自動車保険を乗り換える際、デメリットが気になる人も多いでしょう。以下の5つのデメリットを考慮し、乗り換えをするかどうかの判断をしてください。
- 途中解約をすると等級の引き継ぎで不利になる
- 一部の共済からは等級を引き継げない場合がある
- 解約返戻金は月割よりも少ない
- 必要な補償が外れてしまうことがある
- 手続きの手間がかかる
途中解約をすると等級の引き継ぎで不利になる
自動車保険料の割引率や割増率を決めるための評価に「等級」があります。等級は事故歴によって決まり、乗り換えの際も次の保険会社に引き継がれるようになっています。
この等級引き継ぎが、途中解約だと不利になる場合があるので注意しましょう。無事故の場合と事故を起こした場合の2パターンで対応が異なるため、それぞれ詳しく解説します。
保険期間中、無事故だった場合
無事故で保険金を受け取っていない場合、満期での乗り換えなら同時に等級が上がります。乗り換え先の保険契約では等級が1つ上がり、割引率も上がって保険料が安くなります。
一方、途中解約での乗り換えだと翌年の満期日まで等級が上がりません。本来であれば等級が上がるタイミングを逃しているため、不利になるということです。
例えば、満期日が2024年6月1日で10等級だった場合、下表の通りです。
満期日 |
乗り換えた日 |
乗り換え前の 等級 |
乗り換え先の 契約時の等級 |
等級が上がる タイミング |
2024年6月1日 |
2024年6月1日 |
10等級 |
11等級 |
2024年6月1日 |
2024年6月1日 |
2024年2月1日 |
10等級 |
10等級 |
2025年2月1日 |
満期日より前に保険を乗り換えると、等級が上がるタイミングが1年遅れるので、乗り換え時の契約で割引率が上がらないというデメリットがあります。ただし、現在の等級がすでに最大の20等級などになっている場合は気にする必要がありません。
保険期間中、事故を起こした場合
事故を起こして保険金を受け取ると、等級が下がります。満期日に保険を乗り換える場合は、満期日と同時に等級が下がります。
途中解約での乗り換えだと、乗り換えた時点で等級が下がるため、等級が下がった状態で新たな契約がスタートすることになります。
例えば、満期日が2024年6月1日で10等級だった場合で考えると、下表の通りです。
満期日 |
乗り換えた日 |
乗り換え前の 等級 |
乗り換え先の 契約時の等級 |
等級が下がる タイミング |
2024年6月1日 |
2024年6月1日 |
10等級 |
9等級 |
2024年6月1日 |
2024年6月1日 |
2024年2月1日 |
10等級 |
9等級 |
2024年2月1日 |
本来であれば、等級ダウンするのが2024年6月1日だったところ、2024年2月1日に早まります。
一部の共済からは等級を引き継げない場合がある
自動車保険には「こくみん共済」や「JA共済」といった自動車共済もあります。
通常であれば、自動車保険は契約する保険会社を変更しても等級を引き継げますが、一部の共済からの乗り換えでは、等級を引き継げない場合があるので注意しましょう。
例えば「こくみん共済で22等級の状態から、事故なしで損保保険へ乗り換える」という場合、20等級までしかない保険会社だと20等級に下がって契約することになります。
また、中小規模の共済だとそもそも等級の継承ができないこともあります。現在、自動車共済に入っている人やこれから自動車共済に乗り換えようか検討している人は、等級が引き継げるのかを確認しておきましょう。
解約返戻金は月割よりも少ない
自動車保険の保険料は年払いのケースが多く、途中解約をすれば残りの契約期間に応じた金額が「解約返戻金」として払い戻されます。
しかし、解約返戻金は残りの期間分の月割で戻ってくるわけではなく、「短期率(短期料率)」を使って計算されることがほとんどです。
短期料率は保険会社によって条件が異なる場合がありますが、チューリッヒ自動車保険の場合だと、以下の短期料率(一般)が適用されます。
期間 |
短期料率(一般) |
7日まで |
10% |
15日まで |
15% |
1ヵ月まで |
25% |
2ヵ月まで |
35% |
3ヵ月まで |
45% |
4ヵ月まで |
55% |
5ヵ月まで |
65% |
6ヵ月まで |
70% |
7ヵ月まで |
75% |
8ヵ月まで |
80% |
9ヵ月まで |
85% |
10ヵ月まで |
90% |
11ヵ月まで |
95% |
12ヵ月まで |
100% |
出典:チューリッヒ「契約後のご案内」
例えば、契約開始日から6ヵ月で解約した場合、解約返礼金は「年間保険料×(1-短期料率)」で計算されるため、保険料の30%が戻ってくることになります。保険料が仮に年間3万円だった場合、月割で考えると解約返戻金は1万5000円になりますが、実際の解約返戻金は3万円の30%に当たる9,000円です。
タイミングによっては損をする金額が大きくなるため、注意しましょう。
必要な補償が外れてしまうことがある
乗り換えの際は、新しい保険会社で新しい契約プランを提案されます。類似した補償内容のプランで契約できればよいですが、保険会社の商品によっては類似の補償内容が存在せず、必要だった補償が外れてしまう可能性もあります。
必要な補償が網羅できているかを確認したうえで、契約するようにしましょう。
手続きの手間がかかる
途中解約をする場合は、自ら契約中の保険会社に連絡をして解約手続きをしたうえで、さらに新しい保険会社で契約の手続きをする必要があります。
満期で更新せずに乗り換える場合なら面倒な手続きはありませんが、途中解約の場合は手続きに手間がかかることもあります。
一般的な手続きは、以下のような流れです。
- 現在加入中の保険会社に連絡する
- 解約の必要書類を取り寄せる
- 書類に必要事項を記入する
- 保険証のコピー等を同封して返送する