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退職金のおすすめの運用方法とは?お金を預けるならどの銀行がいい?

執筆者:マネーFix 編集部

【監修】株式会社RKコンサルティング河合 克浩

一般企業、外資系金融機関を経て、現在はファイナンシャルプランナー(FP)として年間150件超のお金の相談に対応。難しく感じる経済やお金の話をわかりやすく説明することに定評がある。夢を実現するため相談者に寄り添い、人生が豊かになるサポートを心がけている。

「退職金はどう使うのが賢いの?」「退職金のおすすめの運用方法は?」といった疑問を持つ人もいるでしょう。退職金の運用方法には、株式投資や投資信託、退職金運用専用の定期預金などがあります。

退職金を運用する際は長期的に取り組むことが大切です。NISAなどの国の制度も有効です。

この記事では、退職金のおすすめの運用方法や上手に運用するコツを紹介します。

この記事でわかること
  • 退職金を運用すべき理由
  • 退職金の運用方法
  • 退職金を預けるのにおすすめの銀行
(※)この記事は、2023年12月時点の情報をもとに作成しています。

退職金を運用した方がいい理由

まとまった金額を受け取れる退職金は、そのまま預貯金するよりも運用するのがおすすめです。

退職金を運用するべき理由は、以下の通りです。

  • 退職金は減額される傾向がある
  • 平均寿命が伸びている
  • インフレ傾向にある

退職金は減額される傾向がある

退職金は、以下の厚生労働省の調査データからわかるように、減額傾向にあります。

調査した年 退職金平均額
平成30年 1983万円
令和5年 1896万円
出典:厚生労働省「退職給付(一時金・年金)の支給実態

令和5年の退職金平均額は、平成30年と比べて87万円減少しています。退職金が減少傾向にある理由は、経済動向や世界情勢、為替相場などの影響による企業の業績悪化が考えられます。

いまの日本では、年金だけで生活費をまかなうのが難しいとされています。退職金が少なければ、生活水準を維持したまま老後を過ごすのは困難でしょう。老後資金の不安を軽減するためにも、退職金を運用することが大切です。

平均寿命が伸びている

日本人の平均寿命は伸びているため、老後生活にかかる資金も増加傾向にあるといえます。

以下は、厚生労働省が調査した平均寿命の推移です。

調査した年 平均寿命(男性) 平均寿命(女性)
昭和50年 71.73歳 76.89歳
平成2年 75.92歳 81.9歳
平成22年 79.55歳 86.3歳
令和4年 81.05歳 87.09歳
出典:厚生労働省「令和4年簡易生命表の概況

昭和50年と令和4年の平均寿命を比べると、男女ともに約10歳伸びています。65歳で退職した場合、平均寿命までは20~25年もの時間があり、その長さは人生の約4分の1以上を占めます。退職後の長い人生を不安なく暮らすためにも、退職金を運用して資産を増やすことが大切です。

インフレ傾向にある

2024年現在の日本は、物価が上がり続けるインフレ傾向にあります。物価が上がると、いままでと同じモノやサービスを購入するときに、より多くのお金を支払わなければなりません。

モノやサービスの物価の動きを表した、総務省の消費者物価指数の調査データを見ていきましょう。

調査した年 消費者物価指数
平成24年 94.5
平成26年 97.5
平成28年 98.1
平成30年 99.5
令和2年 100
令和4年 102.3
(※)2020年を100として算出
出典:総務省「2022年(令和4年)平均消費者物価指数の動向

日本の物価は継続的に上昇している傾向があり、円安や原材料の高騰によって今後もインフレが続く可能性が高いと考えられます。

このままインフレが続くとすると、受け取る退職金の実質的な価値がどんどん下がっていくことになります。老後の生活に備えるには、預貯金や現金で保有するだけでなく、資産運用でインフレ対策をすることが大切です。

退職金のおすすめの運用方法


退職金のおすすめの運用方法は、以下の通りです。

  • 個人向け国債
  • 株式
  • 投資信託
  • 不動産投資
  • 退職金運用専用の定期預金

個人向け国債

個人向け国債とは、国が資金調達を目的として個人に発行する債券のことです。国債を購入すると、国から利子を受け取れます。

個人向け国債で退職金を運用するメリット・デメリットは、以下の通りです。

メリット
  • 元本割れのリスクがほとんどない
  • 国が発行元のため比較的安全
  • 05%の最低金利が保証されている
デメリット
  • 高いリターンは期待できない
  • インフレによって価値が下がる可能性がある
  • 発行から1年間は換金できない

国債は、募集期間内に指定金融機関に申し込むことで購入できます。基本的に月に1回発行されますが、募集期間が決まっているため、事前に財務省のホームページでスケジュールを確認しておきましょう。

株式

株式とは、株式会社が資金を調達するために発行する有価証券のことです。株式投資のリターンには、株価が値上がりした株式の売却益と、企業の利益の一部を受け取る配当金や株主優待があります。

株式で退職金を運用するメリット・デメリットは、以下の通りです。

メリット
  • 売却益を狙える
  • 配当金や株主優待を受け取れる場合がある
  • 投資対象が多く分散投資しやすい
デメリット
  • 元本割れのリスクがある
  • 相場状況によって売買が成立しないときがある
  • ある程度の知識が必要となる

株式投資は、株価が下がったり企業が倒産したりすることで損失が生じる可能性があります。また、株式投資で利益を狙うには銘柄選びや相場を分析するスキルや知識が必要となるため、投資初心者には難易度の高い投資方法といえるでしょう。

投資信託

投資信託とは、複数の投資家から集めた資金を資産運用の専門家が代わりに運用する投資方法です。投資で得られた利益は、投資家に分配されたり、より多くの利益を得るために再投資されたりします。

投資信託で退職金を運用するメリットやデメリットは、以下の通りです。

メリット
  • 投資初心者でも始めやすい
  • 運用の手間がかからない
  • 簡単に分散投資ができる
デメリット
  • 元本割れのリスクがある
  • 短期で利益を得るのは難しい
  • 銘柄選びに悩む可能性がある

投資信託は運用をプロに任せられるものの、どの銘柄に投資するかは自分で決めなければなりません。

不動産投資

不動産投資とは、マンションやアパート、オフィスビルなどの不動産を対象とした投資方法です。不動産投資で得られる主な利益は、家賃収入や売却益です。

不動産投資で退職金を運用するメリット・デメリットは、以下の通りです。

メリット
  • 毎月の収益が安定しやすい
  • 金融機関からの融資を活用できる
  • 節税対策に利用できる
デメリット
  • 家賃収入や不動産価値が下がるリスクがある
  • 管理費や修繕費などのランニングコストがかかる
  • 災害リスクがある

不動産投資は、空室や賃貸滞納により収入が減る、もしくは赤字になる可能性があります。加えて、物件が老朽化したり事故物件になったりすることで、不動産価格が下がるリスクも潜んでいます。

退職金運用専用の定期預金

退職金運用専用の定期預金とは、預入対象を退職金に限定した定期預金のことです。定期預金はあらかじめ預入期間を定めることで、普通預金より高い金利を受け取れる金融商品です。

退職金運用専用の定期預金の多くは、利用者の年齢や預入時期などに制限がある代わりに、一般的な定期預金よりも高い金利が設定されています。

退職金運用専用の定期預金で退職金を運用するメリット・デメリットは、以下の通りです。

メリット
  • 元本割れのリスクがない
  • 普通預金や一般的な定期預金よりも金利が高い
  • 銀行が破綻しても1000万円までは元本と利息が保証される
デメリット
  • 退職金を大きく増やせない
  • 高金利期間が短い
  • 投資信託の契約が条件となる金融機関がある

退職金運用専用の定期預金は、すべての銀行が取り扱っているわけではありません。また、銀行によって高金利期間や利用条件が異なるので、事前に比較したうえで申し込むことが大切です。

退職金を預けるならどこの銀行がおすすめ?

前述の通り、銀行によっては退職金運用専用の定期預金を行えるところがあります。投資による元本割れリスクを許容できないという人には、現実的な選択肢の1つといえるでしょう。

退職金運用専用の定期預金を取り扱うおすすめの銀行は、次の通りです。

  • 三菱UFJ信託銀行
  • 三井住友信託銀行
  • みずほ銀行
  • りそな銀行

三菱UFJ信託銀行は、以下の4つのプランから自分に合ったコースを選べるのが魅力です。

  • ファンドラップコース:ファンドラップと定期預金のセットコース
  • 投信コース:投資信託と定期預金のセットコース
  • ずっと安心コース:元本保障の「ずっと安心投信」と定期預金のセットコース
  • 定期預金コース:定期預金単体のコース

投資に興味がある人は、プロに運用を任せられるファンドラップコース・投信コース、元本が減るのが心配な人は定期預金コースといったように、ニーズにあわせてコースを選べます。

三菱UFJ信託銀行では、退職日もしくは退職金の受取日のいずれか遅い日から2年後の月末まで利用できます。退職してから期間が空いている人でも問題なく始められるのが特徴です。

期間 投信コース:3ヵ月
定期預金コース:3ヵ月・1年
想定利回り 投信コース:年7.1%
定期預金コース:年1.0%
プラン数 4プラン
投資信託のセット販売の有無 あり

三井住友信託銀行は、定期預金のみのコースと、投資信託とファンドラップを組み合わせる資産運用コースから選べます。資産運用コースは、投資信託とファンドラップへの投資割合を20%以上から設定できるため、投資に不安を抱えている人でも始めやすいメリットがあります。

三菱UFJ信託銀行と同様に、退職した日もしくは退職金を受け取った日から2年以内であれば利用可能です。

期間 資産運用コース:3ヵ月・1年
定期預金コース:3ヵ月・3年
想定利回り 資産運用コース:年1.8~7.1%
定期預金コース:年0.3~0.9%
プラン数 3プラン
投資信託のセット販売の有無 あり

みずほ銀行は、投資信託と同時に申し込むことで、金利の高い定期預金を利用できます。

みずほ銀行の退職金運用専用の定期預金は、投資信託の購入金額によって利回りが異なります。投資信託の購入相当額が100万円以上300万円未満であれば年7.0%なのに対し、300万円相当額以上であれば年10.0%になります。

なお、退職金運用専用の定期預金を利用できるのは、退職金を受け取ってから1年以内の人となります。

期間 3ヵ月
想定利回り 年7.0~10.0%
プラン数 1プラン
投資信託のセット販売の有無 あり

りそな銀行は、投資信託もしくはファンドラップと同時に契約することで、金利の高い退職金専用の定期預金を利用できます。りそな銀行のプランは、預入金額が500万円以上1000万円未満の場合は年3.0%、1000万円以上であれば年7.0%と、預入金額によって利回りが異なるのが特徴です。

りそな銀行では、投資信託もしくはファンドラップに預け入れる金額を全体の50%以上するように定められています。また、退職金を受け取った日から1年以内の人を対象としています。

期間 3ヵ月
想定利回り 年3.0~7.0%
プラン数 1プラン
投資信託のセット販売の有無 あり

退職金を上手に運用するためのコツ

退職金を上手に運用するコツは以下の通りです。

  • 退職金のすべてを運用に回さない
  • 長期的な利益を見据える
  • 少しずつ積立投資する
  • できるだけリスク分散する
  • 国の制度を活用する
  • FPに相談しながら進める

退職金のすべてを運用に回さない

受け取った退職金は、以下の3つの資金に分けるのがおすすめです。

  1. 日々の生活費や万が一に備える資金
  2. 数年先に必要になる生活費や資金
  3. 投資に利用できる余剰金

2に振り分けた資金は、比較的すぐに引き出せる定期預金などで管理するのがよいでしょう。

3の余剰金は、退職金運用専用の定期預金や投資信託などに回すのがおすすめです。

すべての退職金を運用に回すと、日々の生活が苦しくなったり、現金が必要なときに困ったりする可能性があるので注意しましょう。

長期的な利益を見据える

短期的に大きなリターンを得られる投資方法は、リスクが高い傾向があります。

資産運用に失敗して老後の生活に大きな影響を出さないためには、長期的な視点で少しずつ利益を積み重ねるような運用をすることが大切です。また、これまでの利益を元本に加えて運用する「再投資」をすれば、複利効果によってさらに大きな利益を生むことができます。

少しずつ積立投資する

リスクを抑えながら退職金を運用するためには、少しずつ積み立てて行くことが大切です。

株式投資や投資信託は、価格変動によって損益が変わるため、投資タイミングによっては損失が発生する可能性があります。ただし、株式投資の知識がない人が価格変動を予測して投資をするのは困難です。

投資タイミングを誤って大きな損失を受けないためには、投資タイミングを少しずつズラしながら積立投資をするのが効果的です。いつ投資すればよいのかわからない人は、積立投資を活用してみましょう。

できるだけリスク分散する

資産運用で退職金が減るリスクを抑えるには、投資対象を1つに絞らずに分散することが大切です。

株式や債券のように性質の異なる金融商品は、常に同じ値動きをするわけではありません。特定の金融商品が値下がりしたとしても、ほかの金融商品の値上がりでカバーできれば、退職金が減るリスクを軽減できます。

また、投資対象を国内だけでなく、海外に分散するのも効果的な手段です。日本株だけに投資していると、日本経済が不安定になったときに損失を受けるリスクがありますが、外国株式に投資していればそういったリスクを軽減できるでしょう。

国の制度を活用する

退職金の運用をする際は、国の制度であるNISAの活用も検討しましょう。株式投資で得た利益には、原則として20.315%の税金がかかりますが、NISAを利用すれば運用益が非課税で受け取れます。

2024年1月から始まった新NISAでは、年間投資枠が拡大し、より多くの資産を運用できるようになりました。

FPに相談しながら進める

退職金の運用方法に悩んでいる場合は、お金の専門家であるファイナンシャルプランナー(FP)に相談するのも方法の1つです。個人にあわせた適切な運用方法を提案してくれたり、日々の生活費を見直したりしてもらえます。

FPによって得意分野が異なるので、資産運用に詳しい人に相談するのがおすすめです。事前にプロフィールや口コミなどをチェックし、自分に合ったFPを見つけましょう。

退職金の運用の仕方をFPに相談するなら「ファイナンシャルプランナーに相談するときの注意点は?相談内容やメリットを解説」が参考になります。FPに相談する際の流れや事前準備、実際に利用してみた調査データを紹介しています。

まとめ

退職金を運用した方がいい理由として、平均寿命が延びており、インフレ傾向にあることなどが挙げられます。

退職金の運用方法には、個人向け国債や株式投資、投資信託、退職金運用専用の定期預金などがあります。退職金運用専用の定期預金なら、記事で紹介した銀行がおすすめです。

退職金を上手に運用するには、長期運用や分散投資によりリスクを抑えたり、NISAなどの国の制度を活用したりすることが大切です。自分に合った退職金の運用方法を見つけて、老後資金の不安を少しでも軽減させましょう。

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