保険の加入を検討しているものの、種類が多く迷ってしまうという人もいるでしょう。「自分に最低限必要な保険がわからない」「そもそも保険の選び方が難しい」と悩んでいませんか。
保険の選び方を誤ると、万が一のときに大きな自己負担が生じたり、保険料の無駄が生じたりする可能性があります。
この記事では、目的別、家族構成別、年代別に最低限入っておくべき保険について解説します。
- 目的別の最低限入っておくべき保険
- 家族構成別の最低限入っておくべき保険
- 年代別の最低限入っておくべき保険
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【監修】株式会社RKコンサルティング河合 克浩
一般企業、外資系金融機関を経て、現在はファイナンシャルプランナー(FP)として年間150件超のお金の相談に対応。難しく感じる経済やお金の話をわかりやすく説明することに定評がある。夢を実現するため相談者に寄り添い、人生が豊かになるサポートを心がけている。
保険の加入を検討しているものの、種類が多く迷ってしまうという人もいるでしょう。「自分に最低限必要な保険がわからない」「そもそも保険の選び方が難しい」と悩んでいませんか。
保険の選び方を誤ると、万が一のときに大きな自己負担が生じたり、保険料の無駄が生じたりする可能性があります。
この記事では、目的別、家族構成別、年代別に最低限入っておくべき保険について解説します。
生命保険は、万が一の事態が起きたときの遺族の生活費として、急なけがや病気の治療による医療費としてなど、重要な役割を果たします。
年代 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
20代 | 46.4% | 57.1% |
30代 | 81.5% | 82.8% |
40代 | 86.1% | 86.3% |
50代 | 86.9% | 87.8% |
60代 | 85.8% | 86.5% |
70代 | 72.5% | 78.8% |
全体 | 77.6% | 81.5% |
生命保険の加入率は20代が最も低いです。20代は独身が多く、養う家族がいないため、死亡保障の必要性を感じにくいことから加入率が低いと考えられます。
30代からは結婚をして子どもを持つ世帯が増えるため、保険の加入率は増加し、以降、加入率は高い水準で推移しています。加入率は50代で最も高くなり、60代、70代になると減っていきます。
全体で見ると、約8割の人が生命保険に加入しています。
マネーFixの公式LINE友だちの保険に関するデータは、みんなのデータ『保険』で公開しています。
保険にはさまざまな種類があり、目的によって加入すべき保険が異なります。
病気や怪我で入院したり、手術を受けたりしたときは、医療保険やがん保険でカバーします。働けなくなり収入が減ることに備えるときは、所得補償保険や就業不能保険が適しています。
老後に備えたいときは個人年金保険に入りましょう。万が一の死亡に備えたいときは定期保険や終身保険、収入保障保険に加入するのが一般的です。
生命保険文化センター「生活保障に関する調査」によると、けがや病気で入院したときの自己負担の平均は19.8万円です。約7割が20万円以下ですが、それ以上の医療費が発生しているケースもあるため、高額な自己負担が生じたときに備えて次のような保険を検討しましょう。
けがや病気で入院や手術をしたときの医療費を保障する保険です。健康保健や高額療養費が適用されてもなお、医療費の自己負担が生じたときの医療費をカバーできるメリットがあります。ただし、掛け捨ての商品が多く、解約しても保険料がまったく、あるいはほとんど戻ってきません。
医療保険は十分な預貯金がなく、急な医療費の発生に備えたい人に向いています。
がんで入院や手術をしたときの医療費を保障する保険です。がんと診断されると、一時金として支払われるタイプの保険が一般的です。また、健康保健の対象外の治療でも、実際にかかった費用を補償してくれるがん保険もあります。
割安な保険料で、高額になりがちながんの治療に備えられる反面、医療保険と同様、解約しても戻ってくるお金がないケースがほとんどです。女性は30代後半~40代、 男性は40代後半~50代にかけて、がんの罹患率が上昇し始めるため、その前に検討するとよいでしょう。
医療保険やがん保険は、入院や手術でかかった費用をカバーできます。しかし、けがや病気で働けなくなった場合の収入減少分までカバーすることはできません。
けがや病気で働けなくなったときの収入減少をカバーできる保険は、次の2つです。
所得補償保険は損害保険にあたります。けがや病気で働けなくなったときに、毎月一定額が支払われます。ただし、保険期間は一般的に1~5年と短く、保険金額を受け取れる期間は長くて2年です。
所得補償保険は、一時的に働けなくなって収入が減少するリスクに備えたい自営業者に向いています。
就業不能保険は生命保険会社で扱っています。けがや病気で働けなくなったときに、毎月一定額が支払われる点は所得補償保険と同じですが、30歳から65歳までなど、保障期間や保険金受取期間を長くできるメリットがあります。ただし就業不能保険は掛け捨てのため、解約しても戻ってくるお金はありません。
就業不能保険は、長期間働けなくなって収入が減少するリスクに備えたい人に向いています。
貯蓄性がある生命保険を活用して、老後に備えることも可能です。貯蓄性がある生命保険とは、解約や満期を迎えたときに戻ってくるお金がある保険のことです。
老後に備えられる保険としては、次の2種類があります。
毎月の保険料を積み立てて支払原資とし、60歳や65歳などあらかじめ定めた年齢に達すると、それ以降、年金を受け取れる仕組みの保険です。老後に向けてコツコツと準備ができるメリットがありますが、途中で解約すると元本割れする可能性があるため注意が必要です。
個人年金保険(定額)は、長期にわたって少しずつ老後に向けた資産形成をしていきたい人に向いています。
毎月の保険料を原資として、将来年金を受け取れる点は個人年金保険(定額)と同じです。しかし個人年金保険(変額)は、株式や債券を中心とした投資信託で運用し、運用実績次第で保険金額や解約返戻金、年金額が変動します。
個人年金保険(定額)よりも年金額などが増やせる可能性がありますが、運用成果次第では、払込保険料総額よりも受取総額の方が少なくなる、いわゆる「元本割れリスク」があります。
個人年金保険(変額)は、元本割れリスクを受け入れつつ、大きく資産を増やしていきたい人におすすめです。
生命保険は万が一死亡したり高度障害状態になったりしたときに、遺族に保険金が支払われる保険です。生命保険に加入していれば、遺族は経済的な不安が軽減されます。
万が一の死亡に備える場合に適している保険は、主に以下の3つです。
5年、10年など保険期間に定めがある保険です。貯蓄性がなく掛け捨てなので、保険料が割安な傾向がありますが、解約しても戻ってくるお金はまったくないか、あってもごくわずかです。また満期を迎えたあとも更新はできますが、その時点での保険料で更新することになり、更新のたびに保険料が上昇します。
定期保険は、子どもにお金がかかる時期などに、一時的でも大きな保障がほしい人に向いています。
保障が一生涯続く保険です。貯蓄性があり、解約をすると解約返戻金が戻ってくるため、老後の資産形成にも利用できます。
一旦契約すると保険料が変わることはありませんが、同じ保険金額であれば定期保険よりも保険料が高い傾向があります。
定期保険の一種で、一定期間、毎月保険金が遺族に支払われる保険です。
一般的に、ある程度の年齢を重ねると結婚や教育費のようなライフイベントに必要なお金は減少するため、必要保障額も減少していきます。収入保障保険は時間の経過とともに保険料が減少していく仕組みのため、通常の定期保険よりも合理的な設計で、保険料も割安です。
ただし、保険期間終了に近くなるほど保険金額が少なくなる点はデメリットといえます。また定期保険なので、解約しても戻ってくるお金はありません。
万が一のときに備えて遺族の生活費を、割安な保険料で用意したい人に向いています。
老後が不安な方、必要費用と対策の相談なら
配偶者や子どもの有無など、家族構成が異なると、加入すべき保険が異なります。
例えば、結婚すると共同生活になるため、万が一の事態に備えて配偶者や子どもの生活費も考えることが必要です。
独身者はケガや病気、がんなどで多額の医療費がかかったときに、預貯金を大きく取り崩してしまわないよう、医療保険やがん保険に加入しましょう。
個人事業主であれば、加入している健康保険に傷病手当金がないため、就業不能保険の加入も検討しましょう。
夫婦2人世帯で万が一のことが起こると、配偶者が生活に困らないようにしなければなりません。そのため定期保険や収入保障保険に加入して、保険金で遺族の生活費をカバーできるようにしておきましょう。
共働きの場合でも、万が一のことがあると配偶者が自分の収入だけでは生活できなくなる可能性もあります。また、配偶者は仕事をしながら家事もすることになるため、保障額は家事代行などを利用する可能性も考慮して決めましょう。
子どもが生まれると生活費が増え、教育費の準備も必要です。定期保険や収入保障保険の増額、学資保険の加入を検討しましょう。
共働きの場合、残された遺族は仕事をしながら、家事と子育てをすることになるため、保障額は家事代行やベビーシッターを利用する可能性を考慮して決めていきます。
就職や結婚、出産、独立などライフイベントが発生すると、家族構成や収入などが大きく変化するため、生命保険を見直すタイミングになります。直面するライフイベントは年代によってある程度傾向があります。
20代は独身が多く、収入が少ないことから、まだ十分な預貯金ができていない傾向があります。急な医療費の支払いができなかったり、預貯金を取り崩したりしないよう、医療保険の加入を検討しましょう。
死亡保障の優先順位は高くないですが、自分の葬儀代で迷惑をかけたくないときは終身保険で葬儀費用に備えておくのもおすすめです。
30代は結婚をして子を持つ世帯が増えます。住宅購入も検討し始める時期のため、住宅ローンの返済も重なります。医療保険のほか、定期保険や収入保障保険に加入して、万が一に備えて遺族の生活費を確保しましょう。
また30代後半から女性は少しずつ、がんの罹患率が高くなり始めるため、がん保険も検討しましょう。
40代は住宅ローンの返済が続くうえ、子どもの大学入学が近くなり教育費もピークを迎えるため、各年代の中でも最も支出が大きくなります。
30代よりもさらに大きな保障額の定期保険や、収入保障保険で備えましょう。個人事業主は就業不能保険も引き続き必要です。
また、40代後半から男性もがんのリスクが高まります。男女ともにがん保険に加入して備えましょう。
50代は子どもが独立して教育費の負担がなくなり、住宅ローンを完済している家庭もあるでしょう。ある程度の預貯金を確保できている世帯も増えてくることから、死亡保険の必要性は低下します。解約・減額をして、個人年金保険に加入するなど老後の資産形成に注力していくべき年代です。
がんのリスクは年齢の上昇とともに高まるため、がん保険に未加入なら検討が必要です。高齢になるほど病気にかかるリスクも高まるため、医療保険に加入していない場合は医療保険の加入も併せて考えましょう。
定年退職を迎え、公的年金を受給し始める年代です。多くの世帯が公的年金の収入よりも生活費を上回ることになり、預貯金を取り崩す生活になるため、不要な保険は見直して保険料を抑えましょう。
高齢になるほど、けがや病気で病院にかかる機会が増える傾向があるため、急な医療費に備えられるよう医療保険を検討するのが得策です。
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最低限入っておくべき保険を選ぶときは、以下のポイントを押さえることが大切です。
まずは、自分に必要な保障は何かを検討します。自分が保険に加入する目的や、家族構成、年代別ライフイベントの特徴などから必要な保険種類を洗い出しましょう。
必要な保険種類がわかったら、次に保障期間を考えていきます。例えば、高齢になるほど医療費がかかる傾向があるため、医療保険の保障期間は60歳や65歳ではなく、一生涯のものを選びましょう。
逆に、万が一のことがあっても子どもの教育費は確保したいなど、一定期間だけ保障がほしいときは、収入保障保険や定期保険で保障期間を決めて契約をします。
子どもの教育費確保が目的で保険に加入しているのに、保険の満期が子どもの大学卒業よりもあとになっている場合、保障期間が加入目的に合っておらず、保険料の無駄が生じていることになるため注意が必要です。
同じ保障内容の保険に加入していないかチェックすることも大切です。
例えば、「けが」で入院や手術をしたときの医療費をカバーする傷害保険と、「けがや病気」で入院や手術をしたときの医療費をカバーする医療保険のように、保障内容が重複している可能性があります。
新しい保険に加入したり、見直しをしたりするときは、現在加入している保険の内容もしっかり確認しておきましょう。
同じ保険種類であっても、保険会社によって保険料や保障内容が異なります。
例えば同じ医療保険であっても、A社は入院も通院も支払われますが、B社は入院しか支払われないといった違いがあります。同じ保険種類でも複数社の商品を比較して、保険料と保障内容を細かく確認することが大切です。
「色々と勉強してみたけれど適切な保険がわからない」「忙しくて保険についてゆっくり考えていられない」という人は、保険のプロに相談してみましょう。
何から相談していいかわからないという人でも、保険のプロはその人の家族構成や年収、保険に対する考え方などをヒアリングのうえ、必要な保険種類、保険期間、保障額を教えてくれます。
保険の相談窓口については、『おすすめの保険の相談窓口』も参考にしてください。
どのような保険が自分に合っているかは、保険に加入する目的や家族構成、年代によって異なります。必要最低限の保障を見誤ると、保険料を抑えたつもりでも、万が一のときに高額な自己負担が生じるかもしれません。
自分に必要な保険種類がわかっても、必要以上の保障期間を設定したり、保険の内容が重複したりすれば余分な保険料を支払うことになります。考えても自分だけではよくわからない、忙しくてゆっくり考えている時間がない人は、保険のプロに相談してみましょう。
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