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住宅ローンの分割融資とつなぎ融資の違い|メリットやデメリットを解説

執筆者:マネーFix 編集部

【監修】株式会社RKコンサルティング河合 克浩

一般企業、外資系金融機関を経て、現在はファイナンシャルプランナー(FP)として年間150件超のお金の相談に対応。難しく感じる経済やお金の話をわかりやすく説明することに定評がある。夢を実現するため相談者に寄り添い、人生が豊かになるサポートを心がけている。

不動産を購入する際、多くの人が住宅ローンを利用します。土地を購入して、注文住宅を建てる場合、土地の購入費や建物の着手金・中間金など、融資前にまとまったお金が必要になります。しかし、事前に資金の準備ができない場合は、「分割融資」や「つなぎ融資」を利用します。

この記事では、住宅ローンの分割融資の仕組みや、つなぎ融資との違い、それぞれのメリット・デメリットを解説します。

住宅ローンの分割融資とは?

分割融資とは、住宅ローンを複数回にわたって利用する融資の方法です。

住宅を購入する際、支払いは1回きりとは限りません。決済のタイミングが複数回ある場合は、そのたびにまとまったお金を準備する必要があります。

例えば、土地を購入して、注文住宅を建てるときは、以下のタイミングで支払いが発生します。

  • 土地の売買契約時:土地の手付金
  • 土地の引き渡し:土地購入の残金
  • 工事請負契約時:工事の手付金
  • 着工:工事の着工金
  • 上棟:工事の中間金
  • 建物の引き渡し:工事の残金

数回に分けて多額の費用が必要となる場合、資金が準備できない可能性があります。このようなときに検討したいのが、分割融資です。

分割融資にした場合の金利はどうなる?

一般的に、住宅ローンの金利は融資を受けるときに設定されます。金利は銀行など金融機関によって異なり、主に以下の2通りです。

  • 一括して同じ金利を設定
  • 融資のたびに金利を設定し直す

土地購入時の金利が1%、建物購入時の金利が1.5%だった場合、一括して同じ金利を設定するケースでは、土地購入時の金利が適用されます

一方、融資のたびに金利を設定し直す方式の場合、以下のような金利変動が起こる可能性があります。

仮に、金利1%で3000万円の住宅ローンを35年返済で組むと、金利総額は556万7700円です。同条件で金利が1.1%の場合、金利総額は615万8220円となります。0.1%の金利の違いで返済額に約59万円の差が出ます。

逆に、金利が下がって金利総額が減少する可能性もあります。

分割融資の返済のタイミングは?

分割融資の場合、返済が始まるタイミングも金融機関によって異なります。

例えば、以下のようなパターンがあります。

  • 融資が実行された翌月から
  • 融資実行後、建物が完成し、引き渡されたときから

金融機関によっては、「建物の引き渡し後、すべての融資が実行されるまでは、利息分のみを返済する」という場合もあります。契約の前に、返済のタイミングがどのようになるかを確認するようにしましょう。

つなぎ融資との違い

分割融資とつなぎ融資は似ていますが、分割融資は「住宅ローン」、つなぎ融資は住宅ローンとは別の「無担保ローン」です。

つなぎ融資は、分割融資とは異なり抵当権を設定する必要がないため、登記登録の費用や手間がかかりません。また、団体信用生命保険(団信)がない点も、分割融資とは異なります。

分割融資のメリット

分割融資のメリットは以下の通りです。

  • 金利は住宅ローンと同じ
  • 住宅ローン控除が受けられる
  • 手元に現金がなくても支払える

分割融資は1本の同じ住宅ローンなので、住宅ローンと同じ金利で利用できます。

また、住宅ローンと同様に、住宅ローン控除も受けられます。住宅ローン控除とは、年末時点の住宅ローン残高の1%が所得税・住民税から控除される制度です。住宅ローン控除は入居から10年間にわたって受けられます。

分割融資は建物の引き渡し前から融資を受けられるため、手元に資金がなくても注文住宅をオーダーすることができます。

分割融資のデメリット

分割融資のデメリットは以下の通りです。

  • 土地や建物それぞれに抵当権設定が必要
  • 登記費用がかかる

分割融資のデメリットは、土地と建物それぞれに抵当権の設定が必要な点です。

抵当権はいわゆる担保のこと。融資を返済できなかった場合、代わりに土地や建物から弁済(支払い)を受ける権利のことです。

分割融資では融資を受けるたびに抵当権の設定が必要です。土地購入時と住宅購入時で2回分の登記費用が必要になります。一方、つなぎ融資では抵当権の設定は不要です。

つなぎ融資のメリット

つなぎ融資のメリットは以下の通りです。

  • 無担保で借りられる
  • 登録免許税に税制優遇が受けられる

つなぎ融資のメリットは、分割融資とは異なり無担保で借りられることです。抵当権を設定する必要がなく、登記費用もかかりません。

また、登録免許税で軽減税率が適用されるのも、つなぎ融資のメリットです。つなぎ融資は抵当権の設定が不要と説明しましたが、住宅ローンを借りる際は抵当権の設定が必要となります。

その際の「住宅取得資金の貸付け等に係る抵当権の設定登記」では、「建物が居住用であること」「床面積が50㎡以上」「新築または取得後1年以内の登記であること」など一定の要件を満たす必要があります。

分割投資では建物が完成する前に融資が実行されるため、条件が満たせず税制優遇は受けられません。つなぎ融資であれば登記が住宅ローンの貸付時となるため軽減税率が適用されます。

つなぎ融資のメリット・デメリット

つなぎ融資のデメリットは以下の通りです。

  • 無担保なので金利が高い
  • 住宅ローン控除が適用されない

分割融資では住宅ローン控除を受けられますが、つなぎ融資は住宅ローンではないため、住宅ローン控除は適用されません。また、無担保のため金利が高く設定されている点もつなぎ融資のデメリットです。

したがって、つなぎ融資の場合、登録免許制に税制優遇を受けられたとしても、実際の支出は大きくなる可能性があります。

分割融資かつなぎ融資どちらを選べばよい?

分割融資とつなぎ融資のメリット・デメリットを紹介しましたが、どちらを選ぶのがよいのでしょうか。

「借入条件」「建物が建つまでの期間」「返済のタイミング」「金利の変動」等によっても異なるため、一概にどちらがよいとは言い切れません

どちらの融資を選ぶべきか判断する際には、支払い総額のシミュレーションを利用するのがおすすめです。

ただし、自分の条件に合わせて細かく数値を算出するためには、専門知識が必要です。分割融資とつなぎ融資を比較したい場合は、不動産会社や金融機関に相談することをおすすめします。

まとめ

住宅ローンの分割融資の仕組みや、つなぎ融資との違い、それぞれのメリット・デメリットを解説しました。大きな違いは、分割融資は「住宅ローン」であり、つなぎ融資は「無担保ローン」であるという点です。分割融資とつなぎ融資のどちらを利用する方がよいかは、ケースバイケースなので、不動産会社や金融機関に相談してみることをおすすめします。

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