退職金の受け取り方法は複数あります。
どのようにして受け取るかによって、手元に残る金額が変わってきます。
この記事では、お得な退職金のもらい方や、退職金をもらう際の手続きの流れについて解説します。
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マネーFix 編集部
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退職金の受け取り方法は複数あります。
どのようにして受け取るかによって、手元に残る金額が変わってきます。
この記事では、お得な退職金のもらい方や、退職金をもらう際の手続きの流れについて解説します。
退職金のもらい方には複数あり、どの方法が一番お得になるかは一概にはいえません。
ただし、税の優遇措置の面では、「一時金として受け取る方法」が一番お得です。
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退職金のもらい方は、以下の3つです。
● 一時金として受け取る
● 年金として受け取る
● 一時金と年金を組み合わせて受け取る
それぞれのメリットとデメリットは、以下の通りです。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
一時金として受け取る | 税制面の優遇が大きい | つい使いすぎてしまう可能性がある |
年金として受け取る | 受取総額が大きくなる | 毎年の収入が増えるため税負担が大きくなる |
一時金と年金を組み合わせて受け取る | それぞれのメリットを享受できる | 企業によっては受け付けていない |
それぞれについて、どのもらい方がどのような人に向いているのか見ていきましょう。
退職金を一時金として受け取る方法とは、すなわち、退職金を一括して受け取る方法のことです。
その場合は、「退職所得」として所得税・住民税の課税対象となります。
ただし、税負担が重くならないよう手厚い優遇措置が用意されています。
退職金を一時金として受け取る場合の控除額は、以下の通りです。
勤続年数 | 控除額 |
---|---|
20年以下 | 40万円×勤続年数 |
20年超 | 800万円+70万円×(勤続年数-20年) |
※勤続年数1年未満の部分は1年として算入
例えば、勤続年数が15年と25年の場合、控除額はそれぞれ以下のようになります。
退職金が上記金額を下回る場合は、課税されません。
一方、退職金が控除額を超えた場合の税率と控除額は以下の通りです。
課税退職所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
194万9000円まで | 5% | 0円 |
195万円~329万9000円 | 10% | 9万7500円 |
330万円~694万9000円 | 20% | 42万7500円 |
695万円~899万9000円 | 23% | 63万6000円 |
900万円~1799万9000円 | 33% | 153万6000円 |
1800万円~3999万9000円 | 40% | 279万6000円 |
4000万円以上 | 45% | 479万6000円 |
課税退職所得金額が大きくなるにつれて所得税率は高くなりますが、控除額もまた大きくなります。
また、退職金を一時金として受け取る場合、課税退職所得金額の1/2のみが課税対象となります。
所得税額の計算式は、以下の通りです。
【計算方法】
課税退職所得金額×1/2×税率-控除額
例えば、課税退職所得金額が3000万円の場合の税額は下記のように計算できます。
(3000万円×1/2×0.4)-279万6000円=320万4000円
退職金を一時金として受け取るのがおすすめの人は、以下の通りです。
退職金を一時金として受け取るメリットは、大きな税制優遇が得られること。
課税対象となるのは課税退職所得金額のみであり、さらにそこから控除も受けられます。
また、退職金を一時金として受け取る場合は分離課税の対象となるため、ほかの所得とは合算せずに税率が計算されます。
さらには、退職金を一括して受け取ることによりまとまった金額が入るため、住宅ローンの残債の返済に充てたり、資産運用してさらに増やしたりといった使い方もできます。
退職金を一時金として受け取るデメリットは、一度に大きなお金が手に入るため、つい使いすぎてしまう可能性があることです。
退職金を無計画に使うと、老後の資金が不足してしまいます。
退職金を一時金として受け取る場合は、しっかりとライフプランを立てておくのが賢明です。
退職金を年金として受け取る方法とは、すなわち、退職金を分割で受け取る方法のことです。
その場合は、雑所得として所得税・住民税の課税対象となりますが、控除を受けることが可能です。
収入金額によっては、65歳未満と65歳以上で控除額の計算方法が異なります。詳細を以下にまとめました。
収入金額 | 控除額 |
---|---|
60万円以下 | 0円 |
60万円超130万円未満 | 収入金額の合計額-60万円 |
130万円超410万円未満 | 収入金額の合計額×0.75-27万5000円 |
410万円超770万円未満 | 収入金額の合計額×0.85-68万5000円 |
770万円超1000円未満 | 収入金額の合計額×0.95-145万5000円 |
1000万円以上 | 収入金額の合計額-195万5000円 |
収入金額 | 控除額 |
---|---|
110万円以下 | 0円 |
110万円超330万円未満 | 収入金額の合計額-110万円 |
330万円超410万円未満 | 収入金額の合計額×0.75-27万5000円 |
410万円超770万円未満 | 収入金額の合計額×0.85-68万5000円 |
770万円超1000円未満 | 収入金額の合計額×0.95-145万5000円 |
1000万円以上 | 収入金額の合計額-195万5000円 |
例えば、収入金額が700万円の場合の課税対象所得は次の通りです。
700万円×0.85-68万5000=526万5000円
ちなみに、退職金を年金として受け取る場合は、雑所得として扱われるため、給与などほかの収入と合算されて税額が計算されます。
退職金を年金として受け取るのがおすすめの人は、以下の通りです。
退職金を年金として受け取るメリットは、一時金として受け取る場合よりも総額が大きくなることです。
また退職金を年金として受け取る場合、受け取っていない部分が運用されるため、運用益が上乗せされる可能性もあります。
特に終身年金の場合は、長生きするほど受け取る退職金の総額は大きくなります。
退職金を年金として受け取るデメリットは、毎年の税負担が大きくなることです。
また、国民健康保険や介護保険等の保険料も所得に応じて高額になってしまいます。
退職金を年金として受け取る場合、一時金として受け取るときほど税制面での優遇措置が充実していないため、一時金として受け取る場合よりも手取りが少なくなってしまう可能性もあることに注意しましょう。
退職金を一時金と年金を組み合わせて受け取る方法とは、一部を一時金、残りを年金として受け取る方法のことです。
税金の算出方法に関して、一時金受取部分に関しては一時所得のものが、年金受取部分に関しては雑所得のものが適用されます。
一時金と年金を組み合わせて受け取るメリットは、それぞれのメリットを享受できる点です。
例えば、一時所得における控除の上限金額までを一時受取にして税制優遇を最大限に受け、残りを年金受取として受取総額を増やすこともできます。
一時金と年金を組み合わせて受け取る方法のデメリットは、税金の額や収入の計算が複雑になるため、ライフプランの設計に手間がかかる点です。
また、このような受け取り方法を採用していない企業もあるため、注意が必要です。
退職金を受け取る際の注意点は、以下の通りです。
退職金は、老後に必要となる資金についてしっかり検討してから、もらい方を決めましょう。
老後に必要となる資金次第で、お得なもらい方が異なるためです。
例えば住宅ローンの残債がある場合、退職金を一括受取して残債をすべて返済することで、支払う利息の総額を小さくできます。
また、退職金の年金受取のぶんだけで生活費を賄えそうな場合は、こちらの方が収入は安定するでしょう。
いつどのくらいのお金が必要になるのかしっかりと計画を立ててから、退職金のもらい方を決めた方が良いでしょう。
退職金をもらう際は、計算方法をもとにシミュレーションをしておきましょう。
条件によって、どの受け取り方の方がより多くのお金が手元に残るのかが変わってきます。
例えば、勤続年数30年、退職金を2000万円として、一時金で受け取る場合と、年金で受け取る場合を比較してみましょう。
一時金の場合
税額:(2000万円-800万円-70万円×10)×1/2×0.2-42万7500円=7万2500円
年金の受取総額:2000万円-7万2500円=1992万7500円
年金の場合
年間の税額=(121万3100円-60万円)×0.2=12万2620円
年金の総受取額:(121万3100-12万2620円)×20=2180万9600円
※60歳から20年間受取、給付利率を2%、所得税・住民税の税率を20%とする
この条件では、年金として受け取る方が総受取額は大きくなることがわかります。
自己都合退職とは、会社の倒産などではなく、転職や家庭など個人の事情で退職することです。
自己都合退職の場合、退職金が満額支給されないのが一般的です。
自己都合退職により会社側にとっては新しい人材を確保するためのコストがかかり、その損失分は退職者が負担するものと考えられているからです。
厚生労働省 中央労働委員会「令和元年退職金、年金及び定年制事情調査」によると、退職金の金額は定年退職で1213万8000円、自己都合退職の場合414万4000円という結果になっています。
勤続年数が長く、退職金の満額が大きい場合には、自己都合退職による損失が大きくなるでしょう。
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退職金をどうやって受け取るのがお得なのかという点については、ケースバイケースであるため一概にはいえません。
受け取り方法によるシミュレーションすると、自分にとってどの方法が適しているのかわかります。
自分でシミュレーションするのが難しい場合は、ファイナンシャルプランナーなどプロに相談してみるのもおすすめです。
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