夫婦の生活費の内訳はいくら?理想の割合や上手な分担方法も解説!

執筆者:マネーFIX 編集部

1ヶ月の間に何にいくら使っているか、生活費の内訳を把握できていますか?家計見直しはまずそこから。

理想と現実の差を比べることで、どの項目を削れるのか、どのくらい貯蓄に回すことができるのかが明確になります。

「なかなか貯金が増えない」「マイホーム取得に向けて貯金したい」という方のために、平均的な生活費の内訳や理想のバランス、貯蓄しやすい夫婦間での分担方法について解説します。

1ヶ月で何にいくら使ってる?夫婦の生活費の内訳

生活費に関する統計で有名なのが、総務省の「家計調査」です。

何にいくら使っているのか、細かい項目まで知ることができます。

「家計調査」において、いわゆる生活費に当たる項目は「消費支出」に分類されています。

しかし、この「消費支出」には、「土地家屋借金返済(住宅ローン返済費)」や「保険料」が含まれていません。

この2つは家庭によっては毎月支払いが発生する項目ですので、この記事では便宜的にこの2つを加えて「生活費」として解説したいと思います。

前置きが長くなってしまいましたが、2人以上の勤労者世帯の生活費の月額平均は38万5,780円、内訳は下記のようになりました。

可処分所得の平均 476,645円 支出に占める割合 可処分所得に占める割合
主な支出項目の平均 385,780円
  食料 77,431円 20.1% 16.3%
住居(賃貸料、修繕・維持費) 19,292円 5.0% 4.1%
土地家屋借金返済(住宅ローン返済費) 37,647円 9.8% 7.9%
光熱・水道 21,838円 5.7% 4.6%
家具・家事用品 12,079円 3.1% 2.5%
被服及び履物 12,935円 3.4% 2.7%
保険料 24,280円 6.3% 5.1%
保健医療 12,662円 3.3% 2.7%
交通 7,684円 2.0% 1.6%
自動車等関係費 31,054円 8.1% 6.5%
通信 16,206円 4.2% 3.4%
教育 18,529円 4.8% 3.9%
教養娯楽 31,948円 8.3% 6.7%
諸雑費(理美容、たばこなど) 24,995円 6.5% 5.2%
こづかい(使途不明) 11,897円 3.1% 2.5%
交際費 17,402円 4.5% 3.7%
仕送り金 7,901円 2.1% 1.7%

出典:総務省統計局|家計調査 2019年(令和元年)|1-1 都市階級・地方・都道府県庁所在市別1世帯当たり1か月間の収入と支出より作成

可処分所得(手取り収入)が約48万円、食料に約8万円、賃貸料に約2万円、住宅ローン返済費に約4万円……。

ここまで読んで「あれっ?」と思われた方も多いかもしれません。

それもそのはず、「家計調査」の数値を見る際には、以下の2点について注意しなくてはなりません。

一つは住居に関する数値です。

「家計調査」では、それぞれの項目の支払いがない世帯も含めて平均額が算出されています。

住宅ローンの支払いがある世帯は全体の3割、家賃の支払いがある世帯は全体の2割に留まるため、住居に関する支出は実態より低く見えることに留意しましょう。

住居費以外にも、教育費や自動車関連費など、家族構成やライフスタイルによって有無が分かれる項目についても同様のことが言えます。

  • 持ち家率・・・79.8%
  • 住宅ローンを支払っている世帯の割合・・・32.4%
  • 家賃・地代を支払っている世帯の割合・・・19.0%

もう一つは調査対象の属性です。

「家計調査」の調査対象には、世帯主の年齢や住んでいる地域、家族構成など、条件の異なるさまざまな世帯が混在しています。

それらすべての世帯の属性を平均すると、以下のような数値になります。

  • 世帯主の年齢・・・平均49.6歳
  • 世帯人員・・・平均3.31名
  • 有業人員(働いている人の数)・・・平均1.77名

つまり先ほど示した表は「夫婦に子どもが1人の3人家族、50歳になる夫がフルタイム・妻はパートタイムの共働き世帯」の平均値、というイメージです。

日本のすべての家族をこの「平均」に当てはめてしまうのは強引な感じがしますね。

そこで、年代別、地域別の数値も確認したいと思います。

年齢によって生活費はどう変化する?

ライフステージによってどんな項目にいくらお金が必要かは大きく変化していきます。

世帯主の年齢別の生活費は、34歳以下が最も安く、50代前半がピークとなりました。

~34歳 35~39歳 40~44歳 45~49歳 50~54歳 55~59歳 60~64歳
可処分所得 439,391円 469,478円 493,328円 516,180円 547,242円 533,492円 379,924円
主な支出項目 315,002円 370,235円 390,326円 428,094円 438,370円 427,951円 347,728円
食料 59,827円 73,636円 77,594円 81,770円 81,292円 82,110円 78,679円
住居
(賃貸料、修繕・維持費)
31,507円 21,268円 17,250円 17,705円 18,478円 16,748円 18,748円
土地家屋借金返済
(住宅ローン返済費)
33,732円 50,271円 51,250円 46,469円 44,522円 36,585円 16,413円
光熱・水道 17,701円 20,082円 21,432円 22,401円 23,043円 23,331円 23,266円
家具・家事用品 10,237円 11,224円 11,282円 12,161円 12,141円 13,674円 13,000円
被服及び履物 11,372円 12,510円 12,983円 15,040円 14,908円 14,088円 10,853円
保険料 22,059円 22,650円 27,321円 26,117円 29,507円 30,609円 19,642円
保健医療 9,935円 12,362円 11,381円 12,206円 12,266円 14,062円 13,463円
交通 5,627円 6,142円 6,935円 8,677円 9,509円 10,133円 7,791円
自動車等関係費 28,333円 31,471円 30,301円 35,000円 32,501円 37,533円 26,078円
通信 13,134円 14,761円 15,805円 18,365円 19,001円 18,549円 15,070円
教育 8,433円 15,304円 21,888円 32,805円 31,252円 18,561円 4,686円
教養娯楽 23,902円 33,101円 35,239円 36,829円 33,573円 31,722円 29,295円
諸雑費
(理美容、たばこなど)
22,252円 24,950円 23,644円 25,128円 26,051円 26,002円 25,691円
こづかい
(使途不明)
5,427円 8,025円 10,374円 12,456円 15,389円 15,712円 12,921円
交際費 11,362円 11,948円 12,490円 14,335円 16,415円 22,350円 26,023円
仕送り金 162円 530円 3,157円 10,630円 18,522円 16,182円 6,109円

出典:総務省統計局|家計調査 2019年(令和元年)|3-2 世帯主の年齢階級別より作成

年齢による変動が大きな項目を折れ線グラフに示しました。

食費は30代から40代にかけて右肩上がりで増えた後、ほぼ横ばいで推移します。

子どもが生まれると、成長とともに食費もかさみます。

60歳を過ぎると子どもが独立したり、収入が減ったりするものですが、食費は大きく減りません。

子どもと同居しているケースも考えられますが、一度増えた食費を抑えることは難しいようです。

住居の賃貸料は35歳以降に平均額が大きく下がることから、このタイミングでマイホームを購入する世帯が多いことが分かります。

住宅ローンの返済は30代後半から50代後半まで続き、さらに40代後半から50代後半にかけては、子どもの大学進学にともない教育費や仕送り金の負担も増えます。

もちろんこれは平均値ですので、実際に人生のどのタイミングでどのくらいのお金が必要になるかは、家庭によって差があります。

計画的に準備するためには、ライフプランを作ってシミュレーションしてみましょう。

年代別生活費の内訳

年代別生活費の内訳

生活費は地域によっても大きな差がある

住んでいる地域の物価やライフスタイルによっても、生活費の総額や内訳に差があります。

全国の主要都市(東京、札幌、名古屋、大阪、福岡)の生活費を比較すると、東京が最も高く、大阪が最も低いという結果になりました。

両者の差は月間9万4,000円、年間では100万円を超えます

物価が高いことや、進路の選択肢がほかの地域と比較して多いことから、東京は特に食料と教育費が突出しています。

幼稚園や小・中学校から受験を考えている、という家庭は教育費の準備が課題になりそうです。

日常的な交通手段が東京・大阪は公共交通機関がメインなのに対して、札幌、名古屋、福岡は自動車を利用する人が多いことから、交通費や自動車等関連費にも差が見られます

さらに言えば、自動車等関連費はこれらの主要都市よりも全国平均が高く、大都市圏以外ではクルマの利用が多いこともうかがえます。

全国 東京23区 札幌市 名古屋市 大阪市 福岡市
可処分所得 476,645円 554,445円 474,137円 443,084円 457,614円 465,675円
主な支出項目 385,780円 447,565円 367,426円 379,767円 353,943円 404,897円
食料 77,431円 92,787円 73,534円 79,145円 77,242円 77,279円
住居
(賃貸料、修繕・維持費)
19,292円 31,004円 24,496円 29,442円 22,103円 21,886円
土地家屋借金返済
(住宅ローン返済費)
37,647円 44,686円 35,840円 38,621円 40,825円 34,596円
光熱・水道 21,838円 21,524円 25,802円 21,173円 20,913円 19,626円
家具・家事用品 12,079円 12,734円 10,469円 11,947円 11,993円 11,860円
被服及び履物 12,935円 17,301円 12,405円 11,190円 11,829円 16,345円
保険料 24,280円 28,070円 18,527円 20,964円 21,146円 26,828円
保健医療 12,662円 16,228円 15,258円 12,302円 11,487円 11,982円
交通 7,684円 14,055円 6,189円 5,483円 9,945円 8,769円
自動車等関係費 31,054円 19,066円 28,261円 28,870円 12,510円 29,574円
通信 16,206円 14,759円 16,773円 15,601円 16,942円 16,314円
教育 18,529円 33,645円 14,253円 19,612円 17,859円 23,930円
教養娯楽 31,948円 41,746円 30,319円 32,910円 29,462円 35,122円
諸雑費
(理美容、たばこなど)
24,995円 26,274円 23,877円 24,919円 25,063円 27,224円
こづかい
(使途不明)
11,897円 10,126円 12,148円 8,520円 10,404円 12,693円
交際費 17,402円 18,516円 16,280円 15,869円 12,788円 20,192円
仕送り金 7,901円 5,044円 2,995円 3,199円 1,432円 10,677円

5大都市の生活費内訳

5大都市の生活費内訳
出典:総務省統計局|家計調査 2019年(令和元年)|1-1 都市階級・地方・都道府県庁所在市別 勤労より作成

理想的な支出割合とは?

生活費の理想的なバランスは家族構成によっても異なります

夫婦2人のみの場合と子どもがいる場合に分けて、3パターンの生活費の内訳を考えてみました。

以下はあくまで一例ですので、各家庭の理想のバランスを見つける際の参考にしてください。

ベストバランスが決まったら、固定費の見直しや変動費のやりくりにトライしましょう。

夫婦2人の場合

夫婦2人のみの時期は、貯蓄のチャンスです。

食費・住居費・光熱費などの基本的な生活費を集約でき、共働きであれば収入源が2つとなるためです。

妊娠・出産やマイホーム購入といった、今後のライフイベントに備え、手取り収入の20%を貯蓄に回したいところです。

夫婦2人の場合
割合
可処分所得 100% 300,000円
生活費 80% 240,000円
食費 15% 45,000円
住居費 25% 75,000円
光熱・水道費 4% 12,000円
通信費 5% 15,000円
保険料 4% 12,000円
教育費 0% 0円
教養・娯楽費 3% 9,000円
被服費 3% 9,000円
交際費 2% 6,000円
日用雑貨費 2% 6,000円
こづかい 12% 36,000円
その他 5% 15,000円
貯蓄 20% 60,000円

夫婦2人に小学生以下の子どもがいる場合

子どもが生まれると、当然のことながら「教育費」がかかってきます。

貯蓄額は10%を目標にすると同時に、子どもの進学資金の備えとして、養老保険や学資保険といった保険を利用することも検討しましょう。

夫婦+小学生以下の子ども
割合
可処分所得 100% 350,000円
生活費 90% 315,000円
食費 15% 52,500円
住居費 25% 87,500円
光熱・水道費 5% 17,500円
通信費 5% 17,500円
保険料 6% 21,000円
教育費 10% 35,000円
教養・娯楽費 3% 10,500円
被服費 3% 10,500円
交際費 2% 7,000円
日用雑貨費 2% 7,000円
こづかい 10% 35,000円
その他 4% 14,000円
貯蓄 10% 35,000円

夫婦2人に中・高校生の子どもいる場合

子どもが中・高校生に上がると「部活動で遠征に行く」「進学に向けて塾に通いたい」など、お子さんの活動範囲が広がるとともに教育にますますお金がかかります

貯蓄に回せる額は少なくなりますが、5~8%を目標にやりくりしてみましょう。

これから大学進学というビッグイベントも控えていますし、その後は夫婦の老後の生活資金についても考えなければなりません。

これまでの貯蓄を切り崩す「赤字家計」にならないよう注意しましょう。

夫婦+中・高校生の子ども
割合
可処分所得 100% 400,000円
生活費 92% 368,000円
食費 15% 60,000円
住居費 25% 100,000円
光熱・水道費 5% 20,000円
通信費 5% 20,000円
保険料 8% 32,000円
教育費 12% 48,000円
教養・娯楽費 3% 12,000円
被服費 3% 12,000円
交際費 2% 8,000円
日用雑貨費 2% 8,000円
こづかい 8% 32,000円
その他 4% 16,000円
貯蓄 8% 32,000円

こうすればうまくいく!共働き世帯の生活費分担方法

共働き世帯も増えていますが、そんなとき悩むのが「生活費の分担方法」です。

ここでは共働きでも不公平感が少なく、節約・貯蓄に役立つ生活費の分担方法を紹介します。

浪費を防ぎ、効率よく貯蓄できる「全額負担型」

「全額負担型」ではどちらか一方の収入で生活費をまかない、もう一方の収入は全額貯蓄に回します

もっともシンプルで、効率よく貯蓄できる方法です。

一人が責任を持って財布の紐を握り、もう一人は「こづかい制」という形になるため、こづかいの金額で不満が出ないようにするためにも、毎月の収支はしっかり共有しましょう。

「全額負担型」のメリット・デメリット

メリット:管理が簡単で、貯蓄しやすい

デメリット:こづかいの金額で揉めがち

各自で節約に励める「項目別負担型」

「項目別負担型」では生活費の項目別に負担します

複雑そうに聞こえますが、固定費と変動費で分けると管理がしやすくなります。

例えば、家賃や水道光熱費は夫の口座から引き落とされるようにして、料理を担当することが多い妻が食品や日用品を購入する、というのがよくあるパターンです。

残った給与は好きに使えるので「自分が担当する項目を抑えよう」というインセンティブが働きやすい方法と言えます。

ただし、貯蓄も個人で管理することになるため、マイホーム購入などの目標がある場合は、別途貯蓄用の共同口座を作るなどの工夫も必要です。

「項目別負担型」のメリット・デメリット

メリット:残った給与は好きに使えるので、お互いが担当する項目を抑える努力ができる

デメリット:お互いの貯蓄額が不明

2人で貯蓄している実感がある「共通財布型」

「共通財布型」では生活費用の共同口座を作り、そこにお互いの給与から一定の割合を振り込みます

収入に対する負担割合が同じなので、不公平感が出にくい方法です。

また、共同口座の残高が増えると「2人の努力が成果に結びついている」という手応えが感じられます

貯蓄をがんばりたい時期は、思い切って負担割合を増やすといいでしょう。

毎月口座に入金する必要があるため、「振り込みを忘れて残高が……」なんてことのないように気をつけてくださいね。

「共通財布型」のメリット・デメリット

メリット:不公平感が少ない

デメリット:毎月口座に入金するのが面倒

共働き世帯の生活費分担方法は「おさいふ相談室」でも取り上げられています。

専門家の回答もぜひ参考にしてみてください。

まとめ

今回は理想的な生活費の内訳について解説してきましたが、各家庭によって事情はさまざま。

また、理想のバランスが決まっても、実行に移すにはさまざまなハードルがあります。

そんなときは身近なお金のプロ、ファイナンシャル・プランナーへの相談がおすすめです。

現在の家計を診断し、どんな改善ポイントがあるか的確にアドバイスしてくれます。まずはお気軽に相談を。

関連する記事

キーワードで記事を検索