物価上昇が続く中、賃上げが進まず、2023年11月の実質賃金は前年比3.0%減少し、20ヵ月連続でマイナスとなりました。
収入と収支のバランスをとるのが難しい昨今、ほかの人はどれぐらい貯蓄できているのか、気になる人もいるでしょう。
この記事では、貯蓄額の平均や、貯蓄が増減した理由について解説します。
2人以上世帯の貯蓄平均は1307万円。投資が上昇傾向も、預貯金が4割以上
マネーFix 編集部
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二人以上世帯の貯蓄平均1307万円
金融広報中央委員会が、全国5,000世帯を対象に「家計の金融行動に関する世論調査2023年」を実施しました。
出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和5年」(以下同)
二人以上世帯の金融資産保有額の平均は、前年から16万円増加し、1307万円でした。
一方、中央値は330万円で、前年と比べ70万円減少しています。
平均値は一部の高額資産保有世帯の影響を受けやすいため、中央値の方がより多くの世帯の実感に近い数字といえます。
昨年に比べて資産が増えた理由については、「株式や債券価格の上昇による評価額の増加」(37.3%)が最も多く、「配当や金利収入があった」(33.5%)と続きました。
昨年に比べて資産が減少した理由については、「定例的な収入が減ったので金融資産を取り崩したから」(45.6%)が最も多く、「耐久消費財(自動車、家具、家電等)購入費用の支出があったから」(22.1%)と続きました。
資産が増えた人は株式や債券などを保有しており、その価格の上昇が影響しているようです。
一方、資産が減った人は、賃金などの収入減の影響を受けていることが伺えます。
保有資産は預貯金が最も多い
出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(令和5年)時系列データ」をもとに作成
同調査によると、金融商品保有額は「預貯金」が563万円(43.1%)で最も多い結果でした。
預貯金額は減少傾向ですが、依然として全体の40%以上を占めています。
しかし、将来のための資産としては、預貯金はあまり適していません。
資産を預貯金だけで保有し続けると、インフレの影響で、お金の実質的な価値が低下してしまいます。
日銀は消費者物価上昇率の目標を2%としています。
仮に毎年2%の物価上昇が続いた場合、100万円を預貯金で持っていても、5年後にはその価値が90万円相当にまで下落します。
このような事態を防ぐためには、どうすればいいのでしょうか。
貯蓄を増やすためにすべきこと
貯蓄を増やし、インフレに負けない資産を形成するには、いくつかのステップがあります。
ステップ1:家計管理
まず、家計管理を行い、収支を把握して無駄な支出を減らしましょう。
家計簿アプリを活用し、銀行口座やクレジットカードと連携すれば、手軽に収支が管理できて便利です。
支出の見直しは、食費などの変動費よりも、保険料や通信費などの固定費から削減したほうが効果的です。
詳しくは、こちらの記事「無駄な出費ランキング(固定費・変動費別)家計管理のコツも解説」も参考にしてください。
ステップ2:金利が高いローンの返済
次に、金利が高いローンを返済します。
自動車ローンやカードローン、リボ払いなどの金利が高めのローンについては、なるべく早く返済することをおすすめします。
早めに返して、将来支払う利息を減らせば、その分を貯蓄にまわすことができます。
ステップ3:投資を行う
さらに、投資を行うことで、効率的に資産形成が行えます。
投資にリスクはつきものですが、長期間運用すれば、リスクを軽減できます。
また、株や投資信託を持つことでインフレ対策にもなります。
NISAを利用すれば、投資で得られる利益に税金はかかりません。
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投資のメリットやリスク対策については、こちらの記事も参考にしてください。
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和5年」