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時短勤務でも給料が減らない。時短勤務で賃金の1割を上乗せ支給。2025年から新たな給付制度創設へ

執筆者:川辺 拓也

【記事執筆】FP川辺 拓也

3,000人を超える顧客からの相談実績をもとに、社会保障制度や家計に必要な金融知識を分かりやすく提供。2級ファイナンシャルプランニング技能士。金融全般から、お金に関する政策まで幅広く専門領域があり、複数の金融メディアに多数寄稿。

2023年6月13日、政府は「異次元の少子化対策」の具体策を盛り込んだ「こども未来戦略方針」を発表しました。
現行の子育て支援制度を拡充させることに加えて、厚生労働省は、「育児時短就業給付(仮称)」を導入する方向で検討を始めました。
「育児時短就業給付(仮称)」とはどのような制度で、実施時期はいつになる見通しなのでしょうか。
この記事では、「育児時短就業給付(仮称)」の概要と実施背景、実施時期について解説します。

「育児時短就業給付(仮称)」の背景


「育児時短就業給付(仮称)」は、2歳未満の子どもを養育する目的で時短勤務を選択した場合、賃金の減少を補うための給付を行う制度です。

女性だけが時短勤務を選択してキャリア形成に男女差が生じることがないよう、男性も給付の対象になります。

「育児時短就業給付(仮称)」の対象者は、雇用保険に加入している人です。

給付案としては、賃金の一定割合を雇用保険から拠出して上乗せする形で検討されています。

ただし、給付割合や、給付対象者の細かい要件は明らかになっていません。

「育児時短就業給付(仮称)」を新設する主な目的は、次の2点です。

  • 子育てと仕事の両立を支援
  • 男性の育児への参加を促進

時短勤務による賃金の目減りを不安視して、出産・育児を諦めてしまうことを防ぐねらいがあります。

また、世帯で収入が減少した場合に、男性がフルタイムで働く必要が生じて、結果的に男性の育児参加ができない事態を防ぐこともねらいの1つです。

「育児時短就業給付」の制度が始まるまで、時短勤務で給料が25%以上減る可能性があることを知っていますか?その計算方法と家計見直しのポイントについて詳しく解説しています。

「育児時短就業給付(仮称)」の概要

「育児時短就業給付(仮称)」の対象要件は、以下の内容で検討されています。

  • 雇用保険に加入し、2歳未満の子どもがいる
  • 時短勤務日前2年間で、雇用保険の被保険者期間が12ヵ月以上ある

フルタイムで働いていたときの収入を超えないようにするため、給付額は時短勤務時の賃金の1割とする方針です。

例えば、基本給が月25万円の人が2時間の時短勤務をした場合、「育児時短就業給付(仮称)」でいくら給付されるのかシミュレーションしてみます。

  • 通常の所定労働時間:1日8時間
  • 時短勤務時の労働時間:1日6時間
  • 時短勤務時の収入:25万円×6時間÷8時間=18万7500円
  • 育児時短就業給付(仮称):18万7500円×10%=1万8750円

一般的に、時短勤務をする従業員の給料は、労働時間の減少と比例して減額されます。

8時間から6時間に勤務時間を短縮した場合、収入は18万7500円になりました。

時短勤務時の賃金の1割が助成されるので、「育児時短就業給付(仮称)」は1万8750円となります。

時短勤務時の収入と合わせると、20万6250円です。

  • 育児時短就業給付(仮称)がない場合の賃金差:6万2500円
  • 育児時短就業給付(仮称)がある場合の賃金差:4万3750円

「育児時短就業給付(仮称)」は、2025年度からの実施を目指しています。

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「育児時短就業給付(仮称)」の導入における懸念点


「育児時短就業給付(仮称)」は、2025年度からの実施を目指しています。

とはいえ、この給付制度の創設にあたっては、次のような懸念点が指摘されています。

  • フルタイムより労働時間が少ないのに収入が同じだと時短勤務者の肩身が狭くなる
  • 時短勤務からフルタイムに戻ろうとする意欲が低下する
  • 時短勤務をするとキャリア形成が阻害される「マミートラック」を助長する

フルタイム勤務者から理解を求められる制度となるように、今後も慎重な議論が必要でしょう。

「こども未来戦略方針」では、子育てをする当該者への支援だけでなく、周囲の社員にも理解を求める対応策として、「応援手当支給」等の支給についても言及しています。

また、「育児時短就業給付(仮称)」が終了する際に、かえって労働の意欲が低下してしまう可能性もあります。

金銭面だけでなく、子育てと仕事の両立に不安がなくなるような幅広い観点での支援が必要です。

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まとめ

「育児時短就業給付(仮称)」は、2歳未満の子どもを養育するために時短勤務を選択した場合、賃金の減少を補うための給付を行う制度です。女性だけでなく、男性にも給付されます。

2025年度の実施に向けて、今後、どのような制度設計となるか注目が集まります。

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