2019年10月の消費税率引き上げの際、経済対策の目玉として導入されたのが「キャッシュレス・ポイント還元事業」(2020年6月末まで)。
ふだんは現金派でも、このときばかりはキャッシュレス決済を活用した方も多いのではないでしょうか。
また、従来からあるクレジットカードやデビットカードに加え、ここ1~2年で急速に普及しているのがQRコードやバーコードを利用したスマホ決済アプリです。
今回はそもそもキャッシュレス決済とは何か、スマホ決済アプリとは何かを解説し、PayPayやLINE Pay、楽天ペイをはじめとする人気のスマホ決済アプリ8つを徹底比較してみました!
なんとなく乗り遅れたという方もこれを読んで◯◯Payデビューしてみませんか?
今さら聞けない「キャッシュレス決済」とは?おすすめアプリはどれ?
キャッシュレス決済とは?
キャッシュレス決済とは、クレジットカードやデビットカード、電子マネーなど、現金以外の方法で代金を支払う決済方法全般を指します。
SuicaやPASMOに代表される交通系ICカードや、WAONやnanacoに代表される流通系ICカードも電子マネーの一種ですので、1枚……いや何枚も持っているという方も多いのではないでしょうか。
キャッシュレス決済は銀行口座から現金が振替えられるタイミングによって、前払い(プリペイド)、即時払い(リアルタイムペイ)、後払い(ポストペイ)の3種類に分類できます。
前払い
プリペイド |
即時払い
リアルタイムペイ |
後払い
ポストペイ |
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振替方法 | 事前に購入、チャージする | 銀行口座から即時振替えられる | 毎月まとめて振替えられる |
代表的な
サービス |
プリペイドカード | デビットカード | クレジットカード |
電子マネー (iD、Suica、PASMO、楽天Edy、WAON、nanaco、TOYOTA Wallet) | 電子マネー (iD、QuicPay) | 電子マネー (iD、QuicPay、PiTaPa) | |
スマホ決済 | |||
特徴 | 基本的に審査不要で利用できる。あらかじめ購入、チャージした金額しか使えないので、使いすぎる心配がない。 | 口座残高の範囲内で買い物ができる。ATMから現金を引き出す手間が省ける。 | 審査の結果に応じて利用限度額の範囲内で買い物ができる。支払い方法も一括払い以外に分割払い、リボ払い、ボーナス払いなどから選べる。 |
最近増えているQRコード・バーコードを利用したスマホ決済もキャッシュレス決済の一種で、これらのいずれかの方法で振替が行われます。
近年増加しているスマホ決済とは?
近年、主に「◯◯Pay」という名前で急速に普及しているのがスマホ決済アプリです。
前述のポイント還元事業(2020年6月に終了予定)を機に使い始めたという方もいれば、「使い方が分からず乗り遅れた」「クレジットカードや電子マネーがあるから必要性を感じない」という方もいらっしゃるかもしれません。
一般的なスマホ決済の利用の流れや、どのようなメリット・デメリットがあるのか解説します。
スマホ決済の利用の流れ
スマホ決済アプリにもさまざまな種類がありますが、一般的には下記のような流れで利用します。
- アプリをダウンロードする
Androidスマホをご利用の場合は「Google Play」、iPhoneの場合は「App Store」から利用したいアプリを検索してダウンロードします。
- 利用登録する
アプリを開き、指示に従って利用登録を行います。このとき利用規約をよく確認しましょう。
- チャージする
アプリによって異なりますが、ATMなどから現金でチャージしたり、銀行口座やクレジットカードを登録してチャージしたりできます。
- QRコード・バーコードで決済する
スマホ決済が可能なお店で、会計をする際に「スマホ決済を利用したい」旨を伝えます。アプリのバーコードをお店が読み取るか、お店に設置してあるQRコードをアプリで読み取れば、決済が完了します。
いかがでしょうか。意外に簡単だと思いませんか?
スマホ決済のメリットとデメリット
スマホ決済には下記のようなメリットとデメリットがあります。
メリット
- 小銭を出す手間がない
- 支払い時にサインや暗証番号入力の手間がない
- クーポン配布やポイント還元がある
- 利用履歴や残高の確認が簡単
- 小口送金(割り勘)が簡単、など
デメリット
- 不正利用などのセキュリティ面が心配
- 利用できるお店が限られている
- チャージが面倒
- 端末が電池切れだと利用できない、など
スマホ決済の最大のメリットは、いつも持ち歩いているスマホがお財布代わりになるという手軽さにあります。
決済は主にアプリを立ち上げ、QRコード・バーコードをスキャンするという2ステップで完了します。
現金のように小銭を出したり、クレジットカードのようにサインや暗証番号の入力を求められたりすることもありません。
また、クーポンが配布されたり、決済額の数%がポイント還元されたりするアプリもあり、節約にも役立ちます。
アプリで利用履歴を確認すれば使いすぎ防止になりますし、アプリの利用者同士での送金や割り勘機能といった、従来の決済方法にはない利便性の高さも魅力です。
一方のデメリットで最も心配なのは安全性でしょう。
さまざまなスマホ決済アプリが登場した2019年には、悪意のある第3者が不正ログインし、本人の知らないあいだに高額な買い物をする……という不正利用に関する報告も相次ぎました。
アプリを選ぶ際は利便性だけでなく、どのようなセキュリティ対策を行っているかよく確認しましょう。
スマホ決済アプリを選ぶポイントは?
メリット・デメリットが分かったところで、スマホ決済アプリを選ぶ際のポイントについて解説したいと思います。
使えるお店
アプリによって利用できるお店が異なるため、自分がよく利用するお店で使えるかどうかを確認しましょう。
スマホ決済を利用できるお店として代表的なのはコンビニやドラッグストア、家電量販店で、多くの店舗が複数のスマホ決済に対応しています。
また、スマホ決済が利用できるのは実店舗ばかりではありません。
オンラインストアでの買い物に対応しているアプリや、公共料金や税金、社会保険料などの請求書払いができるアプリもあります。
チャージ方法
自分の都合のよいチャージ方法に対応しているか確認しましょう。
主に銀行口座やクレジットカードを登録して口座残高からチャージする方法とセブン銀行ATMやコンビニで現金をチャージする方法があります。
また、メルペイならメルカリ、PayPayならヤフオクと、フリマ・オークションサービスの売上を利用できるアプリもあります。
さらに、d払いやau Pay、PayPay(ソフトバンク)なら、通信料金と合算して請求するという後払いも選べます。
ポイント還元
多くのスマホ決済アプリは決済金額の0.5~1%程度がポイント還元される仕組みになっています。
還元されたポイントはアプリの残高に反映され、次回以降の買い物で利用できます。
アプリによって還元ポイントが反映されるタイミングが異なるため、事前に確認しておくとよいでしょう。
このように、利便性に加えお得に買い物ができることもスマホ決済の大きな魅力。
利用金額によって還元率がステップアップするアプリもありますし、何より期間限定のキャンペーンではより大きなポイント還元が得られる可能性も……?
セキュリティ
不正利用を防ぐためにどのような対策を取っているのか、万が一不正利用された場合どのような対応をしてもらえるのかについても確認しましょう。
まず、第3者による不正ログインを防ぐために重要なのが本人確認です。
パスワードの入力に加え、登録した電話番号にショートメッセージで認証コードを通知するSMS認証や、端末IDを照合する端末認証、指紋や顔などの照合する生体認証など、複数の方法を組み合わせることで、安全性を高めることができます。
さらに、不審なログインや決済がないか常時監視する体制が整っていることや、不正利用があった場合の問い合わせ窓口、補償制度についても確認しましょう。
人気のスマホ決済アプリを徹底比較!
「使えるお店」「チャージ方法」「ポイント還元」「セキュリティ」この4つ基準で、人気のスマホ決済アプリを比較してみました!取り上げたのは以下の8つのアプリです。
PayPay
PayPayはソフトバンク、Yahoo!Japan系列のスマホ決済アプリです。
そのためヤフオクやPayPayフリマの売上金を利用したり、ソフトバンクやワイモバイルの通信料金と合算して後払いにしたりできます。
利用できるお店も多いため「スマホ決済を利用したことがない」という方も始めやすいのが特長です。
ただし、アプリにクレジットカードを登録した場合、不正利用を防ぐために利用上限金額がある、チャージ機能が使えるのは本人認証サービス(3Dセキュア)を登録済みのヤフーカードのみ、といった制約条件があるため「クレジットカードでポイントを貯めたい」という方にとっては少し物足りないかもしれません。
PayPay利用時のポイント還元率は、実店舗や請求書払いの場合は0.5%、ネットストア(PayPayモールやPayPayフリマ、ヤフオク、LOHACOなどYahoo! Japanのサービス)の場合は1%となっています。
さらに、前月の利用状況に応じて還元率が最大1.5%(ネットストアの場合は2%)にアップする「PayPayステップ」という制度が導入されています。
ただしその条件は、100円以上の決済が月50回以上で+0.5%、利用金額が月10万円以上で+0.5%と、ややハードルの高いものになっています。
サービス名 | PayPay |
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運営会社 | PayPay株式会社(ソフトバンクグループ) |
使えるお店 |
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支払い方法 |
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ポイント還元 |
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セキュリティ |
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※2020年5月時点の情報です。最新情報は必ず公式サイトでご確認ください
LINE Pay
LINE Payはチャット・無料通話アプリとしておなじみのLINEのスマホ決済アプリです。
銀行口座や現金に加え、プリペイドカードの一種であるLINE Payカードからチャージすることができます。
クレジットカードについては2020年5月からVisa LINE Payカードが登録できるようになりました。
LINE PayアプリにVisa LINE Payカードを登録すると、チャージ不要で利用した分のみが翌月に請求されます(チャージ&ペイ)。
LINE Payの利用でポイントが還元されるのはこのチャージ&ペイを利用したときのみになります。還元率は過去6ヶ月間のLINEポイント獲得数で決まる「マイステージ」によって1~3%に変動する仕組みになっています。
Visa LINE Payカードは2020年4月下旬から申込みが始まったばかりの新しいカードのため、2021年の4月末までLINEポイントの還元率が3%となるキャンペーンを実施しています(キャンペーンの内容は予告なく変更となる場合がありますので、最新情報は必ず公式サイトでご確認ください)。
「ポイントをたくさん貯めたい」という方は今ならLINE Payのチャージ&ペイがおすすめです。
サービス名 | LINE Pay |
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運営会社 | LINE Pay株式会社 |
使えるお店 |
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支払い方法 |
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ポイント還元 |
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セキュリティ |
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※2020年5月時点の情報です。最新情報は必ず公式サイトでご確認ください
楽天ペイ
楽天ペイは楽天グループのスマホ決済アプリです。
楽天ペイの特長は、楽天カードや楽天銀行、ラクマの売上金からチャージした残高(楽天キャッシュ)以外にも、登録したクレジットカード(楽天カード以外も利用可能)や楽天Edyで決済できるのが特長です。
楽天カードからチャージした場合はチャージ金額の0.5%が、楽天カード払いの場合は決済額の1%が楽天ポイントとして付与されます。
普段から楽天カードをご利用の方、楽天のサービスをよく利用する方におすすめのアプリです。
サービス名 | 楽天ペイ |
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運営会社 | 楽天ペイメント株式会社 |
使えるお店 |
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支払い方法 |
※楽天Edy決済にも対応 |
ポイント還元 |
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セキュリティ |
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※2020年5月時点の情報です。最新情報は必ず公式サイトでご確認ください
メルペイ
フリマアプリのメルカリの売上金をそのまま買い物に利用できるのがメルペイです。
メルペイの残高が足りない場合は、ほかのスマホ決済アプリと同じように、銀行口座や現金からチャージすることもできます。
また、後払いにしたい場合は、利用した分だけ翌月末にまとめて精算するメルペイスマート払いも利用可能です。
精算方法はメルペイ残高払い、またはコンビニ・ATM払いから選べますが、コンビニ・ATM払いの場合は精算手数料が300円かかります。
通常決済時のポイント還元はありませんが、メルカリの売上金を振込申請の期限を気にせずに利用できるという点で利便性の高いアプリです。
サービス名 | メルペイ |
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運営会社 | 株式会社メルペイ |
使えるお店 |
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支払い方法 |
※iD決済にも対応 |
ポイント還元 |
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セキュリティ |
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※2020年5月時点の情報です。最新情報は必ず公式サイトでご確認ください
ファミペイ
全国のファミリーマート店舗での買い物に利用できるのがファミペイです。
ほかのスマホ決済アプリ同様、あらかじめ残高にチャージしておくのが基本ですが、dポイント、楽天ポイント、Tポイントのアカウントと連携すれば、それぞれのポイントを貯めたり使ったりできます。
また、ファミペイアプリ内では割引・無料クーポンが配信されたり、ファミマカフェの回数券が購入できたりと、ファミリーマートを日常的に利用する方にとってお得な特典がたくさん用意されています。
ミニゲームをクリアしたり、対象商品を購入してスタンプを貯めたりするとクーポンがもらえるなど、遊び心のある仕組みもうれしいですね。
サービス名 | ファミペイ |
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運営会社 | 株式会社ファミリーマート |
使えるお店 |
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支払い方法 |
※dポイント、楽天ポイント、T-ポイントを利用可能 |
ポイント還元 |
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セキュリティ |
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※2020年5月時点の情報です。最新情報は必ず公式サイトでご確認ください
d払い
「ポインコ」のCMでおなじみのd払いは、ドコモが提供するスマホ決済アプリです。
全国のコンビニやドラッグストア、家電量販店などで利用できるのはほかのスマホ決済アプリと同じですが、特筆すべきは利用できるネットストアが多いことです。
特にAmazonで利用できるのが魅力的です(ただしAmazonでd払いを利用する場合は、通話料金と合算して支払うドコモ払いのみとなります)。
ポイント還元率は、実店舗の場合は0.5%、ネットストアの場合は1.0%。
還元率0.5%~1.0%と聞くと、ほかのサービスと大差ないように感じられますが、dポイントカードに対応しているお店の場合、dポイントカードとd払いの両方でポイントをもらえるので狙い目です(還元率はお店によって異なります)。
dポイントカードとd払いの両方に対応している代表的なお店は、コンビニの場合はローソン(dポイントカード提示で1%+d払いで0.5%=1.5%)とファミリーマート(同0.5%+0.5%=1.0%)、百貨店の場合は高島屋(同1%+0.5%=1.5%)、ドラッグストアの場合はマツモトキヨシ(同1%+0.5%=1.5%)などが挙げられます。
対応店舗については「dポイントクラブ」でご確認ください。
サービス名 | d払い |
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運営会社 | 株式会社NTTドコモ |
使えるお店 |
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支払い方法 |
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ポイント還元 |
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セキュリティ |
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※2020年5月時点の情報です。最新情報は必ず公式サイトでご確認ください
au PAY
au PAYはKDDIの提供するスマホ決済アプリです。
au PAYという名前ですがauユーザー以外も利用可能です。
登録できる銀行口座はauじぶん銀行のみですが、その代わりにクレジットカードは比較的多くのブランド・発行会社に対応しています。
サービス名 | au PAY |
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運営会社 | KDDI株式会社 |
使えるお店 |
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支払い方法 |
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ポイント還元 |
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セキュリティ |
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※2020年5月時点の情報です。最新情報は必ず公式サイトでご確認ください
ゆうちょPay
ゆうちょの口座から即時引き落としされるというシンプルなスマホ決済アプリです。
あらかじめチャージの必要がなく、デビットカードに近い仕組みという点が特徴的です。
お得なポイント還元制度などもないため「お金の管理をシンプルにしたい」という方向けのアプリです。
サービス名 | ゆうちょPay |
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運営会社 | 株式会社ゆうちょ銀行 |
使えるお店 |
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支払い方法 |
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ポイント還元 |
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セキュリティ |
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※2020年5月時点の情報です。最新情報は必ず公式サイトでご確認ください
まとめ
お手持ちのスマホが財布代わりになるスマホ決済。
その手軽さ・利便性はもちろん、ポイントを貯めて使うことができるので、「現金で支払うよりお得」というのが家計にとってうれしいですね。
ポイントを重視するなら、ポイント還元率が高いクレジットカードをアプリに登録するもの有効な手段です。クレジットカード払いについてはこちらの記事で詳しく説明していますので、参考にしてみてください。
また、銀行口座を登録することに抵抗があったり、現金でチャージするのが面倒だったりする場合は、通話料金との合算支払い(後払い)が可能な通信会社系のスマホ決済アプリが便利です。
利用できるお店もどんどん増えているスマホ決済アプリ。これを機にスマホ決済デビューしてみませんか?
キャッシュレス決済の還元方法についてはこちらの記事 で詳しく解説されています。あわせてご確認ください。