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「年収の壁」解消へ。従業員1人につき最大50万円の助成金。社会保険に加入しても手取りが減らなくなる

執筆者:川辺 拓也

【記事執筆】FP川辺 拓也

3,000人を超える顧客からの相談実績をもとに、社会保障制度や家計に必要な金融知識を分かりやすく提供。2級ファイナンシャルプランニング技能士。金融全般から、お金に関する政策まで幅広く専門領域があり、複数の金融メディアに多数寄稿。

2023年6月、政府は「子ども未来戦略方針」で、年収の壁を解消する具体策を検討することを発表しました。

政府の発表を受け、厚生労働省は年収の壁を解消するための助成制度を設ける方針です。

この記事では、年収の壁を解消するための新たな制度について解説します。

「年収の壁」解消の具体策

「年収の壁」とは、一定の収入を超えると社会保険への加入が必要になり、保険料の負担が生じて、手取り額が少なくなる逆転現象のことです。

年収の壁には、「106万円の壁」「130万円の壁」の2種類があります。

「106万円の壁」とは、勤務先の事業規模や雇用条件に応じて社会保険への加入が必要になる年収ラインです。

「130万円の壁」とは、勤務先の事業規模や雇用条件に関わらず社会保険への加入が必要になる年収ラインです。

「年収の壁」を超えると、社会保険料の負担が発生し、手取り額が減少する可能性があります。

手取りが減少することを避けるため、労働者の働き控えが起こり、労働力が不足する問題が生じています。

こうした働き控えを解消するため、政府は「短時間労働者への被用者保険の適用拡大」の方針を打ち出しました。

社会保険の加入条件を現行よりも緩和することで、労働時間が短い人も扶養から外れて、社会保険に加入できるようにします。

「年収の壁」の課題については、社会保険に加入することで減少する手取り額分を企業が補填することで解決する方針です。

これによって、手取りの逆転現象が解消されるだけでなく、労働者は以下のメリットが得られるようになります。

  • 扶養から外れることで、自分が稼ぎたい分を気にせず稼げる
  • 社会保険料を支払うため、厚生年金を受給できる
  • 傷病手当金など受けられる社会保障が充実する

では、具体的にどのような助成制度が検討されているのでしょうか。

1人あたり50万円の助成金

厚生労働省は、社会保険に加入することで減少する手取り額分を補填した企業に対して、従業員1人あたり最大で50万円の助成金を支払う方向で調整を進めています。

例えば、年収106万円であれば、125万円程度まで賃上げすれば、手取りは減少しません。

対象となる労働者は、配偶者に扶養される人に限らず、単身者やひとり親世帯も含まれる見通しです。

今回の助成制度は、3年程度の時限的な対応で、早ければ年内に実施する見通しです。

さらに、中小企業の場合は助成額を手厚くするなどの措置も検討しています。

助成制度が年収の壁解消につながるか、今後の検討に注目が集まります。

なお、「こども未来戦略方針」ではさまざまな支援策が検討されています。

そのほかの支援策については「【こども未来戦略方針】3年間で実施する「加速化プラン」まとめ」を参照してください。

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