児童手当(子ども手当)に所得制限が設けられてから、10年が経過しています。
児童手当の所得制限については、賛否さまざまな声がありますが、「異次元の少子化対策」のたたき台において、「所得制限撤廃」の方針が発表されました。
この記事では、児童手当の所得制限について、以下の項目を解説します。
- 2022年10月に改正された児童手当の内容
- 児童手当をもらえない年収
- 児童所得制限についての賛否
- 所得制限の問題点
児童手当(子ども手当)に所得制限が設けられてから、10年が経過しています。
児童手当の所得制限については、賛否さまざまな声がありますが、「異次元の少子化対策」のたたき台において、「所得制限撤廃」の方針が発表されました。
この記事では、児童手当の所得制限について、以下の項目を解説します。
児童手当は、通常、子1人につき月1万~1万5000円が支給されます。
出典:内閣府「児童手当制度のご案内」
児童手当には、「所得制限限度額」が設定されています。
児童を養育する人の所得額が「所得制限限度額」の場合、「特例給付」として一律5,000円が支給されていました。
しかし、2022年10月の改正により、新たに「所得制限上限額」が設けられ、「所得制限上限額」を超えた世帯は、「特例給付」の支給対象外となりました。
「所得制限上限額」は、扶養している人数によって異なり、所得額とともに収入額の目安が公表されています。
所得制限上限額(児童手当をもらえない年収・所得額)
※年収の目安は、給与収入の目安。実際は、各種控除を適用したあとの所得額で判断される。
出典:内閣府「児童手当制度のご案内」をもとに作成
例えば、年収103万円以下の配偶者と子1人の世帯(扶養者数2人)であれば、年収1162万円以上だと、児童手当はもらえません。
児童手当の所得制限について、子育て世代の人はどのように感じているのでしょうか。
ARINA株式会社が運営する教育メディア「おうち教材の森」が、中学生以下の子どもを持つ親200名を対象に「子ども手当・児童手当の所得制限についてのアンケート調査」(2023年1月)を実施しました。
出典:おうち教材の森「子ども手当・児童手当の所得制限についてどう思いますか?」
調査によると、「子ども手当・児童手当は平等であるべき」(60人)が最も多く、「所得制限があって当然」(53人)、「子育て世代に手厚い政策が望ましい」(43人)、「所得制限を撤廃すべき」(31人)と続きました。
賛否両論がありますが、所得制限に賛成する人からは、「財源は有限」「ばらまきはやめて欲しい」など、財源を気にする声が目立ちました。
一方、所得制限に反対する人は、「子どものための手当なのだから平等にすべき」という声が目立ちました。
次に、所得制限の問題点について見てみましょう。
基準額に近い世帯では、わずかの差で、児童手当をもらえる世帯ともらえない世帯が生まれます。
基準額ぎりぎりで児童手当をもらえなかった世帯は、不平等を感じやすくなるでしょう。
また、所得上限額が「世帯主の所得額」で判定される点も問題点の1つです。
例えば、子1人の世帯において、「世帯主の所得額1000万円(配偶者は所得なし)」と「世帯主と配偶者の所得額それぞれ500万円」の世帯を比べると、世帯所得額は同額にもかかわらず、前者の世帯だけ児童手当がもらえません。
少子化が改善されないなどの背景もあり、政府は、「児童手当の所得制限を撤廃する方針」を発表しました。
6月にまとめる「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」でより具体的な方針が発表される予定です。
児童手当についての検討内容については、こちらの記事「児童手当が子ども1人につき「36万円」増額か。「高校生まで支給」「多子世帯への給付額アップ」「所得制限撤廃」がポイント」も参考にしてみてください。
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