※本サイトは一部アフィリエイトプログラムを利用しています

退職金のもらい方はどの方法が一番お得?手続きの流れも解説

執筆者:マネーFix 編集部

マネーFix 編集部

マネーFix 編集部は、FP有資格者や「ビジネス書」や「学習参考書」などさまざまなジャンルの編集経験者で構成されています。わかりやすく確かな情報を発信し「人生におけるお金の決断」の判断基準となる、信頼できるメディアを目指します。

退職金の受け取り方法は複数あります。

どのようにして受け取るかによって、手元に残る金額が変わってきます。

この記事では、お得な退職金のもらい方や、退職金をもらう際の手続きの流れについて解説します。

退職金のもらい方はどの方法が一番お得?

退職金のもらい方には複数あり、どの方法が一番お得になるかは一概にはいえません。

ただし、税の優遇措置の面では、「一時金として受け取る方法」が一番お得です。

お金について総合的なアドバイスが欲しい!

退職金のもらい方

退職金のもらい方は、以下の3つです。

● 一時金として受け取る

● 年金として受け取る

● 一時金と年金を組み合わせて受け取る

それぞれのメリットとデメリットは、以下の通りです。

  メリット デメリット
一時金として受け取る 税制面の優遇が大きい つい使いすぎてしまう可能性がある
年金として受け取る 受取総額が大きくなる 毎年の収入が増えるため税負担が大きくなる
一時金と年金を組み合わせて受け取る それぞれのメリットを享受できる 企業によっては受け付けていない

それぞれについて、どのもらい方がどのような人に向いているのか見ていきましょう。

一時金として受け取る

退職金を一時金として受け取る方法とは、すなわち、退職金を一括して受け取る方法のことです。

その場合は、「退職所得」として所得税・住民税の課税対象となります。

ただし、税負担が重くならないよう手厚い優遇措置が用意されています。

退職金を一時金として受け取る場合の控除額は、以下の通りです。

退職所得の控除額
勤続年数 控除額
20年以下 40万円×勤続年数
20年超 800万円+70万円×(勤続年数-20年)

※勤続年数1年未満の部分は1年として算入

例えば、勤続年数が15年と25年の場合、控除額はそれぞれ以下のようになります。

  • 勤続年数が15年の場合:40万円×15=600万円
  • 勤続年数が25年の場合:800万円+(70万円×5)=1150万円

退職金が上記金額を下回る場合は、課税されません。

一方、退職金が控除額を超えた場合の税率と控除額は以下の通りです。

退職所得の控除額を超えた場合の税率と控除額
課税退職所得金額 税率 控除額
194万9000円まで 5% 0円
195万円~329万9000円 10% 9万7500円
330万円~694万9000円 20% 42万7500円
695万円~899万9000円 23% 63万6000円
900万円~1799万9000円 33% 153万6000円
1800万円~3999万9000円 40% 279万6000円
4000万円以上 45% 479万6000円
出典:国税庁「退職金と税

課税退職所得金額が大きくなるにつれて所得税率は高くなりますが、控除額もまた大きくなります。

また、退職金を一時金として受け取る場合、課税退職所得金額の1/2のみが課税対象となります。

所得税額の計算式は、以下の通りです。

【計算方法】

課税退職所得金額×1/2×税率-控除額

例えば、課税退職所得金額が3000万円の場合の税額は下記のように計算できます。

(3000万円×1/2×0.4)-279万6000円=320万4000円

退職金を一時金として受け取るのがおすすめの人は、以下の通りです。

一時金として受け取るのがおすすめの人
  • 勤続年数が長い
  • 住宅ローンなどの支払いをまとめて済ませたい
  • 計画的な資産運用ができる

一時金として受け取るメリット

退職金を一時金として受け取るメリットは、大きな税制優遇が得られること

課税対象となるのは課税退職所得金額のみであり、さらにそこから控除も受けられます。

また、退職金を一時金として受け取る場合は分離課税の対象となるため、ほかの所得とは合算せずに税率が計算されます。

さらには、退職金を一括して受け取ることによりまとまった金額が入るため、住宅ローンの残債の返済に充てたり、資産運用してさらに増やしたりといった使い方もできます。

一時金として受け取るデメリット

退職金を一時金として受け取るデメリットは、一度に大きなお金が手に入るため、つい使いすぎてしまう可能性があることです。

退職金を無計画に使うと、老後の資金が不足してしまいます。

退職金を一時金として受け取る場合は、しっかりとライフプランを立てておくのが賢明です。

年金として受け取る方法

退職金を年金として受け取る方法とは、すなわち、退職金を分割で受け取る方法のことです。

その場合は、雑所得として所得税・住民税の課税対象となりますが、控除を受けることが可能です。

収入金額によっては、65歳未満と65歳以上で控除額の計算方法が異なります。詳細を以下にまとめました。

退職金(雑所得)の所得税控除額(65歳未満の場合)
収入金額 控除額
60万円以下 0円
60万円超130万円未満 収入金額の合計額-60万円
130万円超410万円未満 収入金額の合計額×0.75-27万5000円
410万円超770万円未満 収入金額の合計額×0.85-68万5000円
770万円超1000円未満 収入金額の合計額×0.95-145万5000円
1000万円以上 収入金額の合計額-195万5000円

退職金(雑所得)の所得税控除額(65歳以上の場合)
収入金額 控除額
110万円以下 0円
110万円超330万円未満 収入金額の合計額-110万円
330万円超410万円未満 収入金額の合計額×0.75-27万5000円
410万円超770万円未満 収入金額の合計額×0.85-68万5000円
770万円超1000円未満 収入金額の合計額×0.95-145万5000円
1000万円以上 収入金額の合計額-195万5000円
出典:国税庁「公的年金等の課税関係」 ※公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が1000万円以下の場合

例えば、収入金額が700万円の場合の課税対象所得は次の通りです。

700万円×0.85-68万5000=526万5000円

ちなみに、退職金を年金として受け取る場合は、雑所得として扱われるため、給与などほかの収入と合算されて税額が計算されます。

退職金を年金として受け取るのがおすすめの人は、以下の通りです。

年金として受け取るのがおすすめの人
  • 終身年金がある
  • 退職時点でお金に困っていない

年金として受け取るメリット

退職金を年金として受け取るメリットは、一時金として受け取る場合よりも総額が大きくなることです。

また退職金を年金として受け取る場合、受け取っていない部分が運用されるため、運用益が上乗せされる可能性もあります。

特に終身年金の場合は、長生きするほど受け取る退職金の総額は大きくなります。

年金として受け取るデメリット

退職金を年金として受け取るデメリットは、毎年の税負担が大きくなることです。

また、国民健康保険や介護保険等の保険料も所得に応じて高額になってしまいます。

退職金を年金として受け取る場合、一時金として受け取るときほど税制面での優遇措置が充実していないため、一時金として受け取る場合よりも手取りが少なくなってしまう可能性もあることに注意しましょう。

一時金と年金を組み合わせて受け取る方法

退職金を一時金と年金を組み合わせて受け取る方法とは、一部を一時金、残りを年金として受け取る方法のことです。

税金の算出方法に関して、一時金受取部分に関しては一時所得のものが、年金受取部分に関しては雑所得のものが適用されます。

一時金と年金を組み合わせて受け取るメリット

一時金と年金を組み合わせて受け取るメリットは、それぞれのメリットを享受できる点です。

例えば、一時所得における控除の上限金額までを一時受取にして税制優遇を最大限に受け、残りを年金受取として受取総額を増やすこともできます。

一時金と年金を組み合わせて受け取るデメリット

一時金と年金を組み合わせて受け取る方法のデメリットは、税金の額や収入の計算が複雑になるため、ライフプランの設計に手間がかかる点です。

また、このような受け取り方法を採用していない企業もあるため、注意が必要です。

退職金をもらう際の注意点

退職金を受け取る際の注意点は、以下の通りです。

老後についてしっかり検討してからもらい方を決める

退職金は、老後に必要となる資金についてしっかり検討してから、もらい方を決めましょう。

老後に必要となる資金次第で、お得なもらい方が異なるためです。

例えば住宅ローンの残債がある場合、退職金を一括受取して残債をすべて返済することで、支払う利息の総額を小さくできます。

また、退職金の年金受取のぶんだけで生活費を賄えそうな場合は、こちらの方が収入は安定するでしょう。

いつどのくらいのお金が必要になるのかしっかりと計画を立ててから、退職金のもらい方を決めた方が良いでしょう。

計算方法をもとにシミュレーションをしておく

退職金をもらう際は、計算方法をもとにシミュレーションをしておきましょう。

条件によって、どの受け取り方の方がより多くのお金が手元に残るのかが変わってきます

例えば、勤続年数30年、退職金を2000万円として、一時金で受け取る場合と、年金で受け取る場合を比較してみましょう。

一時金の場合

税額:(2000万円-800万円-70万円×10)×1/2×0.2-42万7500円=7万2500円

年金の受取総額:2000万円-7万2500円=1992万7500円

年金の場合

年間の税額=(121万3100円-60万円)×0.2=12万2620円

年金の総受取額:(121万3100-12万2620円)×20=2180万9600円

※60歳から20年間受取、給付利率を2%、所得税・住民税の税率を20%とする

この条件では、年金として受け取る方が総受取額は大きくなることがわかります。

自己都合退職の場合、満額支給されない

自己都合退職とは、会社の倒産などではなく、転職や家庭など個人の事情で退職することです。

自己都合退職の場合、退職金が満額支給されないのが一般的です。

自己都合退職により会社側にとっては新しい人材を確保するためのコストがかかり、その損失分は退職者が負担するものと考えられているからです。

厚生労働省 中央労働委員会「令和元年退職金、年金及び定年制事情調査」によると、退職金の金額は定年退職で1213万8000円、自己都合退職の場合414万4000円という結果になっています。

勤続年数が長く、退職金の満額が大きい場合には、自己都合退職による損失が大きくなるでしょう。

お金の相談は下記をクリック!

まとめ

退職金をどうやって受け取るのがお得なのかという点については、ケースバイケースであるため一概にはいえません。

受け取り方法によるシミュレーションすると、自分にとってどの方法が適しているのかわかります。

自分でシミュレーションするのが難しい場合は、ファイナンシャルプランナーなどプロに相談してみるのもおすすめです。

キーワードで記事を検索