ここでは、黒ナンバーのドライバーが加入すべき保険について紹介します。
自賠責保険
自賠責保険は、すべての自動車に加入が義務付けられている保険です。加入していない場合には公道を走行できず、車検も受けられません。
補償範囲は、交通事故で他人を死亡させたり、ケガをさせたりした「人身事故」の場合に限られます。自賠責保険の補償範囲は、以下の通りです。
- 死亡:3000万円
- ケガ:120万円
- 後遺障害:3000万~4000万円(※)
(※)神経系統の機能や精神・胸腹部臓器への著しい障害で、介護を要する障害の場合。それ以外の後遺障害は75万~3000万円
一方で、以下の場合には保険金は支払われません。
- 運転者自身のケガ
- 自動車の修理代
- 単独の人身事故
- 物の損害
人身事故の場合、限度額を超えた分は自己負担となります。物損事故の場合には全額自己負担となるため、自賠責保険に入っているから安心とはいい切れません。
なお自賠責保険の保険料は、金融庁が年に一度開催する審議会で決定されるため、どの保険会社から加入しても同一料金です。
任意保険
任意保険の加入は強制ではありませんが、日本損害保険協会によると約75%のドライバーが加入しています。
事業として車を使用する場合には、委託契約の条件になることも多いため、加入必須と考えておきましょう。
任意保険の補償範囲は幅広く、加入者が必要な補償を選択できるのが特徴です。補償内容は、大きく以下の3つに分かれます。
賠償責任保険
賠償責任保険は、他人に対してケガをさせた場合(対人)、あるいは物品を破損して賠償が必要になった場合(対物)に、損害を補償する保険です。
対人賠償保険
他人を死傷させた場合、自賠責保険の限度額を上回った部分を補償
対物賠償保険
他人に物的損害を与えた損害を補償
(他人の自動車や物を壊した場合、運転中に誤って線路に立ち入ったことにより電車等を運行不能にさせた場合など)
任意保険ではこの2つが基本的な補償とされているため、どちらにも加入しておく必要があります。
また、事故が発生した際には損害賠償金額は高額になる可能性が高いため、保険金額は無制限に設定するのがおすすめです。
示談交渉を行ってくれるサービスが付帯している保険会社もあるため、事前に保険内容を吟味しておくと、いざというときに役に立ちます。
傷害保険
傷害保険は、自動車事故によって負った、自分や同乗者のケガを補償する保険です。
補償内容は細かく分かれており、主に以下のような補償を行います。
人身傷害保険
相手の有無や自身の過失割合に関係なく、保険金を上限として自分および同乗者のケガを補償
搭乗者傷害保険
あらかじめ決められた金額で自分および同乗者のケガを補償
自損事故保険
相手がいないドライバーの単独事故によって、自分や同乗者が死傷した場合に補償
無保険車傷害保険
対人賠償保険に加入していない無保険車との事故によって死傷し、十分な補償が得られない場合の保険
任意保険は補償内容も豊富に選べるため、できるだけ補償を手厚くしておくと安心です。ただ、加入するだけ保険料も上がっていくため、自身の年齢や収入などによって必要な補償を検討することが重要です。
車両保険
車両保険は、自分の車両が損害を受けた場合に、修理費用を補償する保険です。自分の車の損害分を保険金額の上限の範囲で補償してくれ、以下のような場合に保険金が支払われます。
- 車同士の事故で車両が壊れた
- 車両に落書き・いたずらされた
- 車両が盗難にあった
- 当て逃げされた
- ガードレールで車両をこすった
- 自然災害(地震・噴火・津波に由来するものは除く)で車両が傷ついた
また、大きな事故で修理ができなかった場合には、車の買い替え費用として保険金を充当できるのも特徴です。
車の修理が必要になると仕事ができなくなるため、可能な範囲で車両保険を付けておくと安心です。
貨物保険
貨物保険は、荷物を運送するドライバーを対象とした保険です。運送中のトラブルによって荷物が破損した際に、荷物の所有者に対する損害賠償を補償します。
任意保険と同様に加入は強制ではありませんが、黒ナンバーのドライバーであれば加入しておきましょう。
主に以下の場合に、補償されます。
- 破損/盗難
- 輸送用具の衝突
- 水漏れ
- 火災、爆発
- 輸送用具の転覆、横転
- 商品納入中の落下による商品の傷
保険会社によっては、運送中・搬入中のトラブルだけでなく、事故発生によって必要となった代替品の費用や、そのための人件費などの特約をオプションとして設定できるケースもあります。
さまざまな補償が設定できるため、商品の仕入れから納品、販売までにどのようなリスクがあるかを洗い出し、必要な補償を見極めることが重要です。