総務省が調査した「ふるさと納税に関する現況調査結果」によると、2021年度のふるさと納税額が8302億円を超えて過去最高額となりました。
利用者が増加しているふるさと納税ですが、10月から返礼品や経費に関するルールが見直されます。
この記事では、10月から実施される新しい基準の概要と、返礼品のラインナップへの影響について解説します。
【ふるさと納税】返礼品が減って、寄付金額が高くなるかも。10月から新ルール適用へ
【記事執筆】FP川辺 拓也
3,000人を超える顧客からの相談実績をもとに、社会保障制度や家計に必要な金融知識を分かりやすく提供。2級ファイナンシャルプランニング技能士。金融全般から、お金に関する政策まで幅広く専門領域があり、複数の金融メディアに多数寄稿。
ふるさと納税の新しい基準
総務省は、10月からふるさと納税の返礼品や経費に関するルールについて、以下の見直しを実施しました。
- 必要経費の基準を見直し
- 原材料の生産地は地場に限定
必要経費の基準を見直し
ふるさと納税の過度な返礼品競争を防ぐため、返礼品の調達費用や送料は、自治体が寄付を募る経費の総額を寄付額の5割以下とする基準が設けられています。
出典:総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果」
2022年に総務省が実施した「ふるさと納税に関する現況調査」によると、経費の割合は45.1%(全自治体合計)となっていました。
しかし、これには「寄付金の受領証等の発行費用」や「自治体が仲介サイトに支払う手数料の一部」が含まれていませんでした。
新たな基準では、「寄付金の受領証等の発行費用」や「自治体が仲介サイトに支払う手数料の全額」が経費の中に含まれることになりました。
これによって、これまで通りの返礼品だと、経費総額が50%を超える自治体が出てくることが予想されます。
原材料の生産地は地場に限定
返礼品の原材料を別の都道府県で生産していながら、地場産品として提供されている点も見直されます
例えば「熟成肉」は、別の都道府県や海外から仕入れ、その自治体の地域内で熟成させたものを返礼品にしている場合があります。
新たな基準では、「熟成肉」や「精米」などについて、当該自治体が属する都道府県で生産されたものに限定されることになります。
返礼品のラインナップが減るかも
ふるさと納税の返礼品に影響が及ぶと考えられる点は次の2つです。
- 返礼品をもらうために必要な寄付額が増える
- 返礼品のラインナップから特定の商品がなくなる
返礼品をもらうために必要な寄付額が増える
寄付金の受領証等の発行費用が経費に含められると、返礼品をもらうために必要な寄付額が増える可能性があります。
そのため、昨年と同じ返礼品でも、昨年よりも寄付金額が高くなる可能性があります。
返礼品のラインナップから特定の商品がなくなる
経費の基準が見直されたことで、自治体によっては、経費が50%を超える返礼品の提供をやめてしまう可能性も考えられます。
また、原材料が現地で生産したものに限定されることで、それまでラインナップに含まれていた返礼品がなくなる可能性もあります。
これらのルール変更によって、返礼品競争がどうなるか、注目が集まります。
なお、今年はふるさと納税をやってみたいという人は、こちらの記事「ふるさと納税の仕組みと手続き」も参考にしてみてください。
- 総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果」