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「年収の壁」解消へ。扶養から外れても手取りが減らない。年内に決定~実行の見通し

執筆者:川辺 拓也

【記事執筆】FP川辺 拓也

3,000人を超える顧客からの相談実績をもとに、社会保障制度や家計に必要な金融知識を分かりやすく提供。2級ファイナンシャルプランニング技能士。金融全般から、お金に関する政策まで幅広く専門領域があり、複数の金融メディアに多数寄稿。

政府は6月13日に「異次元の少子化対策」の具体策を発表しました。

今後の3年間で集中的に取り組む項目には、「年収の壁」を解消する対策も盛り込まれています。

「年収の壁」は、パートなどで働く主婦(主夫)の年収が一定額を超えると社会保険料の負担などが生じ、手取り額が減少する問題です。

この記事では、「年収の壁」による問題と、「年収の壁」を解消するための対策について解説します。

年収の壁とは

年収の壁とされているのは「106万円」と「130万円」の2種類です。

106万円の壁

以下の条件をすべて満たしており、年収が106万円を超えている場合は、パートタイマーやアルバイトでも、扶養から外れ社会保険に加入する必要があります。

  • 従業員数が101人以上
  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 2ヵ月を超える雇用の見込み有
  • 学生ではない

野村総研が実施した調査では、妻の年収が106万円だと、夫の年収や世帯状況によっては手取りが減少することが指摘されています。

調査では、以下の条件でシミュレーションしています。

  • 夫の年収が500万円
  • 二人世帯で他に扶養している家族なし
  • 夫の会社から家族手当が月1万7000円支給


出典:野村総合研究所「『年収の壁』による働き損の解消を―有配偶パート女性における就労の実態と意向に関する調査より」をもとに作成

年収106万円で社会保険に加入した場合、年収100万円で夫の扶養内にいる場合と比べて、手取り額が24万円減少しています。

130万円の壁

「130万円の壁」は、勤務先の事業規模や雇用条件に関わらず社会保険に加入し、扶養から外れる年収ラインです。

「106万円の壁」と同様、社会保険料の負担が発生するため、手取りが減少する可能性があります。

こうした「年収の壁」があることで、扶養から外れないようにするため働き控えが生じています。

「年収の壁」を解消するための対策

政府が発表した「年収の壁」を解消するための対策は以下の2つです。

  • 短時間労働者への被用者保険の適用拡大
  • 最低賃金の引き上げ

社会保険の加入条件を現行よりも緩和することで、労働時間が短い人も扶養から外れて、社会保険に加入できるようになります。

社会保険に加入することによって、以下のメリットが得られます。

  • 扶養から外れるため、自分が稼ぎたい分を気にせず稼げる
  • 社会保険料を支払うため、厚生年金を受給できる
  • 傷病手当金など受けられる社会保障が充実する

手取り金額の逆転現象については、当面の対応として、社会保険に加入することによって減少する手取り額分の補填を、企業に求めます。

賃上げなどを実施した企業に対して、補助金を支給する見通しです。

政府はこうした支援をパッケージ化して、2023年中に実行すると明言しています。

どのような制度になるのか、引き続き注目が集まります。

なお、「異次元の少子化対策」の具体策は多岐にわたります。

そのほかの支援策についてはこちらの記事「【こども未来戦略方針】3年間で実施する「加速化プラン」まとめ」を参照してください。

出典
  • 野村総合研究所「『年収の壁』による働き損の解消を―有配偶パート女性における就労の実態と意向に関する調査より」

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