FIREとは|必要な資金やメリット・デメリットを解説

執筆者:マネーFix 編集部

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経済的不安を抱えることなく自由に暮らすことは、誰もが憧れることでしょう。

従来それを実現するためには、生涯尽きないだけの資金の貯蓄が必要でした。

しかし、資産運用をすることで、生涯尽きないほどの資金を貯蓄しなくても、経済的不安から脱却し、自由な暮らしを手に入れることが可能です。

それを実現する方法として注目されているのが、「FIRE」です。

この記事では、FIREのメリットやデメリット、必要な資金、FIREを実現するためのステップ、失敗しないための注意点について解説します。経済的不安のない自由な暮らしを手に入れるための手がかりとして、参考にしてください。

FIREとは

FIRE(ファイア)とは、「Financial Independence, Retire Early」の頭文字で、「経済的自立と早期リタイア」という意味です。

つまり、経済的な自立を得たうえで、仕事をやめることを指します。

従来、日本では終身雇用が主流だったため、定年まで会社に勤め続けるという考えが一般的でした。

しかし、働き方の多様化によりFIREが注目されています。

FIREと早期リタイアの違い

従来の早期リタイアは、一生困らない貯蓄ができた時点で退職することだと考えられてきました。

貯蓄を切り崩して生活することになるため、多額の資金を蓄え、貯蓄が底を尽きないようにしておく必要があります。

一方FIREは、資産運用をし、運用益で生活していくことを前提としています。

運用益で生活ができる資金が準備できた時点でリタイアするため、従来の早期リタイアと比べて、準備すべき資金が少なく、早い段階でのリタイアが可能になります。

FIREのメリット

FIREのメリットは、以下の2つです。

1.場所や時間に縛られず、自由な生活を送ることができる

経済的な自立を得ているため、家族のためにより多くの時間を使ったり、趣味やボランティア活動を中心にしたライフスタイルも可能になります。

新しい仕事を始めたり、好きなことを仕事にしたり、といった挑戦もしやすくなります。

また、会社勤めと異なり、働く場所や勤務時間に縛られることもなくなります。

そのため、住む場所や時間の使い方を自由に選択できるようになります。

2.お金に関するリテラシーが高まる

FIREの資金を準備するには、家計の見直しをしたり、資産運用の知識を習得する必要があります。

準備の段階から、節約や節税、投資といったさまざまなお金に関する知識が身につきます。

たとえ、FIREできなかったとしても、その過程で得たお金に関するリテラシーは、その後の人生の財産になります。

FIREのデメリット

FIREのデメリットは、以下の3つです。

1.資産運用が想定通りにいくとは限らない

FIREは資産運用による運用益で生活することを前提としていますが、一定の運用利回りを確保することは簡単ではなく、想定通りにいくとは限りません。

資産運用が上手くいかなければ、損失が出て生計が成り立たなくなってしまう可能性もあります。

2.人生の目標を見失ってしまう可能性がある

仕事は、単なる経済活動というだけでなく、やりがいや人生の目的、人とのつながりをもたらしてくれるものです。

そのため、仕事をしなくなると、喪失感を覚えるケースも少なくありません。

また、キャリアが継続しなくなる点も注意が必要です。再度仕事に就きたいと思っても、ブランクがあることで再就職が難しくなる可能性もあるでしょう。

3.会社勤めをしていた場合、厚生年金や退職金の金額が少なくなる

会社勤めをしていた場合、退職すると厚生年金から脱退し、国民年金に切り替わります。

厚生年金を満額受給することができなくなるため、定年まで会社勤めをした場合と比べると、年金受給額が少なくなります。

また、退職金は勤続年数に応じて金額が増加することが一般的なため、定年まで勤めた場合と比べると、受け取る金額が少なくなる場合があります。

FIREするための資金はいくら必要?

FIREの必要資金は、一般的に年間支出の25倍とされています。

その根拠は、「4%ルール」です。


これは米国から発した概念で、米国株式市場の成長率7%と、物価上昇率3%の差を根拠としています。

年間4%の運用益を得ることができ、支出を運用益以内に抑えることができれば、生計が立てられるという考え方です。

ただし、必要資金の算出根拠となる年間支出は、単身世帯と家族世帯の場合とで異なるので注意が必要です。

総務省における家計調査年報によると、2021年度の単身世帯における1ヵ月あたりの平均消費支出は、15万5046円です。

単身世帯の場合、年間支出は約186万円で、FIREに必要な資金は約4650万円となります。

一方、家族世帯(2人以上)の場合、1ヵ月あたりの平均消費支出は、27万9024円でした。

年間支出は約335万円で、FIREに必要な資金は8375万円となります。

生活費とFIREに必要な資金の目安は、下表の通りです。

1ヵ月あたりの生活費年間の生活費FIREの必要資金
10万円120万円3000万円
20万円240万円6000万円
30万円360万円9000万円
40万円480万円1億2000万円
50万円600万円1億5000万円

FIREを実現するのに必要な費用や計算方法はこちらの記事でも詳しく解説されています。合わせてご確認ください。

FIREするためのステップ

FIREを実現するために踏むべきステップは、以下の3つです。

  1. FIRE後に必要な生活費を算出する
  2. 資産を増やす
  3. できるだけ支出を抑える

1.FIRE後に必要な生活費を算出する

まずは、FIRE後に必要な生活費を算出します。例えば、上記の表で示した通り、必要な年間の生活費が360万円の場合、必要な資金は9000万円です。

FIREは、支出を運用益以内に収めることで生計を立てていく考え方のため、生活費の設定がとても重要になります。

家賃や固定費などの支出だけでなく、社会保険料の負担なども考慮に入れておく必要があります。

会社員と退職後では、保険種類や保険料が異なるため、よく調べてシミュレーションしましょう。

さらに、家族のライフイベントなども考慮に入れておく必要があります。

単純に1ヵ月あたりの支出だけで算出すると漏れてしまう可能性があるため、長期的なスケジュールを立てておくようにしましょう。

また、事故や病気などによる突発的な支出への備えも考慮に入れておくと、より安定度が増します。

2.資産を増やす

資金計画で必要な資産を把握したうえで、資産を増やすための貯蓄や投資をはじめましょう。

資産を増やすためには、投資がおすすめです。

日本の預金利息は利率が低く、資産を増やすには向いていません。

早期に投資を始めて長期的に運用すれば、資産を効率よく増やすことができます。

また、FIRE後は資産運用で生計を立てることを前提としているため、準備段階から投資に慣れておくことも必要です。

投資には、インデックス投資や分散型投資信託、株式投資やアクティブ型投資信託など、様々な方法があります。

投資の種類によって、ローリスクローリターンのものや、ハイリスクハイリターンのものもあります。

投資で資産を増やすにあたっては、投資方法の特徴を理解したうえで、過度なリスクを取ることを避け、分散投資を行うことが賢明です。

3.余計な支出を抑える

FIREを実現するために、支出を抑えることはとても重要です。

支出を抑えれば、必要な生活費が小さくなります。そして、より早く資金を準備することに繋がります。

FIREで失敗しないための注意点

FIREで失敗しないための注意点は、以下の2つです。

1.資金が不足しないようにする

資金が不足する要因として、資金計画が甘く、支出が収入を上回ってしまうことが挙げられます。

FIREにおいては生活費の設定がとても重要です。

ライフイベントなど、あらゆる支出を想定し、綿密な資金計画を立てておくことが重要です。

また、事故や病気など想定外の事態で、大きな出費が発生することもあります。

万が一の場合に備えて、すぐに引き出せるお金も、手元に一定額用意しておきましょう。

2.市場の影響を考慮する

投資を行う場合、リスクはつきものです。

投資による損失が出るようなことがあっても、生計にまで影響する事態は回避しなければなりません。

資産運用にあたっては、過度なリスクを取らず、分散投資などでリスクヘッジを行うことが重要です。

まとめ

FIREを実現することで、仕事やお金、時間や場所に縛られない自由な生活を手に入れることが可能になります。

魅力的なイメージがある一方で、資産運用が上手くいかなくなったり、予想以上に支出が増えたりし、失敗するケースもあります。

また、FIREがうまくいかなかったときに、すぐに再就職が難しい可能性があるなどのリスクもはらんでいます。

FIRE実現のための資金を準備することは決して簡単ではありません。

しかし、本記事で紹介した「FIREするためのステップ」は、FIREをするしないにかかわらず、資産を増やすための有効な手段になります。

FIREを意識しつつ、一度シミュレーションをしてみてはいかがでしょうか。

資産運用に関する情報やノウハウは、秋田県会社設立サポートの税理士が運営する資産運用ブログでも詳しく解説しているのでチェックしてみてください。

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