6月26日、政府は出産費用の保険適用に向けた検討を始めました。
現行の公的医療保険制度では、分娩方法によって保険適用される場合と、保険適用外になる場合に分かれます。
この記事では、出産費用が、公的医療保険や民間の医療保険で適用されるケースについて解説します。
出産費用の保険適用はいつから? 2026年度の導入を目指して検討を開始
【記事執筆】FP川辺 拓也
3,000人を超える顧客からの相談実績をもとに、社会保障制度や家計に必要な金融知識を分かりやすく提供。2級ファイナンシャルプランニング技能士。金融全般から、お金に関する政策まで幅広く専門領域があり、複数の金融メディアに多数寄稿。
出産費用が保険適用されるケース
出産費用が保険適用されるかどうかは、医療行為の介入なしに出産する「正常分娩」か、医療行為を必要とする「異常分娩」で異なります。
正常分娩の場合
正常分娩の場合、出産時に医療行為を必要としないため、医療保険は適用されません。
そのため、出産費用は全額自己負担となります。
ただし、子どもを出産した場合、子ども1人につき50万円の出産育児一時金が支給されます。
実質的な自己負担額は、出産費用が50万円を超えた分についてです。
異常分娩の場合
異常分娩は、医療行為を必要とする出産のため、医療保険が適用されます。
具体的には、「帝王切開」や「早産分娩」などが保険適用の対象となります。
異常分娩の場合でも、出産育児一時金の50万円が支給されます。
さらに、出産にかかる医療費の自己負担分は3割となります。
出産で民間の医療保険は対象になる?
公的な医療保険は、異常分娩の場合のみ、保険適用されることがわかりました。
では、民間の医療保険はどうでしょうか。
正常分娩で子どもを出産した場合は、民間の医療保険も適用対象外となります。
一方、異常分娩で子どもを出産した場合は、医療行為として扱われるため、医療保険に加入していれば、給付金が支払われます。
出産費用が保険適用されるのはいつから?
6月26日、政府は正常分娩に関する出産費用の保険適用に向けた検討を始めました。
背景には、出産費用の高騰があります。
出産育児一時金は、2023年4月に42万円から50万円に引き上げられました。
しかし、昨今の物価高騰や光熱費の高騰に伴い、出産費用の値上げをする医療機関も出てきています。
都市部では、出産育児一時金の50万円では出産費用を賄いきれないケースもあります。
こうした状況を受け、出産費用の保険適用については、2026年度からの導入を目指して検討が進められます。