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薬代は医療費控除の対象!市販薬も含まれる?セルフメディケーション税制との違いも解説

執筆者:マネーFix 編集部

【監修】株式会社RKコンサルティング河合 克浩

一般企業、外資系金融機関を経て、現在はファイナンシャルプランナー(FP)として年間150件超のお金の相談に対応。難しく感じる経済やお金の話をわかりやすく説明することに定評がある。夢を実現するため相談者に寄り添い、人生が豊かになるサポートを心がけている。

医療費控除は、年間で10万円を超える医療費がかかった際に所得控除を受けられる制度です。「治療のために薬をたくさん使うけど、薬代は医療費控除されるのだろうか?」「医療費控除はどの範囲まで受けられるのだろうか?」という疑問を持つ人もいるでしょう。

薬代も医療費控除を受けられます。医療費が10万円を超えない場合でも、セルフメディケーション税制を使えば控除が受けられます。

この記事では、医療費控除の概要と、セルフメディケーション税制との違いを解説し、医療費控除の申請方法についても詳しく紹介します。

この記事でわかること
  • 医療費控除の対象と条件
  • 医療費控除とセルフメディケーション税制の違い
  • 医療費控除の申請方法

薬代は医療費控除の対象になる

医療費控除とは、1年間にかかった医療費(病院や薬代など)が10万円(総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等の5%)を超えた際に所得控除を受けられる制度です。

医療費控除が適用された場合、確定申告をすることで課税所得から医療費控除額を相殺でき、払い過ぎた税金の還付を受けられる可能性があります。

医療費控除の対象となる費用と条件

医療費控除は、医療機関での治療費や薬代など、多岐にわたる項目が対象です。代表的なものを下記にまとめます。

医療費控除の対象
  • 薬代
  • 病院での診察・治療費
  • 入院費
  • 出産費
  • 松葉づえや補聴器などの費用
  • あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師による施術費
  • 治療等を受ける医療機関までの交通費

一方で、メガネやコンタクトレンズの購入費用、疲労回復や病気予防として購入した医薬品は医療費控除の対象外となります。

医療費控除が適用される条件は、以下の通りです。

医療費控除の対象になる条件
  • 自己または自己と生計を一にする配偶者、親族のために支払った医療費であること
  • その年の1月1日~12月31日に支払った医療費であること

医療費控除は本人だけでなく、扶養している家族の分の医療費と合算することが可能です。また、その年の1月1日から12月31日までに支払った医療費を集計し、翌年に確定申告を行うことで控除を受けられます。

治療目的で購入した薬代は医療費控除の対象

薬代は医療費控除の対象となります。ただし、対象となる薬は治療を目的として購入した薬に限られるため、疲労回復や健康維持などが目的の薬代は対象外です。

医療費控除の対象になる薬代

医療費控除の対象となる薬は主に次の通りです。

  • 目薬
  • かぜ薬
  • 胃腸薬
  • 頭痛薬
  • 点鼻薬
  • せき止め

病院で処方された医薬品だけでなく、ドラッグストア等で購入した市販薬も治療目的のものであれば対象となります。薬を買う際には、領収書やレシートをきちんと保管しておきましょう。

医療費控除の対象にならない薬代

医療費控除の対象とならない薬は、以下の通りです。

  • ビタミン剤
  • サプリメント
  • 滋養強壮剤
  • 酔い止め
  • 市販の目薬
  • 育毛剤
  • 湿布薬

病院で処方される薬と市販薬とでは、医療費控除適用の可否が異なることがあります。例えば、医師から処方された目薬は医療費控除の対象ですが、市販のドライアイ用などの目薬は対象外です。予防のための薬や栄養剤など、治療に関係ない薬は含まれません。

医療費控除の特例:セルフメディケーション税制とは

セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)とは、OTC医薬品(医療用から転用された医薬品)を購入した際、一定の要件を満たすことで所得控除を受けられる制度です。

本制度は2017年1月から5年間の特例として開始されましたが、2022年1月より5年間延長されることになりました。対象商品も年々拡大されており、申請等の手続きも難しくありません。

10万円以下でも控除される特例制度

年間10万円(総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等の5%)を超えなければ、医療費控除は受けられません。しかし、セルフメディケーション税制を活用すれば、年間の医薬品購入費用が10万円以下でも所得控除を受けられる可能性があります。

セルフメディケーション税制は、対象となる医薬品の支払い額が年間1万2000円を超えた場合に利用できます。ただし、本制度には上限額が設けられており、年間8万8000円を超えた部分については対象から外れるため注意してください。

対象は指定された市販薬に限られる

セルフメディケーション税制の対象となる医薬品は指定された市販薬(OTC医薬品)に限定されており、病院で処方される医薬品は含まれません。

セルフメディケーション税制対象の医薬品は、OTC医薬品のうち医療用から転用されたもので、「スイッチOTC医薬品」と呼ばれるものに限られます。

対象となる商品はパッケージに次のマークが記載されているので、購入時に確認するようにしましょう。

また、医療費控除を受ける場合と同様、レシートや領収書は確定申告の際に必要となるため、紛失しないようきちんと保管しておきましょう。

医療費控除とセルフメディケーション税制の違い

医療費控除とセルフメディケーション税制の主な違いは、下表の通りです。

医療費控除 セルフメディケーション税制
対象期間 無期限 2026年12月31日まで
対象者 日本に居住し、医療費の自己負担額が10万円を超える人
(総所得が200万円未満の場合は総所得の5%の額)
納税者とその家族で、健康のための「一定の取り組み」を受け、
自身の健康増進や病気の予防に取り組んでいる人
控除額 支払った医療費から10万円を差し引いた金額
(総所得200万円未満の場合は総所得の5%を差し引いた金額)
対象品購入額から1万2000円を差し引いた金額
控除額上限 200万円 8万8000円
必要書類 確定申告に必要な書類一式 確定申告に必要な書類一式
申請方法 確定申告 確定申告

医療費控除とセルフメディケーション税制では、対象期間や控除額、上限額などに違いがあります。また、医療費控除とセルフメディケーション税制の併用はできないため、どちらか1つを選択しなければなりません。

薬代の医療費控除の申請方法

医療費控除の申請手順は、以下の通りです。

  1. 医療費控除の対象になる薬代の金額を計算する
  2. 確定申告書と医療費控除の明細書を作成し、提出する
  3. 医療費控除の還付金を確認する

医療費控除を受けるためには確定申告が必要です。1年間に支払った医療費を集計し、確定申告書と明細書を作成します。そして、翌年の確定申告期限までに提出すれば、後日支払いすぎていた分の税金が還付されます。

1.医療費控除の対処になる薬代の金額を計算する

まずは、年内に支払った薬代の領収書を集め、すべて揃っているか確認してください。加入している健康保険から「医療費通知」が送られてくるので、薬代や医療費通知の金額を合算します。合算した金額が10万円以上であれば、医療費控除の対象となります。

医療費控除額の計算式は以下の通りです。

[医療費控除額]=[1年間で支払った医療費の合計金額(控除対象分の費用)]-[保険金などで補てんされた金額]-[10万円]

(※)総所得200万円未満の場合は「10万円」の代わりに「総所得×5%」を差し引く

例えば、1年間で要した医療費合計が20万円で、そのうち受け取った保険金が3万円だったとします。その場合の医療費控除額は、次の通りです。

年収200万円以上の場合

20万円(医療費)-3万円(保険金)-10万円=7万円

年収200万円未満の場合(所得150万円で計算)

20万円(医療費)-3万円(保険金)-7万5000円=9万5000円

2.確定申告書と医療費控除の明細書を作成&提出する

「確定申告書」と「医療費控除の明細書」を入手しましょう。税務署の窓口で入手できますが、国税庁のサイトからPDFやExcelデータとしてダウンロードも可能です。

これらの明細書は手書きで作成することも可能ですが、Excelを使用しての作成がおすすめです。Excelを使用すれば、計算も自動的に行われるため、ミスも防ぎやすくなるでしょう。

次に「医療費控除の明細書」を作成します。

明細には、領収書を確認しながら、医療を受けた人の名前、病院名、医療費の区分、保険などで補填される金額を記入します。通院にかかった交通費なども忘れずに記入してください。

すべての記入が完了すると、Excelデータであれば自動で医療費控除額が算出されます。手書きの場合は、医療費控除の明細書の「控除額の計算」を基に控除額を計算してください。

医療費控除額が算出されれば、その金額を確定申告書の「医療費控除」欄に記入すれば書類は完成です。

作成した「医療費控除の明細書」は確定申告書と一緒に税務署に提出します。領収書やレシートを添付する必要はないですが、5年間は保管するようにしてください。

確定申告の提出期間は翌年2月16日~3月15日です。

3.医療費控除の還付金を確認する

確定申告書の提出後、還付金は申請から約1ヵ月~1ヵ月半後に、指定した銀行口座に振り込まれるか、ゆうちょ銀行・郵便局で受け取ることが可能です。

還付されるのは、源泉徴収票に記載されている所得税額から、確定申告した所得税額を差し引いた金額です。

還付額のシミュレーションについては、医療費控除でいくら戻る?計算方法と控除額のシミュレーションも参考にしてください。

まとめ

薬代は医療費控除の対象になるかどうか、医療費控除とセルフメディケーション税制との違い、医療費控除の申告方法を解説しました。医療費控除を活用できれば、払い過ぎた税金が還付される可能性があります。1年間の医療費が高額になる場合は、領収者やレシートをきちんと保管しておき、翌年の確定申告期限までに忘れず申請しましょう。

また、年間の医療費が10万円未満の場合でも、薬代(スイッチOTC)が1万2000円以上の場合はセルフメディケーション税制の対象となり、所得控除を受けられます。

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