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家を購入する頭金の平均金額と頭金ゼロで買うときの注意点

執筆者:マネーFix 編集部

【監修】株式会社RKコンサルティング河合 克浩

一般企業、外資系金融機関を経て、現在はファイナンシャルプランナー(FP)として年間150件超のお金の相談に対応。難しく感じる経済やお金の話をわかりやすく説明することに定評がある。夢を実現するため相談者に寄り添い、人生が豊かになるサポートを心がけている。

家を購入する際には、住宅ローンを利用するのが一般的です。「頭金をどれくらい用意するべき?」「頭金なしでも家は買える?」などと悩む人もいるのではないでしょうか。

住宅ローンは頭金なしでも利用できますが、頭金を用意することで得られるメリットは多いです。

この記事では、これから住宅ローンの利用を考えている人に向け、頭金の目安などを紹介します。

この記事でわかること
  • 家の購入時の頭金の目安
  • 頭金ゼロで住宅ローンを組む際の注意点

住宅購入の頭金とは


家を購入するときに用意する頭金とは、住宅の購入金額と住宅ローン借入額の差額です。

仮に、5000万円の住宅を購入するとしましょう。同じ金利、そして同じ借入期間なら、頭金を1000万円用意し、住宅ローンでの借入金額を4000万円にすることで、毎月の返済額が少なくなり、家計への負担も減らせます。

また、フラット35のように、頭金の割合が少ないと高い金利が適用されるケースもあります。

家を買う際に住宅ローンを利用するのなら、なるべく頭金を用意しておくことをおすすめします。

住宅ローンの頭金の平均はいくら?

実際に、住宅を購入する人はどのくらいの頭金を用意しているのでしょうか。

日本政策金融機構が公表している資料を参考に、頭金の平均額と購入費用に対する割合を紹介します。

全国
  頭金の平均額 購入費用に対する割合
注文住宅 641万2000円 17.3%
土地付き注文住宅 449万6000円 9.6%
建売住宅 317万7000円 8.5%
マンション 987万8000円 20.4%
中古戸建 274万3000円 10.1%
中古マンション 528万9000円 16.8%
首都圏
頭金の平均額 購入費用に対する割合
注文住宅 804万5000円 20.0%
土地付き注文住宅 549万9000円 10.2%
建売住宅 397万3000円 9.1%
マンション 1120万2000円 21.0%
中古戸建 374万5000円 11.2%
中古マンション 616万3000円 17.5%
出典:住宅金融支援機構「2022年度 フラット35利用者調査

全国平均で見ると、土地付き注文住宅や建売住宅は10%以下、マンション購入では20%程度の頭金を用意していることがわかります。また、首都圏は全国に比べると頭金を用意する割合が多く、建売住宅を除くすべての住宅で10%以上、注文住宅やマンションにおいては20%を超えています。

頭金が多いと毎月のローン返済額を抑えられる

用意する頭金によってどのくらいローン返済額を抑えられるのかを、シミュレーションしてみましょう。

契約条件
  • 物件価格:3000万円
  • 世帯年収:500万円
  • 金利:1%
  • 借入期間:35年
  • ボーナス払い:なし
頭金 借入金額 毎月の返済額
0円 3000万円 8万4685円
100万円 2900万円 8万1862円
300万円 2700万円 7万6217円
500万円 2500万円 7万571円
700万円 2300万円 6万4925円

頭金が多いほど、毎月の返済額は下がります。頭金ゼロと頭金700万円用意するケースを比べると、毎月の返済額に約2万円の差が出ています。

頭金ゼロでも購入できる?

住宅ローンは頭金ゼロでも利用できます。ただし、住宅ローンの審査は年収や勤務先、勤続年数といった属性のほか、担保となる物件の価値や、申し込み者の信用情報などから返済能力の有無が判断されます。そのため、希望する借入金額が多いと、審査に通りにくくなる可能性があります

少しでも頭金を用意することで、住宅ローンの審査に通りやすくなることを覚えておきましょう。

【調査データ】頭金はいくら払った?

住宅購入における頭金の目安は、住宅価格の20%前後といわれています。ただし、年齢やライフイベントの有無によって実際の支払額には差があります。ここでは調査結果をもとに、頭金の事例を紹介します。

注文住宅
  • 年齢:37歳
  • 世帯年収:620万円
  • 総額平均:約3800万円
  • 頭金:約18%(684万円)
注文住宅
  • 年齢:42歳
  • 世帯年収:720万円
  • 総額平均:約4500万円
  • 頭金:約12%(540万円)

住宅ローンの頭金は、できるだけ多く支払うことをおすすめします。頭金が多ければ、借入額が減少し、月々の返済額が軽減します。また、頭金が多いほど金利が低くなる場合もあります。

頭金を捻出する場合は、生活費や緊急時の資金などを確保する必要があります。家の購入の頭金で貯金のほとんどを使ってしまい、いざという時に対応できない、ということにならないように、専門家の方への相談などを上手に利用する必要があります。

調査概要
  • 調査時期:2024年1月1日~2月1日
  • 回答数:2件
  • 調査手法:インターネット調査
  • 調査対象:住宅購入時に頭金を支払ったことがある方
  • 調査実施:インターネットリサーチ会社

頭金ゼロで住宅を購入するときの注意点

頭金ゼロでも住宅ローンの利用は可能です。ただし、その際には以下の点に注意しましょう。

  • 利息負担が増えて毎月の返済額は上がる
  • 諸費用はローンに組み込めない

利息負担が増えて毎月の返済額は上がる

頭金ゼロだと、住宅ローンの金利が高くなる可能性があります。

例えば、フラット35では頭金ゼロでも借入できますが、金利が高くなります。金利が上がると、支払う利息が増えて毎月の返済額が上がります。家計に負担がかかりすぎないよう注意してください。

これから子どもが大きくなる家庭なら、住宅ローンの返済に加えて教育費の準備も考えなければなりません。住宅ローンの返済額については、無理のない額に抑えられるよう頭金を用意することをおすすめします。

どうしても頭金が用意できないなら、購入する住宅の価格を下げるなどの対処法も考えましょう。

諸費用はローンに組み込めない

住宅の購入時、そして住宅ローン利用時にはさまざまな手数料・諸費用がかかります。それらについては現金での支払いを原則としており、ローンに組み込めない金融機関もあります。

必要な諸費用の目安は、以下の通りです。

住宅購入時にかかる諸費用
  • 不動産会社に支払う手付金:住宅価格の5~10%程度
  • 不動産会社に支払う仲介手数料:(住宅価格×3%+6万円)+消費税
  • 不動産売買契約時の印紙税:2万~6万円
  • 不動産取得税:購入する不動産の課税標準額×3%
  • 土地の所有権移転登記にかかる登録免許税:不動産価格×2%(※1)
  • 建物の所有権保存登記にかかる登録免許税:不動産価格×4%(※2)
(※1)2026年3月31日までに登記を行う場合は0.15%
(※2)2024年3月31日までに登記を行う場合は0.15%
住宅ローンの利用にかかる諸費用
  • 事務手数料:金融機関によって異なる(定額制の場合3万~5万円程度)
  • 保証料:借入額や返済期間によって異なる(1000万円あたり20万円程度)
  • 金銭消費貸借契約書にかかる印紙税:借入額によって異なる
  • 抵当権設定にかかる登録免許税:借入額×0.4%
  • 火災保険料:住宅の種類によって異なる

頭金を貯めるよりも繰り上げ返済の方がおすすめ

頭金ゼロで住宅ローンを利用した場合でも、計画的に繰り上げ返済を行うことで最終的な利息負担を減らせる可能性があります。

頭金ゼロで住宅ローンを利用し、3年後に300万円の繰り上げ返済を行った場合、毎月の返済額や返済総額がどのくらい変わるかをシミュレーションしてみましょう。比較するために、頭金300万円を用意した場合も計算します。

頭金 0円 0円 300万円
繰り上げ返済 0円 300万円 0円
借入額 3000万円 3000万円 2700万円
金利 1% 1% 1%
返済期間 35年 35年 35年
毎月の返済額 8万4685円 7万5533円 7万6217円
返済総額 3556万7804円 3506万989円 3201万957円
利息総額 556万7804円 506万989円 501万957円

繰り上げ返済後は毎月の返済額が約1万円削減できるほか、最終的に50万円程度の利息削減効果が期待できることがわかりました。頭金300万円を用意した場合と比べると、利息総額の差は約5万円です。

3年後に300万円を繰り上げ返済するためには、1年間に100万円ずつ貯蓄すればよいでしょう。1年で100万円貯めるには、こちらの記事「1年で100万貯める方法や無理なく貯めるためのコツを紹介」も参考にしてください。

まとめ

住宅ローンを利用する際は、頭金を用意することで毎月の返済額を抑えることができます。

住宅の購入や住宅ローンの利用にあたっては、諸費用が発生します。諸費用は現金払いが原則でローンに組み込めないため、頭金も含めて余裕を持った金額を用意しておきましょう。

頭金ゼロで、繰り上げ返済する方が結果的に利息負担は少なく済む可能性もあります。

なお、どのくらいの頭金を用意するべきか悩んだ際には、ファイナンシャルプランナー(FP)に相談してみるのもおすすめです。こちらの記事「住宅購入前にFPへの相談がおすすめの理由|自信を持ってマイホームやマンション購入を決断できる!」も参考にしてください。

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