老後資金はどこに相談すればいい?お金の不安を解消するための相談のポイント

執筆者:マネーFix 編集部

【監修】株式会社RKコンサルティング

河合 克浩

一般企業、外資系金融機関を経て、現在はファイナンシャルプランナー(FP)として年間150件超のマネー相談に対応。難しく感じる経済やお金の話をわかりやすく説明することに定評がある。夢を実現するため相談者に寄り添い、人生が豊かになるサポートを心がけている。

物価が年々上昇していることもあり、このままでは老後の生活資金に影響があるのではないかと不安に感じている人もいるかもしれません。老後の資金に関しては、どこに相談すればよいのでしょうか。

この記事では、老後資金についての悩みを解説し、不安を解消するための手段や相談先、相談する際のポイントについて紹介します。

老後資金についてよくある不安や悩み

メットライフ生命が2022年に行った「老後を変える全国47都道府県大調査」によると、「お金」と「健康」に関することが老後の不安の上位2つを占める結果となりました。

老後のお金について不安になる原因としては、世界情勢の変化や物価上昇、いわゆる「老後2000万円問題」などが挙げられます。

具体的な老後資金に関する悩みとしては、以下のようなものがあります。

  • 老後の医療費や介護費用が準備できるか心配
  • 住居の修繕や建替え費用が足りるか不安
  • お金をどのように管理すればいいかわからない
  • 老後にいくらお金を用意したらいいのかわからない

老後の医療費や介護費用が準備できるか心配

平均寿命の延びとともに、医療費や介護費用がどの程度必要なのかわからないという漠然とした不安が多く見られます。

若いうちは健康でも、歳を取るにつれ病気になったり、持病が悪化したりするなど、病院にお世話になる機会が増えます。少子化が進む中、今後さらに医療費の自己負担割合が高くなる可能性もあるでしょう。

また、介護が必要になった場合の費用についても、どのような介護を希望するかによって金額は異なります。

住居の修繕や建て替え費用が足りるか不安

持ち家の場合、築年数が経つにつれ、修繕が必要な箇所は増えていきます。例えば、屋根や外壁の修繕は多額の費用がかかるため、資金が足りない場合には借入する必要もあるかもしれません。

収入が年金だけだとローンを組むのは難しいです。だからといって、老後の生活のために準備していた資金から修繕費用を捻出すれば、その後の生活費が不足する可能性もあります。

お金をどのように管理すればいいかわからない

最終的に受け取れる年金額がいくらなのか、また老後の生活費に毎月どのくらいかかるのかによって、家計を見直す必要が出てきます。しかし、実際には、どのように見直せばいいのかわからないという人もいるでしょう。

退職金を老後資金に充てるべく準備していても、長生きすると資金が枯渇する可能性もあります。

老後にいくらお金を用意したらいいのかわからない

早くから老後資金の形成に着手しようとしても、リタイアしたあとでどの程度のお金が必要なのかわからないという人もいるでしょう。

いくら用意すればいいのかは、ライフスタイルや趣味などによって人それぞれなので、一概にはいえません。

老後資金について専門家に相談してわかること

老後の資金は、どのぐらい用意すればよいのでしょうか。おおよその目安を知りたい場合は、お金の専門家に相談することをおすすめします。専門家に相談することで、老後資金について以下のことがわかります。

  • 老後に考慮すべきリスクと対策
  • 準備すべき老後資金の目安
  • 最適な貯蓄方法

老後に考慮すべきリスクと対策

老後に対する漠然とした不安があるものの、実際にどのようなことに注意すればいいのかわからないという人は多いです。

そのような場合、専門家に相談することで、老後におけるリスクと対策法についてアドバイスがもらえます。

例えば、定年退職後は収入が減るため、これまでの生活レベルを見直す必要があります。持病が悪化したり、病気にかかりやすくなったりするなど、健康に対する不安への対処法も同時に考えなければなりません。

また、介護が必要になったときに備えて、利用できる制度についてあらかじめ知識を得られれば、今後何を準備すべきなのか整理できます。

準備すべき老後資金の目安

老後に受け取れる年金額は、その人の働き方に応じて異なります。

専門家に相談することで、老後に受け取れる年金額や、希望する生活スタイルに必要な資金をシミュレーションできるなど、具体的な数字がわかります。

資金が不足することがわかった場合は、不足分を早いうちから準備しておく必要があります。不足額がわかれば対策も見えてくるので、漠然とした不安も解消されるでしょう。

最適な貯蓄方法

専門家に相談することで、家計の見直しを行うとともに、今後どうすべきかが明確になります。現在の収支状況や年齢、就労状況や家族構成などさまざまな観点から、自分に最適な貯蓄方法をアドバイスしてもらえます。

最適な貯蓄方法とは、無理なくお金を蓄えられる方法のことです。また、どの程度の金額を蓄える必要があるのかなど、具体的な数値の目安がわかれば、より安心でき、資金計画も立てやすくなるでしょう。

老後資金についてどこに相談したらいい?

老後資金について相談できる窓口は、以下の通りです。

  • 銀行
  • 証券会社
  • FP(ファイナンシャルプランナー)
  • IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)

銀行

銀行では、主に「ためる商品」としてのさまざまな貯蓄プランが用意されています。また、外貨預金や投資信託、保険なども販売しているため、老後資金をどの金融商品を使って形成していくか相談することが可能です。

銀行へ相談する場合、関連会社の商品を薦めてくる傾向があるため、その商品が本当に自分に合っているのか慎重に検討しなければなりません。また、相談途中で担当者が変わる可能性があります。

銀行での相談が向いているのは、平日の昼間に窓口に行ける余裕がある人や、薦められた金融商品が自分に合っているか判断できる人です。

証券会社

証券会社では、主に資産運用についての相談が可能です。対面相談が可能なところと、インターネットや電話などで相談できるところがあります。

証券会社も銀行と同様に、相談途中で担当者が変わる可能性があります。株式や債券、投資信託などの資産運用商品についても、関連会社の商品を薦められる傾向があるため、提案された内容が適切かどうか自分で判断する必要があります。

証券会社での相談は、資産運用しながら老後資金を形成したいと考えている人に向いています。

FP(ファイナンシャルプランナー)

FP(ファイナンシャルプランナー)は、家計の収支状況やライフプランを考慮しながら、資産形成について提案してくれるお金の専門家です。貯蓄方法や運用方法、保険の見直しなど、総合的に相談できます。

FPは、代理店などに所属している企業系FPと独立系FPに分けられます。独立系FPの方が中立的な立場でアドバイスをもらえるため、おすすめです。ただし、独立系FPに相談する際には相談料が発生するケースが多いため、事前に確認してください。

FPへの相談は、貯蓄方法や保険など、お金のことについて総合的に相談したい人に向いています。こちらから申し込めば、無料でFP相談を受けることができます。

IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)

IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)とは、「金融商品仲介業者」のことです。多くの場合無料で相談できる点はFPと同じですが、IFAは資産運用の相談に特化している点が異なります。

IFAは特定の金融機関に所属していないため、中立的な立場からアドバイスを受けられる点がメリットです。ただし、中には受け取れる手数料の高い金融商品を紹介するIFAもいるため、注意してください。

今後資産運用に積極的に取り組みたいと考えている人におすすめの相談先です。

有益なアドバイスをもらうための相談時のポイント

相談の際に有益なアドバイスをもらうためには、以下のポイントを押さえておきましょう。事前の準備次第で相談時間も短くできるほか、より具体的なアドバイスを得られる可能性が高くなります。

  • 自分の現在の状況を正確に伝える
  • 目標を明確にする
  • 税金や投資に関する知識をある程度は理解しておく
  • 複数の専門家のアドバイスを参考にする
  • 最終的な判断は自分が納得したうえで決定する

自分の現在の状況を正確に伝える

年収や家計の収支状況、貯蓄額などの資産状況、および投資経験などの情報は正確に伝えましょう。そうしないと具体的な数値を算出できず、適切なアドバイスをもらうことができません。

年収に関しては、源泉徴収票もしくは確定申告書の控えなど、収入に関する書類を準備しておきます。

家計の収支をアプリで管理している人は、相談時にアプリの内容を確認してもらうとよいでしょう。

目標を明確にする

相談内容に資産形成を含めるなら、目標を明確にしておく必要があります。いつまでにどのくらいの資産を形成したいのか、具体的な期間や数値を伝えてください。

老後資金について相談する際にも、老後のライフプランをどのように考えているのか自分で明確にしておかなければ、相談される側も的確なアドバイスができません。

目標を定めたうえで、わかりやすく伝えるように心がけることで、話がスムーズに進みます。

税金や投資に関する知識をある程度は理解しておく

身の回りの税金や投資に関する基本的な知識があると役に立つでしょう。もちろん、知らなくても相談時にはわかりやすく説明してもらえますが、知識があると自分で判断がしやすくなります。

初心者向けのセミナーを受講して得られる程度の知識は持っておくことをおすすめします。

複数の専門家のアドバイスを参考にする

専門家にはそれぞれ得意分野があるほか、人によって相性が異なります。また、どのように話を進めてくれるのか、相談後のフォローはどうなっているのかは、実際に相談してみないとわからないのが実情です。

しっかりと自分の話を聞いてくれて的確なアドバイスをしてくれるか、説明がわかりやすいかどうかも人によって異なるため、複数の専門家に相談したうえで、今後継続して相談する相手を選ぶのがおすすめです。

また、複数の専門家に相談することで、新たなアドバイスをもらえる可能性が高まります。大切なお金について相談するので、妥協せずに信頼できる相手を選ぶことが大切です。

最終的な判断は自分が納得したうえで決定する

専門家からアドバイスをもらったとしても、最終的な判断は自分で行わなければなりません。

「専門家にいわれたから」ではなく、「アドバイスを元に自分で調べてみて、疑問点が解消でき、納得したから」という考えで判断することが大切です。お金のことは自己責任だと認識したうえで、納得できる方法を採るようにしてください。

まとめ

物価が高騰し続けており、老後にどの程度のお金が必要になるのか不安に感じる人もいるでしょう。その場合は、一度専門家に相談してみることをおすすめします。

お金の相談窓口にはいくつか種類があり、それぞれ特徴が異なります。この記事を参考に探してみてください。自分に合った相談先を見つけて、納得できるまで話を聞き、不安を解消することが大切です。

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