冒頭でも述べた通り、ふるさと納税のメリットは誰でも受けられるわけではありません。ふるさと納税をしないほうがいい人は、以下の通りです。
- 所得が低い人
- 退職金を受け取った人
- 節税を求めている人
- 住宅ローン減税措置を受けた人
所得が低い人
ふるさと納税でメリットのない年収としては、「年収150万円未満(独身または共働き)」「年収250万円未満(夫婦で配偶者に収入のない場合)」です。
前述のように、ふるさと納税の仕組みは節税ではなく税金の先払いです。支払う金額のうち大きな割合を占めるのが住民税なので、収入が低く、住民税を支払っていない人にはメリットがありません。
住民税は所得金額にかかわらず一律課税される均等割と、所得金額に一律10%課税される所得割があります。そして両方が非課税になるのは、独身の場合、合計所得金額が45万円以下です。
パートなどで一定の所得未満で働き、扶養に入っている人なども住民税を支払っていないため、ふるさと納税はしないほうがいいでしょう。
退職金を受け取った人
退職金は申告することで退職所得控除の適用を受けられますが、通常の給与所得とは異なり、分離課税の対象です。分離課税とは、ほかの所得とは合算せず、その所得だけで税金が計算される仕組みです。
退職金も住民税の課税対象ですが、受取時に支払うため翌年の住民税額への影響はありません。退職金を受け取った人は、ふるさと納税を行っても得られるメリットは少ないといえます。
ただし、退職金以外の給与については、翌年の住民税を計算する際の対象になるので、退職するまでの所得金額に応じた控除限度額までなら、ふるさと納税を行ってもよいでしょう。
節税を求めている人
ふるさと納税に節税効果はありません。節税効果を求めているなら、iDeCoなどを利用して所得控除額を増やす方法を考えた方がよいでしょう。ふるさと納税の返礼品は寄附金額の30%以内となっているため、通常購入するより高く感じるかもしれません。
また、ふるさと納税を行うにあたっては、必ず2,000円の自己負担額が発生します。節税効果がないにもかかわらず、自分で2,000円を負担してまで寄附を行いたくない人は、あえてふるさと納税を利用するメリットはありません。
住宅ローン控除を受けた人
ふるさと納税と住宅ローン控除は併用できるものの、場合によっては住宅ローン控除を最大限活かしきれない可能性があります。
住宅ローン控除は原則として所得税額から減額される税額控除ですが、所得税から引ききれなかった部分については住民税額からも引くことができます。
しかし、ふるさと納税を行っている場合、ふるさと納税による控除の方が優先して計算されるため、最終的に住宅ローン控除額全額が差し引かれない可能性が出てきます。
住宅ローン控除と併用を考えているなら、事前にシミュレーションを行い、寄附金額の上限を把握しておくことが大切です。住宅ローン控除が全額適用されないなら、ふるさと納税はやらない方がよいでしょう。