3~4月は、新生活がスタートするタイミングで、引越しが多くなるシーズンです。
一部の自治体では、一定の条件を満たす世帯に対して、引越し費用を助成する制度があります。
この記事では、自治体で実施している引越し助成金について解説します。
新宿区では最大20万円の引越し助成金。三世代近居や子育て世帯の引越しに助成金がでる自治体はどこ
【記事執筆】FP川辺 拓也
3,000人を超える顧客からの相談実績をもとに、社会保障制度や家計に必要な金融知識を分かりやすく提供。2級ファイナンシャルプランニング技能士。金融全般から、お金に関する政策まで幅広く専門領域があり、複数の金融メディアに多数寄稿。
新宿区の引越し助成金
新宿区では、「多世代近居同居助成」と「次世代育成転居助成」を実施しています。
多世代近居同居助成
子ども世帯と親世帯が、同居もしくは近くに住むための引越しにかかる費用を助成する制度です。
引越し費用をはじめ、礼金や不動産登記費用、仲介手数料などにも利用できます。
助成額は最大20万円です。
ただし、扶養人数に応じて所得制限が設けられています。
扶養人数と所得制限
- 0人:502万円以下
- 1人:540万円以下
- 2人:578万円以下
- 3人:616万円以下
- 4人:654万円以下
- 5人:692万円以下
- 6人以上:1人につき月38万円加算
出典:新宿区「多世代近居同居制度」
さらに、親世帯と子ども世帯で対象となる要件が定められています。
- 親世帯:60歳以上の人のみで構成する世帯
- 子ども世帯:義務教育修了前の子どもを扶養し、同居している世帯
2023年度は、50世帯を対象に助成を行いました。
2024年度は、4月1日から6月28日までの期間で、先着15世帯を対象とします。
次世代育成転居助成
次世代育成転居助成は、子育て世帯が区内で賃貸住宅に住み替えるための費用を助成する制度です。
義務教育修了前の子どもを扶養し、同居している世帯が対象となります。
助成される内容は、以下の2つです。
- 転居前後の家賃差額を助成:月額上限3万5000円
- 引越し一時金の助成:最大10万円(実費分の支払い)
転居前の家賃より高くなった差額があれば、最長で2年間、3万円5000円を上限に助成します。
ただし、多世代近居同居助成と同じく、所得制限があります。
2023年度は、50世帯を対象に助成を行いました。
2024年度は、4月1日から6月28日までの期間で、先着15世帯を対象とします。
多世代近居同居助成と次世代育成転居助成は、住み替え先の住宅を契約する前に「予定登録申請」が必要です。
ほかの自治体の事例
引越し費用の助成については、ほかにも実施している自治体があります。
千葉県船橋市「親世帯・子育て世帯近居同居支援事業」
船橋市では、親世帯と離れて暮らす子育て世帯が、同居もしくは近くに引越した場合に、助成金が支払われます。
新たに住宅を建築もしくは購入した場合には最大20万円、賃貸の場合は最大10万円が支給されます。
広島県広島市「三世代同居・近居支援事業」
広島市では、親と同居または近居をした場合に、助成金が支払われます。
対象となる世帯の要件は、小学生以下の子どものいる世帯です。
引越し費用等の2分の1を、上限10万円まで助成します。
所得制限はありません。
ほかにも、同様の引越し助成を実施している自治体があります。
詳しくは、自治体のWebサイト等で確認してください。
- 新宿区「多世代近居同居制度」