国税庁によると、日本における平均年収は461万円です。「年収600万円だと、手取りはいくらになるのだろう?」「生活レベルはどれくらいだろう?」と疑問を持っている人もいるでしょう。
年収600万円の人の手取りは420万~480万円です。
この記事では、年収600万円の人の税金や貯金額、生活レベルなどを解説します。
- 年収600万円の人の手取り
- 年収600万円の税金や生活レベル
- 年収600万円を実現する方法
※本サイトは一部アフィリエイトプログラムを利用しています
【監修】株式会社RKコンサルティング河合 克浩
一般企業、外資系金融機関を経て、現在はファイナンシャルプランナー(FP)として年間150件超のお金の相談に対応。難しく感じる経済やお金の話をわかりやすく説明することに定評がある。夢を実現するため相談者に寄り添い、人生が豊かになるサポートを心がけている。
国税庁によると、日本における平均年収は461万円です。「年収600万円だと、手取りはいくらになるのだろう?」「生活レベルはどれくらいだろう?」と疑問を持っている人もいるでしょう。
年収600万円の人の手取りは420万~480万円です。
この記事では、年収600万円の人の税金や貯金額、生活レベルなどを解説します。
年収600万円だと、手取り額はいくらになるのでしょうか。手取り額は、年齢や家族構成などさまざまな要因によって変動するため、人によって異なります。
ここでは、年収600万円の人の手取り額について、以下の4パターンに分けてシミュレーションします。
まずは、ボーナスがなく「1年間を通して月収が同じだった」と仮定したシミュレーションです。
項目 | 年額 | 月額 |
---|---|---|
額面収入 | 600万円 | 50万円 |
所得税 | 約20万円 | 約1.6万円 |
住民税 | 約30万円 | 約2.5万円 |
健康保険 | 約30万円 | 約2.5万円 |
厚生年金 | 約55万円 | 約4.5万円 |
雇用保険 | 約3.6万円 | 約3,000円 |
介護保険 | 約5.5万円 | 約4,500円 |
手取り | 約456万円 | 約38万円 |
一般的に、手取りは額面給与の7~8割程度になるといわれています。上記の例でも76%と平均的な水準となっています。
なお、扶養家族がいたり、住宅ローン控除が適用されていたりする場合は、税負担が軽減されるため上記よりも手取りが多くなります。
続いて、600万円の年収のうち、200万円をボーナスとして受け取った場合を見てみましょう。
項目 | 年額 | 月額 | ボーナス |
---|---|---|---|
額面収入 | 600万円 | 約33万円 | 200万円 |
所得税 | 約20万円 | 約1万円 | 約65万円 |
住民税 | 約30万円 | 約1.7万円 | 約10万円 |
健康保険 | 約30万円 | 約1.7万円 | 約10万円 |
厚生年金 | 約56万円 | 約3万円 | 約18万円 |
雇用保険 | 約3.6万円 | 約2,000円 | 約1.8万円 |
介護保険 | 約5.5万円 | 約3,000円 | 約1.2万円 |
手取り | 約455万円 | 約25万円 | 約152万円 |
ボーナスがある分、ボーナスなしの例よりも1回あたりの給与額が少なくなっています。
ボーナスと給与では、税額の計算方法が異なります。そのため同じ年収でも、年収に占めるボーナスの割合によって手取りが変わってきます。
「給与が高くボーナスが少ない」「給与が低くボーナスが多い」のどちらがお得かは一概にはいえません。
続いて、前述のボーナスありの人が結婚し、配偶者を扶養することになった場合のシミュレーションです。配偶者の収入によって税額が変わってきますが、ここでは配偶者の収入0円(専業主婦)として計算します。
項目 | 年額 | 月額 | ボーナス |
---|---|---|---|
額面収入 | 600万円 | 約33万円 | 200万円 |
所得税 | 約16万円 | 約9,000円 | 約5.2万円 |
住民税 | 約27万円 | 約1.5万円 | 約9万円 |
健康保険 | 約30万円 | 約1.7万円 | 約10万円 |
厚生年金 | 約56万円 | 約3万円 | 約18万円 |
雇用保険 | 約3.6万円 | 約2,000円 | 約1.8万円 |
介護保険 | 約5.5万円 | 約3,000円 | 約1.2万円 |
手取り | 約462万円 | 約26万円 | 約154万円 |
前述の例と額面収入は同じですが、家族構成が変わったことで手取りが7万円ほど増えています。年収に対する手取りの割合も77%に上昇しました。なお、妻の年収が上がると税額が上がり、夫の手取りが減る可能性があります。
最後は、共働きで夫婦2人分の年収を合わせて600万円になる世帯のシミュレーションです。ここでは例として「夫350万円、妻250万円、ともにボーナスなし」で計算します。
項目 | 年額 | 月額 | ||
---|---|---|---|---|
夫 | 妻 | 夫 | 妻 | |
額面収入 | 350万円 | 250万円 | 約29万円 | 約21万円 |
所得税 | 約6.6万円 | 約4.2万円 | 約5,000円 | 約4,000円 |
住民税 | 約14万円 | 約9.4万円 | 約1.2万円 | 約8,000円 |
健康保険 | 約18万円 | 約12万円 | 約1.5万円 | 約1万円 |
厚生年金 | 約33万円 | 約22万円 | 約2.7万円 | 約1.8万円 |
雇用保険 | 約2万円 | 約1.5万円 | 約2,000円 | 約1,000円 |
介護保険 | 約3.3万円 | 0円 | 約3,000円 | 0円 |
手取り | 約273万円 | 約201万円 | 約23万円 | 約17万円 |
2人の手取りの合計は約474万円と、前述の3つの例と比べて最も多くなっています。
額面収入が同じなら、夫婦のどちらかが働くよりも、共働きの方が税負担は軽くなります。所得税は、所得が高い人ほど税率が高くなる仕組みになっているためです。
年収600万円の人は、日本全体でどれくらいいるのでしょうか。
民間企業で働く給与所得者で、年収600万円超~700万円以下の人の割合は、以下の通りです。
全体に占める「年収600万円を超えている人(上限なし)」の割合は22.6%で、「年収600万円超~700万円以下」の割合は6.9%でした。平均給与は458万円で、男性は563万円、女性は314万円です。
上記の結果から、1人で年収600万円を稼ぐ人は、平均より収入が多いことがわかります。
年収600万円の人の生活レベルはどのようになるのか、子育てや住宅など多額のお金が必要になる場面を例に見ていきましょう。
一般的に、住居にかける費用は手取りの30%以下、できれば25%以下に抑えると家計のやりくりがしやすいといわれています。
例えば、年収600万円(手取り480万円)の人なら、10万~12万円程度が目安です。一人暮らしで子育て費用がかからない、車を持っていなくて維持費がかからないなど、低コストで暮らせる人ならもう少しお金をかけても生活に困らずに済むかもしれません。
平均より高年収とはいえ、無理して家賃が高いところを選んでしまうと、その分生活費や貯金に充てられる金額が少なくなります。家賃相場や家計全体をよく把握したうえで検討したいところです。
子育てにはお金がかかります。年収600万円でも、子どもの数が多かったり、私立など費用の高い進路を選択したりした場合は、家計が圧迫されてしまう可能性があります。
例えば、文部科学省「私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」によれば、私立大学の授業料は年間約93万円が平均となっています。文系は約82万円、理系は約114万円、医歯系は約288万円になります。なお、国公立大学は比較的安めですが、それでも約54万円です。
年間100万円は、月額に換算すると約8万円、2人の子どもが同時期に私立大学に通っているなら約16万円です。大きな負担になると感じる人もいるのではないでしょうか。
車の購入費用は、年収の半分以内が目安といわれています。年収600万円の場合は300万円以下ですが、車両本体以外にも税金や保険料などの初期費用が1~2割程度かかることを考慮すると、上限は240万円程度に抑えておいた方が無難かもしれません。
一括での購入が難しい場合は、マイカーローンを利用するのも選択肢の1つです。ローンを借りるときは必ず審査がありますが、年収が高い人ほど有利です。
年収600万円の人なら、年収に対して高すぎる車を買おうとしている、ほかにも多額の借金を抱えている、過去に返済を滞納したことがあるといった事情がない限りは、審査に通りやすいでしょう。
年収600万円の場合、マイホーム購入費用の目安は4000万円程度までです。
前述の通り、住宅にかける費用の目安は手取りの30%以下、できれば25%以下が理想的です。上記の金額であれば、金利0.5%程度で35年返済の住宅ローンを組んだときに毎月の返済額が10万~12万円となり、無理なく返済していけるでしょう。
なお、フラット35では借りられる金額の上限を「返済比率(年収に占めるすべての借入の年間合計返済額の割合)35%以下」としています。年収600万円なら6500万~7000万円ほど借りられる可能性があります。
年収600万円の人の生活費や、毎月の貯蓄額はいくらくらいなのでしょうか。
生活費は家族構成や住むエリアによって異なりますが、ここでは以下の4パターンに分けて目安を紹介します。
年収600万円で一人暮らしの場合はどんな生活になるのか、総務省の家計調査を参考にシミュレーションしてみましょう。家賃は、前述の住居費の目安をもとに10万円としています。
生活費項目 | 月額費用 |
---|---|
家賃 | 10万円 |
食費 | 4万円 |
光熱費 | 1万円 |
通信費 | 1万円 |
交際費 | 1万円 |
教育費 | 0円 |
その他 | 8万円 |
支出合計 | 25万円 |
あくまで一例ですが、手取り月収が30万円の人なら、支出25万円を差し引いて、月5万円程度の貯蓄が可能という結果になりました。
養っている家族がいなくて、教育費もかからないため、比較的余裕のある生活を送りやすいでしょう。
続いて、2人暮らしの場合の生活費をシミュレーションします。ここでは夫婦共働き、家賃10万円と想定しています。
生活費項目 | 月額費用 |
---|---|
家賃 | 10万円 |
食費 | 7万円 |
光熱費 | 2万円 |
通信費 | 1万円 |
交際費 | 2万円 |
教育費 | 0円 |
その他 | 14万円 |
支出合計 | 36万円 |
毎月の支出が36万円だと、収入が年収600万円の夫もしくは妻だけなら毎月の手取りでやりくりするのはギリギリかもしれません。しかし、もう1人分の収入もあるならかなり余裕が生まれます。
夫婦2人暮らしの生活費は、独身時代よりも高額になるのが一般的です。しかし、単純に2倍になるわけではなく、1人あたりの生活費で見ると、2人暮らしの方がコストを抑えられる傾向があります。
子どもがいないため、出費や必要な貯蓄額が少なくて済むという面もあります。「夫婦共働き(子どもなし)」の状態は、最も家計に余裕が出やすく、金銭的な豊かさを感じやすい家族構成といえます。
夫婦のどちらか一方が働いていて、配偶者と子ども1人を養っているケースも考えてみましょう。子どもが増えた分、広い家が必要になることを見越して、家賃を前述の例より2万円高い12万円に設定しています。
生活費項目 | 月額費用 |
---|---|
家賃 | 12万円 |
食費 | 8万円 |
光熱費 | 2万円 |
通信費 | 1.3万円 |
交際費 | 1万円 |
教育費 | 2.5万円 |
その他 | 12.2万円 |
支出合計 | 39万円 |
前述の2例と大きく異なるのは、教育費です。毎月の支出が39万円ということは、12ヵ月分で468万円になります。この金額は年収600万円の人の手取りとほぼ同額です。貯蓄をするなら節約などが必要になってくるでしょう。
続いて、前述の例よりさらに子どもが1人増えた場合(夫婦のどちらか一方が働いていて、配偶者と子ども2人を養っているケース)も考えてみましょう。
生活費項目 | 月額費用 |
---|---|
家賃 | 14万円 |
食費 | 8.5万円 |
光熱費 | 2.5万円 |
通信費 | 1.3万円 |
交際費 | 1万円 |
教育費 | 3万円 |
その他 | 12.7万円 |
支出合計 | 43万円 |
子どもが増えると、その分必要になる食費や生活用品費、教育費が増えることになります。
ただし、実際には子どもの年齢によっても異なります。一般的には子どもの年齢が上がるほどお金がかかる傾向があることに留意しましょう。
この家計だと、節約したり、専業主婦(主夫)をやめて働きに出たりといった工夫をしないと、毎月の生活費よりも手取りが少ない赤字状態が続いてしまう可能性もあります。
年収600万円の人の税金はいくらになるのでしょうか。ここでは、収入に応じて税額が変わる「所得税」と「住民税」の目安を紹介します。
所得税は、課税所得(収入から経費や所得控除を差し引いた金額)によって税率が変わる仕組みになっています。課税所得が高い人ほど税率が高く、納めるべき税額が多くなります。
家族構成にもよりますが、年収600万円の人の課税所得は230万~290万円程度になることが多いです。
課税所得 | 所得税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円未満 | 5% | 0円 |
195万円~330万円未満 | 10% | 9万7500円 |
330万円~695万円未満 | 20% | 42万7500円 |
695万円~900万円未満 | 23% | 63万6000円 |
900万円~1800万円未満 | 33% | 153万6000円 |
1800万円~4000万円未満 | 40% | 279万6000円 |
4000万円以上 | 45% | 479万6000円 |
仮に課税所得250万円とすると、所得税の金額は「250万円×10%-9万7500円=15万2500円」となります。
住民税も、課税所得が高いほど税額が高くなります。ただし、税率は一律で10%です。年収600万円(課税所得250万円)なら25万円で、これに加えて均等割(所得に関係なく均等に負担する分)として5,000円程度が加算されます。
住んでいる自治体によっては、独自の加算や減税を行っている場合があります。詳しく知りたい場合は、自治体の窓口や公式サイトなどで確認するとよいでしょう。
前述の通り、年収600万円以上の人は20%程度です。年収600万円を目指すことは簡単ではありませんが、少しでも年収を上げるためにできることを4つに分けて紹介します。
まずはいまの仕事を懸命にこなして、昇格や昇級が狙えないか考えてみましょう。多くの会社では、役職が上がって責任が増すほど給与水準が高くなっていくでしょう。
昇進する方法は会社によっても違うため、一概にはいえません。しかし通常は、設定された目標を上回る成果を上げたり、上司から高い評価を得たりすると昇進に結びつくケースが多いでしょう。
効率化や低コスト化を推進する、新しいプロジェクトを率先して引き受ける、スキルアップに励むなど積極的な姿勢を見せることも有効です。
会社にもよりますが、業務に関する資格を取った場合に、一時金の支給やボーナスアップなどの金銭的メリットが得られる場合があります。勤務先に「資格手当」などの制度があるなら、該当する資格を取得して給与を上げることも検討しましょう。
資格手当の金額は数万~数十万円までさまざまですが、資格取得の難易度が高いほど受け取れる金額が多くなるのが一般的です。また、仕事に関する資格なら、勉強に必要な教材や受験料などの費用を会社が負担してくれることもあるでしょう。さらに、取得後に資格を生かした仕事ができれば、前述の昇進にもつながるかもしれません。
まずは、勤務先の就業規則などで資格手当の内容を確認してみましょう。
いまの仕事や職場での給与アップが見込めない場合、思い切って転職するのも1つの方法です。上手くいけば、より高い給与を得られる仕事に就ける可能性があります。
ただし、転職には年収が下がるリスクもあります。転職後に「こんなはずではなかった」とならないよう、事前によく調べて納得したうえで決断するようにしましょう。
副業を始めてみるのも1つの方法です。本業での給与アップが見込めなくても、収入源が増えればその分収入が上がりやすくなります。
選ぶべき副業は、いまの年収によっても変わってきます。本業の収入に加えて、あといくら稼げば600万円を実現できるのかを考えて検討するようにしましょう。
最初からいきなり多額の収入を目指すのではなく、時間や体力の面で無理がないか確認しながら、月1万円などちょっとしたお小遣い程度の金額から目指してみるのもおすすめです。
マイホーム購入や子どもの教育などで希望を叶えるためには、貯蓄が必要です。年収600万円の人が貯蓄を増やしたいなら、資産運用にチャレンジするのもおすすめです。
資産運用は正しく実行すれば、単に預貯金をするだけよりも効率よくお金を増やすことができます。損失が出るリスクもありますが、それを軽減する方法もあります。
年収600万円の人に限らず、ライフステージやライフイベントに応じて必要になるお金を理解し、適切な対応を取って備えることは重要です。
とはいえ、収入を増やす努力をしながら、節約や投資を適切に行い、臨機応変に行動することは難しいと感じる人もいるでしょう。年収600万円でも、「お金がなくて不安」「今後が心配で仕方ない」という人もいます。
貯蓄を増やすためには、具体的なライフプランを立てることが重要です。
そこでおすすめしたいのが、ライフプラン表の作成です。
ライフプラン表は、将来のライフイベントに合わせて必要な資金を把握し、計画的に貯蓄するためのツールです。ライフプラン表を作成することで、以下のようなメリットがあります。
ライフプラン表の作成方法は、以下の記事で詳しく解説しています。
◆ライフプラン表はライフイベントを把握して立てよう!作成方法と活用方法を解説
年収600万円の人の手取りは、420万~480万円程度になるのが一般的です。
年収600万円は平均年収より高い水準であり、お金で苦労せずに済む可能性が高いです。しかし、都心など地価が高いところに住んでいる場合や、子どもが多い場合など、生活費が高くなりやすい状況では余裕のある暮らしは難しいかもしれません。
より豊かな暮らしをしたいなら、スキルアップをして昇進や転職を目指す、資産運用に取り組むなどの方法が有効です。
FPに相談しながら、ライフプラン表を作成するのもおすすめです。詳しくは、以下の記事をご覧ください。
◆ファイナンシャルプランナーに相談するときの注意点、相談内容やメリットを解説
キーワードで記事を検索