社会人の学び直し「リスキリング」が注目されています。
株式会社フォーイットの調査によると、リスキリングの際の懸念点として、金銭面と回答した人が4割以上いることがわかりました。
しかし、給付金や税制度を上手く利用することで、金銭面の負担を軽減できるかもしれません。
この記事では、リスキリングの懸念点に関する実態と、給付金などの負担軽減策について解説します。
リスキリングの懸念は「金銭面」。給付金や税制度を上手く利用すれば負担軽減も可能
マネーFix 編集部
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4割が金銭面を懸念
株式会社フォーイットは、500人を対象に「リスキリングに関するアンケート」を実施しました。
出典:株式会社フォーイット「リスキリングに関するアンケート」(以下同)
学び直しをするうえでの懸念点については、「金銭面」(41.8%)が最も多く、「時間面」(19.0%)、「本当にスキル獲得・就職に繋がるか」(17.6%)と続きました。
お金や時間の確保がリスキリングにおける課題となっていることがわかります。
最も多かった金銭面について、業種別の詳細を見てみましょう。
職業別に見てみると、「1番の懸念点は金銭面」と回答した割合は、「無職・その他」(48.9%)が最も多く、「専業主夫・主婦」(48.8%)、「自営業・自由業」(46.5%)と続きました。
無職の人や専業主夫・主婦の人は、収入がないことから金銭面への懸念を抱えていることが伺えます。
また、「自営業・自由業」の人は収入があるものの、「会社員・公務員」と比べて7.2ポイント高い結果となりました。
多くの人が、金銭面を懸念点として挙げていますが、リスキリングをするにあたって利用できる給付金や節税制度があります。
会社員は職業訓練給付金が使える
会社員が利用できる制度に、「教育訓練給付金」があります。
社会人のキャリアアップ支援や雇用の安定、および就職の促進を目的としています。
具体的には、厚生労働大臣が指定する教育訓練を終了することで、受講費用の一部が支給される制度です。
教育訓練給付金を利用するための条件は下記の通りです。
- 受講開始日に雇用保険の被保険者で、支給要件期間が3年以上ある人
- 受講開始日に雇用保険の被保険者ではないものの、被保険者資格の喪失日から1年以内の人
つまり、会社員以外でも、離職後1年以内であれば利用できます。
給付金の申請は受講終了後に行い、必要な書類をハローワークに提出します。
また、教育訓練給付金は以下3種類に分類され、それぞれ給付額や条件が異なります。
一般教育訓練給付金
雇用の安定と再就職の促進を目的としています。
対象となる講座数が多く、受講費用の20%(上限10万円)が支給されます。
ただし、支払った金額が4,000円以下の場合は支給されません。
専門実践教育訓練給付金
働く人の中長期的なキャリア形成を目的としています。
対象となる講座は専門的な内容に限られ、受講中の費用の50%(上限40万円)が支給されます。
また、訓練終了後に資格を取得し、訓練終了日の翌年から1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合、受講費用の20%(上限16万円)が追加で支給されます。
特定一般教育訓練給付金
再就職や早期のキャリア形成を目的としている給付金です。
受講者が支払った費用の40%(上限20万円)が支給されます。
また、支払った費用が4,000円以下の場合は支給されません。
教育訓練給付金についてはこちらの記事「教育訓練給付金の利用条件や申請方法」も参考にしてください。
フリーランスや個人事業主は経費計上できる
フリーランスや個人事業主は、「資格取得費」としてリスキリングにかかる費用を経費計上できます。
経費計上することで、年間の所得額が下がるため、節税につながります。
経費として認められるための主な条件として、取得する資格が現在の業務に直結していることが挙げられます。
異業種の資格や、趣味で取得した資格は経費として認められません。
また、資格取得にかかる費用が実際に支出されたことを示す、領収書や明細書などの書類を保管していることも必要です。
なお、リスキリングについては、新たな支援策が検討されています。
こちらの記事「学び直し転職で最大56万円支援。2023年度中に「リスキリングの支援事業」がスタート」も参考にしてください。
- 株式会社フォーイット「リスキリングに関するアンケート」https://www.afi-b.com/beginner/archives/tsushin/13914/