定期借地権付きマンションを購入するメリット・デメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?一般的に言われているメリット、デメリットを紹介します。
3つのメリット
定期借地権付きマンションを購入するメリットとしては以下の3点が挙げられます。
- 家を割安で購入できる
- 良い立地の物件が比較的多い
- 土地の固定資産税・都市計画税がかからない
それぞれについて、詳しく解説します。
家を割安で購入できる
定期借地権付きマンションの場合、土地は借りている状態なので土地の購入費用がかかりません。そのため、一般的なマンションと比較すると約20~30%安くなる傾向があります。
良い立地の物件が比較的多い
定期借地権は、借地期間終了後に土地を返還する必要があります。都心や駅の近くなど比較的利便性が高い土地であるため、地主が手放したくないこともあり、期間が設けられています。
土地の固定資産税・都市計画税がかからない
不動産を購入すると取得時に不動産取得税が発生し、保有している間は毎年、固定資産税や都市計画税といった税金が発生します。一方、定期借地権付きマンションを購入した場合、土地は所有しないため、土地の不動産取得税や固定資産税、都市計画税がかかりません。
4つのデメリット
続いて、定期借地権付きマンションを購入するデメリットを紹介します。一般的に、以下の4点が挙げられることが多いです。
- 維持費が割高になる
- 借地期間終了後、土地を更地にして返還する必要がある
- 資産価値が低い
- 住宅ローンが組みにくい
それぞれを詳しく解説します。
維持費が割高になる
まず、定期借地権付きマンション購入後にかかる費用を見てみましょう。
- 管理費・修繕積立金
- 建物の固定資産税・都市計画税
- 地代
- 解体積立金
これらのうち、定期借地権付きマンション特有の費用は「地代」「解体積立金」の2点です。
定期借地権付きマンションの場合、土地の固定資産税・都市計画税は発生しませんが、土地の所有者に対して毎月地代の支払いが発生します。支払額は、土地にかかる税金や地価の増減などの経済的な状況によって増減する場合があります。
また、土地を更地にして返還するために必要な解体費用の積立金も発生します。毎月支払うだけでなく、購入時にまとまった費用を支払うケースもあります。
借地期間終了後、土地を更地にして返還する必要がある
定期借地権付きマンションは借地期間終了後、建物を取り壊し、土地を更地にして返還しなければなりません。そのため、購入したマンションに借地期間終了後も住み続けることや、建物を資産として残すことができません。
資産価値が低い
定期借地権付きマンションと一般的なマンションでは、以下のように資産価値の構成要素が異なります。
資産価値の構成要素
- 定期借地権付きマンション:借地権の価格と建物価格
- 一般的なマンション:土地価格と建物価格
定期借地権は土地を借りている状態のため、土地は資産価値に含まれません。借地権は、借地期間の終了に近づくにつれて価値が下がっていきます。建物自体の価値は、定期借地か否かを問わず、築年数の経過とともに下がっていくことが一般的です。
また、定期借地権付きマンションを売却する際は、売却時期について不動産会社とよく相談しておきましょう。定期借地の残存期間が少なくなるにつれて、買い手は少なくなります。
住宅ローンが組みにくい
住宅ローンを組む際、金融機関は購入する住宅の土地と建物に、抵当権という権利を設定します。債務者が住宅ローンの返済ができなくなったり返済が滞ったりした際に、抵当権者である金融機関がその不動産を差し押さえるために設定されます。
定期借地権付きマンションでは、抵当権が設定されるのは建物に対してのみです。建物の借地期間が決まっていることや、借地権の残存期間の終了後に建物を解体して更地で返還する義務があることから、一般的なマンションと比較して建物の担保価値は低くなる傾向にあります。そのため、住宅ローンが組みにくくなる可能性があると言えます。
また、借地権の残存期間を超える住宅ローンを組むことは不可能です。
【インタビュー】住んでみて実際に感じるメリットとは
定期借地権付きマンションに住んでいるHさんに、メリットに感じていることを尋ねました。
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月々の住宅関連の出費が賃貸に住んでいたころと変わらないくらいでした。住宅ローンの返済が月8万円、解体準備金など諸費用が3万~4万円くらいで、合計月12万円。賃貸に住んでいたころの住宅関連費用とあまり変わりませんでした。定期借地権ではない一般的なマンションを購入するより安いと感じています。
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駅から徒歩10分圏内で、立地は良かったです。また、子育て向きの街でもあったので、購入後にマンションが増えていきました。