おひとり様の老後資金はいくら必要？1200万円貯めるには毎月の積立額は？

おひとり様の老後資金はいくら必要か

総務省の2023年の家計調査報告書によると、65歳以上の単身世帯の平均支出は14万9033円となっています。

この結果だけを見ると、月に15万円程度あれば大丈夫なように考えられます。

しかし、支出の内訳を見てみると、保険医療が平均8,178円、家賃地代が平均6,670円となっています。

急な病気になった場合はこの金額以上が必要です。

また65歳以上も住宅ローンの支払いや賃料の支払いがある人は、平均金額よりも支出が増えることが考えられます。

したがって、老後資金の目安としては、最低限の生活を送る場合は月に15万円程度、安定した生活を送る場合は20万～25万円ほどが必要になると考えられます。

これらの金額から、年金収入を差し引き、足りない分が老後に必要な資金になります。

老後に受け取る年金額は人によって異なります。

厚生労働省の「令和４年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金保険の年金受給者の平均年金月額は14万4982円です。

また国民年金のみの場合の平均年金月額は、5万6428円です。

おひとり様の老後資金の備え方

定年退職後は、現役時代の給与を得ることは難しいでしょう。

また、年金だけを頼りにしていては、老後に安定した生活を送ることは難しいといえます。

そのため、若いうちから以下のような方法で、老後資金を準備しておくとよいでしょう。

iDeCo
NISA
個人年金保険

iDeCo

iDeCoは加入者が掛金を自分で運用する、公的年金の上乗せ制度です。

iDeCoには以下の3つの税制優遇があります。

掛金が全額所得控除の対象になる
運用益は非課税で再投資される
受取時も所得控除を受けられる

iDeCoの掛金は、全額所得控除の対象となるため、課税される所得が減り、税金が少なくなります。

また、iDeCoの運用で得た利益は、非課税で再投資されます。

通常、投資信託や株式などで得た利益には20.315%の税金がかかりますが、iDeCoの場合は税金がかかりません。

さらに、iDeCoは、受取方法を一括で全額を受け取る「一時金」か、毎月一定額を受け取る「年金」から選択できます。

一時金を選択した場合は退職所得控除、年金を選択した場合は公的年金等控除が適用できます。

iDeCoは60歳まで引き出せない点に注意が必要ですが、現役時代から税制優遇を受けながら、老後資金を準備することができる魅力的な制度です。

NISA

NISAは、投資で得た利益に税金がかからない制度です。

2024年からNISAは新しい制度になり、非課税保有期間が無期限化、投資可能期間が恒久化され、より長期的な運用が可能になりました。

またNISAの対象商品は、金融庁がチェックした、比較的低リスクで安全な商品が多いです。

リスクが低いため、老後資産を準備するのにも適しています。

個人年金保険

個人年金保険は、決められた期間に保険料を支払い、満期後に年金を受け取る保険商品です。

一定の条件を満たすと、保険料が個人年金保険料控除の対象になるため、税金を少なくできるメリットがあります。

個人年金保険は毎月保険料が引き落とされるため、自動的に老後資金を貯めることができます。

しかし、低金利の影響で円建ての商品では、支払った保険料を大きく上回る年金を受け取れない点に注意が必要です。

おひとり様の投資シミュレーション

おひとり様の老後資金に備える方法はさまざまです。

中でも、初心者にも始めやすくおすすめの方法はNISAを活用した方法です。

NISAでの運用方法にはまとまった資金で投資をする一括投資と、毎月コツコツと投資をする積立投資があります。

積立投資であれば、毎月自動的に引き落としになるので無理なく投資ができ、老後資金に備えることが可能でしょう。

NISAを使って資産運用する場合、月の積立額をシミュレーションしました。

【条件】

老後の生活費：月20万円
年金額：月15万円
貯めたい金額：1200万円（月5万円の不足額、65～85歳までの20年分）

【30歳から積立投資を始めた場合】

年利2％：月1万9752円
年利3％：月1万6182円
年利5％：月1万563円

【40歳から積立投資を始めた場合】

年利2％：月3万863円
年利3％：月2万6905円
年利5％：月2万151円

おひとり様の老後資金に備えるためには、早いうちから積立投資を始めることで、月々の投資額が少なくて良いことがわかります。

また、投資する商品の利率が高いほど投資額も少なくて済みます。