結婚後のお金の管理方法(共働き・専業)トラブルを回避するためのポイントを紹介

執筆者:マネーFix 編集部

【監修】株式会社RKコンサルティング

河合 克浩

一般企業、外資系金融機関を経て、現在はファイナンシャルプランナー(FP)として年間150件超のマネー相談に対応。難しく感じる経済やお金の話をわかりやすく説明することに定評がある。夢を実現するため相談者に寄り添い、人生が豊かになるサポートを心がけている。

結婚する予定のカップルや、結婚したばかりの夫婦にとって重要なのが「お金の管理方法を決める」ことです。2人で暮らす以上、どちらかが身勝手なお金の使い方をするとトラブルが起きる可能性があります。また、将来的にマイホームや子どもを考えているなら、ある程度まとまったお金を用意しなければなりません。

この記事では、お金の管理をしたいと思っている夫婦のために、続けられるお金の管理方法を解説します。

結婚後のお金の管理方法

結婚後の夫婦間のお金の管理は、ある程度のルールを決めておくことが重要です。2人で暮らす以上、お互いが好き勝手にお金を使ったらトラブルになりかねません。

望ましい管理方法は、共働きなのか、どちらか一方が専業主婦(主夫)かによって異なるため、それぞれ解説します。

共働きの場合のお金の管理方法

共働きの場合のお金の管理方法として、以下の2種類があります。

  • 費用項目ごとの役割分担
  • 共通の銀行口座で管理

費用項目ごとの役割分担

「家賃は夫、食費は妻」など、費用ごとにどちらが出すか決める方法です。一般的な費用の分け方は以下の通りですが、生活スタイルに合わせて自由に決めて構いません。

  • 食費
  • 水道・光熱費
  • 家具・家事用品
  • 服飾費
  • 保険・医療費
  • 交通・通信費
  • 教育費
  • 教養・娯楽費

自分が担当する費用さえ支払えば、相手に収入の総額を知られることがないのがメリットです。

ただし、お互いに相手の収入状況がわからない状態だと、いざというときに困る可能性もあります。例えば、急に大きな出費が必要になっても、相手の貯蓄がまったくないという事態も起こり得るでしょう。

また、子どもができたら食費や教育費が増えるなど、かかる費用は年々変化していきます。適宜担当を変更したり、管理方法そのものを見直したりするなど、柔軟に対応しましょう。

共通の銀行口座で管理

共通の銀行口座を作り、それぞれの収入に合わせて毎月の生活費を入金し、その中でやりくりする方法です。残りはそれぞれのお小遣いにしたり、貯蓄に回したりします。「毎月いくら出せばよいか」が明確になるので、トラブルになりにくいのがメリットです。

ただし、こちらも口座に入れるお金以外は、相手の収入やお金の使い道はわかりません。相手が残ったお金をすべて使ってしまい、貯蓄がまったくない事態も考えられます。

そのため、生活費用の口座とは別に貯蓄用口座を作り、そこにお互いが毎月一定額ずつ入金する形が望ましいでしょう。

片方が専業主婦(主夫)の場合

片方が専業主婦(主夫)の場合は、家計担当を決めて一括管理する方法がよいでしょう。給料をすべて家計担当に預け、そこからお小遣いをもらう形です。

この方法のメリットは、家計を一元管理できるので貯蓄がしやすいことです。ただし、お小遣いをもらう側は自由になる金額が少なくなるため、不満が生じやすくなります。

この方法をとる場合は、管理する側が相手に支出や貯蓄の情報をこまめに報告しましょう。また、相手の要望があれば一時的にお小遣いを増やすなど、ある程度は柔軟に対応することも必要です。

さらに詳しく夫婦とお金のことを知りたい方は、夫婦でお金の管理する方法で詳しく解説しています。

2人暮らしに必要な生活費の相場

2人暮らしを始める際には、だいたいの生活費を把握しておくとよいでしょう。

下表は、総務省の家計調査をもとにした2人暮らしの生活費の平均値です。

費目 金額
食費 6万7573円
水道・光熱費 2万2037円
家具・家事用品 1万840円
服飾費 6,820円
保険医療費 1万4895円
交通・通信費 3万4348円
教育費 413円
教養・娯楽費 2万3118円
その他の支出 5万5981円
1ヵ月あたりの生活費合計 25万5318円
出典:総務省「家計調査(家計収支編)

なお、家賃は地域や間取りによって大きく差が出るため、表には入れていません。

2人暮らしに必要な生活費については、2人暮らしの生活費は平均いくら?世帯手取り別のシミュレーションや節約術も参考にしてください。

結婚後お金の管理でトラブルを起こさないためのコツ

結婚後のお金の管理では、以下のようなトラブルが起きがちです。

  • お小遣いの値上げ交渉が通らない
  • 自分の負担が相手に比べて大きすぎる
  • 実は相手に預貯金がまったくなかった

夫婦関係を良好に保ち、これらのトラブルを回避するためにも以下のコツを心得ておきましょう。

  • 毎月の収支を共有して不透明な部分をなくす
  • 毎月の貯蓄額は無理のない金額で設定する
  • 個人が干渉しない自由なお金を設定する
  • 夫婦で将来のビジョンについて話し合っておく

毎月の収支を共有して不透明な部分をなくす

毎月の収支を夫婦で共有して、不透明な部分をなくすことは重要です。

片方だけが収支を管理していると、相手に黙ってお小遣いに使うなどのルール違反が起きやすくなります。こうしたルール違反は、後々トラブルになる可能性があります。

情報を共有するためには、共通のアカウントで利用できる家計簿アプリを使うのもおすすめです。家計簿アプリの中には、2人の共通のお金と個人のお金を分けて管理できるものもあります。プライバシーを保ちつつ、家庭のお金の状況をリアルタイムに把握できるので便利です。

毎月の貯蓄額は無理のない金額で設定する

毎月の貯蓄額は無理のない金額で設定しましょう。目安は手取り収入の20%といわれていますが、生活費を確保できないようならこれより少なくて構いません。

無理な節約をしたことでストレスを溜め、その反動で浪費に走ってしまったら元も子もありません。また、貯蓄を始めるときは、「5年後にマイホームを買うために500万円貯める」というように、目標金額や期間を決めるのがおすすめです。

お互いに干渉しない自由なお金を設定する

お互いに干渉しない自由なお金を設定しておくことも重要です。自由なお金がなかったり、相手のお金の使い方に干渉しすぎたりすると、相手によっては「へそくり」をするなどしてお金を確保しようとするかもしれません。

その事実が発覚すると、「隠し事をしていた」と相手に不信感を与えることになるでしょう。さらにはこれが原因で、別居や離婚など、深刻な状況に発展する可能性もあるでしょう。

夫婦で将来のビジョンについて話し合っておく

夫婦で将来のビジョンについて話し合っておくことも大切です。例えば、「持ち家に住むか、賃貸に住み続けるか」「子どもの有無や人数」などについて、結婚する段階で話し合い、意見をまとめておきましょう。

ただし、「将来はこうしたい」という希望があっても、先立つものがなければ難しいのが現実です。お金がないことが原因でビジョンを変更せざるを得なくなれば、夫婦間のトラブルの原因になりかねません。

トラブルを防ぐためにも、以下の点を話し合い、確認しておきましょう。

  • 現在の貯蓄や収入
  • お金の使い方や価値観
  • 理想のライフプラン
  • 目標とする貯蓄額と期間

結婚後に貯蓄を着実に増やすポイント

結婚後に貯蓄を着実に増やすためのポイントは、以下の通りです。

  • 定期的に支出を見直す
  • 貯蓄と生活費を分ける
  • 資産形成について学ぶ
  • FPに相談しながら長期的な資金計画を立てる

定期的に支出を見直す

定期的に支出を見直すのは大切です。例えば、以下の点に着目し、余計な費用が生じていないか定期的にチェックするとよいでしょう。

  • 保障が重複する保険商品を複数契約していないか
  • 使っていないサブスクリプションがないか
  • 携帯電話の料金プランを変更できないか

月単位で見れば減らせる金額が少なくても、年単位となるとかなりの金額になったりします。その分を貯蓄に回せると望ましいです。

貯蓄と生活費を分ける

貯蓄を増やすためには、貯蓄と生活費を分けることを心がけてください。口座を別にするなどして明確に分けておかないと、ついつい生活費で使いすぎてしまい、貯蓄ができないということも起こり得ます。

無理なく貯蓄を続けるためには、先取り貯蓄を取り入れるのもおすすめです。毎月の収入から一定額を貯蓄に回し、残った額を生活費に充てる方法です。貯蓄を意識して生活する必要がないので、ストレスなく貯められます。

先取り貯蓄を行う際は、毎月一定の金額を貯蓄用の銀行に引き落とす設定にするなど、自動化しておくと手間が省けるのでおすすめです。

資産形成について学ぶ

投資などの資産形成についても学ぶとよいでしょう。貯蓄するだけでもお金は貯まりますが、それを運用すればさらに効率的に資産を増やしていけます。

例えば、毎月5万円を想定利回り年3.0%で10年間積み立てた場合、最終積立金額は698万7071円になります。元本は600万円なので、98万7071円の運用益が得られる計算です。

主な資産形成の方法は、以下の通りです。

  • 株式投資
  • 投資信託

ただし、投資である以上、損をする可能性はゼロではありません。それぞれの方法のメリット・デメリットを学び、最初は損をしても問題がない金額から始めましょう。

FPに相談しながら長期的な資金計画を立てる

結婚後に夫婦で着実にお金を貯めていくためには、ファイナンシャルプランナー(FP)に相談するのもおすすめです。各自の状況や、思い描くライフプランに合わせてFPが最適なアドバイスをしてくれます。

お金の専門家であるFPには、主に以下のような内容を相談できます。

  • 家計管理
  • 教育資金
  • 住宅資金
  • 税制
  • 資産運用
  • 保険

夫婦だけでは決断できないことでも、FPが間に入ることで円滑に進められる可能性があります。結婚を機にFPに相談して、長期的な資金計画を立てるのもよいでしょう。

FP相談には有料のケースと、無料のケースがあります。無料でのFP相談なら、こちらから申し込むことが可能です。

まとめ

結婚生活においてお金の管理は重要です。どちらか一方が身勝手なお金の使い方をすればトラブルにつながります。むやみに制限を加えるのは好ましくないものの、ある程度のルールは欠かせないでしょう。

将来的にマイホームを購入したり、子どもをつくったりしたい場合は、相応の資金計画を立てる必要があります。FPに相談することで、より円満に資金計画を立てたり、お金の管理方法を決めたりすることができるでしょう。

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