帝国データバンクの調査によると、2024年度は77%の企業で賃上げが実施されました。
しかし、67.7%の企業では、賃上げ率が5%未満にとどまっています。
物価上昇が続く中、賃上げされたからといって、すぐに財布のひもを緩めるのは得策ではないかもしれません。
この記事では、賃上げの実態や、今後の物価動向について解説します。
賃上げされても財布のひもを緩めるのはNG。2024年に待ち受ける家計負担とは
【記事執筆】FP川辺 拓也
3,000人を超える顧客からの相談実績をもとに、社会保障制度や家計に必要な金融知識を分かりやすく提供。2級ファイナンシャルプランニング技能士。金融全般から、お金に関する政策まで幅広く専門領域があり、複数の金融メディアに多数寄稿。
賃上げの実態調査
出典:帝国データバンク「賃上げ実績と初任給の実態アンケート」
帝国データバンクの「賃上げ実績と初任給の実態アンケート」によると、賃上げを実施した企業は77.0%でした。
多くの企業で賃上げが実施されましたが、7割近い企業では、賃上げ率が5%未満にとどまっています。
家計管理を慎重にすべき理由
2024年度は、多くの人が賃上げの恩恵を受けたかもしれませんが、以下の理由から、財布のひもを緩めるのには慎重になった方がよいでしょう。
- 食品や日用品の物価高
- 光熱費の負担増
- 住宅ローン金利の引き上げ
食品や日用品の物価高
帝国データバンクの「価格改定動向調査」によると、2024年も6,433品目の値上げが予定されています。
品目数は昨年ほどではないものの、値上げ率平均は19%となっており、2023年の15%を4ポイント上回っています。
また、日銀は、消費者物価の前年比が2%台後半になると予想しています。
光熱費の負担増
2024年は、電気やガスなどの光熱費の負担も増す可能性があります。
2024年4月現在、電気代やガス代は、政府が実施している補助金によって軽減されています。
しかし、補助金は5月末に終了するため、6月以降の電気代やガス代の負担は重くなります。
6月以降の標準家庭における電気代とガス代は、月額1,850円増加すると試算されています。
住宅ローン金利の引き上げ
住宅ローン金利の引き上げも、家計負担が増す要因の1つです。
3月に日銀がマイナス金利政策を解除しました。
これによって、住宅ローンの金利が上昇する可能性があります。
実際に、イオン銀行は5月から変動金利の基準金利を0.1%引き上げることを決定しました。
住宅ローンは金額が大きいため、0.1%の変化でも返済額に影響があります。
例)3000万円を30年ローンで借りている場合の月返済額
- 金利0.3%:8万7149円
- 金利0.4%:8万8447円
この場合、0.1%金利が上がると、約1,300円、月返の済額が増えることになります。
このように、2024年は、物価や光熱費、住宅ローンの負担が増える可能性があります。
そのため、賃上げされたとしても、家計管理は慎重に行う方がよいでしょう。
- 帝国データバンク「賃上げ実績と初任給の実態アンケート」