学金(年額) 入学金 授業料
自宅から通学 自宅外から通学
第Ⅰ区分 約46万円 約91万円 約26万円 約70万円
第Ⅱ区分 約31万円 約61万円 約17万円 約47万円
第Ⅲ区分 約15万円 約30万円 約9万円 約23万円
出典:文部科学省 高等教育の就学支援新制度を元に作成
(※1)第Ⅱ区分、第Ⅲ区分は、それぞれ第Ⅰ区分の2/3、1/3。少数第一位を四捨五入して掲載
(※2)第Ⅰ区分は住民税非課税世帯、第Ⅱ区分・第Ⅲ区分は住民税非課税世帯に準ずる世帯

この制度開始から1年間で、約27万人の学生が利用しています。

また、この給付型奨学金を受けている学生は、日本学生支援機構の貸与奨学金も併せて利用可能であるため、ぜひ検討してみましょう。

母子父子寡婦福祉資金貸付金制度を利用する

母子家庭・父子家庭の場合、必要資金を無担保で貸し付ける「母子父子寡婦福祉資金貸付金制度」を利用できる可能性があります。

対象となるのは、「20歳未満の児童を扶養している配偶者のいない女子または男子、寡婦等」(引用:内閣府 男女共同参画局)で、「就学支度資金」については就学や修業に必要な資金が対象です。

国公立大学の場合は42万円、私立大学は59万円までの申し込みが可能で、受験前でも申し込みが可能な点が特徴です。

受け取りまでには、1カ月程度かかり、親が借受人となる場合は、児童または子どもが連帯借受人となります。無利子で借りられることが大きなメリットです。

生活福祉資金貸付制度を利用

都道府県社会福祉協議会が実施している「生活福祉資金貸付制度」は、低所得の世帯などを前提とした貸付制度です。

生活福祉資金貸付制度のうち、就学支援のための貸付に「教育支援資金」があり、うち「教育支援費」と「就学支度費」の2種類があります。

いずれも、未払いの費用のみ貸付の対象となります。

入学金などの費用の貸付は「就学支度費」にあたり、50万円を上限として貸付しています。また、就学のための費用の貸付は「教育支援費」で、大学進学の場合は月額6万5000円を上限として支給されます。

学費が不足する場合や就学際しての熱意や計画性がるなど、「特に必要と認める場合」は、1.5倍の9万7500円が上限です。

この貸付制度には、世帯収入が居住地域の社会福祉協議会の定める収入基準を超えないなど、一定の条件があります。

まずは、地域の社会福祉協議会に相談してみましょう。

教育費贈与を受ける

親族(祖父母など)から資金援助の話があれば、教育費贈与(教育資金の一括贈与)の利用を検討してみてもよいでしょう。本制度は、親族から教育資金を一括で贈与される際に、1500万円まで贈与税が非課税になる制度です。

該当する教育費は入学金や授業料、通学交通費など幅広いのも特徴です。塾などの習い事費用については500万円が上限となっています。

贈与を受けた本人が30歳に達したときに、口座に残額があると贈与税が課されます。そのため、教育資金として受け取った資金は、目的に沿って計画的に使用することが重要です。

本制度は2023年3月31日に終了予定でしたが、税制改正によって2026年3月31日まで延長されることになりました。

学費の工面に不安がある場合はFPヘの相談も検討しよう

入学金の借入制度や、学費の準備に不安がある人はファイナンシャルプランナー(FP)に相談する方法もあります。お金の専門家であるFPに相談することで、経済状況に合わせて適切な解決策をアドバイスしてくれるでしょう。

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まとめ

大学の入学金の平均は、国立大学は約28万円、私立文系大学は約23万円、私立大学理系は約25万円です。入学金を納めるタイミングは大学によって異なりますが、合格発表から約1~2週間が標準的です。

入学金のほかにも、授業料や教科書代などの費用も必要です。一人暮らしを始める場合には、引っ越し費用なども用意しなければなりません。大学の入学に必要な資金が足りない場合は、お金を借りるのも手です。貸付金制度や教育ローンなどの活用を検討しましょう。具体的なアドバイスが欲しい人は、FPに相談してみるのも有効です。

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