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定期借地権付きマンションを買うと後悔する?実際に買った人に聞いたメリット・デメリット

執筆者:マネーFix 編集部

定期借地権付きマンションは、一般的なマンション(所有権があるマンション)と比較すると割安で購入できる一方で、借地期間終了後には土地を更地にして返還しなくてはなりません。このことから、定期借地権付きマンションは「住宅ローンが組みにくい」「資産価値が低い」という点がデメリットと捉えられがちですが、実際はどうなのでしょうか。

この記事では、定期借地権付きマンションを購入した場合のメリット・デメリットについて解説しています。また、実際に定期借地権付きマンションを購入した人の声も紹介しているので、買ってはいけないのか、と疑問を持っている人や詳しく知りたい人は、ぜひ参考にしてください。

そもそも定期借地権とは?

定期借地権とは、建物の所有を目的として、土地を一定の期間借りることができる権利です。原則として契約の更新はなく、借地期間の終了後、土地を返還する必要があります

定期借地権の捉え方
  • 土地の所有者:土地を提供し、保証金・地代という利益を得ながら、借地期間が終了したら土地が戻ってくる
  • 土地の利用者:一定の保証金もしくは権利金と地代を払い、借地期間中は土地を利用できる

定期借地権の種類は3種類

定期借地権は、「一般定期借地権」「事業用借地権」「建物譲渡特約付借地権」の3つに分けられます。詳細は以下の通りです。

一般定期借地権 事業用定期借地権 建物譲渡特約付借地権
期間 50年以上 10年以上50年未満 30年以上
契約期間満了後 更地にして返還 更地にして返還 地主が借地人から借地上の建物を買い取る
用途 制限なし 事業用のみ
※賃貸住宅は不可
制限なし

一般的に、定期借地権付きマンションを購入する場合は「一般定期借地権」が当てはまります。

さらに、定期借地権付きマンションと、一般的なマンションの差異は以下の通りです。

比較要素 定期借地権付きマンション 一般的なマンション
契約期間 50年以上 期間なし
契約期間満了後 建物を解体し更地で返還 なし
固定資産税
都市計画税
なし あり
土地代 あり なし
解体準備金 あり なし

公益財団法人 日本住宅総合センターの「既存住宅市場における定期借地物件の評価」によると、2017年度(平成29年度)の中古マンション市場のシェア率は、一般的なマンションが98.0%に対して、普通借地権が1.69%、定期借地権が0.26%と、定期借地権付きマンションの占める割合はかなり低いのが現状です。

借地権については、「借地権とは・旧法・新法の意味の違いや相続した場合の手続き」で詳しく解説されています。合わせて参考にしてください。

【インタビュー】定期借地権付きマンションを買った人の声

ここからは、定期借地権付きのマンションを購入した人のリアルな意見をご紹介します。今回話を聞いたのは、東京都在住のHさん。4人家族で、2010年に定期借地権付きマンションを購入しました。

定期借地権付きマンションを購入したHさんの基本情報
  • 性別:男性
  • 年齢:38歳
  • 居住地:東京都
  • 職業:ウェブマーケティング事業
  • 家族構成:Hさんとその妻、子供(12歳・8歳)の4人
  • 住宅購入時の年齢:25歳
  • 利用している住宅ローン会社:りそな銀行
  • 金利タイプ:変動型金利
  • 住宅ローンの組み方:単独
  • 毎月支払っているお金:約12万円
    ・住宅ローンの返済:約8万円
    ・共通費、解体準備金、駐車場:約3~4万円
物件情報
  • 購入した物件:定期借地権付きマンション
  • 価格:約3,350万円
  • 間取り:3LDK(74~75平米)
  • 購入時の築年数:新築
  • 借地期間:50年

マンション購入検討のきっかけ

  • 住宅購入の検討を始めたきっかけは何でしたか?

    25歳で結婚して、子供が生まれたことをきっかけに家探しを始めました。当時は社宅で、賃貸と購入含めて家探しをしていました。

  • 住宅購入に関して、購入費用はいくらくらいを考えていましたか?

    当時は事業部長をしていて、同世代に比べると稼いでいたので、深く考えていませんでした。

定期借地権付きマンションとの出会い

  • 現在お住まいの定期借地権付きマンションは、どのように見つけましたか?

    家探しを始めた段階で、当時勤務していた会社のアルバイトの人からチラシをもらったことがきっかけです。

  • 「借地期間が50年である」ということに対する不安はありましたか?

    特にありませんでした。そもそも、「築50年のマンション」というのが購入当時にあまりなく、50年間維持されているマンションがどのような状態かわかりませんでした。また、自分が70代になったときに同じマンションに住み続けているとは考えにくかったです。50年後、マンションの状態がどうなっているかもわからないので、「割安で家を購入できるし、デメリットは何だろう」という感じでした。

  • 定期借地の契約満了後、ローン完済後のライフプランは?

    そもそも50年間同じマンションに住むイメージが湧いていませんでした。関西出身ということもあり、一生東京に住むわけではなく、いつかは関西に帰るという思いもありました。また、子供に資産を残したいという思いは購入時も今もありません。

定期借地権付きマンションのメリット・デメリット

定期借地権付きマンションを購入するメリット・デメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?一般的に言われているメリット、デメリットを紹介します。

3つのメリット

定期借地権付きマンションを購入するメリットとしては以下の3点が挙げられます。

  • 家を割安で購入できる
  • 良い立地の物件が比較的多い
  • 土地の固定資産税・都市計画税がかからない

それぞれについて、詳しく解説します。

家を割安で購入できる

定期借地権付きマンションの場合、土地は借りている状態なので土地の購入費用がかかりません。そのため、一般的なマンションと比較すると約20~30%安くなる傾向があります。

良い立地の物件が比較的多い

定期借地権は、借地期間終了後に土地を返還する必要があります。都心や駅の近くなど比較的利便性が高い土地であるため、地主が手放したくないこともあり、期間が設けられています。

土地の固定資産税・都市計画税がかからない

不動産を購入すると取得時に不動産取得税が発生し、保有している間は毎年、固定資産税や都市計画税といった税金が発生します。一方、定期借地権付きマンションを購入した場合、土地は所有しないため、土地の不動産取得税や固定資産税、都市計画税がかかりません。

4つのデメリット

続いて、定期借地権付きマンションを購入するデメリットを紹介します。一般的に、以下の4点が挙げられることが多いです。

  • 維持費が割高になる
  • 借地期間終了後、土地を更地にして返還する必要がある
  • 資産価値が低い
  • 住宅ローンが組みにくい

それぞれを詳しく解説します。

維持費が割高になる

まず、定期借地権付きマンション購入後にかかる費用を見てみましょう。

  • 管理費・修繕積立金
  • 建物の固定資産税・都市計画税
  • 地代
  • 解体積立金

これらのうち、定期借地権付きマンション特有の費用は「地代」「解体積立金」の2点です。

定期借地権付きマンションの場合、土地の固定資産税・都市計画税は発生しませんが、土地の所有者に対して毎月地代の支払いが発生します。支払額は、土地にかかる税金や地価の増減などの経済的な状況によって増減する場合があります。

また、土地を更地にして返還するために必要な解体費用の積立金も発生します。毎月支払うだけでなく、購入時にまとまった費用を支払うケースもあります。

借地期間終了後、土地を更地にして返還する必要がある

定期借地権付きマンションは借地期間終了後、建物を取り壊し、土地を更地にして返還しなければなりません。そのため、購入したマンションに借地期間終了後も住み続けることや、建物を資産として残すことができません。

資産価値が低い

定期借地権付きマンションと一般的なマンションでは、以下のように資産価値の構成要素が異なります。

資産価値の構成要素
  • 定期借地権付きマンション:借地権の価格と建物価格
  • 一般的なマンション:土地価格と建物価格

定期借地権は土地を借りている状態のため、土地は資産価値に含まれません。借地権は、借地期間の終了に近づくにつれて価値が下がっていきます。建物自体の価値は、定期借地か否かを問わず、築年数の経過とともに下がっていくことが一般的です。

また、定期借地権付きマンションを売却する際は、売却時期について不動産会社とよく相談しておきましょう。定期借地の残存期間が少なくなるにつれて、買い手は少なくなります。

住宅ローンが組みにくい

住宅ローンを組む際、金融機関は購入する住宅の土地と建物に、抵当権という権利を設定します。債務者が住宅ローンの返済ができなくなったり返済が滞ったりした際に、抵当権者である金融機関がその不動産を差し押さえるために設定されます。

定期借地権付きマンションでは、抵当権が設定されるのは建物に対してのみです。建物の借地期間が決まっていることや、借地権の残存期間の終了後に建物を解体して更地で返還する義務があることから、一般的なマンションと比較して建物の担保価値は低くなる傾向にあります。そのため、住宅ローンが組みにくくなる可能性があると言えます。

また、借地権の残存期間を超える住宅ローンを組むことは不可能です。

【インタビュー】住んでみて実際に感じるメリットとは

定期借地権付きマンションに住んでいるHさんに、メリットに感じていることを尋ねました。

  • 購入価格について

    月々の住宅関連の出費が賃貸に住んでいたころと変わらないくらいでした。住宅ローンの返済が月8万円、解体準備金など諸費用が3万~4万円くらいで、合計月12万円。賃貸に住んでいたころの住宅関連費用とあまり変わりませんでした。定期借地権ではない一般的なマンションを購入するより安いと感じています。

  • 立地について

    駅から徒歩10分圏内で、立地は良かったです。また、子育て向きの街でもあったので、購入後にマンションが増えていきました。

【インタビュー】住んでみて実際に感じるメリット・デメリット

定期借地権付きマンションに住んでみて、実際に感じるメリット・デメリットはどのようなものがあるのでしょうか?前述のHさんに尋ねました。

住んでみて実際に感じるデメリットとは

  • 解体準備金の発生について

    解体準備金自体は一定額のため、負担ではありませんでした。しかし、定期借地権付きか否かに関わらず発生する改修費用は、増額される可能性もあります。改修費用が、何年後にいくら増額されるか確認しておくと良いと思います。

    定期借地権付きの場合、住む期間が決まっているため大規模な改修は3回程度で、一般的なマンションより少ないです。一般的に、大規模改修は12年に1回あります。大規模改修では屋上や壁のひび割れ、塗装、下水道などを改修します。定期借地権付きマンションは、最後の数年は大規模改修が不要になるので、改修費用も不要です。

    ただし、改修しないと資産価値に影響があるので、資産価値を落とさないようにどのようなことをしているか予め聞いておくと良いと思います。

  • 借地期間終了後、更地で返還することについて

    マンションの場合、土地というより建物と空間を買うイメージが近かったので、更地にして返還することに対して抵抗感はありませんでした。建物はいつか解体するもので、その解体費用を誰が払うかという話だと考えていたためです。また、借地期間として定められている50年間も、そこに住み続ける考えもありませんでした。

  • 物件購入後の資産価値の低下について

    購入時は資産価値についてそこまで考えていませんでしたが、結果的に資産価値は低くならなかったです。立地が良いため価値がそこまで下がらないと想定されます。

    何度か売却を検討しましたが、住んでから10年目、15年目でも購入時と同じ金額で売れると言われました。仮に売却したら、そのお金で住宅ローンの残高を相殺できる計算です。購入したタイミングでの価格が、周りの新しく建ったマンションに比べて安かったので、売却時の金額が購入時と同じ金額になっているのだと思います。

【インタビュー】定期借地の場合の住宅ローンはどうなる?

定期借地の場合、住宅ローンの審査に通りにくいと言われていますが、実際どうなのでしょうか。Hさんの場合、住宅ローンの審査に通りにくいという感覚はなかったと言います。ただし、住宅ローンの選択肢は狭かったようです。

  • 住宅ローンについて

    不動産会社から2~3社提案されました。選べる銀行数が少ないため、自分で住宅ローンを自由に選びたい人にとってはデメリットになりえると思います。

    金利は1%なので、ネット銀行などと比べて少し高かったですが、不動産会社におすすめされたもので、かつメガバンクでもあったのが、住宅ローンの決め手です。

    借換えも検討しましたが、定期借地権の場合は借換えができないとのことでした。

【インタビュー】定期借地権付きマンションを買って後悔はないのか

最後に、定期借地権付きマンションを購入して、後悔したことはあったかをHさんに尋ねました。

  • 定期借地権付きマンション付きマンションを購入して、後悔している点はありますか?

    メリットを超えるほどのデメリットはないので、後悔するようなことはありませんでした。

    定期借地権の制度自体が50年経っていないので、定期借地権の契約満了を迎えた建物がほぼないのが現状です。そのため、本当のデメリットを知らないだけの可能性はあります。

Hさん曰く、「家の購入は高い買い物なのに、定期借地権付きマンションは購入してから一定期間で返さないといけないので、自分のものにならないことに抵抗感を覚え、デメリットであると捉える人がいるのでは」とのことでした。

まとめ

定期借地権付きマンションの購入を検討する際のポイントは、自分のライフスタイルやライフプランに照らし合わせてメリット・デメリットを確認しておくことです。借地期間終了後に土地を返還する必要があることは一般的にデメリットとして挙げられますが、例えば、将来的に実家に戻る予定があったり、どこか別の土地への移住を計画していたりする場合にはデメリットではなくなります。また、実際に定期借地権付きマンションに住んでいる人に話を聞いたところ、メリットを超えるほどのデメリットはないと言います。

定期借地権付きマンションの住みやすさは一般的なマンションと変わらないため、物件購入時の選択肢のひとつとして検討してみるとよいでしょう。

住宅ローンを利用するなら、金利や条件をしっかりと比較することが大切です。住宅ローンの金利やポイントを詳しく解説したおすすめの住宅ローンランキング|比較のポイントや人気商品の魅力を紹介をチェックしてみてください。

マンション購入の注意点についてはこちらの記事で詳しく解説されています。あわせてご確認ください。
参考:マンション購入の注意点7つ!不動産営業が教える失敗しない方法 | イエシルコラム

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