学費が払えないときの対処法や利用できる支援とは|学費が払えないとどうなる?

執筆者:マネーFIX 編集部

【監修】株式会社RKコンサルティング

河合 克浩

一般企業、外資系金融機関を経て、現在はファイナンシャルプランナー(FP)として年間150件超のマネー相談に対応。難しく感じる経済やお金の話をわかりやすく説明することに定評がある。夢を実現するため相談者に寄り添い、人生が豊かになるサポートを心がけている。

子どもを持つ家庭では、教育資金は準備しておくべき重要な資金の1つです。特に高校を卒業して大学や専門学校に進む場合、まとまった金額の学費が必要となり、どうやって捻出すればいいか悩む人も多いでしょう。

本記事では、大学や専門学校でかかる費用を解説するとともに、学費が支払えなくなるとどうなるのか、また支払えなかった場合はどのような対処方法があるのかについて解説します。

専門学校や大学にかかる費用

大学や専門学校に通うには、一般的に下表のような費用がかかると想定されます。

国公立大学にかかる費用
入学金 授業料 初年度納付額
国立大学 28万2000円 53万5800円 81万7800円
公立大学 39万2111円 53万6382円 92万8493円
出典:文部科学省「国公立大学の授業料等の推移」
私立大学や専門学校にかかる費用
入学金 授業料 施設設備費 初年度納付額
私立文系 22万8262円 79万3513円 15万807円 117万2582円
私立理系 255万566円 111万6880円 177万241円 154万9688円
私立医歯系 107万3083円 286万7802円 862万493円 480万3378円
私立短大 23万9058円 70万3349円 17万2795円 111万5202円
専門学校 24万1860円 70万744円 9万4186円 103万6791円
出典:文部科学省 令和元年度「私立大学等入学者に係る初年度学生納付金平均額」

国公立大学の入学金や授業料は金額が統一されていますが、私立や専門学校は学校によって差があります。

一般的には、国公立大学の方が私立大学よりも初年度納付額が安くなる傾向にあります。また私立大学では文系より理系、さらに医歯系といった順に初年度納付額が高くなる傾向です。

また、いずれの学校でも、入学時に入学金だけでなく初年度の前期の授業料を納める必要があることが多く、一時的に多額の出費が見込まれます。

学費が払えないとどうなる?

学費を納期までに支払えないと、まず学校側から状況確認の連絡が来ます。支払えない理由をきちんと説明すれば、延納や分納といった措置を取ってくれる学校もあるので、まずは相談してみましょう。

延納・分納でも解決できずに支払いが滞った状態が長く続くと、最終的には退学や除籍といった処分が下されます。学校によって処分が実行されるまでの期間は異なりますが、学費を支払わないと必ず退学や除籍となります。

退学や除籍の履歴は、その後の転学や就職に影響が出る可能性があるため、できるだけ避けるようにしてください。

学費が払えないときはどうすればいい?

大学や専門学校などの学費が払えないときの対策は、以下の通りです。

  • 大学や学校に延納や分納の相談をする
  • 休学してバイト代で補填する
  • 大学や学校の独自の支援制度を利用する
  • 学生支援緊急給付金を利用する
  • 奨学金を利用する

大学や学校に延納や分納の相談をする

学費の支払いが困難になってしまったとき、まずすべきことは大学や学校側への相談です。学生課や会計課、財務課など相談先は学校によって異なりますが、学費に関する相談窓口は必ず設けられているので、すぐに問い合わせてみましょう。

支払いができない理由や滞納している金額に応じて、延納や分納といった対応をしてくれる場合がほとんどなので、気おくれせずに相談することをおすすめします。

休学してバイト代で補填する

大学や専門学校などを一時的に休学してアルバイトをし、学費が貯まってから復学するというのも1つの方法です。学校によっては、休学中は学費などの支払いを免除してくれるところもあるため、先に挙げたような学生課などの相談窓口で聞いてみるとよいでしょう。

大学や学校の独自の支援制度を利用する

経済的に困窮している学生を助けるため、大学や専門学校で独自の支援制度を用意している場合もあります。

例えば、早稲田大学では、家計の急変により経済的に困窮した学生に40万円を給付する「早大緊急奨学金」を設けています。2020年春には、新型コロナウイルス感染症拡大に伴いアルバイト収入が激減した学生が増えたことを受け、この奨学金の受給対象を約3倍に拡充しました。さらに、10万円の「緊急支援金」も支給しています。

学校によって支援方法は異なりますが、このような柔軟な対応を打ち出す大学もあるため、最新の情報を手に入れられるよう学生課からのアナウンスには日ごろから目を通すようにしておきましょう。

奨学金を利用する

奨学金とは学生本人が学業に必要な資金を借入し、卒業後自分で返済していく方法です。

後述する教育ローンは、学生の保護者が資金を借入するのに対し、奨学金は学生自身が借入・返済の主体となるのが特徴です。

奨学金は、将来的な返済が必要となる「貸与型奨学金」が主ですが、お金を返さなくていい「給付型奨学金」もあります。条件をクリアしているなら積極的に申し込んでみるとよいでしょう。

特徴 おすすめの人
給付型奨学金 ・将来的な返済が不要
・利用には厳しい審査がある
・所得が特に低い家庭
貸与型奨学金 ・卒業後に返済が必要
・審査はそれほど厳しくない
・所得がそれほど低くない家庭

一般的に、奨学金は入学後に振り込みが開始されます。入学金やひとり暮らしの住居の契約金など、入学前に支払いが必要となるものには使えないため注意してください。

奨学金については、奨学金の借り方や審査基準も参考にしてください。

教育ローンを利用する

教育ローンとは、子どもの進学・通学にかかる費用を保護者が借入するローンのことです。大きく分けて、国から借りるものと、銀行など民間の金融機関から借りるものの2種類があります。

国の教育ローンは「教育一般貸付」とも呼ばれ、親の経済事情にかかわらず、すべての子どもに学校教育の機会を均等に与えることを目的としています。

国の教育ローンは、日本政策金融公庫によって貸付が行われます。母子・父子家庭の利用が優先されており、共働きなどで世帯年収が多い場合には利用できないこともあります。

特徴 おすすめの人
国の教育ローン ・日本政策金融公庫が貸付を行う
・低収入の家庭が優先される
・母子/父子家庭
・世帯収入が低い
民間の教育ローン ・銀行、信用金庫、ろうきん、JAバンクなどの金融機関が貸付を行う
・高収入で返済に問題がない家庭が優先される
・安定した収入がある
・世帯収入が高い

教育ローンは奨学金と違って借りるタイミングに制限がないため、入学金やひとり暮らしの家賃、引越し代など入学前にかかる費用に充てることも可能です。

学生自身が借入する奨学金とは異なり、教育ローンは基本的には保護者が借入します。

国の教育ローンは、一定の年収に満たないなど低所得であればあるほど借りやすくなりますが、民間の教育ローンは安定した収入があり所得が高い人の方が借りやすくなります。

まとめ

せっかく希望の大学や専門学校に入れても、学費が支払えなければ退学や除籍処分となってしまいます。入学後にいくらお金がかかるのかを事前に把握したうえで、自己資金で足りなそうな場合は奨学金を借りる、教育ローンを組むなどの対策を取りましょう。

急な家計の変化によって学費が支払えなくなってしまった場合、まずは学校に相談してみてください。学校は、学びたいという意欲がある学生を支える立場にあるため、柔軟に対応してくれる場合がほとんどです。

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