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大学の学費が払えない…お金がなくても進学を諦めない!

執筆者:マネーFix 編集部

【監修】株式会社RKコンサルティング河合 克浩

一般企業、外資系金融機関を経て、現在はファイナンシャルプランナー(FP)として年間150件超のお金の相談に対応。難しく感じる経済やお金の話をわかりやすく説明することに定評がある。夢を実現するため相談者に寄り添い、人生が豊かになるサポートを心がけている。

子どもが大学や専門学校に行くことを希望しても、「お金ないから…」という理由で断念するのは親としては忍びないものです。「大学の学費が払えないときどうする?」「どうにかして大学の進学資金を用意できないか?」「進学のために借金するならどうすればいい?」などという疑問はありませんか。

「大学・専門学校に行きたくてもお金がない」という場合、各種制度を活用して負担を軽減できる可能性があります。

この記事では、大学や専門学校にかかるお金と、用意できないときに使える手段について解説します。

この記事でわかること
  • 進学にかかるお金
  • 学費が払えないときの対処法
  • 奨学金や教育ローンの活用法

進学にかかるお金

まずは、大学や専門学校に進学するにはどれだけお金がかかるのかを、公的なデータを用いながら解説します。

学校に支払うお金

大学に支払うお金については、国公立大学と私立大学とでは事情がかなり異なります。

国立大学に関しては「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」という法律で金額が決まっているため、一部の大学の医学部などを除き、基本的にはどこの大学でも同額です。2024年現在、入学料は28万2000円、授業料は年額53万5800円と決められています。

公立大学は大学によってばらつきがありますが、総じて私立大学よりは安いと考えて構いません。

一方、私立大学は文系・理系の区分や学校によりかなり差があるうえに、医歯系の学部だとさらに高くなります。

これらの点を踏まえ、入学金・授業料(年額)・初年度納入額の平均額を表にまとめました。4年間(医歯系の場合は6年間)の学費の概算は「入学金+施設設備料+授業料×4年(6年)」で求められます。

  入学金 授業料(年間) 施設設備料 初年度納入額
国立大学 28万2000円 53万5800円 81万7800円
公立大学 37万4371円 53万6191円 91万562円
私立文系 22万3867円 82万7135円 14万3838円 119万4840円
私立理系 23万4756円 116万2738円 13万2956円 153万450円
私立医歯系 107万7425円 286万3713円 88万566円 482万1704円
専門学校 24万1860円 70万744円 9万4186円 103万6791円
出典:文部科学省「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」「2023年度 学生納付金調査結果(大学昼間部)」「令和5年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金等平均額(定員1人当たり)の調査結果について

大学に通っているときの生活費

大学に通っているときの生活費の平均値は、以下の通りです。

区分 アパート等 自宅通学
大学(昼間部) 215万1000円 160万1500円
短期大学(昼間部) 194万5000円 145万1600円
修士課程 199万6200円 141万8800円
博士課程 243万9600円 199万1600円
専門職学位課程 237万9900円 209万1500円
出典:独立行政法人 日本学生支援機構「令和2年度 学生生活調査結果

大学(昼間部)4年間の費用と考えると、アパートなど自宅外通学の場合は約860万円、自宅通学の場合は約640万円かかる計算になります。

学費が払えないときの対処法

学費を払えない場合の対処法は、以下の通りです。

  • 教育ローンを利用する
  • 奨学金を利用する
  • 母子父子寡婦福祉資貸付金を利用する
  • 学費免除制度の利用を検討する
  • 学費の延納・分納を相談する

なお、無事に入学できたとしても、大学の学費が払えないと除籍処分となる可能性があるため注意が必要です。学生課や奨学金課などの担当部署に相談すれば職員が対処法を教えてくれるので、簡単に諦めないようにしましょう。

教育ローンを利用する

教育ローンとは、国や民間金融機関が提供する、大学の進学費用や専門学校の入学金をはじめとした教育費に充てるための資金を貸し付ける商品のことです。

資金の使い道は金融機関ごとに異なるため、都度確認しましょう。定期代やパソコン代など比較的幅広い目的に使えるものもあれば、進学先の学校に支払う費用のみとなっているケースもあるため、目的に合ったものを使うことが重要です。

国の教育ローン

国の教育ローンとは、政府系金融機関である日本政策金融公庫が扱う商品の1つで、子どもの教育費に充てるための貸し付けです。

借りた資金は、進学先の大学や専門学校に支払う入学金や授業料はもちろん、定期代やパソコン購入代など、学生生活に伴う諸費用に充てることも可能です。

なお、国の教育ローンを借りるには、世帯年収が一定基準以下であることが条件となります。子どもが2人の世帯では世帯年収は890万円が上限です。ただし、現在の勤務先への勤続年数が3年未満など一定の条件を満たせば、上限額が990万円まで引き上げられることも併せてチェックしておきましょう。

民間の教育ローン

民間の教育ローンとは、銀行や信用金庫・信用組合などの金融機関が提供する商品で、子どもの教育費を支払うための資金を貸し付けるものです。国の教育ローンとは違い、世帯年収の要件はないことがほとんどです。ただし、ある程度の支払能力がないと審査に通りません。

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奨学金を利用する

奨学金とは、家庭の事情などの理由で経済的に大学への進学が困難な学生に対し、学費の全額もしくは一部を給付・貸与する制度のことです。日本学生支援機構(JASSO)の奨学金が特に有名ですが、自治体や大学が独自に行っている奨学金もあり、条件に合致すれば利用可能です。

奨学金の使い道は、運営主体によって差があります。使用用途の制約がなければ、大学の入学金・授業料などの学費だけでなく、一人暮らしの生活費や教材費に充てることも可能です。ただし制約がある場合、制約を外れる形で使ってしまうと返還を求められるなどトラブルにつながるので注意してください。

日本学生支援機構の奨学金

日本学生支援機構では、返済不要の給付型奨学金および返済の必要がある貸与型奨学金を提供しています。どちらの制度も、学力基準および家計基準を満たしていないと利用できません。

  • 学力基準:高校および大学にて一定以上の成績を修めていること
  • 家計基準:家庭の収入・資産状況が一定水準以下であること

給付型奨学金の方が貸与型奨学金よりも利用条件が厳しくなっています。また、一度奨学金の受給が決定したとしても、留年したり、出席率が5割を切ったりしたなどの理由により打ち切り(廃止)になることもあるので注意が必要です。

自治体による奨学金

都道府県および市区町村などの地方自治体でも、独自に奨学金制度を運営していることがあります。返済義務のある貸与型か、返済義務のない給付型か、利用するためにはどのような条件を満たしていないといけないかは、運営主体となる地方自治体により変わります。

例えば、東京都大田区の場合、1年以上同区内に居住しているなど所定の条件を満たす高校生および大学生・短大生・専門学校生に対し、給付型および貸与型の奨学金制度を運営しています。

区内の福祉関連施設で3年間勤務するなど、一定の条件を満たせば最大半額の返済が免除される「人材確保型特別減免制度」も設けているので、あわせて利用を検討しましょう。

大学独自の奨学金制度

多くの大学でも、在学生および進学予定者に対し、独自の奨学金制度を設けています。給付型・貸与型の違いや金額、利用するための条件は個々の大学により異なるため、都度確認しましょう。

例えば、早稲田大学では「めざせ!都の西北奨学金」という名称で、東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県以外の都道府県出身の高校生に対する奨学金制度を設けています。入試に先立ち制度の利用を希望する旨を届け出て、合格すれば奨学生として採用されるシステムです。最大で年額70万円が支給されます。

母子父子寡婦福祉資貸付金を利用する

母子父子寡婦福祉資貸付金とは、20歳未満の子どもを育てているなど一定の条件を満たすシングルマザー(ファーザー)が利用できる、国による貸付制度の1つです。

子どもの教育費以外にもさまざまな用途での貸付制度が設けられており、大学の学費や書籍代、通学定期代などの諸経費に充てるなら「修学資金」として借りられます。

限度額 月額14万6000円
私立大学に自宅外通学する場合
貸付期間 就学期間中
据置期間 当該学校卒業後 6ヵ月
償還期間 20年以内
利率 無利子
連帯保証人 不要
親への貸し付けの場合。子どもへの貸し付けの場合は親等が連帯保証人となる

学費免除制度の利用を検討する

学費免除制度とは、国による授業料・入学金の免除または減額を受けられる制度を指します。厳密には「国の高等教育の修学支援新制度」といって、授業料・入学金の免除または減額と、給付型奨学金の支給という二種類の支援を行うことで、家計の負担を軽減する制度です。

大まかにいうと、以下の2つの条件を満たした学生であれば利用できる可能性が出てきます。

  • 世帯収入や資産の要件を満たしている
  • 進学先で学ぶ意欲がある学生である

また、具体的な支援内容は以下の要素によって左右されるため、利用を検討するなら高校の進路指導室もしくは大学の奨学金担当部署に相談してみましょう。

  • 世帯収入額
  • 進学先の学校の種類
  • 自宅通学、自宅外通学の区分

学費の延納・分納を相談する

いますぐには払えないけど、近い将来まとまったお金が入ってくるなどの理由で払える見込みがあるなら、学費の延納・分納も検討しましょう。学生課や所属学部・研究科の事務所などの担当部署に所定の延納願・分納願を提出するのが一般的ですが、具体的な扱いは個々の大学により異なります。

また、延納・分納にあたっては期日や金額が定められており、それを守れないと除籍になる可能性があるため要注意です。どうしても当初の予定通り延納・分納をすることが難しくなったら、状況がわかった段階で担当部署に相談しましょう。

進学に必要な費用を準備する方法

まだ子どもが小さく、大学や専門学校に進学するまで時間があるなら、コツコツと費用を準備しましょう。

時間をかけて費用を貯める際に使える方法は、以下の通りです。

  • 児童手当(200万円/人)を貯める
  • 資産運用を行う
  • 財形貯蓄を利用する

児童手当(200万円/人)を貯める

子どもが0歳から中学校卒業まで受け取れる児童手当を貯めていくことで、1人あたり約200万円が確保できます。

年齢や子どもの数によって支給額が変わるうえに、所得制限があるため中には対象にならない家庭もある点に注意が必要です。ただし、2024年10月以降は所得制限が撤廃され、高校生まで支給を受けられるなど制度が変更される予定となっています。

年齢 2024年9月まで 2024年10月以降の拡充案
(月額)
0~2歳 1万5000円 1万5000円 第三子以降は3万円
3歳~小学生 1万円
(第三子以降は1万5000円)
1万円
中学生 1万円 1万円
高校生 なし 1万円

資産運用を行う

資産運用を行って進学資金を確保するのも1つの方法です。

  • 学資保険
  • 定期預金・積立預金
  • NISA

効率的に資産を増やしていきたいなら、NISAの活用を検討しましょう。NISAとは少額投資非課税制度のことで、専用の口座を通じて投資信託などの金融商品を購入した場合、運用益や売却益が非課税になります。

ただし、運用成果を出せず損をするリスクもあるため、損失が出ても問題ない程度の額で運用することを心がけましょう。

財形貯蓄を利用する

財形貯蓄とは、国と会社が連携して、従業員の資産づくりを支援する制度のことで、給与や賞与から積立額が天引きされるのが特徴です。進学費用を貯めたい場合、一般財形貯蓄を使うことになります。

満期まで積み立てをしたら満期保険金と積立配当金が受け取れる一方、途中で解約した場合は解約返戻金と積立配当金の合計額を受け取ることになります。解約返戻金と積立配当金の合計額がそれまでの積立金の額より低いこともあるため注意が必要です。

財形貯蓄を導入するかは企業の任意であるため、まずは勤務先に導入されているかを確認しましょう。

まとめ

大学や専門学校に進学する場合、比較的学費が安い国公立大学であっても、ある程度まとまったお金は必要になります。

自分たちで費用を用意できればそれに越したことはありません。しかし、難しい場合でも奨学金や教育ローンなどさまざまな制度を駆使すれば進学できる可能性は十分にあります。

まだ子どもが小さく、大学に進学するまでに時間があるなら、できる範囲でコツコツと学費の準備を始めておきましょう。

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