年末調整の書類を書く際、「収入」や「所得」の記載が必要な場合があります。
収入については、「給与収入」「給与所得」「手取り」「額面」「年収」などさまざまな言葉で表現されますが、正確に理解していない人もいるのではないでしょうか。
いずれも収入を表す言葉ですが、意味が異なります。
税金の計算をするうえで、各言葉の違いを理解しておくことは重要です。
この記事では、「給与収入」「給与所得」「手取り」の違いと、給与所得の計算方法について解説します。
【年末調整の基本】給与収入・給与所得・手取りの違い。計算方法や年収別シミュレーション
マネーFix 編集部
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給与収入・給与所得・手取りの違い
給与収入と給与所得、手取りはどれも収入に関する言葉ですが、それぞれ意味が異なります。
給与収入とは
給与収入とは、会社から従業員へ支払われる給与のことです。
給与収入には、基本給だけでなく、各種手当や賞与(ボーナス)も含まれます。
社員食堂の利用権や記念品など、現物支給されたものも、給与収入に含まれます。
会社から支払われるすべての収入のことで、「額面」とも呼ばれます。
1年間を通して受け取った給与収入の合計が「年収」となります。
給与所得とは
給与所得とは、1年間を通して受け取った給与収入から「給与所得控除」を差し引いた金額のことです。
給与所得控除とは、年収に応じて差し引かれる経費のようなものです。
給与所得控除の金額は、給与収入によって異なります。
手取りとは
手取りとは、給与収入から所得税や住民税などの税金・社会保険料が差し引かれて、銀行口座に振り込まれる金額です。
生活や娯楽など自由に使えるお金であり「可処分所得」とも呼ばれます。
手取りは、給与収入の約80%の金額になります。
給与所得の計算方法
給与所得の計算方法を確認しましょう。
給与所得は、給与収入から、下表の給与所得控除額を差し引くことで求めます。
[給与所得]=[給与収入]-[給与所得控除額]
出典:国税庁「給与所得控除」
例えば年収300万円の場合の給与所得は、以下の通りです。
300万円-(300万円×30%+8万円)=202万円
年収500万円の場合の給与所得は、以下の通りです。
500万円-(500万円×20%-44万円)=356万円
年収160万円の場合の給与所得は、以下の通りです。
160万円-55万円=105万円
こうして算出された給与所得は、所得税の計算のもとになります。
会社に勤めている人は、勤務先が年末調整を行って正しい所得税を計算してくれるため、自身で税額を計算する必要がありません。
しかし、間違いなく必要書類を提出するために、「給与収入」「給与所得」「手取り」の違いについては理解しておくようにしましょう。
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- 国税庁「給与所得控除」