少子化対策の財源を確保するため、2026年4月から「子ども・子育て支援金」制度が創設されます。
岸田首相は、国民の負担について「1人あたり月500円弱になる」と発言しました。
この記事では、「子ども・子育て支援金」の負担額や、集めたお金の用途について、解説します。
子育て支援でいくら増税される?月々500円で年間6,000円の増税!
【記事執筆】FP川辺 拓也
3,000人を超える顧客からの相談実績をもとに、社会保障制度や家計に必要な金融知識を分かりやすく提供。2級ファイナンシャルプランニング技能士。金融全般から、お金に関する政策まで幅広く専門領域があり、複数の金融メディアに多数寄稿。
こども未来戦略方針
「こども未来戦略方針」は、経済成長と少子化対策を両輪に「若者・子育て世帯の所得を伸ばす」ことを目的としています。
特に、今後3年間で集中的に取り組む支援策を「加速化プラン」として打ち出しています。
こども未来戦略方針の加速化プランでは、以下のような項目が実施される見通しです。
- 児童手当の拡充
- リスキリングへの直接支援
- 年収の壁への対応
- 男性育休の取得促進
- 時短勤務による賃金低下を補う給付
- 出産費用の保険適用
- 医療費等の負担軽減
- 高等教育費の負担軽減
- 子育て世帯の住宅支援
加速化プランの予算規模は、現時点で3兆円程度となる見通しで、財源として「支援金制度」が創設される見通しです。
支援金制度の概要
具体的な枠組みはまだ定まっていませんが、この支援金制度は、社会保険料に上乗せして徴収することが検討されています。
政府の試算によると、社会保険料に上乗せする額としては1人あたり500円程度になるのではないかとされています。
ただし、社会保険料の歳出改革や公費の削減などを行い、支援金制度によって実質的な負担が生じないようにする見通しです。
支援金制度の創設にあたっては「労使を含めた国民各層による負担を実施する」という考えのもと、企業・個人問わず負担の対象になる可能性があります。
支援金制度を創設する場合、以下の負担率が見直される可能性があります。
- 健康保険
- 介護保険
- 厚生年金保険
- 雇用保険
- 労災保険
今後の議論では、以下の項目をどう考えて結論を出すのか、注目が集まっています。
- 支援金制度によって、負担の増加とならないか
- 加速化プランの予算がそもそも確保できるのか
- 負担の上限や所得の低い人に対する措置は設けられるのか
社会保険料の制度そのものを変える可能性もあります。
子ども・子育て支援金の負担額
2026年4月から始まる「子ども・子育て支援金」は、段階的に増額される予定です。
- 2026年度:6000億円
- 2027年度:8000億円
- 2028年度:1兆円
支援金制度は、74歳以下が加入する「公的医療保険」と、75歳以上が加入する「後期高齢者医療制度」から拠出します。
岸田首相は、2028年度に1兆円を確保する際の加入者負担額は、1人あたり月500円弱になると発言しました。
1人あたり年間約6,000円、共働き世帯であれば合計約1万2000円の負担となります。
ただし、実際にいくら拠出するかは、公的医療保険の種類や、加入者の所得などで変わる見通しです。
また、当初2年間は「74歳以下の公的医療保険に加入している人」からの拠出で、財源の92%を確保する予定です。
「75歳以上の後期高齢者医療制度に加入している人」の負担率は8%とし、高齢者の負担を現役世代より少なくする見通しです。
例外として、金融資産のある高齢者については、多くの負担が求められる可能性があります。
子ども・子育て支援金の用途は?
「子ども・子育て支援金」の用途は、少子化対策の財源です。
【主な少子化対策例】
- 児童手当の拡充
- 大学授業料の無償化
- 育児休業給付金の拡充 など
児童手当は、2024年10月から拡充されます。
現行制度では、支給される年齢は15歳までですが、18歳まで延長されます。
また、3人以上の子どもがいる世帯については、第1子や第2子も含め、大学の授業料と入学金が無償化される予定です。
ほかにも、さまざまな少子化対策が実施される予定です。
詳しくは、こちらの記事「【こども未来戦略方針】3年間で実施する「加速化プラン」まとめ」を参考にしてください。
政府は、具体的な制度設計を早急に進め、国会に提出する見通しです。
今後の動向に注目が集まります。