2023年12月22日に「こども未来戦略」が閣議決定されました。
「こども未来戦略」では、子育て世帯に対するさまざまな支援策が予定されています。
児童手当や奨学金の拡充に加えて、大学の授業料無償化についても新しい支援策が発表されました。
また、東京都は高校の授業料を無償化する独自の政策を行う見通しです。
この記事では、国や東京都で実施される大学や高校の授業料無償化の概要と、東京都民の反応について解説します。
東京都の高校無償化、国の大学無償化、対象は誰?都外から通う生徒は対象外
【記事執筆】FP川辺 拓也
3,000人を超える顧客からの相談実績をもとに、社会保障制度や家計に必要な金融知識を分かりやすく提供。2級ファイナンシャルプランニング技能士。金融全般から、お金に関する政策まで幅広く専門領域があり、複数の金融メディアに多数寄稿。
東京都の「高校の授業料無償化」
東京都が実施する授業料無償化は、「高等学校等就学支援金」を拡充した制度です。
「高等学校等就学支援金」は、一定条件を満たす世帯の高校生の授業料を支給する制度です。
出典:文部科学省「私立高校授業料実質無償化リーフレット」(以下同)
私立の場合最大39万6000円、国公立の場合最大11万8800円の支給を受けることができます。
しかし、所得制限が設けられており、すべての子育て世帯が利用できるわけではありません。
支給対象になる年収目安については、下図を参考にしてください。
東京都は2024年度から、所得制限を撤廃します。
そのため、世帯年収に関わらず高校生の授業料が無償化されます。
なお、「都内に在住している高校生」が対象です。
都外から都内の学校に通う生徒は対象になりません。
詳しくは、こちらの記事「東京都が高校の授業料を無償化。所得制限の撤廃で全世帯に恩恵。私立高校も対象」も参考にしてください。
国の支援策「多子世帯の大学無償化」
国の支援策では、子どもが3人以上いる世帯を対象に、「大学の授業料無償化」が検討されています。
大学だけでなく、短大や高専、専門学校などが対象です。
所得制限はなく、子どもが3人以上いる場合、第1子から無償化の対象になります。
ただし、第1子が卒業して扶養から外れると、無償化の対象外となる可能性があります。
例えば、子どもが3人いる世帯で、第1子が卒業して就職し、扶養から外れると、扶養している子どもが3人未満になるため、無償化の対象外となります。
詳しくは、こちらの記事「【大学無償化】多子世帯は大学授業料と入学金が無料に。 第1子・第2子も対象。2025年度から実施予定」も参考にしてください。
都民の反応
出典:千株式会社「授業料無償化に関する保護者の意識調査」(以下同)
千株式会社が実施した「授業料無償化に関する保護者の意識調査」によると、東京都の高校授業料無償化について、「賛成」と回答した割合は約71%でした。
「どちらかといえば賛成」と合わせると約93%でした。
一方、国の大学無償化について、「賛成」と回答した人の割合は22%でした。
「どちらかといえば賛成」と合わせると約51%でした。
国の大学無償化政策については、賛否が分かれる形となりました。
なお、どちらの政策も、「授業料の無償化」です。
受験にかかる費用や学校の施設にかかわる整備費などは無償化されません。
修学旅行や学校納付金といった授業料以外の費用は必要になる可能性が高いので、注意しましょう。
- 文部科学省「私立高校授業料実質無償化リーフレット」
- 千株式会社「授業料無償化に関する保護者の意識調査」