ふるさと納税で住民税が安くならない理由と対処法を解説

執筆者:マネーFix 編集部

【監修】株式会社RKコンサルティング河合 克浩

一般企業、外資系金融機関を経て、現在はファイナンシャルプランナー(FP)として年間150件超のお金の相談に対応。難しく感じる経済やお金の話をわかりやすく説明することに定評がある。夢を実現するため相談者に寄り添い、人生が豊かになるサポートを心がけている。

ふるさと納税を行うことにより、所得税や住民税から寄附した金額に応じた控除を受けられます。しかし、ふるさと納税を利用したものの、「いくら住民税が安くなるのかわからない」「住民税からの控除が適用されなかった」という人もいるでしょう。

ふるさと納税をしても、申告しなければ控除が適用されません。また、申告しても控除が適用されないケースもあります。

この記事では、ふるさと納税を行っても住民税が安くならないケースを紹介します。

この記事でわかること
  • ふるさと納税を行っても住民税が安くならないケース
  • ふるさと納税で住民税が安くなる仕組み

ふるさと納税の仕組み

ふるさと納税とは、自分の好きな自治体に寄附を行うことで、寄附金額のうち自己負担分2,000円を除いた額について所得税および住民税から控除が受けられる仕組みです。

所得税からの控除は所得控除なので、課税所得金額が少なくなります。また住民税では税額控除の対象となるため、所得税で控除された残りの額が住民税から控除されます。

住民税からの控除額の方が大きく、またワンストップ特例制度を利用すると住民税のみからの控除になります。そのため、住民税が安くなるというイメージが強いという人もいるでしょう。

住民税が安くならないケースに注意

ふるさと納税を行ったにもかかわらず、住民税が安くならない原因として考えられるのは、以下のケースです。

  • ワンストップ特例制度で申告していない
  • 確定申告をしていない
  • 住宅ローン控除を受けている
  • 納税者の名義が異なっている
  • 主婦もしくは無職である

ワンストップ特例制度で申告していない

ワンストップ特例制度とは、ふるさと納税を行うときに「ワンストップ特例申請書」をあわせて提出することで、確定申告の手続きが不要になる制度です。

ワンストップ特例制度が利用できるのは、以下の2つの条件を満たす人に限られます。

  • 確定申告の必要がない給与所得者
  • 寄附した自治体の数が5自治体以内

ワンストップ特例制度を利用する際は、自治体から送られてくる特例申請書に必要書類をあわせて寄附先の自治体に提出する必要があります。期限は翌年1月10日です。

自治体の数が5つを超えていたり、期限までに提出できなかったりした場合は確定申告を行います。

確定申告をしていない

ワンストップ特例制度を利用できない場合は、確定申告を行わなければなりません。確定申告とは、年間の所得がわかる確定申告書を提出し、課税所得金額に基づいて所得税を納税するものです。

確定申告は、翌年2月16日~3月15日に、住所地を管轄する税務署に対して行います。

確定申告期間中に申告できなくても、期間後5年間は修正申告が行えます。寄附先の自治体から受け取る「寄附金受領証明書」はなくさないように保管しておきましょう。

住宅ローン控除を受けている

ふるさと納税と住宅ローン控除を併用する場合、ふるさと納税の控除が先に行われます。そのため、場合によっては住宅ローン控除の額が、差し引けない事態が発生します。

住宅ローン控除とふるさと納税を併用する際には、ワンストップ特例制度と確定申告のどちらで申告するかでも影響が異なります。

控除しきれない部分が発生するのを防ぐためにも、住宅ローン控除額がふるさと納税の上限額にどのくらい影響するのかを、ふるさと納税の控除シミュレーターを利用して把握しておきましょう。

納税者の名義が異なっている

ふるさと納税は寄附金控除の対象ですが、適用を受けるためには納税義務者本人が寄附金を支払う必要があります。配偶者や家族の名義で寄附したものについては申告できず、控除を受けられません。

よくある例として、ふるさと納税サイトでの支払いの際に家族名義のクレジットカードを利用したことが挙げられます。このようなケースでは控除の対象にならないため、注意が必要です。

サイト利用後に支払い名義人の誤りを見つけた際には、すぐに寄附先の自治体に連絡するようにしてください。自治体によっては対応してくれるケースがあります。

主婦もしくは無職である

ふるさと納税は、節税効果があると誤解されがちですが、節税効果はありません。ふるさと納税で寄附した金額が翌年の住民税から減額される、つまり税金を先払いしているにすぎません。

税金を支払っていない主婦や無職である人がふるさと納税を行っても、差し引く所得税や住民税がないため、返礼品がもらえる以外のメリットはありません。

結果として、ふるさと納税を行った金額が全額自己負担になってしまいます。主婦であれば、配偶者である夫の名義でふるさと納税を行うことをおすすめします。

ふるさと納税で住民税が安くなる仕組み


ふるさと納税を利用するにあたっては、どのような仕組みで住民税が安くなるのかを理解しておくことが必要です。
ワンストップ特例制度では、住民税からのみ控除が適用されます。しかし、確定申告を行えば、所得税額を計算するうえでも控除を受けられます。

確定申告を行うと、寄附金控除が適用されます。所得税では所得控除の扱いになるので、最終的な課税所得金額が減額となります。その後、住民税からの控除が基本分と特例分に分けて行われます。
ただし、ふるさと納税の控除額には上限額が設けられています。上限額を超えた部分については、全額自己負担になってしまうため、自分の上限額がどのくらいかを事前に知っておくことが大切です。

限度額の目安を知る方法

ふるさと納税の控除上限額は、ふるさと納税を行う人の年収そして家族構成によって異なります。上限額を超えた部分の寄付金については自己負担になるため、上限額の目安を知ったうえで計画的に行う必要があります。

総務省「ふるさと納税ポータルサイト」に上限額の目安一覧が公開されているので、確認してみましょう。

例えば、年収400万円の場合の限度額は以下の通りです。

  • 独身・共働き世帯:4万2000円
  • 夫婦+高校生1人+大学生1人世帯:1万2000円

年収が同じでも、限度額は家族構成によって違うことがわかります。

税金がいくら安くなるか知る方法

実際に税金がいくら安くなるのかについて、計算式や例を用いて解説します。なお、ここで紹介する内容は確定申告を行った際の計算方法です。

所得税の控除額

ふるさと納税の寄附金額は、所得税では所得控除として扱われます。所得税での控除額を計算したい場合は、以下の計算式を利用しましょう。

(寄附金額-自己負担分2,000円)×所得税率

仮に1万円のふるさと納税を行い、所得税率が10%だった場合の控除額は、以下の通りです。

(1万円-2,000円)×10%=800円

所得が高いほど所得税率が高くなります。同じ金額を寄附したとしても、所得金額が多いほど控除額は高くなります。ただし、控除できる金額は総所得金額の40%までと決まっています。

住民税(基本分)の控除額

住民税からの控除は、基本分と特例分に分けられます。ここでは基本分の控除額の計算方法について解説します。

住民税の基本分の控除額は、以下の計算式で求めます。

(寄附金額-自己負担分2,000円)×10%

1万円のふるさと納税を行った場合、控除される金額は以下の通りです。

(1万円-2,000円)×10%=800円

基本分の控除額は、一律10%を乗じて求めるため、所得金額による影響は受けません。ただし、控除できる金額は総所得金額の30%までとなっている点に注意が必要です。

住民税(特例分)の控除額

続いて、住民税の特例分による控除額について説明します。

住民税の特例分による控除額は、以下の式で計算します。

(寄附金額-自己負担分2,000円)×(100%-10%-所得税率)

所得税率10%の人が1万円のふるさと納税を行った場合の控除額は、以下の通りです。

(1万円-2,000円)×(100%-10%-10%)=6,400円

所得税800円、住民税(基本分)800円、住民税(特例分)6,400円となり、合計8,000円の控除額です。1万円から自己負担分の2,000円を引いた8,000円が全額控除されます。

ただし、住民税(特例分)の計算結果が、住民税所得割額の20%を超える場合、「住民税所得割額×20%」が控除される上限になります。

ふるさと納税後に住民税が安くなるのはいつから?

住民税額は、1月1日~12月31日の所得金額をもとに計算し、翌年6月から翌々年の5月に支払う仕組みです。

給与所得者は6月分の給与から反映されるので、ふるさと納税を行った人は住民税額が安くなっているかどうかを確認しましょう。

また、毎月の給与明細以外に、5~6月頃に勤務先から配布される住民税決定通知書に控除税額が記載されていて、それで確認することもできます。

ふるさと納税の控除が正しく行われていたら、住民税決定通知書の概要欄に自己負担額を除いた控除額が記載されているので、金額を確認しましょう。

まとめ

ふるさと納税で住民税からの控除を受けるには、正しい方法で申告する必要があります。

ふるさと納税と医療費控除などほかの控除と併用する場合は、控除額が減る可能性があるのでシミュレーターを利用してふるさと納税で寄付できる金額の上限を確認しておきましょう。

ふるさと納税と医療費控除については、ふるさと納税と医療費控除を併用するときの注意点は?で詳しく解説しています。

住民税からの控除は翌年の6月から反映されます。その時期に受け取る住民税決定通知書を確認することも忘れないようにしてください。

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