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児童手当の所得限度額の計算方法と所得制限ギリギリのときの対策

執筆者:佐藤 憲亮

【記事執筆】税理士佐藤 憲亮

「お客様との対話を大事に」をモットーに、気軽に相談できる専門家として税務顧問業務をメインに活動。税務記事や税務論文の執筆もおこなっている、書くことが好きな税理士。税理士事務所で12年の実務経験を積み、2020年に税理士登録。

養育する子どもがいる親には「児童手当」が支給されます。ただし、児童手当が支給されるかどうかは、子を養育する親の「所得金額」によって決定されます。

児童手当の受給に所得制限があることを知らず、ギリギリのところで児童手当をもらえなくなった人もいるのではないでしょうか。

これを回避するためには、児童手当の所得制限の計算方法を知り、所得制限以上となりそうなときは早めに対策をとる必要があります。

この記事では、児童手当について、以下の項目を解説します。

  • 児童手当の所得制限の概要
  • 所得制限の計算方法
  • 所得制限ギリギリになりそうな場合の対策
  • 今後の制度改正の動向

児童手当とは

児童手当は、0~15歳の子を持つ家庭を支援するために、政府が一定金額を支給する制度です。児童手当の支給金額は子の年齢により異なり、15歳の誕生日をむかえた後の最初の3月31日まで支給されます。

児童手当は下記の支給要件を満たす人に、申請月の翌月から支給されることとなっています。子が産まれたらすぐに申請をするようにしましょう。なお、月末に出産した場合は、特例として出産日翌日から15日以内の申請で、出産月の翌月から支給されます。

児童手当の支給要件
  • 児童が日本国内に居住している
  • 父母が離婚協議中である場合は、児童と同居している者に優先的に支給される
  • 父母が海外に居住している場合、その父母が日本国内で児童を養育している者を指定すればその指定者に支給される
  • 児童に未成年後見人がいる場合は、その者に支給される
  • 児童が施設に入所していたり里親がいたりする場合は、原則として、その施設の設置者や里親に支給される
児童手当受給金額
  • 3歳未満:1万5000円
  • 3歳~小学校卒業まで:1万円(第3子以降は1万5000円)
  • 中学生:1万円

児童手当の所得制限とは

児童手当はすべての家庭に支給されるわけではなく、所得によって支給額が減額される場合と、支給されない場合があります。これを所得制限とよび、「所得制限限度額」と「所得制限上限額」があります。

所得金額が「所得制限限度額」を超える場合、特例給付として月額5,000円が支給されます。また、「所得制限上限額」を超える場合、特例給付の支給対象外となります。

所得制限の判定は、夫婦の所得を合算して計算するのではなく、いずれか所得が高い者単独で行います。例えば、児童の母が専業主婦で父のみに所得がある場合、父の所得が「所得制限上限額」を超えると児童手当は支給されません。一方、共働きの場合であっても、それぞれ単独で「所得制限上限額」を超えなければ、児童手当が支給されます。

児童手当の所得制限の計算方法

所得制限の判定は、受給者本人(同一生計者のうち所得が高い者)の前年の所得金額によって行われます。計算式は以下の通りです。

[総所得金額]-[控除額]-[8万円]=[所得金額]

所得金額の計算結果が、下表の所得制限限度額未満であれば、児童手当は満額支給されます。しかし、所得制限限度額以上で所得上限限度額未満の場合は、児童1人あたり月額5,000円の特例給付が支給されることとなります。なお、所得上限限度額以上の所得金額となった場合は、児童手当の支給はされません。

所得制限限度額と所得上限限度額
扶養親族の数 所得制限限度額 所得上限限度額
0人 622万円 858万円
1人 660万円 896万円
2人 698万円 934万円
3人 736万円 972万円
4人 774万円 1010万円
5人 812万円 1048万円

例えば、子1人の世帯で「世帯主の所得額1000万円(配偶者は所得なし)」の場合、扶養家族の数は2人(配偶者と子ども)となります。世帯主の所得が所得上限限度額を超えるため、児童手当はもらえません。

一方、「世帯主の所得額が600万円、配偶者の所得額が400万円」の場合、扶養家族の数は1人(子ども)となります。世帯主のほうが所得が多いため、所得制限の判定は世帯主の所得600万円に対して行われます。所得制限限度額が660万円なので、児童手当が支給されます。

所得制限ギリギリとなっている場合の対策

試算の結果、所得制限以上となってしまう場合は、対策をすることで翌年の児童手当の支給を受けることができるかもしれません。

ここでは、所得制限ギリギリとなっている場合の対策について解説します。

控除額の見直し

所得控除の適用は自己申告となります。対象となる控除にどのようなものがあるのかを知っておく必要があります。

例えば、ふるさと納税や住宅ローン控除は、児童手当の所得制限の算出においては控除の対象外となります。

児童手当の所得制限の算出において対象となる控除は以下の通りです。

  • 雑損控除
  • 医療費控除
  • 小規模企業共済掛金控除
  • 障害者控除
  • ひとり親控除
  • 寡婦控除
  • 勤労学生控除

確定申告の見直し

総所得額には、事業所得・不動産所得・雑所得などの所得が含まれます。これらの所得は、収入から必要経費を差し引いて計算するので、所得額を減少させるためには、必要経費をより多く計上する必要があります。

所得額が高くなりそうな場合は、翌年に予定していた経費を前倒しにする等をして、所得額を見込み額よりも減少させることも可能です。

所得分散の検討

児童手当の所得制限判定は、夫婦のどちらか高い方の所得金額で判定されます。所得を分散できれば、所得制限に引っかかる可能性は下がります。

例えば、事業を行っていて青色申告をしている場合は、青色専従者給与の支給をすることで、所得を分散させることが可能です。

また、給与所得者の場合は、共働きにして仕事量を調整できる場合もあるでしょう。

今後の制度改正の動向

児童手当の所得制限は、令和4年10月に改正され、所得上限限度額が設けられました。さらに、令和5年6月現在「異次元の少子化対策」が具体化しつつあり、下記のことが検討されています。

  • 児童手当の対象を18歳まで引き上げる
  • 第3子以降の児童手当額を引き上げる
  • 所得制限を撤廃する

これらは未確定事項ですが、近年縮小傾向にあった児童手当が、今後拡充される可能性があります。

まとめ

この記事では、児童手当の所得制限について解説しました。所得制限で児童手当が支給されない場合でも、控除額の見直しをすることで、支給要件を満たせる可能性があります。

まずは、自身の所得額を把握し、児童手当の支給要件を満たしているかどうかを確認しておきましょう。

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