奨学金の返済がきつい場合はどうする?返済できないときの対処法

執筆者:マネーFix 編集部

【監修】株式会社RKコンサルティング河合 克浩

一般企業、外資系金融機関を経て、現在はファイナンシャルプランナー(FP)として年間150件超のお金の相談に対応。難しく感じる経済やお金の話をわかりやすく説明することに定評がある。夢を実現するため相談者に寄り添い、人生が豊かになるサポートを心がけている。

貸与型奨学金は学生本人が借りるもので、卒業したら返済しなければなりません。「返済するのが難しい場合はどうなるの?」「月々の奨学金の返済がつらい・・・」「返済が苦しいときの対処法はある?」など、奨学金の返済について不安を感じている人もいるでしょう。

返済できないと延滞金が発生したり、ブラックリストに掲載されたりする可能性があります。

この記事では、奨学金の返済がきついときの対処法を解説します。

この記事でわかること
  • 奨学金が返済できない場合どうなるのか
  • 奨学金が返済できない場合の対処法

なぜ?奨学金の返済がきつい原因

奨学金の返済が始まるのは、奨学金の貸与が終わって7ヵ月を経過してからです。一般的には、3月に卒業したタイミングで貸与が終わり、その年の10月以降に返済が始まります。貸与終了後も引き続き在学する場合は、届け出ることで卒業まで返済が猶予されます。

奨学金は、ほかのローン(教育ローンなど)と比べて低い金利で借りられる点がメリットです。しかし、借金であることに変わりはなく、借りた以上は返さなければならないといった心理的な負担もあります。

卒業後に社会人として収入を得ていれば、返済は問題なくできますが、そうでない場合には毎月の返済が難しくなる可能性があります。

奨学金の返済が難しくなる理由は、以下の通りです。

  • 就職先が決まらなかった
  • 就職したが辞めてしまった
  • 正社員でなくアルバイトで働いている
  • 初任給が低い&家賃が高い

奨学金を返せないとどうなる?

奨学金の返済を滞納してしまった場合、どのようなことが起こるのでしょうか。具体的には、以下の順番で手続きが進められ、最終的には財産を差し押さえられることになります。

  • 延滞金が発生する
  • 催促の連絡がくる
  • ブラックリストに掲載される
  • 借入金残高と延滞金を一括請求される
  • 連帯保証人に請求される
  • 訴訟が起こる
  • 差し押さえ

延滞金が発生する

返済日を過ぎると、その翌日から月額返済金額に対して年3%の延滞金が発生します。

返済期日を過ぎていることに気づき、すぐに返済したとしても、約束の返済日の翌日から実際に返済した日までの延滞金額を合わせて返済しなければなりません。

うっかり返済するのを忘れた場合は、なるべく早めに返済しましょう。

催促の連絡がくる

奨学金の返済を延滞した場合には、日本学生支援機構もしくは同機構が委託した債権回収会社から返還の催促が行われます。

催促は延滞発生から数日で行われるのが一般的です。催促の方法として、電話や郵送、もしくは自宅への訪問が挙げられます。

まず、文書で本人もしくは引き落とし口座の名義人に対して「振替不能通知」が郵送され、合わせて電話でも催促が行われます。さらに、自宅を訪問しての催促も行われますが、その場で直接現金を徴収することはありません。

この時点で返済する場合は、滞納分の返済月額と延滞金を合わせた金額を一括で振り込み、もしくは口座から引き落とされます。

ブラックリストに掲載される

延滞期間が3ヵ月以上になると、その時点で個人信用情報機関に登録され、いわゆるブラックリストに掲載されます。

登録される内容は、日本学生支援機構との奨学金の契約情報、貸与額、最終返還期日などです。あわせて延滞や強制回収手続きなどの情報も登録されます。

個人信用情報期間に登録されると、その情報は一定期間消えずに残るので注意が必要です。消えるのは、返済が完了して5年(もしくは10年)が過ぎてからになります。

ちなみに、個人信用情報機関に延滞などの情報が登録されていると、新たにローンを組む、あるいはクレジットカードを作ろうとしても、審査に通らずローンやクレジットカードの利用が制限されます。

借入全残高と延滞金を一括請求される

返済がない状態が約6ヵ月続くと、返済期限が到来していない分も含め、返済未済額の一括請求が行われます。請求額には延滞金も加算されます。

一括請求されると高額になる可能性が高く、多くの場合は支払うことができません。

なお、ここで一括返済したとしても、返済してから原則として5年間は個人信用情報機関にその情報は登録されたままとなり、消えることはありません。

連帯保証人に請求される

上記の一括請求は、本人が返済しない場合、連帯保証人に対しても行われます。

連帯保証人が返済した場合でも、個人信用情報機関に登録された情報については、返済後5年間は登録されたままなので注意が必要です。

また、この時点で支払督促の申し立ての予告がなされます。

訴訟が起こる

連帯保証人への請求を行っても返済されない場合、法的手続きに移行します。

具体的には、民事訴訟法に基づいて、裁判所に対し支払督促の申し立てを行います。

多くの場合、滞納が発生してから6ヵ月を過ぎた時点で、ブラックリストへの登録から連帯保証人への請求が一連の流れで行われます。その後、約束した期日までに返済が行われなかった場合、訴訟に移行すると考えておきましょう。

差し押さえ

支払督促の申し立てを行ってもなお返済に応じない場合、裁判所に仮執行宣言の申し立てが行われます。

さらに、仮執行宣言の申し立てを行っても返還されない場合、強制執行の手続きが行われ、最終的に給与や財産の差し押さえが行われます。

差し押さえは、債権回収の最終手段です。債権者(ここでは日本学生支援機構)が差し押さえた財産を競売に変えて換金し、返還されない奨学金の返済に充当します。

差し押さえが行われる時期は返済期間やその間の交渉にもよりますが、延滞が発生してから1年以内に行われると考えておきましょう。

奨学金の返済がきついときの対処法

奨学金の返済が苦しいときには、返済を遅らせる制度が用意されています。

返済できないからと滞納すると、最終的には財産を差し押さえられることになり、百害あって一利なしです。返済が苦しいと感じた場合は、できるだけ早く対処することをおすすめします。

返済が苦しくなった際に取れる対処法は、以下の通りです。

  • 減額返還制度を利用する
  • 返済期限猶予制度を利用する
  • 所得連動返還方式に切り替える(第一種の場合)

減額返還制度を利用する

日本学生支援機構では、返済が苦しくなった人向けに救済制度を用意しています。その1つが、「減額返還制度」です。

減額返還制度とは、毎月の返済額をこれまでよりも少なくし、その分返済期間を延ばす制度です。この制度を利用するためには、収入基準を満たす必要があり、給与収入がある人の場合、年収が300万円以下でなければなりません。

制度の利用が認められれば、毎月の返済額をこれまでの2分の1、もしくは3分の1に減額できます。申請は1年ごとに行うことができ、最長15年まで返済期間を延ばすことが可能です。

ただし、既に延滞を起こしている場合、この制度は利用できません。

返済期限猶予制度を利用する

日本学生支援機構が用意するもう1つの救済制度が、「返済期限猶予制度」です。

返済期限猶予制度とは、災害や病気、ケガ、経済困難や失業などによって返済が困難状況になった際に、返済期限の猶予を願い出ることができる制度です。

制度の利用には審査が必要ですが、審査に通れば、認められた期間分返済完了時期が延長されます。また、利息を含む返済予定総額は変わらず、猶予できるのは1年ごとの願い出で最長10年です。

ただし、病気や猶予年限特例などの対象者については、一定の条件に該当する期間の猶予が可能です。

所得連動返還方式に切り替える(第一種の場合)

貸与型奨学金には、無利息の「第一種奨学金」と有利息の「第二種奨学金」があります。第一種奨学金では「所得連動返還方式」を選択することが可能です。

所得連動返還方式とは、前年の課税総所得金額に応じてその年の毎月の返済額が決まる方式です。所得が一時的に減少した際でも、それに応じた返済額が設定されます。収入に波がある人にとってありがたい制度といえるでしょう。

利用する場合は、日本学生支援機構に対し、「第一種奨学金返還方式変更届(返還者用)」を提出する必要があります。

奨学金の返済がやばいと感じたらFPに相談

奨学金の返済が苦しい場合は、ファイナンシャルプランナー(FP)に相談するのも1つの方法です。

FPは、家計の見直しやライフイベントなどに基づいた資金調達のアドバイスができるお金の専門家です。奨学金の返済だけでなく、ローンの返済に悩んでいる際にも利用できます。1人で悩むよりも、専門家のアドバイスをもらいながら手続きを進めていくことで、返済の見通しがつく可能性も出てくるでしょう。

FPへの相談には有料のものと無料のものがあります。無料でのFP相談なら、こちらから申し込むことができます。

まとめ

貸与型の奨学金を利用している場合は、卒業後に返済していかなければなりません。しかし、就職できず、安定した収入が得られないなどの理由から、返済が難しくなるケースもあります。

返済できないからといって支払わないでいると、最終的には財産を差し押さえられることになります。返済が難しいと感じた場合には、救済制度の利用を検討するとともに、お金の専門家であるFPにも相談してみましょう。

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