政府が新たな経済対策に「受験費用の補助」を盛り込む方針です。
ひとり親や低所得世帯の高校生を対象に、大学入学共通テストや大学への受験費用を補助します。
また、中学3年生には模試の受験費用を支給する見通しです。
この記事では、「受験費用の補助」の対象となる世帯の要件や、受験費用がいくらかかるのかについて解説します。
低所得世帯の高校生は大学受験費用が補助される予定
【記事執筆】FP川辺 拓也
3,000人を超える顧客からの相談実績をもとに、社会保障制度や家計に必要な金融知識を分かりやすく提供。2級ファイナンシャルプランニング技能士。金融全般から、お金に関する政策まで幅広く専門領域があり、複数の金融メディアに多数寄稿。
補助の対象者と補助額
補助金の対象となるのは、子どもがいるひとり親世帯と低所得世帯です。
- ひとり親世帯:児童扶養手当を受給している世帯
- 低所得世帯:住民税非課税世帯
補助額や目的は、高校3年生と中学3年生で異なります。
- 高校3年生:大学入学共通テスト、大学受験料の補助として5万円程度を給付
- 中学3年生:模試にかかる費用(金額は未定)
ひとり親世帯や低所得世帯の子どもは、経済的な問題で進学率が低くなる傾向があります。
そのため、就職先の選択肢が少なくなり、将来的に低収入になる「貧困の連鎖」が課題となっています。
政府は、こうした経済状況による教育格差を軽減する目的で、補助を行う方針です。
大学の受験料の相場や、大学の授業料がいくらかかるのか、確認しましょう。
受験費用と大学の学費
受験費用は、受験種目や大学によって異なりますが、相場としては以下の金額がかかります。
- 大学入学共通テスト(3教科以上受験の場合):1万8000円
- 国公立大学の2次試験:1万7000円
- 私立大学の受験料:3万~3万5000円
5万円程度の補助金を受けられたとしても、大学受験にはほかにもさまざまな費用が必要です。
一例としては、以下の項目が挙げられます。
- 願書代
- 交通費
- 併願校の入学金
- 宿泊費
特に併願校の入学金は、大学や学部にもよりますが20万~30万円程度かかります。
試験代を補助してもらえたとしても、こうした費用を捻出できなければ受験もできません。
また、大学に入学してからもお金はかかります。
各大学の入学金と授業料は、以下の通りです。
出典:文部科学省「 国公私立大学の授業料等の推移」をもとに作成
仮に受験費用を補助されても、その後に必要な入学金や授業料が捻出できないと、進学率の根本的な改善には向かわないかもしれません。
政府は、「受験費用の補助」について11月中に取りまとめ、2024年度からの開始を予定しています。
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- 公益財団法人生命保険文化センター「大学受験から入学までにかかる費用はどれくらい?」
- 文部科学省「 国公私立大学の授業料等の推移」