※本サイトは一部アフィリエイトプログラムを利用しています

ふるさと納税しないほうがいいケースは?知らないと損するデメリットを解説

執筆者:マネーFix 編集部

【監修】株式会社RKコンサルティング河合 克浩

一般企業、外資系金融機関を経て、現在はファイナンシャルプランナー(FP)として年間150件超のお金の相談に対応。難しく感じる経済やお金の話をわかりやすく説明することに定評がある。夢を実現するため相談者に寄り添い、人生が豊かになるサポートを心がけている。

自分が応援したい自治体に寄附をすることで、返礼品が受け取れるなど、ふるさと納税にはさまざまなメリットがあります。しかし、「ふるさと納税でどんな恩恵を受けられるの?」「ふるさと納税したことで損することはない?」など疑問を持つ人もいるでしょう。

すべての人がメリットを受けられるわけではなく、中にはふるさと納税をしないほうがいい人もいます。

この記事では、ふるさと納税のメリットとデメリットを解説するとともに、ふるさと納税をしないほうがいい人とはどのような人なのかを解説します。

この記事でわかること
  • ふるさと納税のメリット・デメリット
  • ふるさと納税をしないほうがいい人
  • ふるさと納税で失敗しないための注意点

ふるさと納税の仕組み

ふるさと納税とは、自分が応援したい自治体に寄附をすることで、返礼品を受け取ったり、寄附した額をさまざまな支援活動に使ってもらえたりする仕組みです。

ふるさと納税には、現在住んでいる自治体だけでなく、自分が生まれ育った自治体や、学生時代に住んでいた自治体など、思い入れのある自治体に対して寄附をすることで、寄附先の自治体の地域活性化などに貢献できるという特徴があります。

ふるさと納税を行った場合、自己負担額である2,000円を除いた額について、所得税および住民税から控除が受けられます。ただし、寄附できる上限額が年収や家族構成によって決まっています。

ふるさと納税のメリット

ふるさと納税を行うことで得られるメリットは、以下の通りです。

  • 返礼品がもらえる
  • 所得税・住民税が控除される
  • 応援したい自治体に貢献できる

返礼品がもらえる

ふるさと納税では、寄附先の自治体が用意している返礼品を受け取れます。返礼品は食品やお酒、飲料や果物のほか、その自治体独自の工芸品や、自治体で使える食事券などさまざまです。

総務省では、寄附金に対する返礼品の比率を30%以内にすることを求めており、それに従わない自治体に対しては寄附先の自治体として不指定とするなどの措置をとっています。

返礼品については、原則として寄附金額の30%以内であること、そしてその自治体で採れる品物であることが条件となっている点を覚えておきましょう。

所得税・住民税が控除される

ふるさと納税で寄附した金額については、自己負担額2,000円を除いた額が所得税および住民税の控除対象です。

具体的には、所得税では所得控除、住民税では税額控除の対象になります。ただし、これは確定申告を行った場合です。一定の条件を満たす人が利用できるワンストップ特例制度の場合は、所得税での控除は適用されず住民税からの税額控除だけになります。

原則として所得税や住民税は現金で納付する必要がありますが、ふるさと納税を利用すれば実質2,000円で返礼品を受け取れることが、ふるさと納税の税制面でのメリットです。

応援したい地域に貢献できる

ふるさと納税の寄附先は、自分で選べます。もちろん、ゆかりのある自治体でもいいですし、ゆかりはない地域でも魅力的な返礼品があるならその自治体に寄附することも可能です。

また、寄附の方法は返礼品を受け取るだけでなく、災害があった地域を支援する目的でも利用できます。

ふるさと納税の最終的な効果は、自分の思い入れのある自治体に寄附をすることで、その自治体の経済活性化の手助けができることです。

ふるさと納税の注意点

ふるさと納税の注意点は、以下の通りです。

  • 節税ができるわけではない
  • 控除限度額を超えた寄附金は自己負担になる
  • 確定申告が必要な場合がある

節税ができるわけではない

まず、ふるさと納税には2,000円の自己負担があります。寄附した額が全額税金の控除対象になるわけではなく、必ず2,000円は負担しなければならないことを覚えておきましょう。

そして、自己負担の2,000円を除いた額は、所得税では所得控除、住民税では税額控除になります。これは節税ではなく、支払うべき税金を寄附という形で先払いしているに過ぎないことを理解してください。

ふるさと納税を行う人の年収や家族構成によって寄附金額の条件が設けられているのは、そのためです。

控除限度額を超えた寄付金は自己負担になる

ふるさと納税で寄附できる上限金額は、寄附する人の年収や家族構成によって異なります。家族構成で異なるのは、構成によって配偶者控除や扶養控除の額が異なるからです。

所得税での控除対象となるふるさと納税額は、総所得金額などの40%を上限とされています。また、住民税で控除の対象となるふるさと納税額は、総所得金額などの30%が上限となっています。

控除限度額については、総務省「ふるさと納税ポータルサイト」でシミュレーションが可能です。ふるさと納税を行えるサイトでもシミュレーションが用意されているので、確認してみましょう。

住民税は所得税と異なり、その年の課税所得金額を基に翌年の6月から払う仕組みになっています。毎年の年収に大きな変動がなければ限度額の目安を想定できますが、年収にばらつきがある職種だと一年間でどのくらいの所得金額になるのかを把握し、見込みで計算することになります。

想定していた金額より最終的な限度額が少なかった場合には、限度額を超えた部分を自己負担することになります。限度額は医療費控除や住宅ローン控除にも影響するので、併用する場合にはしっかりと下調べをしたうえで余裕をもった金額に抑えるようにしましょう。

確定申告が必要な場合がある

ふるさと納税を利用するには、原則として確定申告をしなければなりません。確定申告を行うことにより、寄附金控除として取り扱われるからです。

ただし、一定の要件を満たすことで、ワンストップ特例制度が利用でき、確定申告が不要になります。ワンストップ特例制度だと、郵送で手続きが済むので、できるだけ手続きを簡単にしたい人におすすめです。

ふるさと納税の申告について、確定申告の対象になる人とワンストップ特例制度の対象になる人の条件は以下の通りです。

確定申告の対象者条件
  • 給与所得者で、年間2000万円以上の給与収入がある人
  • 副業などで給与収入以外に20万円以上の所得がある人
  • 1年目の住宅ローン控除の適用を受ける人
  • 医療費控除を受ける人
  • 1年間の寄附先の自治体の数が6つ以上の人
ワンストップ特例制度の対象者条件
  • 給与所得者で、確定申告の必要がない人
  • 1年間の寄附先の自治体の数が5つ以内の人

ふるさと納税をしないほうがいい人

冒頭でも述べた通り、ふるさと納税のメリットは誰でも受けられるわけではありません。ふるさと納税をしないほうがいい人は、以下の通りです。

  • 所得が低い人
  • 退職金を受け取った人
  • 節税を求めている人
  • 住宅ローン減税措置を受けた人

所得が低い人

ふるさと納税でメリットのない年収としては、「年収150万円未満(独身または共働き)」「年収250万円未満(夫婦で配偶者に収入のない場合)」です。

前述のように、ふるさと納税の仕組みは節税ではなく税金の先払いです。支払う金額のうち大きな割合を占めるのが住民税なので、収入が低く、住民税を支払っていない人にはメリットがありません。

住民税は所得金額にかかわらず一律課税される均等割と、所得金額に一律10%課税される所得割があります。そして両方が非課税になるのは、独身の場合、合計所得金額が45万円以下です。

パートなどで一定の所得未満で働き、扶養に入っている人なども住民税を支払っていないため、ふるさと納税はしないほうがいいでしょう。

退職金を受け取った人

退職金は申告することで退職所得控除の適用を受けられますが、通常の給与所得とは異なり、分離課税の対象です。分離課税とは、ほかの所得とは合算せず、その所得だけで税金が計算される仕組みです。

退職金も住民税の課税対象ですが、受取時に支払うため翌年の住民税額への影響はありません。退職金を受け取った人は、ふるさと納税を行っても得られるメリットは少ないといえます。

ただし、退職金以外の給与については、翌年の住民税を計算する際の対象になるので、退職するまでの所得金額に応じた控除限度額までなら、ふるさと納税を行ってもよいでしょう。

節税を求めている人

ふるさと納税に節税効果はありません。節税効果を求めているなら、iDeCoなどを利用して所得控除額を増やす方法を考えた方がよいでしょう。ふるさと納税の返礼品は寄附金額の30%以内となっているため、通常購入するより高く感じるかもしれません。

また、ふるさと納税を行うにあたっては、必ず2,000円の自己負担額が発生します。節税効果がないにもかかわらず、自分で2,000円を負担してまで寄附を行いたくない人は、あえてふるさと納税を利用するメリットはありません。

住宅ローン控除を受けた人

ふるさと納税と住宅ローン控除は併用できるものの、場合によっては住宅ローン控除を最大限活かしきれない可能性があります。

住宅ローン控除は原則として所得税額から減額される税額控除ですが、所得税から引ききれなかった部分については住民税額からも引くことができます。

しかし、ふるさと納税を行っている場合、ふるさと納税による控除の方が優先して計算されるため、最終的に住宅ローン控除額全額が差し引かれない可能性が出てきます。

住宅ローン控除と併用を考えているなら、事前にシミュレーションを行い、寄附金額の上限を把握しておくことが大切です。住宅ローン控除が全額適用されないなら、ふるさと納税はやらない方がよいでしょう。

ふるさと納税で失敗しないためのポイント

ふるさと納税で失敗しないためのポイントは、以下の通りです。

  • 必ず限度額を把握する
  • 寄附金受領証明書をなくさず保管する
  • 税金控除の手続きを忘れない

必ず限度額を把握する

ふるさと納税には、寄附できる上限額が決まっています。失敗しないためには、この限度額を必ず把握しておくようにしましょう。控除限度額を超えた寄付額は自己負担になってしまいます。

限度額は寄附する人の年収や家族構成のほか、住宅ローン控除の有無によって異なるので、事前に計算することが大切です。

寄附金受領証明書をなくさず保管する

ふるさと納税は申告しなければ適用されません。申告方法には、確定申告とワンストップ特例制度がありますが、確定申告で行う際には「寄附金受領証明書」を確定申告書に添付する必要があります。

寄附金受領証明書は、寄附をした自治体から送られてきます。この証明書がなければ寄附をしたと認められず、税金の控除を受けられないため、大切に保管しておく必要があります。紛失してしまった際には、寄附先の自治体に連絡し、再発行してもらいましょう。

ただし、ふるさと納税サイトを利用している場合は、そのサイトが発行する「寄付金控除に関する証明書」でも代用できます。

税金控除の手続きを忘れない

ふるさと納税サイトなどで寄附先を選び、寄附金額を支払っただけでは税金の控除は受けられません。

控除を受けるには、確定申告もしくはワンストップ特例制度を利用して申告する必要があります。ワンストップ特例制度では郵送の手続きだけで済みますが、利用するには確定申告の必要がない給与所得者、かつ寄附先の自治体の数が5つ以内でなければなりません。

また、給与所得者でも医療費控除を利用する場合は、必ず確定申告しなければなりません。

まとめ

豪華な返礼品がもらえるなど、お得に感じられるふるさと納税ですが、利用する人全員がメリットを受けられるわけではありません。所得が低い人や退職金を受け取った人は注意が必要です。

ふるさと納税では、節税はできません。税金の先払いであるということをしっかりと理解したうえで、自分にどれだけのメリットがあるのかを確認してから行うようにしましょう。特に住宅ローン控除や医療費控除などと併用する際には、控除限度額に影響が出る可能性があるので、慎重に行ってください。

ふるさと納税しても住民税が安くならないケースについては、ふるさと納税で住民税が安くならない理由で詳しく解説しています。

キーワードで記事を検索