住宅ローンの借り換えに失敗とは?借り換えに成功するために押さえたい注意点を解説

執筆者:マネーFix 編集部

【監修】株式会社RKコンサルティング河合 克浩

一般企業、外資系金融機関を経て、現在はファイナンシャルプランナー(FP)として年間150件超のお金の相談に対応。難しく感じる経済やお金の話をわかりやすく説明することに定評がある。夢を実現するため相談者に寄り添い、人生が豊かになるサポートを心がけている。

住宅ローンの毎月の返済負担を減らすために有効なのが、ローンの借り換えです。しかし、借り換えに失敗して返済額が増えてしまうケースもあるため注意が必要です。

本記事では、住宅ローンの借り換えの失敗につながる注意点を紹介します。また、借り換えを検討している人が借り換えで後悔しないよう、事前にやっておくべきことなども解説します。

住宅ローン借り換えの失敗事例

住宅ローンの金利が借入時より下がっている場合には、借り換えを検討するのも1つの方法です。

しかし、借り換えによって思わぬ失敗をしてしまうことがあります。住宅ローンの借り換えにおける失敗事例は、次の通りです。

  • 返済額が増える
  • 手数料や諸費用が高い
  • 違約金が発生する
  • 借り換えの審査に通らない
  • 審査に時間がかかり金利が変わる
  • 特約が外れる

返済額が増える

適用される金利を誤解していたせいで、低い金利のローンに変えたつもりが、返済総額が増えてしまうケースがあります。

注意が必要なのは、金利タイプを変更する場合です。住宅ローンの金利は、次の3タイプがあります。

  • 変動金利:半年ごとに金利が変わる
  • 全期間固定金利:金利が変わらず返済額が一定
  • 固定金利期間選択型:最初に決めた期間は金利が固定。その後、変動金利か固定金利を選択する

2023年5月現在、主な金融機関の変動金利は0.3~0.5%程度、全期間固定金利は1.3~1.7%程度です。全期間固定金利から変動金利に変更すると、1.0%ほど金利が下がります。しかし、変動金利は将来的に金利が上がり、返済総額が増えてしまう可能性があります。

手数料や諸費用が高い

借り換えには手数料や諸費用がかかります。金利が下がり返済総額も減るはずなのに、諸費用を加算すると借り換え前より収支がマイナスになってしまうケースもあります。

借り換えを行うと、いまのローンを完済するための手数料と、借り換える先の金融機関の手数料を払う必要があります。

金利1.5%の全期間固定金利のローンから、1.3%の全期間固定金利のローンに借り換えたケースを下表にまとめました。このケースだと金利は0.2%下がり、返済総額は減りますが、諸費用を含めると支払総額は増えています。

現在 借り換え後 差額
借入残高 1500万円 1500万円
残りの返済期間 25年 25年
借入金利 1.5% 1.3% 0.2%減
返済方式 元利均等返済 元利均等返済
返済総額 1799万7000円 1757万7300円 41万9700円減
諸費用概算 53万円 53万円増
支払総額 1799万7000円 1810万7300円 11万300円負担増

諸費用は通常、借り換えの際に支払いますが、住宅ローンの返済額に上乗せされる金融機関もあります。その場合、借り換えによって月々の返済額が増えてしまいます。

あわせて読みたい

住宅ローンの借り換えの諸費用については、住宅ローンの借り換え手数料の相場で詳しく解説しています。

違約金が発生する

住宅ローンにおいては、早期借り換えによる違約金を定める金融機関はほとんどありません。しかし、一部の金融機関では、固定金利で契約していた場合に繰り上げ返済を行うと、違約金の支払いを求められることがあります。

違約金の有無は、金銭消費貸借契約書に記載されていますが、よくわからない人は担当者に確認しましょう。

借り換えの審査に通らない

新規借入同様、借り換えでも審査があります。

金融機関により審査基準や厳しさが異なり、希望の金融機関の審査に通らないこともあります。借り換えの審査に通らない原因の多くは、自分や家族の状況が借入時と変わったことです。

例えば、転職や起業で収入が下がったり、ほかの借入が増えたりしていると、年収に対する借入額の割合である返済比率が増加するため、審査に通らないことがあります。

また、ペアローンを組んでいて離婚に伴い単独に切り替えた人も、単独の収入では返済比率が高すぎて審査に通らないケースがあります。

審査に時間がかかり金利が変わる

借り換えにより適用されるのは申し込み時の金利ではなく、融資実行日の金利です。審査に時間がかかると、申し込み時より金利が上がってしまうこともあります。

審査に時間がかかる原因の1つに、提出書類の不備や不足が挙げられます。書類の記載内容に不備がないか、提出書類に不足がないかチェックし、スムーズに審査が進むよう心がけてください。

特約が外れる

住宅ローンの借り換えをする場合は、団体信用生命保険(団信)も再度契約しなければなりません。

団信の中には、ガンや特定の疾病に罹患したら返済が免除になる特約を付けられるものもあります。借り換え先の金融機関では、借り換え前と同じ種類の特約を付けられないケースもあるので注意してください。

また、健康面の変化も注意が必要です。団信加入の際には、基準を満たす健康状態であることが求められます。持病があると特約が付けられなかったり、持病がある人向けの金利が高い団信にしか入れなかったりすることもあります。

借り換えに成功するために準備すべきこと

住宅ローンの借り換えに成功するために準備すべきことは、次の2つです。

  • 信用情報を事前に確認する
  • 必要な書類を事前に揃えておく

信用情報を事前に確認する

住宅ローンの審査で重視されるのが、信用情報です。

金融機関は、ローンを返済できる人かどうかを信用情報機関に確認します。ローンやクレジットカードの支払いを滞納した経験があると信用情報に傷が付き、住宅ローンの審査に通らない可能性があります。

信用情報は一定期間で更新され、傷も消えます。例えば、信用情報機関の1つである株式会社シー・アイ・シー(CIC)では、信用情報の保有期間は5年以内と公表しています。つまり、5年以上経てば、住宅ローンの審査に通る可能性が出てきます。

自分の信用情報は、信用情報機関に開示請求をすれば確認することが可能です。

必要な書類を事前に揃えておく

借り換えの際には、原則として新規借入時と同様に次の書類が必要です。

  • マイナンバーカードや運転免許証などの身分証
  • 健康保険証
  • 住民票(3ヵ月以内等の条件あり)
  • 源泉徴収票や確定申告書
  • 住民税課税決定通知書や所得税の納税証明書
  • 土地建物の登記事項証明書
  • 物件の売買契約書
  • 重要事項説明書
  • 返済中の住宅ローンの返済予定表
  • 住宅ローン以外の借入の返済予定表

必要書類の準備に時間がかかると、金利が変わってしまい、希望の金利で借り換えができなくなる可能性もあります。

住宅ローンの借り換えで後悔しないための注意点

住宅ローンの借り換えを行う際に注意すべき点は、次の通りです。

  • 返済期間を考慮する
  • 諸費用を確認する
  • 解約ルールを確認する
  • シミュレーションする
  • プロに相談する

返済期間を考慮する

借り換えのタイミングによっては、返済期間が変わってしまう人もいます。

借入期間は通常、年単位で設定されます。例えば、残期間が25年8ヵ月の人は、借り換え後は25年で返済することになります。8ヵ月分短くなるのに返済額が変わらないと、月々の返済額が増える可能性があります。

借り換えのタイミングで期間の短縮や延長もできますが、延長不可の金融機関もあるので注意してください。

返済期間を長くすれば、毎月の返済額を減らすことが可能です。しかし、利息負担が増え、返済総額も増えます。

返済期間を短くすると、返済総額は減りますが、月々の返済額は増えます。そのため、人によっては返済比率が基準をオーバーし、借り換えができなくなる可能性があります。

諸費用を確認する

住宅ローンの借り換えでは諸費用を払う必要があります。主なものは、次の通りです。

  • 印紙代
  • 事務手数料
  • 保証料
  • 抵当権設定・抹消登記費用(登録免許税)
  • 司法書士報酬
  • 全額繰り上げ返済手数料

特に大きな費用は、金融機関に支払う事務手数料と保証料です。事務手数料が安く保証料が高い金融機関がある一方、事務手数料は高いが保証料は無料という金融機関もあります。

事務手数料は定額制と定率制があったり、保証料も一括払いと金利上乗せ払いがあったりと、金融機関によって異なります。事務手数料と保証料の合計金額は、借り換え額×2.2%程度が目安です。

解約ルールを確認する

住宅ローンの借り換えに伴い、現在契約中の金融機関との契約は解約することになります。そのため、解約のルールを確認しておかなければなりません。

固定金利で契約中の場合、繰り上げ返済を行うと違約金が発生する金融機関もあります。違約金が発生する契約になっていた場合は、支払う違約金も含めて借り換えメリットがあるのかシミュレーションした方がよいでしょう。

シミュレーションする

住宅ローンの借り換えを行う際は、借り換え前と借り換え後で毎月の返済額や返済総額がどれぐらい変わるのかをシミュレーションした方がよいでしょう。

例として、2013年5月に全期間固定金利2.5%で借入期間35年の住宅ローンを組んだ人が、10年後の2023年5月に変動金利0.475%に借り換えを行った場合について、シミュレーションしてみます。いずれも元利均等返済、ボーナス払いなしで試算します。

最初の借入額は3000万円、10年経過した時点の残債は2390万円です。残りの25年で、この2390万円をそのまま全期間固定金利2.5%で払い続けた場合と、変動金利4.5%のローンに借り換えた場合の比較が下表です。

  毎月の返済額 返済総額
借り換え前(2.5%) 10万7219円 3216万5627円
借り換え後(0.475%) 8万4506円 2607万3109円
差額 2万2713円 609万2518円
※借り換え後の返済総額には諸費用72万1400円を含む

借り換えにより約72万円程度の諸費用を払う必要がありますが、それを含めても返済総額は600万円を超える減額が見込まれ、毎月の返済額も2万2713円の減額が期待できます。

プロに相談する

実際に借り換えをするとなると、どの金利タイプにすべきか、借入期間をどうするか、団信の特約で金利上乗せをするべきかどうかなど、判断に困ることも出てくるかもしれません。そんなときはプロに相談し、専門的なアドバイスをもらうことも検討してみてください。

住宅ローンの相談経験が豊富なファイナンシャルプランナー(FP)への相談であれば、借り換えによるシミュレーションだけでなく、資産残高やライフイベントも考慮したアドバイスをしてくれます。

住宅ローンの借り換えに関する相談については、こちらの記事「住宅ローン借り換えの相談窓口|借り換えのメリット・デメリットを理解したうえで検討しよう」も参考にしてください。

まとめ

住宅ローンの返済が負担に感じるときの対策としては、金利の低いローンに借り換える方法があります。ただし、借り換えを行う際には注意点もあり、上手くやらないと失敗する可能性もあります。この記事では主な失敗事例を紹介し、それらの対策について解説しました。

住宅ローンの借り換えを成功させたい人は、この記事を参考にしてください。

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