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住宅ローンの金利タイプは「変動金利」と「固定金利」どっちを選ぶべき?

執筆者:マネーFix 編集部

住宅ローンを借りる上で検討すべき要素のひとつに「金利」があります。同じ期間、金額を借りるにしても、金利のタイプを何にするかによって、完済するまでにかかる金額が異なります。

この記事では、金利タイプの種類とそれぞれのメリット・デメリットだけでなく、現在住宅ローンの借入れをしている人にインタビューした結果も紹介しています。どのように金利タイプを決めたのかが語られていますので、住宅ローンの金利タイプを選ぶ際に参考にしてみてください。

住宅ローンの金利タイプは3種類

住宅ローンの金利タイプは「変動金利型」「固定金利選択型」「全期間固定金利型」の3種類があります。それぞれの詳細は以下の通りです。

変動金利型 固定金利選択型 全期間固定金利型
特徴 借入期間中の金利が変動する 借入れ後一定期間は金利が固定され、期間満了後は固定金利か変動金利かを選択できる 返済開始から完済まで借入時の金利が固定されている
金利が変わるタイミング 一般的に半年に一度金利の見直しがある。適用金利が変動しても、月々の返済額は5年間変わらず、金利が上昇したとしても返済金額は1.25倍の範囲内で増額される 2年・3年・5年・10年・20年など金利が変わらない期間を選択できるが、期間満了後に金利が上昇する懸念がある 完済まで金利は変わらない

住宅ローンの金利タイプごとのメリット・デメリットは?

金利タイプにはそれぞれどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。一般的に言われているメリット、デメリットを紹介します。

変動金利型のメリット・デメリット

メリット デメリット
  • 他の金利タイプに比べて金利が低い場合が多い。
  • 適用金利の変動がない場合や、適用金利が下がった場合は、結果的に他の金利タイプよりも低い金利で借り続けることができ、総返済額も少なくなる。
  • 支払額の激変緩和措置が定められているため、金利が上昇しても毎月の返済額がただちに上昇するわけではない。
  • 変動金利の返済額の見直しは契約時から5年ごとに行われるが、上昇幅は25倍以内に抑えられている。
  • 金利の変動によって将来の返済額が変わる可能性があり、ローンを組んだ時点では返済総額がいくらになるかはわからない。
  • 適用金利が上昇すると、見直し後の返済額や総返済額が増える可能性がある。
  • 金利が上昇すると、返済額のうち金利が占める割合が高くなり、元金があまり減らない事態が起こりえる。
  • 金利が上昇して借入期間中に完済できなかった。

固定金利選択型のメリット・デメリット

メリット デメリット
  • 固定金利期間中は返済額が変わらない。
  • 固定金利の特約期間の終了後は、金利タイプを自由に選べる場合がある。
  • 固定金利期間終了後に市場金利が低下すると、返済額が減少する。
  • 固定金利期間終了後に市場金利が上昇すると、返済額が増加する。
  • 借入時に固定金利期間終了後の返済額が確定しないので、返済計画が立てにくい。
  • 固定金利期間終了後も固定金利を継続したい場合は手続きが必要で、金融機関によっては手数料がかかる。

全期間固定金利型のメリット・デメリット

メリット デメリット
  • 借入れ時に最終返済日までの返済額が確定する。
  • 金利上昇による返済額の増加を心配する必要がない。
  • 金利の低い時期に契約すると、最終支払時まで低金利のまま返済ができる。
  • 一般的に住宅ローンの金利タイプの中で最も金利が高くなり、利息が高くなる。
  • 毎回の返済額も高くなる。
  • 市場金利が低くなっても影響を受けないため、金利も返済額も下がらない。

変動金利型と固定金利型はどちらが選ばれている?

住宅支援機構の「住宅ローン利用者の実態調査(2022年10月)」によると、2022年4月から9月の間に住宅ローンを借入れした人のうち、変動金利型を選択した人は69.9%と、約7割を占めています。前年同時期の調査でも、変動金利型を選択した人は67.4%と、大きく数字は変わりません。

しかし、10年前の調査(2012年11月~2013年2月)では、変動金利型を選択した人は51.0%と約半数程度でした。このことから、直近10年間で変動金利型を選択する人が増えたことがわかります。

変動金利型が多く選ばれる理由には、2016年1月には「マイナス金利政策」が導入されたことや、インターネット専業銀行などの台頭によって、銀行間の金利の引き下げ幅が広がったことが挙げられます。

住宅ローンの金利は今後どうなる?

変動金利型の金利は過去10年間低い状態で推移していますが、今後の住宅ローンの金利はどうなるのでしょうか。

直近では2022年12月に日銀が金融緩和策を一部修正したことにより、長期金利が上昇しました。これにより、2023年3月に三井住友銀行、みずほ銀行、りそな銀行、三井住友信託銀行は、住宅ローンの固定金利を引き上げました。

一方で、変動金利型の金利は現時点では引き上げられていません。変動金利型に適用される金利は、基準金利から引き下げ幅を引いたものです。基準金利とは、業績や財務状況が良い企業に貸し出す際の最優遇貸出金利(プライムレート)のうち、1年以内の短期貸出しの金利である「短期プライムレート」のことを指し、1995年ごろから大きな動きはありません。

なお、住宅ローン比較サイト「モゲチェック」は、2022年4月時点で、変動金利型の金利が上昇するのは10年以上先だと予想しています。その理由は以下の通りです。

  • 低金利施策終了後すぐに基準金利が変動するわけではないため

万が一変動金利型の金利が上昇するとしても、引下げ幅が縮小されたのち、基準金利である短期プライムレートが上昇するという2段階を踏む可能性が高く、すぐに基準金利が変動する可能性は低い。

  • 低金利施策は継続する可能性が高いため

日銀は、消費者物価指数の前年比上昇率が安定的に2%を超えるまで、金融緩和を続けるとしている。現時点では黒田総裁は「2%の目標を持続的・安定的に達成できていない」と話しているため、低金利施策は継続して実施される可能性が高い。

近年はミックス型も選択肢のひとつに

変動金利型の金利が低い状態はしばらく続くと考えられますが、日銀が金融政策を修正したことで、住宅ローンの金利への関心は高まっています。金利が上昇する可能性に備えて、「ミックス型」と呼ばれる、固定金利型と変動金利型を組み合わせた住宅ローンを選択する人も増えています。

近年、金利の低さから変動金利型が多く選ばれていますが、仮に金利が上昇すると返済が厳しくなる懸念があります。そこで、「ミックス型」で借り入れて一部を固定型にすることで、金利の上昇リスクに備えることができます。

【インタビュー】金利タイプはどうやって選んだ?実際に聞いてみた

ここからは、実際に住宅ローンの借入れをしている6人に、どの金利タイプを選んだのか、なぜその金利タイプにしたのかなどをインタビューした内容を紹介します。金利タイプを検討する際に、参考にしてください。

変動金利型を選んだ人の声

30代/男性/東京都

東京都在住のEさん。住宅を購入したのは30代前半のときで、2人目の子供が誕生したことをきっかけに、自分が生まれ育ち慣れ親しんだ土地で家を買いました。

物件情報
  • 購入した物件:戸建て(建売住宅)
  • 価格:4,280万円
  • 間取り:4LDK
  • 購入時の築年数:新築
  • なぜ変動金利型にしたのですか?

    固定金利型に比べて金利が安かったため、変動金利型にしました。また、金利の比較検討時に住宅購入の担当者に聞いたところ、固定金利型を選ぶ人は2割程度で少ないと聞いたのも理由のひとつです。

  • 変動金利型にして後悔している点はありますか?

    後悔している点はないですが、金利が変動する将来的なリスクはあるので、いまだに「変動金利型で良かったのかな?」と思うことはあります。後悔している点を強いて挙げるとしたら、変動金利型のメリット・デメリットや、将来のリスクをもう少し理解した上で選択するべきだったかもしれません。

変動金利型を選んだ人の声

30代/男性/埼玉県

埼玉県在住のWさん。住宅を購入したのは30代前半のときでした。当時住んでいた賃貸物件の家賃は9万円弱で、高くも安くもない金額。ただ、家賃をずっと支払い続けているだけでは自分の所有物にならないため、子供が生まれたことを機に家探しを始めました。

物件情報
  • 購入した物件:戸建て(半オーダー物件)
  • 価格:4,000万円
  • 間取り:3LDK
  • 購入時の築年数:新築
  • なぜ変動金利型にしたのですか?

    金利の安さが理由です。変動金利型の場合0.3~0.4%でしたが、固定だともう少し高い金利でした。将来的に金利が上がるリスクはありましたが、物件購入当時は低金利だったため、当面そのリスクは回避できそうだと考えました。

  • 金利を決める上で比較はしましたか?

    比較は面倒だったのでしていません。住宅メーカーと提携している銀行に提案をもらって決めました。物件購入だけでも書類の準備など手続きが面倒かつ大変で、さらに住宅ローンを自分で一から比較するのはもっと大変でした。そのため、住宅メーカーの担当者に任せたほうが楽だという結論に至りました。

変動金利型を選んだ人の声

40代/女性/東京都

東京都に在住のKさん。住宅を購入したのは30代後半の時。結婚して子供が誕生したことを機に、住み慣れた土地でマンションを購入しました。

物件情報
  • 購入した物件:マンション
  • 価格:4,000万円
  • 間取り:2LDK
  • 購入時の築年数:40年程度
  • なぜ変動金利型にしたのですか?

    金利が安いことと、万が一金利が上がったとしても、金利が見直されてから5年間は返済額が変わらないことや、経済状況を見てもいきなり金利が上がることはないだろうという理由から、変動金利型にしました。また、ある程度のお金は貯めていたので、金利が上がる前かつ子供が中学生になるまでに繰上げ返済して完済しようと考えています。

固定金利選択型を選んだ人の声

40代/男性/東京都

東京都在住のHさん。両親が持ち家に住んでいて、Hさんが社会人になったら家を建て替えようという話がずっとありました。また、小規模宅地等の特例と呼ばれる、相続する土地の評価額を最大8割まで減額できる制度もあるため、Hさんが30代後半の時に、両親の定年退職を機に実家を建て替え、2世帯で住んでいます。

物件情報
  • 購入した物件:戸建て(実家建替え)
  • 価格:5,800万円(現金:2,000万円(両親世帯)、ローン:3,800万円(本人世帯))
  • 間取り:親世帯3LDK、本人世帯3LDK+2畳程度の仕事スペースが2つ
  • 購入時の築年数:新築
  • なぜ固定金利選択型にしたのですか?

    住宅ローン借入れ当初、金利が低かったからです。固定金利型は0.8%で、当時の変動金利型は0.4%で大差がなかったことと、固定金利選択型のほうが変動金利型に比べて安心感があったため選びました。

  • 他の金利タイプとの比較はしましたか?

    月々の支払額をシミュレーションした結果、賃貸物件に住むよりも固定金利選択型で住宅ローンを組むほうが安く抑えられることがわかりました。変動金利でもシミュレーションしたところ、変動金利のほうが安かったですが、固定金利選択型でも十分に支払いできる額だったため、最終的に固定金利選択型にしました。

全期間固定金利を選んだ人の声

30代/男性/東京都

東京都在住のTさん。20代後半のとき、結婚を機に家を購入しました。

物件情報
  • 購入した物件:戸建て(建売住宅)
  • 価格:4,200万円
  • 間取り:2LDK
  • 購入時の築年数:新築
  • なぜ全期間固定金利型にしたのですか?

    そもそも、フラット35で組みたいという前提条件がありました。フラット35で借りるイメージしかなく、今金利が安いのであれば変動金利型にするメリットはないと考えたためです。また、借りた当時からマイナス金利政策が実施されていたため、これ以上金利は下がらないのではないかと考えていました。金利が固定でも、低い状態で推移できるのと、支出の変動リスクがないこと、月々の支払いが負担にならない金額だったことから、全期間固定金利型にしました。

全期間固定金利を選んだ人の声

30代/男性/神奈川県

神奈川県在住のAさん。物件を購入しても一生同じ建物に住むという考えはなく、いつかは売却することも視野に入れているそうです。年齢的に住宅ローンを組むなら今のうちかもしれないという考えがあり、駅の近くにあるマンションを購入しました。

物件情報
  • 購入した物件:マンション
  • 価格:3,010万円
  • 間取り:1LDK
  • 購入時の築年数:新築
  • なぜ全期間固定金利型にしたのですか?

    フルローンで組んでいるので、変動金利型にして金利が上がったら困りますし、返済計画も立てにくいので、先のことを計画しやすい全期間固定金利型にしました。

  • 全期間固定金利型にしたメリットはありましたか?

    物件購入前に、月々の返済額や、何歳までにいくら返済できるのかを考えやすいところです。

  • 全期間固定金利型にして後悔している点はありましたか?

    変動金利型で安い利息で借りておけば物件購入の元金を減らせたかもしれないので、そこで損をしているかもしれないというのが後悔している点です。

インタビューのまとめ

今回のインタビューでは、住宅ローン自体の比較検討はあまりせず、金利の安さから変動金利型を選んだという人が多い傾向にありました。一方で、返済計画を立てやすいという理由から固定金利型を選択している人もいます。

変動金利型と固定金利型で、月々の支払いがいくらまでであれば支払いが負担にならないかをシミュレーションして、自分の返済計画にあった金利タイプを選択すると良いでしょう。

まとめ

日本では低金利政策が実施されていることから、金利の低い変動金利型が多く選ばれています。しかし、近年では変動金利型と固定金利型を組み合わせた「ミックス型」も選択肢のひとつになっています。

変動金利型が直近10年間で上昇する可能性は低いですが、絶対に金利が上がらないとは言い切れません。月々いくらまで返済できるか、何歳までに返済したいかなど計画した上で、それぞれの金利で借入れする場合のシミュレーションをして、自分にあった金利タイプを選びましょう。

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