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500万人が対象。雇用保険の加入要件が「週10時間労働」に。失業や育休で給付が受けられるようになる

執筆者:川辺 拓也

【記事執筆】FP川辺 拓也

3,000人を超える顧客からの相談実績をもとに、社会保障制度や家計に必要な金融知識を分かりやすく提供。2級ファイナンシャルプランニング技能士。金融全般から、お金に関する政策まで幅広く専門領域があり、複数の金融メディアに多数寄稿。

政府は、雇用保険の加入要件の緩和について検討を始めました。

雇用のセーフティーネットを強化して、出産や育児がしやすい環境を整備することを目的にしています。

雇用保険の加入要件が緩和されると、約500万人のパートタイム労働者が雇用保険に加入することになります。

雇用保険に加入すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。

この記事では、雇用保険の見直し案と、雇用保険に加入するメリットについて解説します。

現行の加入要件と見直し案

現行の雇用保険の加入要件は、以下の通りです。

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
  • 31日以上の雇用見込みがあること

一定の期間だけ限定的に雇用される場合を除いて、上記の要件を満たしていれば、雇用形態は問われません。

正社員だけでなく、契約社員やアルバイトでも、加入要件を満たしていれば必ず加入しなければなりません。

この加入要件について、政府は、1週間の所定労働時間を「20時間以上」から「10時間以上」に緩和することを検討しています。

加入要件が緩和されると、パートタイマーなど約500万人の雇用保険への加入が見込まれます。

雇用保険料は賃金の1.55%

雇用保険に加入する場合、保険料がかかります。

保険料は賃金の1.55%で計算され、事業者と労働者が所定の割合で支払います。

出典:厚生労働省「令和5年度雇用保険料率のご案内」

「一般職の事業」の労働者負担は賃金の0.6%で、給与から天引きされます。

仮に、賃金が10万円だった場合、労働者が負担する保険料は600円です。

雇用保険に加入するメリット

雇用保険に加入していると、労働者は以下の給付が受けられます。

  • 失業等給付
  • 育児休業給付

失業等給付は、労働者が失業して収入が得られなくなった場合や、職業に関する教育訓練を受けた場合に給付を受けられる制度です。

突然の倒産や解雇で失業しても、雇用保険に加入していれば給付が受けられるメリットがあります。

失業等給付は、以下の4つの給付に分かれています。

  • 求職者給付
  • 就職促進給付
  • 教育訓練給付
  • 雇用継続給付

育児休業給付は、子どもを養育するために休業をした場合に支払われる給付金です。

育児休業給付金は、現行制度では手取りの約8割が支給されていますが、2025年度には「手取り10割」に引き上げられる予定です。

詳しくは、こちらの記事「産後パパ育休の育児休業給付金が手取り10割相当に。2025年度からは夫婦で育休が当たり前に?」を参考にしてください。

そのため、雇用保険に加入して「育児休業給付」を受給すれば、育休中でも収入が下がらない点もメリットといえます。

政府は、2024年の通常国会で法案を提出し、2028年度に実施する方針です。

出典
  • 厚生労働省「令和5年度雇用保険料率のご案内」

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